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第1部 第2章 第2節(2)消費者被害・トラブルについての意識

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者意識・行動

第2節 消費者意識・行動の状況

(2)消費者被害・トラブルについての意識

●悪質・詐欺的な販売行為等を心配せずに商品・サービスを購入・利用できる人が減少

消費者庁「消費者意識基本調査」では、消費者被害・トラブルに関する消費者の意識等を調査しています。消費者を取り巻く状況について、「悪質・詐欺的な販売行為等を心配せず安全に商品・サービスを購入・利用できる」か聞いたところ、2016年度調査では「当てはまる」と回答した人の割合は26.0%でした(図表I-2-2-8)。「当てはまる」と回答した人の割合は、2013年度調査から2015年度調査まで一貫して上昇していましたが、2016年度調査では下がりました。

また、消費者として「トラブルに備えて、対処方法をあらかじめ準備・確認しておく」ことを心掛けているか聞いたところ、「心掛けている」と回答した人は2016年度調査では30.8%で、前年度の37.2%から6.4ポイント下がりました(図表I-2-2-9)。

このように、悪質商法を心配せずに商品・サービスを購入・利用できると考える人が減った一方、被害・トラブルに対する備えを心掛けている人も減る、という結果となりました。商品やサービスの内容を理解した上で、それらを選択している消費者が多いこと(第2節(1)参照。)から、既にある商品やサービスへは対応しているものの、不意のトラブルへの対応は難しいことがうかがえます。この背景として、第1部第1章でも触れたように、インターネットやスマートフォンの普及に伴って、ワンクリック詐欺や架空請求メール等に遭遇する機会が増えたことが影響している可能性も考えられます。

●消費者トラブル回避のための参考情報は年代によって異なる

消費者庁「消費者意識基本調査」(2016年度)において「消費者トラブルに遭わないように参考にする情報」を聞いたところ、「テレビ」を挙げた人の割合は、全年齢層で5割以上と高く、特に50歳代以上では7割を超えています(図表I-2-2-10)。「新聞、雑誌、書籍」、「公的機関の広報誌・チラシ・パンフレット」は、年齢層が上がるほど割合が高くなる傾向にあり、「新聞、雑誌、書籍」は50歳代以上で5割以上の人が情報源として参考にしています「。インターネット(SNSを含む。)」は、10歳代後半から30歳代まででは「テレビ」を超えて最も高い割合を示す一方、年齢層が上がると割合が低くなり、60歳代以降では2割未満になっています。また、10歳代後半では「学校の授業」が4割以上と比較的高い割合を示しています。

このように、トラブル回避のための情報の入手経路は年齢層によって異なるため、消費者に向けたトラブル予防、拡大防止のための情報啓発は、対象とする年齢層によって媒体を検討する必要があります。

●トラブルに遭ったときに頼る相手は性別年齢層別で違い

消費者庁「消費生活に関する意識調査」(2016年度)において、消費者トラブルに限定せず「暮らしの中で困ったりトラブルに遭ったりしたとき、主に頼るのは誰か」を聞いたところ、性別年齢層別で回答に違いがみられました(図表I-2-2-11)。

年齢層が低いほど「親」が多く、年齢層が高くなるにつれ「配偶者」が増えています。また、女性は高齢層になると「子」の割合も増加します。10歳代後半では「友人や同僚」が「親」に次いで多くなっています。

性別でみると、男性は女性と比較して、「誰にも頼らない」とする回答が多くなっています。70歳以上の男性は「配偶者」の割合が57.2%と大きい反面、「誰にも頼らない」が30.6%であり、この結果から特に単身の高齢男性の見守りの重要性がうかがわれます。

●消費者トラブルに遭った際、とる行動

同じく消費者庁「消費生活に関する意識調査」(2016年度)で、「商品の購入やサービスの利用でトラブルに遭った際、どのような行動をとるか」を聞いたところ、年齢層が低いほど「友人、家族、知人に相談する」との回答の割合が高くなりました(図表I-2-2-12)。また、「販売店や製造元等の事業者に問い合わせる、申し出る」は年齢層が高いほど回答の割合が高くなっています。「インターネットを検索して参考になる情報を探す」ことも50歳代までは4割程度で、よく行う手段であることが分かります。「インターネット上の掲示板や相談スペースに相談を投稿する」との回答も60歳代までは1割程度みられます。

なお、「消費生活センター等の公共の相談窓口に相談する」との回答の割合は年齢層が高いほど高く、60歳代は38.3%、70歳以上は40.7%と、消費生活相談窓口が高齢者ではかなり認知されていることが分かります。

担当:参事官(調査研究・国際担当)