文字サイズ
標準
メニュー

第2部 第1章 第7節(2)消費者行政の新たな未来の創造に向けて

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第7節 国や地方の消費者行政の体制整備

(2)消費者行政の新たな未来の創造に向けて

●消費者行政新未来創造オフィスの開設

消費者庁、消費者委員会、国民生活センターは、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成26年12月27日閣議決定)に基づく、政府関係機関の地方移転の一環として、徳島県から移転の提案を受けていました。

この提案に対して、2016年3月に約1週間、同年7月には約1か月間、消費者庁の職員が実際に徳島県に滞在して試行的に業務を行うなど、様々な試行をしながら、徳島県に移転することにより期待される役割を果たすことができるかどうかといった観点から、検討を行ってきました。

徳島県での試行では、消費者教育、倫理的消費に関する先進的かつ熱心な取組や、消費者庁の取組に協力する強い意欲が確認されました。徳島県から移転の意義として説明されていた、県との連携により先駆的な施策推進を図るための「実証フィールド」を確保することについては、行政、事業者、学術機関等の継続的な協力を得ることにより、実証に基づいた政策の分析・研究機能の強化に寄与する可能性がみられました。

一方、現時点では、政府内の各府省共通のテレビ会議システムが整備されておらず、徳島県から東京や全国へのアクセス面の課題もある中で、消費者庁が行ってきた国会対応、危機管理、法執行、消費者行政の司令塔機能、制度整備等の業務については、迅速性、効率性、関係者との日常的な関係の構築等で課題もみられました。また、テレビ会議システム等を活用したやり取りにおいては、多人数での意見調整に課題がみられました。

これらの試行等を踏まえ、「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」(平成28年9月1日まち・ひと・しごと創生本部決定)において、2017年度に、徳島県に、消費者行政の新たな未来の創造を担うオフィスとして、「消費者行政新未来創造オフィス」を置き、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点とすることとされました。

このオフィスでは、徳島県の協力を得た上で、消費者庁において、これまで取組が十分ではなかった1理論的・先進的な調査・研究、2全国展開を見据えたモデルプロジェクト等を集中的に実施することとしています。また、国民生活センターにおいては、1主として関西、中国・四国地域の対象者を中心とした研修・徳島県独自の研修、2相模原施設では実施できなかった先駆的な商品テストのプロジェクトを実施することとしています。

なお、現時点では、徳島県で業務を行うに当たって、アクセス面やテレビ会議システム等の課題などがみられることから、まずは、「消費者行政新未来創造オフィス」の構想を進めつつ、3年後をめどに、業務環境やオフィスの実績を踏まえて、検証・見直しを行うこととされました。この検証・見直しに当たっては、徳島県での取組について、消費者行政の進化等の観点から成果を検証する消費者委員会からの意見も踏まえて行うこととしています。

徳島県では、県庁の消費者行政以外も含めた各部局、事業者、消費者等から幅広い協力が得られることや、少子高齢化など、徳島県が自ら「課題解決先進県」と述べているとおり、日本の将来の課題を見据えた検証が可能であることから、地域の協力を得て、自ら課題を発見し、地域に根ざしたより実効的な施策を生み出すことを通じて、全国各地に住む消費者の「真に豊かな暮らし」を創るためのチャレンジを存分にできるものと考えています(図表II-1-7-12)。

図表II-1-7-12消費者行政新未来創造オフィス

担当:参事官(調査研究・国際担当)