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第2部 第2章 第2節 2.商品・サービスに応じた表示の普及・改善

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者庁における主な消費者政策

第2節 表示の充実と信頼の確保

2.商品・サービスに応じた表示の普及・改善

(1)家庭用品の品質表示の見直し

家庭用品の品質表示については、家庭用品品質表示法に基づき、対象商品や表示を行う事項が定められています。

消費者庁では、2016年12月に施行された繊維製品品質表示規程に基づく新しい洗濯表示について、ポスター、リーフレット、パンフレット、すごろく、かるた及びDVDといった普及啓発のための広報資料を作成し、国民生活センター、消費生活センター、消費者団体、地方公共団体等に対し配布するとともに、2016年度においては、20件の講師派遣を行いました。

2017年3月には、家庭用品品質表示法施行規則、繊維製品品質表示規程、合成樹脂加工品品質表示規程、電気機械器具品質表示規程及び雑貨工業品品質表示規程を改正し、指定品目の見直しや品目の追加を行いました(2017年3月30日公布、2017年4月1日施行。ただし、新たに追加された品目についての改正は2018年4月1日施行。)。

(2)住宅性能表示制度の普及推進及び評価方法の充実

2000年4月に施行された住宅品確法の規定に基づき、住宅の性能を客観的に評価し表示する住宅性能表示制度が同年10月から開始されました。

具体的には、耐震性、劣化対策、省エネルギー対策等、外見や簡単な間取り図からでは分かりにくい住宅の基本的な性能について共通ルールを定め、住宅の性能を等級や数値等で表示し、比較しやすくするものです。

消費者庁及び国土交通省では、住宅品確法に基づき定められている住宅性能表示制度の告示について、2016年1月に既存住宅に関する評価基準の充実等を目的とした改正を行いました。同年4月の施行までに改正告示に関する講習会を計23回実施しました。

また、2015年8月から2017年3月までに、登録講習機関による評価員講習会を計13回実施しました。

(3)省エネ性能表示の普及促進

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年法律第53号)が2015年7月に公布され、新たに表示制度が位置付けられました。2016年4月に施行された同法第36条の規定に基づく省エネ基準適合認定マークや、同法第7条の規定に基づく省エネ性能表示のガイドラインに従った「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:Building - Housing Energy - efficiency Labeling System)」、さらに、建築物の環境性能で評価し格付けする手法である「建築環境総合性能評価システム(CASBEE)」(注53)等の普及促進を図るため、省エネ関連の講習会等で2016年度に191回説明を実施しています。

(4)特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律に基づく指定建物錠の性能表示の適正な運用

ピッキング等の特殊開錠用具を使用した住宅侵入犯罪が多発していたことを受け、住宅侵入犯罪に使用されるおそれの高い用具の所持等を禁止するとともに、建物に侵入して行われる犯罪の防止を図る目的で、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(平成15年法律第65号)が2003年6月に成立しました。同法第7条の規定に基づく国家公安委員会告示では、建物錠の製造業者や輸入業者に対し、建物錠のうち、防犯性能の向上を図ることが特に必要な指定建物錠(シリンダー錠、シリンダー、サムターン)について、その防犯性能等を表示すべき事項として定めており、警察庁では、2016年度に指定建物錠の性能表示についての検証を実施しました。

また、警察庁、国土交通省、経済産業省及び建物部品関連の民間団体から構成される「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」では、防犯性能の高い建物部品(錠、ドア、ガラス、サッシなど)の開発を促進すると同時に、同部品の目録を作成の上、公表しており、消費者が防犯性能により建物部品を選択できるようになっています(目録掲載数:17種類3,332品目(2017年3月末時点))。

なお、指定建物錠や防犯性能の高い建物部品に関する情報は、警察庁の侵入犯罪防止対策ウェブサイト「住まいる防犯110番」や関係団体のウェブサイトに掲載するなどして消費者に提供しています。

(5)医療機関のホームページによる情報提供

医療に関する広告は、国民・患者保護の観点から、医療法により限定的に認められた事項以外は、広告が禁止されてきましたが、医療機関のウェブサイトについては原則、広告として取り扱っていませんでした。

一方で、美容医療サービス等の自由診療を行う医療機関のウェブサイトに掲載されている治療内容や費用と、受診時における医療機関からの説明・対応とが異なるなど、ウェブサイトに掲載されている情報の閲覧を契機としてトラブルが発生していました。

厚生労働省では、美容医療を始めとした医療機関のホームページの表示適正化のため、地方公共団体に対し「医療機関ホームページガイドライン」などの周知徹底依頼や、指導事例の情報共有等を行い、関係団体等による自主的な取組や指導の徹底を図っています。

2015年度に寄せられた、地方公共団体における医療広告又は医療機関ホームページに関する相談・苦情件数は411件(注54)となっており、そのうち149件については、違反のおそれがあるものとして行政指導を実施しています。

なお、美容医療等に関する広告規制等の在り方については、2016年3月から検討を開始し、同年9月に、医療機関のウェブサイト等についても、虚偽・誇大等の不適切な表示に対する規制を設けるべきとの取りまとめがなされました。これを踏まえ、2017年3月に「医療法等の一部を改正する法律案」を提出しました。

このほか、美容医療サービスを受けるに当たって注意すべき事項等について周知するため、消費者向けの注意喚起資料を作成し、2016年9月に都道府県等に周知するとともにツイッター等を活用した広報活動を行っています。

(6)電気通信サービスにおける広告表示等の適正化

総務省では、スマートフォン等の急速な普及が進む中、最大通信速度と実効速度の乖離が大きいといった通信速度等のサービス品質に関する苦情の増加を受け、利用者が適切な情報に基づきインターネット接続サービスの契約を行うことができる環境を整備するため、通信速度の計測・表示に関して、2013年11月から「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会」を開催し、2015年7月に報告書を取りまとめました。

さらに、これらの成果を踏まえ、同月、総務省は、「移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの実効速度計測手法及び利用者への情報提供手法等に関するガイドライン」を策定しました。


担当:参事官(調査研究・国際担当)