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第1部 第1章 第6節 (2)ICTの利用が進む消費生活

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第6節 消費者を取り巻く環境変化の動向

(2)ICTの利用が進む消費生活

インターネット利用の拡大が進む

情報通信技術(ICT)は、消費生活の様々な場面で利用されています。個人のインターネット利用状況(注53)は、総務省「通信利用動向調査」によると、2016年末には13歳から49歳までの層で100%に近くなっています(図表Ⅰ-1-6-12)。

また、2010年末と2016年末とを比較すると、2016年末の6歳から12歳の利用率は82.6%となり、2010年末の65.5%から17.1ポイント上昇しています。さらに、60歳代、70歳代の増加幅はそれぞれ11.3ポイント、14.4ポイント、80歳以上では3.1ポイントとなっており、高齢者層のインターネットの利用も増えていることが分かります。

このように日常生活でのインターネットの利用が、あらゆる年齢層で浸透しています。

全世代でスマートフォンの保有率が増加

同様に、スマートフォンを含む携帯電話を保有している割合をみると、2016年末には全体で8割以上になっています(図表Ⅰ-1-6-13)。中でも、パソコンに近い機能を携帯電話で利用できるスマートフォンは、56.8%が保有しており、スマートフォン以外の携帯電話の保有率(26.8%)の約2倍となっています。

スマートフォンの保有状況を年齢層別にみると、2016年末で20歳代が94.2%、30歳代が90.4%、13歳から19歳が81.4%と若い年齢層で保有率が高くなっています。

また、2014年末から2016年末にかけて、スマートフォンの保有率は全ての年齢層で上昇しています。増加幅は、50歳代が23.5ポイント、60歳代が17.2ポイント、40歳代が15.3ポイント、6歳から12歳が13.3ポイントと、中高年層と6歳から12歳の層でスマートフォンの利用が急速に広がっていることが分かります。

幅広い年齢層でスマートフォンの利用が進んでおり、こうした手軽な端末の普及が、インターネットの利用拡大に寄与していると考えられます。

インターネットで行っていること

この1年間に、インターネットを使った行動をどの程度行ったのかについて、消費者庁「消費者意識基本調査」(2017年度)によると、利用した経験があるという割合(「ほぼ毎日」+「週に2、3回」+「週に1回」+「月に2、3回」+「それ以下」。)は、「ブログやウェブサイトを見る」が89.7%と最も高く、次いで「友人・知人とメールやSNSで連絡を取り合う」が89.1%となっています(図表Ⅰ-1-6-14)。

多くの人がインターネットを情報収集やコミュニケーションのツールとして利用していることがうかがえます。

ネットショッピングの利用

同様に「消費者意識基本調査」(2017年度)によると、この1年間に、インターネットで「物を買ったり、サービス(ホテル、チケット等)を予約・購入したりする」こと(以下「ネットショッピング」という。)をしたという割合は、77.1%となっています(図表Ⅰ-1-6-14)。

年齢層別にみると、20歳代以上では、若い層ほどネットショッピングを経験している割合が大きく、行っている頻度も高い傾向にあります(図表Ⅰ-1-6-15)。また、10歳代後半では6割を超える人が、70歳以上も約5割の人が、それぞれネットショッピングの経験があると回答しており、ネットショッピングが幅広い年齢層に普及していることがうかがえます。

インターネットを利用する取引は年々増加

経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によると、日本の消費者向け電子商取引の市場規模は年々拡大しています。2016年のBtoC取引(事業者から消費者に商品・サービスを提供する取引)の市場規模は推計で15.1兆円と、2012年の9.5兆円から1.5倍以上となっており、消費者がインターネットを利用する取引は拡大傾向が続いています(図表Ⅰ-1-6-16)。

電子商取引市場での取引金額を分野別にみると、物販系分野の取引金額は2016年に8.0兆円となり、物販系分野の内訳が公表され始めた2013年以降、過半を占める傾向が続いています。

