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第1部 第1章 第6節 (1)家計消費、物価の動向

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第6節 消費者を取り巻く環境変化の動向

(1)家計消費、物価の動向

社会経済活動の中で大きなウェイトを占める消費活動

社会経済活動の中で、消費活動は大きなウェイトを占めています。家計が支出する消費額の総額は、2017年に約295.4兆円で、経済全体(名目国内総生産(GDP)=約546.5兆円)の50%以上を占めています(図表Ⅰ-1-6-1)。

諸外国をみると、先進国は概して消費者が支出する総額が経済全体の5割を超えています。また、米国のように消費支出が経済の7割近いウェイトを占めている国もあります(図表Ⅰ-1-6-2)。

消費者の消費活動は、日本の経済社会全体に大きな影響を及ぼしています。経済社会の持続的な発展のためには、消費者が安心して消費活動を行える市場を構築することが重要です。

家計の支出の4割超がサービスへの支出

家計の支出構造について、総務省「家計調査」により、2017年における「二人以上の世帯(農林漁家世帯を除く。)」1世帯当たりの財・サービスへの支出の構成比をみると、教養娯楽や外食、住居等の「サービスへの支出」が占める割合は42.6%、食料や光熱・水道等の「財(商品)への支出」は57.4%です(図表Ⅰ-1-6-3)。家計の支出構造の長期的な変化を見ると、モノへの支出から、サービスへの支出へシフトしています(注51)

2017年の個人消費は、緩やかに持ち直している

個人消費は、雇用・所得環境の改善に支えられて、緩やかに持ち直しています。個人消費の動向を、内閣府「消費総合指数」からみると、2017年の個人消費は、緩やかに持ち直していることが分かります(図表Ⅰ-1-6-4)。この背景には、景気回復が長期にわたり、企業収益も好調である中で、雇用者数が増加し、企業の賃上げにより賃金も緩やかに増加するなど、雇用・所得環境が改善していることがあります。内閣府「総雇用者所得」により、一国全体の雇用者の所得を表す実質総雇用者所得の動きをみると、2017年は、緩やかに増加しています。

2017年の消費者物価は、生鮮野菜の価格高騰等により上昇

消費者が購入する財・サービスの価格は、総務省「消費者物価指数」によると、2017年の後半以降、緩やかに上昇しています(図表Ⅰ-1-6-5-(1))。

消費者が購入する財・サービス全体の価格の動きを示す「総合」指数は、2016年10月以降は前年比プラスで推移していますが、2017年11月以降は生鮮野菜の価格高騰により上昇幅が拡大しました(図表Ⅰ-1-6-5-(2))。

また、「総合」から、天候等による価格変動が大きい生鮮食品を除いた価格の動きを示す「生鮮食品を除く総合」指数(いわゆる「コア」指数)は、2017年は前年比プラスで推移しました。これは、原油価格の上昇などを背景に、エネルギー価格が上昇したことが要因と考えられます。一方、「総合」から生鮮食品及びエネルギーを除いた価格の動きを示す指数は、2017年3月まで前年比プラス幅が縮小傾向にありましたが、2017年7月以降はやや拡大傾向で推移しました。これは、人件費や物流費の増加等による価格の値上げが目立ったことが要因と考えられます。

一方で、総合指数の前年比の動きについて項目別の寄与度(各要因が全体の動きにどれだけ影響しているかの度合い)をみると、エネルギーの寄与度は、2017年2月にプラスに転じ、プラス幅が拡大しました(図表Ⅰ-1-6-5-(3))。産油国間における生産調整の期間が延長されたことで、原油調達価格が上昇したことなどが原因と考えられます。

食料品の寄与度については、2017年10月にマイナスに転じましたが、12月以降は再びプラスに転じています。

生鮮野菜の価格は2017年も後半にかけて上昇

生鮮野菜の価格は、2016年に続き2017年も後半にかけて上昇しました(図表Ⅰ-1-6-6)。これは8月の悪天候や10月の台風と長雨の影響から、多くの産地で生育の遅れが生じたためです。

ガソリンの店頭価格は2017年も上昇傾向

一般的にガソリンの店頭価格は、原油コストを踏まえつつ需給状況や地域における競争環境等も反映した形で市場の中で決定されていくため、ガソリン店頭価格の推移は、原油価格の動向に影響を受けています。

2016年4月以降、ガソリンの店頭価格は上昇傾向で推移しています(図表Ⅰ-1-6-7)。これは、2016年10月の石油輸出国機構(OPEC)の生産調整などの影響ですが、2017年11月に生産調整期間を延長することが決定されたことから、ガソリンの店頭価格は引き続き上昇傾向で推移しています。

物価モニターの1年後の物価上昇期待は拡大傾向

消費者の支出への意識について、「物価モニター調査」(【解説】参照。)からみていきます。物価モニターに、1年後の物価について聞いたところ、「上昇すると思う」と回答した人の割合は、2015年8月以降は減少傾向となり、2016年9月には54.5%まで減少しましたが、その後増加に転じ、直近の2018年3月には77.8%まで拡大しています(図表Ⅰ-1-6-8)。

「上昇(下落)すると思う」と答えた人に1年後どれくらい上昇(下落)するか聞いた結果を加重平均したところ、調査を始めた2014年12月以降は上昇期待が縮小傾向となっていましたが、2017年4月以降、拡大傾向に転じています(図表Ⅰ-1-6-9)。また、内閣府が行っている消費動向調査でも同様に物価の上昇期待が拡大傾向となっています。

消費者が一番物価の変動を感じるのは、ガソリン、生鮮食品、食料品

2017年11月調査にて、物価モニターに、どのような品目で一番物価の変動を感じるか聞いたところ、「ガソリン・灯油」、「生鮮食品」、「食料品(生鮮食品を除く)」と回答した割合がそれぞれ2割超となりました(図表Ⅰ-1-6-10)。いずれも日常生活の必需品で、購入回数が多いため、消費者が価格の変動に気付きやすいと考えられます。物価の基調の動きをみるときには、変動の大きい、生鮮食品やエネルギーを除いた価格の動きをみるのが一般的ですが、一方で、食料品やエネルギー関係の価格で物価の変動を感じる消費者も多く、これらの個別の価格の変動が消費行動にも影響を及ぼしている可能性が考えられます。

【解説】 物価モニター調査の実施

「物価モニター調査」とは、原油価格や為替レートなどの動向が生活関連物資等の価格に及ぼす影響、物価動向についての意識等を正確・迅速に把握し、消費者等へのタイムリーな情報提供を行うことを目的として消費者庁が行っている調査です。

広く一般から募集した全国2,000名の物価モニターにより調査は行われています。調査内容には、価格調査と意識調査があり、価格調査は、消費者庁が指定した調査対象25品目(図表Ⅰ-1-6-11)の価格の見取調査で、毎回の調査において同一店舗で同一商品の店頭表示価格を継続して調査するものです。特売品も含め、消費者に身近な品目、日頃よく購入する品目の価格を把握します。また、意識調査は、物価モニターに対し、消費や物価動向についての意識の変化を調査するものです。

2013年10月から調査を行い、2013年度は3回、2014年度は6回調査を行い、2015年4月以降は調査回数を毎月の12回に増やし、調査結果をタイムリーに公表しています(注52)


担当:参事官(調査・物価等担当)