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内部公益通報対応体制の整備に関するQ&A

質問

回答

Q1 内部公益通報対応体制とはどのようなものですか。
A

内部公益通報対応体制とは、本法第11条第2項に定める、事業者が内部公益通報に応じ、適切に対応するために整備する体制をいいます。
常時使用する労働者の数が300人を超える事業者に対しては内部公益通報対応体制の整備が義務付けられています(常時使用する労働者の数が300人以下の事業者に対しては努力義務)。

Q2 内部公益通報対応体制はどのように整備すればよいですか。
A

内部公益通報対応体制の整備義務等の内容は、本法第11条第4項に基づき指針が策定されており、指針に従って内部公益通報対応体制を整備する必要があります。
また、「指針を遵守するために参考となる考え方や指針が求める措置に関する具体的な取組例」や、「指針を遵守するための取組を超えて、事業者が自主的に取り組むことが期待される推奨事項に関する考え方や具体例」を、指針の解説に示していますので、内部公益通報対応体制の整備に当たって参考としてください。
なお、事業者がとるべき措置の個別具体的な内容については、事業者の規模、組織形態、業態、法令違反行為が発生する可能性の程度、ステークホルダーの多寡、労働者及び役員や退職者の内部公益通報対応体制の活用状況、その時々における社会背景等によって異なり得ると考えられるところ、各事業者は、指針及び指針の解説に記載された事項を踏まえ、各事業者において主体的に検討を行った上で、内部公益通報対応体制を整備・運用する必要があります。

Q3 「常時使用する労働者」(本法第11条第3項)とはどのような者を指しますか。
A

常時使用する労働者とは、常態として使用する労働者を指すことから、繁忙期のみ一時的に雇い入れるような場合は該当しません。また、「使用する」とは、各事業者と指揮命令関係がある場合であり、「労働者」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者に該当する者を指します。

Q4 パート、アルバイト、契約社員、非正規社員、出向者や派遣労働者は常時使用する労働者に含まれますか。
A

パート、アルバイト、契約社員、非正規社員及び出向者が常時使用する労働者に含まれるかどうかは、それらの者が、常態として使用する、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者に該当するか否かによって、個別に判断されます。
なお、派遣先における派遣労働者については、派遣先及び派遣元の双方において、常時使用する労働者に含まれます。

Q5 公益通報対応業務にはどのような業務が該当しますか。
A

公益通報対応業務とは、本法第11条第1項に定める公益通報対応業務をいい、内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置の全て又はいずれかを、主体的に行う業務及び当該業務の重要部分について関与する業務を行う場合に、これに該当します

Q6 どのようなところに内部公益通報受付窓口を設置すればよいですか。
A

内部公益通報受付窓口とは、内部公益通報を部門横断的に受け付ける窓口であり、個々の事業部門から独立して、特定の部門からだけではなく、全部門ないしこれに準ずる複数の部門から受け付けることが可能な部署に設置する必要があります。
その際、事業者内の部署に設置するのではなく、事業者外部(外部委託先、親会社等)に設置することや、事業者の内部と外部の双方に設置すること、企業グループ本社に企業グループ共通の窓口を設置すること、事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の内部公益通報受付窓口を設置すること等も可能です。

Q7 内部公益通報受付窓口と、他の窓口(ハラスメント通報・相談窓口等)を兼ねることは可能ですか。
A

組織の実態に応じて、法令に従って従事者を配置した内部公益通報受付窓口が他の窓口(ハラスメント通報・相談窓口等)を兼ねることや、本法に基づく内部公益通報受付窓口を設置し従事者を定めた上で、これとは別に本法で定める通報対象事実以外の法令に関する相談を受け付ける窓口(ハラスメント通報・相談窓口等)を設置することは可能です。

Q8 内部公益通報受付窓口の他に、ハラスメント通報・相談窓口も設けている場合、当該窓口は内部公益通報受付窓口となりますか。
A

事業者は、内部公益通報受付窓口の設置を義務付けられているところ、ある窓口が内部公益通報受付窓口に当たるかは、その名称ではなく、部門横断的に内部公益通報を受け付けるという実質の有無により判断されます。
そのため、例えば、ハラスメント通報・相談窓口等において、会社の全従業員から通報対象事実の通報(例:暴行・脅迫に該当するパワー・ハラスメントや強制わいせつに該当するセクシュアル・ハラスメントの通報)を受け付ける場合には、部門横断的に内部公益通報を受け付ける窓口として、内部公益通報受付窓口に該当し得ます。
他方、事業者は、通報対象事実の通報を受け付ける窓口であっても内部公益通報受付窓口には該当しない窓口を設けることも可能です。ただし、このような窓口を設ける場合、通報者の保護の観点から、通報者が通報先の窓口が内部公益通報受付窓口であるか、内部公益通報受付窓口以外の窓口(非内部公益通報受付窓口)であるかを明確に認識・理解できることが必要になります。
そのため、事業者は、例えば、

