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第2部 第1章 第6節 (2)消費者契約法の見直し

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第6節 消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整備

(2)消費者契約法の見直し

法施行後の社会経済状況の変化

社会の高齢化の進展に伴い、高齢者の消費者被害が多発しているという状況を受け、2014年8月に内閣総理大臣から消費者委員会に対し、消費者契約法の見直しについて諮問が行われました。その後、消費者委員会に設置された消費者契約法専門調査会における審議を経て、2016年1月に消費者委員会から諮問に対する答申がなされました。消費者庁及び法務省では同答申の内容も踏まえ検討を進め、同年の通常国会では、いわゆる過量契約に係る取消権の創設等を内容とする改正法が成立し(以下「2016年消費者契約法改正」という。)、2017年6月に施行されました。

見直しの検討

高齢者のみならず、若年者も含めた幅広い世代において消費者被害は依然として生じています。その中には、契約の締結について合理的な判断をすることができないような事情を事業者に不当に利用され、不必要な契約を締結させられたという被害事例等も存在し、対策が必要とされています。

また、2016年1月の消費者委員会からの答申では、複数の論点につき更なる検討を加えるとされたほか、2016年消費者契約法改正の際には衆・参両院から今後の検討課題について必要な措置を講ずることを内容とする附帯決議が提出されました。

こうした状況を踏まえ2016年消費者契約法改正の際に更なる検討を加えるとされた論点については、2016年9月に消費者委員会で審議が再開され、2017年8月に消費者委員会から答申がなされました。

改正法案の閣議決定、国会提出

2017年8月の消費者委員会からの答申を踏まえ、消費者庁及び法務省では、所要の改正を行う法案の検討を行い、2018年3月に「消費者契約法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出されました(図表II-1-6-2)。

消費者契約に関する制度の認知度

消費者庁「消費者意識基本調査」(2017年度)で、消費者契約に関する制度の認知度について調査したところ、「事業者が不適切な勧誘を行い、それによって消費者が誤認・困惑して契約した場合には、契約を取り消すことができること」(注12)を知っていた割合は67.1%、「消費者の利益を一方的に害する不当な契約条項は、無効となること」(注13)を知っていた割合は43.1%となっています。

これに対し、「消費者契約法上の取消し」と「消費者契約法上の無効」の認知度について、契約が取り消せるか、条項が無効になるか、具体的事例をそれぞれ3問示して尋ねたところ、「取消し」について2問以上正解した割合は72.3%、「無効」について2問以上正解した割合は39.1%となり、後者では比較的低い正答率となっています(図表II-1-6-3)。

そのため、消費者庁では、2016年消費者契約法改正の内容について解説した「消費者契約法の一部を改正する法律に関する一問一答」の公表や、消費者契約法の逐条解説の改訂等を通じて周知し、制度の更なる理解増進を図っています。

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  • 注12:消費者契約法第4条。なお、事業者が不適切な勧誘を行い、それによって消費者が誤認して契約した場合には、契約を取り消すことができるという制度は、特定商取引法上も存在しています(特定商取引法第9条の3等)。
  • 注13:消費者契約法第8条から第10条まで。

担当:参事官(調査研究・国際担当)