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事業者における通報対応に関するQ&A

質問

回答

Q1 内部公益通報受付窓口では、どのような通報を受け付ければよいですか。
A

内部公益通報受付窓口では、本法に規定する内部公益通報のほか、内部公益通報に該当しない通報についても、コンプライアンス(法令遵守等)やリスク管理の観点から、受付、調査、是正に必要な措置等をとるなど、可能な限り本法の規定に準じて対応することが望ましいと考えられます。

Q2 内部公益通報受付窓口では、匿名の公益通報を受け付ける必要がありますか。
A

本法は対象となる通報を顕名(実名)の通報に限定しておらず、匿名であっても、本法に定める要件を満たせば公益通報に該当することから、内部公益通報受付窓口では、匿名の公益通報を受け付ける必要があります。
他方、匿名の内部公益通報については、公益通報者に連絡がつかないために十分な調査ができないなど、顕名に基づく内部公益通報と同様の対応を行うことが難しい場合も考えられます。このため、指針の解説においては、匿名の内部公益通報であっても公益通報者と通報窓口担当者が連絡を取る方法として、例えば、受け付けた際に個人が特定できないメールアドレスを利用して連絡するよう伝える、匿名での連絡を可能とする仕組み(外部窓口から事業者に公益通報者の氏名等を伝えない仕組み、チャット等の専用のシステム等)を導入すること等を求めています。顕名の通報のみを受け付ける内部公益通報受付窓口を設けることも可能ですが、その場合には、別途匿名の通報を受け付ける内部公益通報受付窓口を設置する必要があります。
なお、調査を実施しない正当な理由がある場合の例として、公益通報者と連絡が取れず事実確認が困難である場合がありますが、事実確認が困難である実態が必要であり、匿名であることのみをもって調査を実施しない正当な理由には該当しません。
また、匿名であっても、調査等の際の対応によって公益通報者が特定されてしまうおそれがあることから、調査の実施に当たっては十分に配慮することが必要です。

Q3 内部公益通報の受付方法としては、どのような方法をとる必要がありますか。
A

内部公益通報の受付方法について特段の規定はありません。
受付方法について、例えば、電話、FAX、電子メール、ウェブサイト等、様々な手段が考えられ、具体的な方法は事業者の判断に委ねられています。ただし、内部公益通報を受け付ける際には、例えば、専用の電話番号や専用メールアドレスを設ける、勤務時間外に個室や事業所外で面談するなど、公益通報者の秘密を守るための措置を適切に講ずることが必要と考えられます。
また、匿名の通報も公益通報に該当し得ることから、匿名の内部公益通報も受け付けられる体制を整備することが必要です。

Q4 不正の目的での通報にはどのように対処すべきですか。
A

専ら不正の利益を得る目的や他人に不正の損害を加えるような目的を持った通報がなされた場合には、指針に基づく通知等を行う必要はなく、また、悪質な場合には、そのような通報者に対しては、就業規則に従って懲戒処分を行うなどの対応も考えられます。
ただし、不正の目的による通報であるかどうかは最終的には裁判所の判断に委ねられることになるため、各事業者においては慎重な判断が求められます。

Q5 通報者が、同一事案について繰り返し通報を行って業務を妨害する場合や、通報において関係者の中傷を繰り返す場合などには、どのように対処すればよいですか。
A

通報制度を濫用して、専ら不正の利益を得る目的や他人に不正の損害を加えるようなこと自体が目的であると認められる悪質な通報がなされた場合、そのような通報者に対しては、就業規則に従って懲戒処分を行うなどの対応も考えられます。
もっとも、通報者は通報内容が真実であると信じている場合も多いと考えられることから、同一事案について繰り返し通報を行う者に対しては、通報対応における事実認定の仕組みについて丁寧に説明し、その根拠となる資料の提出を求めることによって、理解を得られることもあると考えられます。

Q6 通報の背景に事業者や被通報者に対する不満や怨恨があると認められる場合、不正の目的での通報に該当しますか。
A

通報の動機としては複数の動機が併存していることが通常であることから、本法第2条第1項に規定する不正の目的による通報であるというためには、単に、交渉を有利に進めようとする目的や事業者に対する反感などの公益を図る目的以外の目的が併存しているというだけでは足りず、通報が不正の利益を得る目的や他人に不正の損害を加える目的によるものであると認められる場合でなければなりません。 そのため、通報の背景に会社や被通報者に対する不満や怨恨があると認められる場合であっても、不正の目的による通報であるかどうかは最終的には裁判所の判断に委ねられることになるため、各事業者においては慎重な判断が求められます。