  • 非内部公益通報受付窓口であることを事業者内に周知し、当該窓口の利用者に対して明確に示す
  • 非内部公益通報受付窓口を内部公益通報受付窓口と誤解して通報してきた通報者に対し内部公益通報受付窓口を教示する
  • 非内部公益通報受付窓口への通報者に対し、当該窓口と内部公益通報受付窓口とでは、公益通報者を特定させる事項の秘匿についてのルールに差異があることを明確に伝える

といった措置を講ずることが必要になると考えられます。
なお、このような非内部公益通報受付窓口への通報についても、公益通報に該当する場合がありますので、不利益な取扱いや範囲外共有等は禁止されます。

Q9 企業グループで共通した内部公益通報受付窓口を利用することはできますか。
A

子会社や関連会社において、企業グループで共通した内部公益通報受付窓口を利用することも可能です。
その場合、その旨を子会社や関連会社自身の内部規程等においてあらかじめ定めることが必要であり、また、当該窓口を経由した公益通報対応業務に関する子会社や関連会社の責任者は、子会社や関連会社自身において明確に定めなければなりません。

Q10 子会社における公益通報対応業務について管理・統括する責任者を、親会社の責任者が兼務することはできますか。
A

親会社の責任者が子会社や関連会社の責任者を兼務することは禁止されていませんが、子会社や関連会社の内部規程等において、親会社の責任者が子会社や関連会社の責任者を兼務する旨を明確に定めることが求められます。

Q11 人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することはできますか。
A

人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することが妨げられるものではありませんが、人事部門に内部公益通報をすることを躊躇(ちゅうちょ)する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることに留意が必要です。

Q12 顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とすることはできますか。
A

顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とすることが妨げられるものではありませんが、顧問弁護士に内部公益通報をすることを躊躇(ちゅうちょ)する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることに留意が必要です。
また、顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とする場合には、例えば、その旨を労働者及び役員並びに退職者向けに明示する等により、内部公益通報受付窓口の利用者が通報先を選択するに当たっての判断に資する情報を提供することが望ましいと考えられます。

Q13 国外の事業者に内部公益通報受付窓口を設置することはできますか。
A

国外の事業者に内部公益通報受付窓口を設置することは可能ですが、その場合においても、従事者の指定や範囲外共有等の防止に関する措置など指針の定める措置を適切に行う必要があります。

Q14 「公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとる」(指針第4の1(2))とありますが、どのような措置が考えられますか。
A

組織の長その他幹部からの独立性を確保する措置として、例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 社外取締役や監査機関(監査役、監査等委員会、監査委員会等)にも報告を行う
  • 社外取締役や監査機関からモニタリングを受けながら公益通報対応業務を行う
  • 内部公益通報受付窓口を事業者外部(外部委託先、親会社等)に設置する
Q15 外部の弁護士等を配置した内部公益通報受付窓口は設置すべきですか。
A

外部の弁護士等を配置した内部公益通報受付窓口は必ず設置しなければならないものではありません。 他方、組織の長その他幹部からの独立性を確保する方法の一環として、外部の弁護士等を配置した内部公益通報受付窓口を設置することも考えられます。

Q16 公益通報対応業務の実施に関する措置として、「正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施する」(指針第4の1(3))とありますが、正当な理由とはどのようなものが考えられますか。例えば、公益通報者が匿名であることは、調査を実施しない正当な理由に該当しますか。
A

調査を実施しない正当な理由がある場合の例として、以下のような場合が考えられます。

  • 解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合
  • 公益通報者と連絡が取れず事実確認が困難である場合

ただし、解決済みの案件か否かについては、解決に関する公益通報者の認識と事業者の認識が一致しないことがありますが、解決しているか否かの判断は可能な限り客観的に行われることが求められます。
また、公益通報者と連絡が取れず事実確認が困難である場合についても、事実確認が困難である実態が必要であり、匿名であることのみをもって調査を実施しない正当な理由には該当しません。

Q17 公益通報者の意向に反して調査を行うこともできますか。
A

公益通報者の意向に反して調査を行うことも可能ですが、調査の前後において、公益通報者とコミュニケーションを十分にとるよう努め、プライバシー等の公益通報者の利益が害されないよう配慮することが必要です。

Q18 是正に必要な措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認することは、どのような方法で行えばよいですか。
A

