文字サイズ
標準
メニュー

第1部 第1章 第4節 (2)インターネットや情報通信に関連するトラブル

第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第4節 最近注目される消費者問題

(2)インターネットや情報通信に関連するトラブル

SNSをきっかけとした相談は引き続き増加傾向

SNSが何らかの形で関連している消費生活相談は引き続き増加傾向にあります。2017年も前年を大きく上回る1.4万件の相談が寄せられ、消費生活相談全体の1.5%を占めました(図表I-1-4-5)。年齢層別にみると、20歳代が最も多く、20歳代の相談のうち5.8%はSNSが何らかの形で関連しています。若者の相談件数全体は減少傾向にある一方で、SNSが何らかの形で関連している相談の件数は増加傾向にあり、若者はSNSの利用頻度が高いことが影響していると考えられます。また、2017年の相談件数を2013年と比較すると、全体件数では3.0倍に増えたところ、50歳代、60歳代、70歳以上の各年齢層ではそれぞれ4倍を超えており、中高年層の相談件数が大きく増えています。

具体的な相談内容は多岐にわたりますが、例えば、後述するようなSNS上の広告を見て「お試し」のつもりで商品を購入したところ、定期購入になってしまったというトラブルなどがあります。また、20歳代以下の若い年齢層などでは、SNSで知り合った友人から誘われたことをきっかけにマルチ取引等に巻き込まれたといった相談も寄せられています。

「お試し」定期購入に関する相談件数が増加

商品を「お試し」で購入するつもりが定期購入となってしまうというトラブルに関する相談件数は、2016年に急増しましたが、2017年は前年を更に上回りました(図表I-1-4-6)。また、2016年までは、契約当事者の8割以上が女性でしたが、2017年は、筋肉増強サプリメント等男性向け商品が増えたことから男性の割合が23.9%に伸びています。

相談内容をみると、「1回目90%OFF」、「初回実質0円(送料のみ)」など通常価格よりも低価格で購入できることを強調した広告をSNS等で見た消費者が注文することが多くなっています。こうした広告では、「4か月以上の継続が条件」、「定期購入期間中は解約できない」など低価格で購入するための条件や支払総額などの契約内容が、他の情報より小さい文字で表示されていたり、別のページに表示されていたりするなど消費者が認識しづらい場合が多くなっています。また、消費者が「解約したい」、「問い合わせたい」と思っても、「何度事業者に電話をかけても通話中でつながらない」という相談も多く寄せられています(注37)

こうしたトラブルの増加に対して、2017年12月1日から施行された改正後の特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)では、定期購入契約に関する表示義務の追加・明確化がなされ、通信販売の広告やインターネット通販における申込み・確認画面上には、定期購入契約であることや、金額(支払代金の総額等)、契約期間その他の販売条件を表示することが義務化されました(同施行規則第8条第7号)。インターネット通販における具体的なケースについては、ガイドライン(注38)に例示され、例えば、申込みの最終画面上において、定期購入契約の主な内容の全てが容易に認識できないほど、その一部が離れた場所に表示されている場合は「顧客の意に反して売買契約の申込みをさせようとする行為」として禁止される行為に該当するおそれがあるとされました。

仮想通貨をめぐるトラブルの増加

インターネットを通じて電子的に取引される、いわゆる仮想通貨をめぐるトラブルに関する相談件数が増加し続けており、2017年の相談件数は2016年の約3.5倍となりました(図表I-1-4-7)。

仮想通貨に関する消費生活相談の内容をみると、仮想通貨の交換と関連付けた投資や利殖をうたう詐欺的なトラブルが典型的です(注39)。具体的には、「知人から『半年で価値が3倍になり、販売元が全て買い取る』と言われて売却利益を目的に仮想通貨を購入したが、言われたとおりに買い取ってもらえず、支払ったお金も戻ってこない」などというものです(注40)(注41)。また、仮想通貨の取引について、購入・売却・送金等の確認ができない、解約・返金したいができない・手続が進まない、こうした事態について事業者に問い合わせても対応が悪い、当初の説明と違う等の相談が寄せられています。口座に不正にアクセスされて仮想通貨が第三者に送金されたといったセキュリティに関するトラブルについての相談もみられます。

仮想通貨は、円やドルなどの法定通貨と異なり、国家やその中央銀行によって発行され、その価値が保証されているものではありません。仮想通貨の価格変動は大きく、急落することや、無価値になるリスクもあります。さらに、サイバーセキュリティに関するトラブルも発生しています。仮想通貨を利用する際は、金融庁・財務局の登録を受けた事業者であるかを確認し、取引する内容やリスク等をよく理解してから行ってください。取引中は、自分が行った取引の履歴や残高について随時確認するなどの注意を払う必要があります(注42)


  • 注37:国民生活センター「お試し」のつもりが「定期購入」に!?第2弾―健康食品等のネット通販では、契約内容や解約条件をしっかり確認しましょう―」(2017年11月16日公表)
  • 注38:消費者庁「インターネット通販における「意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に係るガイドライン」(2017年11月1日改正)
  • 注39:金融庁・消費者庁・警察庁「仮想通貨に関するトラブルにご注意ください!」(2017年9月29日公表)
  • 注40:国民生活センター「投資や利殖をうたう仮想通貨の勧誘トラブルが増加―「必ず値上がりする」などの説明をうのみにせず、リスクが理解できなければ契約しないでください―」(2016年2月18日公表)
  • 注41:国民生活センター「知人からの勧誘、セミナーでの勧誘による仮想通貨の購入トラブルにご注意―「必ず儲かる」という言葉は信じないで!―」(2017年3月30日公表)
  • 注42:金融庁「平成29年4月から、「仮想通貨」に関する新しい制度が開始されます。」(2017年4月3日公表)

担当:参事官(調査研究・国際担当)