Q7 内部公益通報に対する通知の制度を悪用して、通報内容と無関係な企業秘密や個人情報等を不当に収集しようとする者に対しては、どのように対処すればよいですか。
A

指針において、是正措置の通知は、「適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該公益通報を行った者に対し、速やかに通知する」こととされていることから、事業者としては、調査結果の詳細については企業秘密や個人情報の保護等の観点から明らかにできない旨を説明することが考えられます。
なお、通報制度を悪用して、専ら不正の利益を得る目的や他人に不正の損害を加えるような目的を持った通報は、本法第2条第1項に規定する不正の目的による通報であり、本法に規定する公益通報には該当しません。そのような通報がなされた場合には、指針に基づく通知等を行う必要はなく、また、悪質な場合には、そのような通報者に対しては、就業規則に従って懲戒処分を行うなどの対応も考えられます。

Q8 派遣労働者から、派遣先の事業者の法令違反行為について、派遣元の事業者に相談が寄せられた場合、派遣元の事業者はどのように対応すればよいですか。
A

本法においては、派遣労働者である労働者の通報先を役務提供先である派遣先の事業者と定めており、原則として派遣元の事業者は通報先ではありません。
派遣元の事業者に相談が寄せられた場合、本法や指針には特段の定めはありませんが、派遣元の事業者は、派遣先の事業者における内部公益通報受付窓口に内部公益通報できることを、又は、保護要件を満たしている場合には、権限を有する行政機関等やその他の外部通報先に公益通報できることを、派遣労働者に助言するなどの対応をすることが考えられます。

Q9 内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報が、本当に労働者等からのものであるかについて疑義が生じた場合、どのような確認方法がありますか。
A

例えば、なりすましのように公益通報者が労働者等であるかについて疑義が生じた場合には、社員名簿で確認する、改めて折り返しの連絡を行う、社員証の写し等を提出させる、労働者等であれば知っている情報の確認を行うなどの方法が考えられます。
その際、どの程度本人確認を行うかについては、各事業者において判断することになりますが、各事業者においては、コンプライアンス(法令遵守等)やリスク管理の観点から、公益通報者が本法に定める公益通報の主体となる者以外からの通報であっても、法令遵守等に資する通報を受け付け、調査を行い、重大性や切迫性などに応じて問題があれば是正をするなど、適切に対応することが重要です。
なお、本法では匿名の公益通報も認められているところ、厳格な本人確認を求めることで実質的に匿名の公益通報を受け付けていないと評価される等の場合には、指針の規定に違反するおそれがあるので留意が必要です。

Q10 労働者自らが法令違反行為等に関わっていることを内部公益通報した場合の取扱いはどのようにすればよいですか。
A

本法の規定により、公益通報をしたことを理由とした解雇その他不利益な取扱いは禁止されます。しかし、公益通報者が行った内部公益通報行為以外の法令違反行為等を理由とした解雇その他の懲戒処分等については、本法において特段の規定はなく、違反法令や各事業者の内部規程の規定に即して事案ごとに取扱いを判断することになります。
なお、指針の解説では、法令違反等に係る情報を可及的速やかに把握し、コンプライアンス経営の推進を図るため、法令違反等に関与した者が、自主的に公益通報や調査協力をする等、問題の早期発見・解決に協力した場合には、例えば、その状況に応じて、当該者に対する懲戒処分等を減免することができる仕組みを整備すること等も考えられるとしています。

Q11 通報受付当時は公益通報ではないと判断していた通報について、後に公益通報の要件を当初から満たしていたことが判明した場合には、どのようにしたらよいですか。
A

このような場合には、当初の判断が誤りであったことになり、調査を行う旨の通知や調査を行っていなければ、その他の外部通報先への公益通報(3号通報)の保護要件を満たす可能性があります。
このような事態を回避するためには、あらかじめ、本法に定める公益通報に該当するか否かにかかわらず、必要に応じて通知や調査を行うこととしておくことが考えられます。

担当:参事官(公益通報・協働担当)