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第1部 第1章 第4節 (4)高齢者が巻き込まれる詐欺的なトラブル

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第4節 最近注目される消費者問題

(4)高齢者が巻き込まれる詐欺的なトラブル

「終活」に付け込んだ悪質な商法が目立つ

高齢者の相談をみると、不要品を整理・処分しようとした際の訪問購入に関するものや、かつて原野商法の被害に遭い所有している山林を整理・処分しようとした際の原野商法の二次被害に関するものなどが増加しており、高齢者の「終活」に付け込んだ悪質な商法が目立っています。

訪問購入に関するトラブル

自宅で購入業者に物品を買い取ってもらう「訪問購入」(注46)に関する相談が、2015年以降年8,000件台で推移しています(注47)(図表Ⅰ-1-4-10)。65歳以上の高齢者の割合が全体の約6割を占め、そのうち約8割が女性です。主なトラブルは、「不要品を買い取る」という勧誘の電話を受けたりチラシ等を見たりした消費者が、不要品を売却しようと購入業者に訪問を依頼したところ、来訪した購入業者に貴金属を見せるよう強く求められ、最終的に貴金属を売却することになってしまった、というものです。売却価格に納得できず、後から、取り戻したいと思って連絡すると「キャンセル料がかかる」、「買取りはクーリング・オフできない」、「紛失した」、「転売した」などと言われ、取り戻せない、という相談が多くなっています。中には、「担当者が突然1,000円札1枚を置いて、品物を全部持って車で立ち去ってしまった」という相談もあります。

「不要品の買取りキャンペーンをしている」などといきなり訪問している例や、購入業者の名称等を明らかにせず勧誘している例、「衣類を買い取る」と勧誘したり「衣類の売却」を消費者から依頼されたりして訪問したにもかかわらず貴金属の売却を求めるなど当初の依頼と別の物品の売却を求める例など、特定商取引法で禁止されている行為に関するトラブルもみられます。また、同法では、購入業者は、物品の種類、購入価格、購入業者の名称、住所等を記載した書面を交付する必要があります。クーリング・オフも認められており、消費者は、クーリング・オフの期間内(8日間)は物品を引き続き手元に置いておくこともできます(物品の引渡しの拒絶)。購入業者は、クーリング・オフに関する記載をした書面の交付や物品の引渡しの拒絶ができる旨の告知をしなければなりません(図表Ⅰ-1-4-11)。

原野商法の二次被害に関する相談が急増

原野商法とは、ほとんど無価値で将来の値上がりの見込みがほとんどない土地を、値上がりするかのように偽って売りつける商法です。過去に原野商法の被害に遭い、土地を所有している人に、「土地を高く買い取る」などと虚偽の説明で勧誘し、新たに高額な契約を結ばせる二次被害が増加しています(注48)(図表Ⅰ-1-4-12)。2017年の既支払総額は26.7億円、相談1件当たりの既支払額も約162万円と高額化しています(図表Ⅰ-1-4-13)。

相談内容をみると、まず、30~40年前に原野商法の被害に遭った被害者が、不動産事業者からの電話や訪問で「土地を高く買い取る」などと勧誘されて契約を結び、「名義変更費用」、「売却手数料」、「税金対策」などとして、数十万円から数百万円を支払います。しかし、実際の契約は原野等の売却と同時に売却額より高額な新たな原野等を購入する契約となっており、売却代金などは振り込まれず、結果として差額分を支払うことになります。よって、「土地の売却代金が支払われない」、「担当者に電話してもつながらない」、「契約書をよく見ると、土地を売る契約ではなく、別の土地を買う契約になっていた」との相談が寄せられています。また、中には、「当社は同じ被害に遭った人を救済している。当社と契約すればお金を取り戻してあげる」などと、先のトラブルに重ねての「二次被害」となる勧誘を受けたとの相談も寄せられています。このような売却勧誘型のトラブルのほかに、数十年前に購入した原野等の土地の管理費を突然請求されたとの相談も寄せられています。

事業者は、登記簿や過去の原野の購入者名簿を見て勧誘していると考えられます。原野の保有者、山林や別荘を持つ高齢者は、十分に注意する必要があります。また、「子どもたちに負の財産を残さないためにも原野等を手放したい」という高齢者の気持ちに事業者が付け込んで勧誘を行っていることがあると考えられます。トラブルの未然防止・早期発見のためには、周囲が高齢者に寄り添った見守り・声掛けを行うことが期待されます(図表Ⅰ-1-4-14)。

COLUMN2
自分は使わないけれどまだ使えるもののリユース


  • (注46)特定商取引法の「訪問購入」には該当しないものも含まれる。
  • (注47)国民生活センター「不用品を買い取ると言ったのに貴金属を買い取られた!!―終活の一環!?高齢者を中心に訪問購入のトラブルが発生しています―」(2017年9月7日公表)
  • (注48)国民生活センター「より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル―原野や山林などの買い取り話には耳を貸さない!契約しない!」(2018年1月25日公表)

担当:参事官(調査・物価等担当)