幅広い商品やサービスの購入にネットショッピングを利用

家計におけるネットショッピングの支出について、総務省「家計消費状況調査」をみると、2017年にネットショッピングを利用した月平均支出額は1世帯当たり9,307円となっています。

月平均支出額9,307円の内訳をみると、「旅行関係費(宿泊料、運賃、パック旅行費)」が21.6%と最も高く、次いで「食料(食料品、飲料、出前等)」が13.2%、「書籍・音楽映像ソフト、パソコン用ソフト、デジタルコンテンツ、チケット」が12.7%と続きます(図表Ⅰ-1-6-17)。

幅広い商品やサービスで、ネットショッピングを利用した支出がなされています。

インターネットを通じて行われる個人間取引の市場規模

最近注目されている消費者問題の一つとして、売手と買手の双方が消費者個人である取引(CtoC取引)に関するトラブルの急増が挙げられます。中でも、インターネットオークション(フリマアプリ・フリマサイトを含む。)などインターネットを利用した取引に関する相談が増加しています(本章第4節参照。)。

経済産業省の調査報告(注54)によると、まず、CtoCのインターネットオークションは、2000年代初頭から利用が拡大し、2016年の市場規模は3458億円と推計されています。これは、BtoCを含めたインターネットオークション市場全体の30%以上を占めます。

このうち、フリマアプリ・フリマサイトでの取引について、同報告によると、フリマアプリ(ここでは、インターネット上の仮想のフリーマーケット内で、個人同士が衣料品や雑貨等を自由に売買可能なスマートフォン専用のアプリケーションソフトウェア(アプリ)、もしくは仮想のフリーマーケット取引市場の総称を指します(注55)。)の市場規模は、2016年1年間で3052億円と推計されています。さらに、フリマアプリは、初めて登場したとされる2012年から数年で、大きな市場に発展し、今後も拡大傾向にあると予測されています。

個人間売買に関する消費生活相談が増加している背景には、こうしたインターネットを通じて行われる個人間取引の急速な拡大があると考えられます。

インターネットを使っている時間

総務省「社会生活基本調査」(2016年)によると、1日のうち、スマートフォンやパソコン等の情報通信機器を使っている時間(注56)は、週全体の平均(月曜から日曜までの曜日別結果の平均)で、「1-3時間未満」の人が23.3%、「1時間未満」の人が19.5%となっています(図表Ⅰ-1-6-18)。

また、年齢層別にみると、10歳代後半と20歳代では「3時間以上」(「3-6時間未満」+「6-12時間未満」+「12時間以上」。)という人が4割を超えており、他の年齢層に比べて使用時間が長い傾向がみられます。さらに、インターネットを12時間以上使用すると回答した人の割合が、10歳代後半では4.5%、20歳代では5.1%となっており、特に若い世代では、日常生活の多くの時間をインターネットに接して過ごしている様子がうかがえます。

インターネットでの架空請求等のトラブル経験と対応の状況

幅広い年齢層の消費者が日常生活にインターネットを利用していることに伴い、トラブルも生じています。

消費者庁「消費者意識基本調査」(2017年度)によると、インターネットを利用している時に、利用したつもりのない有料動画サイト等の請求や不審なメールを受け取るなどのいずれかのトラブル経験がある人は、62.6%でした(図表Ⅰ-1-6-19)。経験したトラブルは、多い順に、「利用したつもりのない有料動画サイト等の請求に関するメール等を受け取った」(41.9%)、「インターネット閲覧中に、突然『端末からウイルスを検出しました』、『今すぐアップデートが必要』等の警告画面が表示された」(37.3%)、「インターネット閲覧中に、利用したつもりのない有料動画サイト等の請求画面が表示された」(25.1%)となっています。

