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第2部 第1章 第4節(1)特定商取引法の改正

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第4節 適正な取引の実現

(1)特定商取引法の改正

●特定商取引法とは

特定商取引法は、消費者トラブルが生じやすい取引類型(訪問販売、電話勧誘販売、通信販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入)を対象に、消費者トラブル防止のためのルールを定め、事業者による不当な勧誘行為等を規制することにより、消費者の利益を保護し、商品の流通や役務の提供を適正で円滑なものとすることを目的としている法律です。

事業者への行為規制としては、消費者への適正な情報提供等の観点から、氏名や勧誘目的等の明示義務、不当な勧誘行為の禁止、契約に関する取引条件等を記載した書面の交付義務、広告表示規制等が定められています。また、民事ルールとしては、申込みの撤回又は契約の解除(いわゆるクーリング・オフ)、中途解約、契約の解除時の損害賠償額の制限、不当な勧誘によって誤認した場合の意思表示の取消し等が定められています。なお、行為規制に違反した場合には、業務停止命令や指示といった行政処分や罰則の対象となります。

特定商取引法の執行は、消費者庁と各経済産業局、都道府県が行っており、複数の都道府県域に被害がまたがる事案については消費者庁と各経済産業局が、都道府県域内で被害が認められる事案については各都道府県が対処しています。

●2016年改正の背景及び経緯

特定商取引法は、新たな手口の悪質商法の発生など消費者トラブルの状況の変化に対応して、累次の改正を行ってきました。

近年、高齢化社会が進展していることや悪質事業者の手口が益々巧妙化していること等に加え、2008年改正法が施行されてから5年が経過したことから、特定商取引法の見直しを行うこととなりました。

見直しに当たり、内閣総理大臣から消費者委員会に対し、特定商取引法の施行状況を踏まえた購入者等の利益の保護及び特定商取引法の適正化を図るための規律の在り方について諮問が行われました。その後、消費者委員会に設置された特定商取引法専門調査会における審議を経て、2016年1月に、諮問に対する答申がなされました。

●特定商取引法の改正

消費者庁及び経済産業省では、同答申の内容も踏まえて検討を進め、2016年3月に、業務停止命令を受けた事業者の役員等がその停止の範囲内の業務を新たに開始すること、いわゆる潜脱行為を禁止する規定等を盛り込んだ一部改正法案を国会に提出し、「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律」(平成28年法律第60号)が同年5月に成立し、同年6月に公布されました(図表II-1-4-1)。現在、2017年12月2日までの施行に向け、関連する政省令の策定などの準備が進められています。

図表II-1-4-1特定商取引に関する法律の一部を改正する法律

担当:参事官(調査研究・国際担当)