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通報者の方へ

公益通報者保護法では、不正の目的でなく事業者内部の法令違反行為を通報した労働者等は、事業者による解雇等の不利益な取扱いから保護されます。
このページでは、とりわけ通報者の方に参考となる内容を紹介します。

公益通報の要件

通報の主体(労働者等)

具体的には、下記の者が通報の主体となります。

  • 労働者(法第2条第1項第1号)
    • 公益通報者保護法では「労働者」の定義を労働基準法第9条から引用していますので、「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者になります。
      これは、正社員に限らず、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者などを広く含むものです。
      また、公務員も、原則として「労働者」に該当します。
  • 派遣労働者(法第2条第1項第2号)
    • 「派遣労働者」(労働者派遣法第2条第2号)は、派遣先に対して、派遣先の通報対象事実について公益通報を行うことができます。
  • 退職者(法第2条第1項第1号、第2号)
    • 「労働者であった者」と「派遣労働者であった者」のうち、退職後1年以内に通報した者(法第2条第2項第1号)と、派遣労働終了から1年以内に通報した者(法第2条第2項第2号)が、通報の主体となります。
  • 取引先の労働者など(法第2条第1項第3号)
    • 契約に基づき事業を行う場合に、その事業に従事する取引先事業者の労働者(派遣労働者を含みます。)や退職者は、通報の主体となります。また、通報の日の1年前までにその事業に従事していた取引先事業者の労働者(派遣労働者を含みます。)、や退職者も通報の主体になります。
      「取引先事業者」は、請負契約の相手方事業者のほか、卸売業者などとの継続的な物品納入契約、清掃業者などとの継続的な役務提供契約、コンサルティング会社などとの継続的な顧問契約などの相手方事業者もこれに当たります。
  • 役員(法第2条第1項第4号)
    • 「役員」とは、取締役、監査役など法人の経営に従事する者をいいます。契約に基づき事業を行う場合に、その事業に従事する取引先事業者の役員も、公益通報の主体となります。

通報の客体(通報対象事実など)

通報の客体は、通報者の「役務提供先」に関するものであって、「対象法律」に要件の根拠規定がある「通報対象事実」になります。

  • 役務提供先(法第2条第1項)
    • 役務提供先には3種類あります。
      • 【第1号(労働者)・第4号イ(役員)】勤務先(通報者と雇用関係又は委任関係にある事業者)
      • 【第2号】派遣先
      • 【第3号(労働者)・第4号ロ(役員)】取引先
    • また、役務提供先に関するものとしては、役務提供先自体のもののほか、役務提供先の事業に従事する役員、従業員、代理人その他の者に関するものも含みます。
  • 対象法律(法第2条第3項、別表、政令)
  • 通報対象事実(法第2条第3項)
    • 対象法律に要件の根拠規定がある事実で、2種類あります。
    • 【第1号】犯罪行為の事実や、過料の理由とされている事実
      • 刑法や個別法の罰則に違反する犯罪行為の事実
        (例)他人のものを盗んだり、横領したりすること(「刑法」違反)、有害な物質が含まれる食品を販売すること(「食品衛生法」違反)、自動車のリコールに関連する情報を隠ぺいすること(「道路運送車両法」違反)、無許可で産業廃棄物の処分をすること(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」違反)、企業間で価格カルテルを結ぶこと(「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」違反)など
      • 過料の理由とされている事実
        (例)道路運送車両法で規制されている自動車会社が無資格者による完成検査を行うこと(「道路運送車両法」違反)、金融商品販売業者が勧誘方針を定めないこと(「金融サービスの提供に関する法律」違反)など
    • 【第2号】行政指導や行政処分の理由となる事実
      • 行政指導や行政処分の実効性を確保する仕組みとして罰則の担保がある場合(例:行政指導→行政処分→罰則)において、その事実があると行政指導や行政処分を受けることになるもの(行政手続法第8条、第14条、第35条第2項第3号に規定する「理由」となる事実)

通報先(3種類)

  • 役務提供先(いわゆる1号通報。法第3条第1号、第2条第1項本文、第6条第1号)
    • 上記「通報の客体」項目で掲げた役務提供先(派遣先の通報対象事実については派遣先、取引先の通報対象事実については取引先)に対する通報で、「内部公益通報」ともいいます。
  • 権限のある行政機関(いわゆる2号通報、法第3条第2号、第2条第1項本文、第6条第2号)
    • 通報対象事実について行政指導や行政処分などをする権限を有する行政機関(いわゆる監督官公庁)に対する通報で、役務提供先の外部への通報ということで、いわゆる「外部通報」の一種になります。
      通報先の確認には、次の検索システムを御利用ください
  • その他の事業者外部への通報(いわゆる3号通報。法第3条第3号、第2条第1項本文、第6条第3号)
    • 通報対象事実の発生又は被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する通報で、いわゆる「外部通報」の一種になります。なお、ライバル企業など、役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者は除かれます。
      (例)報道機関、消費者団体、事業者団体、労働組合 など