さらに、このような架空請求や不審なメールに対して、どのような対応をしたかと聞いたところ、いずれのトラブルについても、「無視した」という回答の割合が7割以上を占めました(図表Ⅰ-1-6-20)。一方で、更なるトラブルに発展しかねない対応と考えられる「指示に従ったり、発信元に問い合わせたりした」という回答の割合は、いずれの経験でも1~2%程度でした。「芸能人・有名人をかたった怪しいメール」のように、不審だと明らかに思える度合いの強いものについては9割の人が無視していますが、「警告画面の表示」のように真偽に迷うものや危機感をあおるようなものについては、「無視した」割合は75.8%と相対的に低く、「指示に従ったり、発信元に問い合わせたりした」割合が2.4%と相対的に高くなっています。

「インターネットで対応策を調べた」という割合が、「警告画面の表示」(20.7%)、「請求画面の表示」(15.0%)、「有料動画サイト等の請求」(14.1%)では1割以上を占めています。多くの消費者はインターネットで調べることにより、適切な対応策に関する情報を得ることができたと考えられますが、有料動画の請求についてのトラブルを解決しようとインターネットで相談先を検索し、二次被害に遭ってしまったという事例も生じていることに注意が必要です(注57)

多くの人は、インターネットを利用している時に、架空請求や不審なメール等の経験をしているものの、「無視する」といった適切な対応をしています。一方で、真偽に迷ったり、危機感をあおるようなメールや画面が表示されたりすることによって、トラブルにつながりそうな行動を思わずとってしまうことがあり得ることが分かります。

SNSの利用状況

最近、特に若者を中心に、SNSの利用が広がっています。総務省「通信利用動向調査」(2016年)によると、インターネット利用者のうちSNSを利用している人の割合は、2016年末で51.0%となっています(図表Ⅰ-1-6-21)。

年齢層別にみると、20歳代が76.6%と最も多く、次いで30歳代が70.5%、13歳から19歳が67.3%、40歳代が59.0%と、SNSを利用している人の割合は、それぞれ半数を超えています。また、60歳代が22.6%、小学生を含む6歳から12歳でも16.7%となっており、幅広い年齢層で、SNSが利用されていることが分かります。

SNSを利用しているときのトラブル等の経験

SNSの利用の拡大に伴い、SNSが何らかのきっかけとなり消費者トラブルに遭うというケースが後を絶ちません。

消費者庁「消費者意識基本調査」(2017年度)によると、過去1年間にSNSを利用した人に、利用中に嫌な思いをしたりトラブルに巻き込まれたりした経験があるか聞いたところ、「必要ない広告が表示される」が36.5%、「面識のない人から連絡が来た」が35.7%、「不快な情報を目にした」が11.2%などという結果となりました。嫌な思いをしたりトラブルに巻き込まれたりといった何らかの経験をしている割合は56.4%と、SNSを利用している人の半数を超えています(図表Ⅰ-1-6-22)。

さらに年齢層別にみると、トラブルのきっかけとなる可能性のある「必要のない広告が表示される」、「面識のない人から連絡がきた」という経験は、全ての年齢層で30~40%程度となっています(図表Ⅰ-1-6-23)。

こういった背景から、本章第4節でみたように、SNS関連の消費生活相談が増加していると考えられます。

COLUMN3
高齢者のインターネット利用と「人付き合い」


  • (注53)利用目的等は、個人的な利用、仕事上の利用、学校での利用等あらゆるものを含む。
  • (注54)経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(2016年度)(2017年4月)
  • (注55)前掲注54参照。
  • (注56)学業、仕事以外の目的で使用した場合。
  • (注57)例えば、「アダルト情報サイト」に関するトラブルを解決しようと、インターネットで相談先や解決方法を検索して、「無料相談」、「返金可能」をうたう窓口に相談したところ、実際には探偵業者等に調査等を数万円で依頼したこととなっており、結局、アダルト情報業者からの返金を受けることもできなかった、といった相談がある(消費者庁「平成29年版消費者白書」45頁、国民生活センター「「アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者にご注意!」(2016年12月15日公表))。

担当:参事官(調査・物価等担当)