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第2部 第1章 第3節 (3)食品表示の適正化の推進

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第3節 表示の充実と信頼の確保

(3)食品表示の適正化の推進

食品表示制度の一元化について

食品表示は、消費者基本法において消費者の権利として位置付けられている消費者の安全の確保や消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保などを図る上で、重要な役割を果たすものです。

2015年4月1日から食品表示法が施行され、これまで食品表示について一般的なルールを定めていた食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法の食品表示に関する規定が統合されたことにより、食品表示に関する包括的かつ一元的な制度が創設されました(図表Ⅱ-1-3-4)。

新たな食品表示制度では上記3法を統合するだけでなく従来の食品表示制度の改善といった、必要な見直しを行いました。主な制度の変更点として、①加工食品への栄養成分表示の義務化、②アレルギー表示に関するルールの改善、③機能性表示食品制度の創設などがあります。

消費者庁では、新たな食品表示制度について、消費者、事業者等への普及啓発を行い、理解促進を図っているところです。なお、加工食品と添加物は2020年3月31日までの間、以前の制度に基づく表示も認めるという経過措置期間を設けています(生鮮食品については、2016年9月30日をもって経過措置期間は終了しています。)。

新たな食品表示制度の適切な運用

食品表示に関する制度の内容について、消費者の理解増進を図っていくことは、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択を確保する上で重要です。消費者庁では、消費者や事業者等を対象として、新たな食品表示制度に関する全国説明会の開催や普及啓発資料の作成等を行っています。

また、第3期消費者基本計画において、インターネット販売等における食品表示、加工食品の原料原産地表示、食品添加物表示、遺伝子組換え表示の在り方などの個別課題については、順次実態を踏まえた検討を行うこととされており、機能性表示食品制度の検討過程において残された課題である厚生労働大臣が定める食事摂取基準において摂取基準が策定されている栄養成分(ビタミン・ミネラル等)や、機能性関与成分が明確でない食品の取扱い等についても、引き続き検討することとされています。

これを受け、準備が整ったものから検討会等を開催し、議論をするなど検討を進めており、2015年12月より「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」、「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」及び「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」を順次開催し、2016年度に報告書の取りまとめを行い、それぞれの報告書の内容に基づき、対応を進めています。

遺伝子組換え表示については、2017年4月から消費者庁において「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」を開催し、2016年度に消費者庁が実施した調査の結果や消費者団体・事業者等からのヒアリングの結果等を踏まえて「義務表示対象品目」、「表示方法」等の各論点について議論しました。2018年3月14日の第10回検討会において、報告書案の取りまとめを行い、同月28日に報告書を公表しました。今後は、この報告書の内容を踏まえた新たな遺伝子組換え表示制度の具体化のため、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)等の改正を行う予定です。

また、食品添加物表示については、2017年度に、事業者が独自の取組として行っている食品添加物の情報提供に関する事例の調査及び海外の食品添加物表示制度に関する調査を実施しています。今後はこの調査結果等を踏まえ、食品添加物表示の在り方について、検討を進めていきます。

新たな加工食品の原料原産地表示制度

加工食品の原料原産地表示については、消費者団体、事業者団体等の有識者から構成される「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」を2016年1月から同年11月まで開催し、同年11月に全ての加工食品について重量割合上位1位の原材料の原産地を義務表示の対象とすること等を盛り込んだ中間取りまとめを公表しました。中間取りまとめの内容を踏まえて食品表示基準の一部改正案を作成し、2017年3月に消費者庁から消費者委員会に諮問するとともに、パブリックコメント等を実施しました。同年8月に消費者委員会から諮問案に対する答申があり、これに加えてパブリックコメント等で寄せられた意見等を踏まえ、同年9月に食品表示基準を改正し、新たな加工食品の原料原産地表示制度が施行されました。なお、2022年3月31日までの間、以前の制度に基づく表示も認めるという経過措置期間を設けています。

新制度の特徴としては、全ての加工食品について、重量割合上位1位の原材料の原産地を義務表示の対象とすること、また、原産地の表示方法は国別重量順を基本とし、一定の条件を満たす場合は過去の実績等を踏まえた「又は表示」、「大括り表示」を認める、中間加工原材料は「製造地表示」を基本とすることなどが挙げられます(図表Ⅱ-1-3-5)。

今回の制度改正により、消費者は、加工食品の原料原産地についてこれまでよりも充実した情報を得ることが可能となるため、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択に大いに貢献する制度となることが期待されます。消費者庁では新制度の普及啓発資料(図表Ⅱ-1-3-6)の作成・配布を始めとして、全国説明会の開催、政府広報の実施などあらゆる機会を捉えて、新制度について消費者や事業者等への普及啓発に努めていきます。

機能性表示食品制度

「規制改革実施計画」(平成25年6月閣議決定)及び「日本再興戦略」(平成25年6月閣議決定)を踏まえ、科学的根拠に基づいて、事業者の責任において食品に機能性を表示できる制度として新たに機能性表示食品制度が創設されました(図表Ⅱ-1-3-7)。制度の主な特徴として、特定保健用食品とは異なり国が安全性と機能性の審査を行っていないため、事業者にとって時間と費用が抑えられる届出制であること、届け出られた内容は消費者庁のウェブサイトで公開されていることが挙げられます。2015年4月に本制度が施行されて以来、2018年3月末時点で1,269件の届出情報を公表しています。

また、消費者庁では2016年1月から「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」を開催し、残された検討課題であった栄養成分及び機能性関与成分が明確でない食品の取扱いについて検討を行い、同年12月に報告書を公表しました。本報告書の内容を踏まえ、2018年3月28日に、糖質・糖類及び植物エキス等を機能性表示食品制度の対象とする旨の「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の改正を行いました。

また、「規制改革実施計画」において、制度の改善事項として、届出手続について迅速化・効率化を実現することや「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の見直し等が位置付けられました(図表Ⅱ-1-3-8)。2017年度までに実施することとして定められた事項については、全て対応を終えており、引き続き、残りの課題についても、定められた時期までに着実に実施していきます。

栄養成分表示等の活用に向けた消費者教育

消費者が自らの食生活の状況に応じた適切な食品の選択ができるようにするためには、栄養成分表示等の活用によるバランスの取れた食生活の普及啓発及び保健機能食品の適切な利用に関する消費者の理解促進が重要です。

消費者庁では、栄養成分表示や保健機能食品に関する消費者教育を推進するため、徳島県において、新未来創造プロジェクトの一環として調査事業を実施しています(図表Ⅱ-1-3-9)。様々なライフステージや地理的状況(地域ごとの食生活の多様性、食品の購買形態、家族構成等)の違いを踏まえた栄養成分表示や保健機能食品の表示の適切な活用方法について検討・検証しており、今後は調査事業の結果を踏まえ、全国展開に向けた取組を実施する予定です。

COLUMN8
時間貸し駐車場の料金表示(景品表示法上の考え方の公表)

図表2-1-3-4食品表示制度

図表2-1-3-5新たな加工食品の原料原産地表示制度の概要

図表2-1-3-6ご存知ですか?全ての加工食品の原材料の産地が表示されます!(消費者向けパンフレット・リーフレット)

図表2-1-3-7機能性表示食品制度とは

図表2-1-3-8規制改革実施計画(平成29年6月9日閣議決定)

図表2-1-3-9調査事業において使用している消費者教育資料

担当:参事官(調査研究・国際担当)