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第1部 第1章 第4節 (3)消費者が「売手」となる取引に関するトラブル

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第4節 最近注目される消費者問題

(3)消費者が「売手」となる取引に関するトラブル

最近の消費者トラブルの特徴として、消費者が事業者から物やサービスを「買う」場面ではなく、消費者が事業者に物やサービスを「売る」場面や消費者同士で物やサービスを売買する場面におけるトラブルが増加しています。

個人間売買に関するトラブルの急増

スマートフォンの普及やシェアリング・エコノミーの浸透などを背景として、売手と買手の双方が消費者個人である取引(いわゆるCtoC取引)市場が拡大してきたことに伴い、個人間売買に関する消費生活相談が、2014年以降急増しています。中でも、インターネットオークションやフリマアプリ・フリマサイトなどインターネットを利用した取引に関する相談が増加しています(図表I-1-4-8)。相談内容をみると、「購入したブランド商品が偽物だった」、「購入した品物が届かない」などの買手側からの相談だけでなく、「購入者が商品を受け取らない」、「商品を発送し、配送事業者が配送済みであることを確認しているが、購入者が『商品が届かない』と主張して代金を支払わない」、「購入者が商品の破損などが無いことを確認した後で落札額を払ったにもかかわらず、後日、壊れていた、と言われ返金を求められた」など、売手側からの相談も寄せられています。インターネットオークションやフリマアプリ・フリマサイト等を利用する際は、トラブルになった場合には当事者間で話し合って解決することが原則となることなど、個人間売買の特徴を理解し、サイト等の利用規約をよく確認しておく必要があります(注43)

宅配買取りに関するトラブル

「不要になった品物(本、衣類、ゲーム機など)を買い取ります」といったウェブサイトを見て、消費者が商品を梱包して事業者に送付し、送付後に査定される非対面式の買取りサービス、いわゆる宅配買取りに関する相談が急増しています(注44)(図表I-1-4-9)。若い年齢層の相談も多く、2017年の相談件数のうち42.3%が、30歳代以下です。相談内容をみると、ウェブサイト上の目安の買取価格と比べ実際の査定額が著しく低いことをきっかけにトラブルが発生しており、「査定結果に納得がいかず品物の返却を希望したところ、送料の負担を求められた」、「『査定額0円なので処分にも返送にも費用が必要』と言われた」、「査定額の連絡もないまま、非常に低い金額が勝手に振り込まれていた」などの相談が寄せられています。「送付した商品を紛失された」、「問合せへの返事が来ない」など事業者の対応に関する相談もみられます。

宅配買取りは、梱包して送付するだけという手軽さの反面、非対面取引であるために、買取価格だけでなく査定結果の連絡方法や振込手続、キャンセルの可否、キャンセル時の商品の取扱い等の重要な取引条件や規約が消費者に伝わらずトラブルに至った相談が多く、商品の紛失、汚れなど送付や宅配プロセスでのトラブルも発生しています。商品を送付してしまった後の交渉は、商品が手元にないため、消費者にとって不利になります。また、宅配買取りのサービスを行う事業者は、店舗型のリサイクル事業者等と同じく、古物商として、盗品等の売買防止などを目的とした古物営業法(昭和24年法律第108号)の規制は受けますが、特定商取引法の適用対象ではなく、クーリング・オフ制度はありません。

宅配買取りの利用を検討する際には、売りたいものが宅配買取りに向いているもの(注45)であるかどうか考える必要があります。その上で、事業者のウェブサイトや広告に一見魅力的な買取価格が表示されていても即断せず、他の事業者のウェブサイトにも目を通すなど、取引条件や規約の内容をよく確認する必要があります。


  • 注43:国民生活センター「相談急増!フリマサービスでのトラブルにご注意―個人同士の取引であることを十分理解しましょう―」(2018年2月22日公表)
  • 注44:国民生活センター「宅配買い取りサービスのトラブルが増加しています!―段ボールひと箱分でも数十円!?「手軽に高額査定」のはずが...―」(2017年11月9日公表)
  • 注45:処分したいが廃棄するのはもったいないもの。不向きなものは、思い入れの強いものや自分が売りたい価格が決まっているもの。

担当:参事官(調査研究・国際担当)