通報者の保護とその要件

保護の内容

法は、公益通報をしたことを理由とした次のような不利益からの保護を定めています。

【労働者】(派遣労働者も含みます)
  • 公益通報をしたことを理由とする解雇の無効(法第3条)
  • 公益通報をしたことを理由とする派遣契約の解除の無効(法第4条)
  • 公益通報をしたことを理由とする不利益な取扱いの禁止(法第5条第1項及び第2項)
    • (例)降格、減給、退職金の不支給・減額・没収、給与上の差別、訓告、自宅待機命令、退職の強要、専ら雑務に従事させること など
  • 損害賠償請求の制限(法第7条)
    • 公益通報によって損害を受けたことを理由として、事業者が通報者に対して損害の賠償を請求することはできません。
【退職者】
  • 不利益な取扱いの禁止(法第5条第1項)
    • (例)退職金の不支給 など
  • 損害賠償請求の制限(法第7条)
【役員】
  • 役員を解任された場合の損害賠償請求(法第6条)
  • 不利益な取扱いの禁止(法第5条3項)
  • 損害賠償請求の制限(法第7条)

保護の要件

公益通報者保護法に基づく保護を受けるための要件は、通報先ごとに異なります(法第3条各号、法第6条各号参照)。

  • 1号通報(役務提供先への通報)の場合
    • 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思われることが要件となります。
      このうち「まさに生じようとしている」とは、通報対象事実の発生が切迫しその蓋然性が高いことをいいますが、必ずしも発生する直前のみをいうわけではありません。誰が、いつ、どこでやるといったことが社内で確定しているような場合であれば、実行日まで間がある場合であっても「まさに生じようとしている」といえるでしょう。
  • 2号通報(行政機関への通報)の場合
    • 1.又は2.の要件を満たす場合は、保護されます(ただし、通報者が役員の場合は、1.の場合についてのみ保護されます。)
      1. 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由が必要となります。これを「真実相当性」といいますが、単なる憶測や伝聞ではなく、通報対象事実を裏付ける証拠や関係者による信用性の高い供述など、相当の根拠があることを意味します。
        • 通報者が役員の場合は、個人の生命・身体、財産保護の急迫な危険がある場合を除き、当該役員が調査是正措置をとることに努めることも必要となります。
      2. 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料し、かつ、次の事項を記載した書面を提出すること
        • 通報者の氏名又は名称、住所又は居所
        • 通報対象事実の内容
        • 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
        • 通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由
  • 3号通報(報道機関等への通報)の場合
    • 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、1.~6.のいずれか1つに該当すること
      1. 役務提供先等又は行政機関に公益通報をすれば、解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由があること
        • (例)以前、同僚が内部通報したところ、それを理由として解雇された例がある場合
          ※通報者が役員の場合は、当該役員が調査是正措置をとることに努めることも必要となります。
      2. 役務提供先等に公益通報をすれば、通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由があること
        • (例)事業者ぐるみで法令違反が行われている場合
          ※通報者が役員の場合は、当該役員が調査是正措置をとることに努めることも必要となります。
      3. 役務提供先等に公益通報をすれば、役務提供先が通報者について知り得た事項を、通報者を特定させるものであると知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由があること
        • (例)以前、同僚が内部通報したところ、通報受付担当者が社内全員に通報者名を周知したことがあったが、適切な再発防止策がとられていない場合
          ※通報者が役員の場合は、当該保護要件の対象外となります。
      4. 役務提供先から役務提供先等又は行政機関に公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求されたこと
        • (例)誰にも言わないように上司から口止めされた場合
          ※通報者が役員の場合は、当該役員が調査是正措置をとることに努めることも必要となります。
      5. 書面により役務提供先等に公益通報をした日から20日を経過しても、通報対象事実について、役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該労務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わないこと
        • (例)勤務先に書面で通報して20日を経過しても何の連絡もない場合
          ※通報者が役員の場合は、当該保護要件の対象外となります。
      6. 個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人の財産(事業を行う場合におけるものを除く。)に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由があること
        • (例)安全規制に違反して健康被害が発生する急迫した危険のある食品が消費者に販売されている場合

通報者の注意点など

不正の目的でないこと

公益通報は、「不正の目的」でないことが必要となります(法第2条第1項本文)。例えば、通報を手段として金品をゆすりたかるなどの不正の利益を得る目的であったり、対象事業者や対象行為者の信用を失墜させるなどの有形無形の損害を加える目的であったりというのが、ここにいう「不正の目的」に当たり、「不正の目的」がある場合は、公益通報にはなりません。
なお、「不正の目的」でないというためには、通報の主たる目的が上記のようなものでないと認められれば足り、純粋に公益を図る目的(通報対象事実による被害の拡大を防止するなどの公益を図る目的)でなければならないことを要するものではありません。単に交渉を有利に進めようとする目的や事業者に反感を抱いているというだけでは、ここにいう「不正の目的」があるとまではいえません。

他人の正当な権利等の尊重

  • 公益通報には、次のような情報を含むことがあります。
    • 第三者の個人情報(病院の患者の氏名や病歴など)
    • 事業者の営業の秘密に関する情報
    • 国の安全に関わる情報
  • これらの情報が不用意に広まると、個人や事業者に取り返しのつかない損害を及ぼすおそれがあります。 そこで、通報者には、情報管理も含めて他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めることが求められます(法第10条)。

担当:参事官(公益通報・協働担当)