是正に必要な措置が適切に機能しているかを確認する方法として、例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 是正措置から一定期間経過後に能動的に改善状況に関する調査を行う
  • 特定の個人が被害を受けている事案においては問題があれば再度申し出るよう公益通報者に伝える
Q19 調査の結果、法令違反等が明らかになった場合には、どのように対応すればよいですか。
A

調査の結果、法令違反等が明らかになった場合には、法令違反行為の是正に必要な措置をとるとともに是正措置が機能しているか否かを確認する必要があります。また、必要に応じ、関係者の社内処分を行うほか、関係行政機関への報告等を行うこと等が考えられます。

Q20 「事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない」(指針第4の1(4))とありますが、事案に関係する者とはどのような者を指しますか。
A

事案に関係する者とは、公正な公益通報対応業務の実施を阻害する者をいいます。
典型的には、法令違反行為の発覚や調査の結果により実質的に不利益を受ける者、公益通報者や被通報者(法令違反行為を行った、行っている又は行おうとしているとして公益通報された者)と一定の親族関係がある者等が考えられます。

Q21 「不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置」(指針第4の2(1)イ)とはどのような措置が考えられますか。
A

不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置として、例えば、以下のようなものが考えられます。

  • 労働者及び役員に対する教育・周知
  • 内部公益通報受付窓口において不利益な取扱いに関する相談を受け付けること
  • 被通報者が、公益通報者等の存在を知り得る場合には、被通報者が公益通報者等に対して解雇その他不利益な取扱いを行うことがないよう、被通報者に対して、その旨の注意喚起をする等の措置を講じ、公益通報者等の保護の徹底を図ること
Q22 「公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置」(指針第4の2(1)イ)とはどのような措置が考えられますか。
A

公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置として、例えば、以下のようなものが考えられます。

  • 公益通報者に対して能動的に確認する
  • 不利益な取扱いを受けた際には内部公益通報受付窓口等の担当部署に連絡するようその旨と当該部署名を公益通報者にあらかじめ伝えておく
Q23 範囲外共有とはどのような行為を指しますか。
A

範囲外共有とは、公益通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有する行為を指します。
必要最小限の範囲とは、内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(公益通報対応業務)の遂行に当たり公益通報者を特定させる事項を共有することが必要となる最小限の範囲であり、具体的な範囲は事案ごとに異なるため、各事案に応じて適切に判断する必要があります。

Q24 「範囲外共有を行うことを防ぐための措置」(指針第4の2(2)イ)とはどのような措置が考えられますか。
A

範囲外共有を行うことを防ぐための措置として、例えば、以下のようなものが考えられます。

  • 通報事案に係る記録・資料を閲覧・共有することが可能な者を必要最小限に限定し、その範囲を明確に確認する
  • 通報事案に係る記録・資料は施錠管理する
  • 内部公益通報受付窓口を経由した内部公益通報の受付方法としては、電話、FAX、電子メール、ウェブサイト等、様々な手段が考えられるが、内部公益通報を受け付ける際には、専用の電話番号や専用メールアドレスを設ける、勤務時間外に個室や事業所外で面談する
  • 内部公益通報に関する記録の保管方法やアクセス権限等を内部規程において明確にする
  • 内部公益通報者を特定させる事項の秘匿性に関する社内教育を実施する
  • 内部公益通報に係る情報を電磁的に管理している場合には、公益通報者を特定させる事項を保持するため、当該情報を閲覧することが可能な者を必要最小限に限定する、操作・閲覧履歴を記録する、といった情報セキュリティ上の対策等を講ずる
Q25 通報者の探索とはどのような行為を指しますか。通報内容から推測すれば公益通報者を特定できてしまう場合に、公益通報者が誰であるか推測する行為は通報者の探索に該当しますか。
A

通報者の探索とは、内部公益通報をした者を特定しようとする行為を指します。公益通報者が誰であるか特定することを目的として推測や情報を収集する行為等は、通報者の探索に該当し得ます。

Q26 「通報者の探索を行うことを防ぐための措置」(指針第4の2(2)ロ)とはどのような措置が考えられますか。
A

通報者の探索を行うことを防ぐための措置として、例えば、通報者の探索は行ってはならない行為であって懲戒処分その他の措置の対象となることを内部規程に定め、その旨を教育・周知することや、実際に通報者の探索が行われた場合には内部規程に基づき行為者に対する厳正な対処を行うこと等が考えられます。

Q27 範囲外共有や通報者の探索が行われた場合の「適切な救済・回復の措置」(指針第4の2(1)イ及び第4の2(2)イ)とはどのような措置が考えられますか。
A

範囲外共有や通報者の探索が行われた場合の適切な救済・回復の措置として、例えば、情報の回収や損害賠償などが考えられます。ただし、実際には、実効的な救済・回復の措置を講ずることが困難な場合も想定されることから、範囲外共有や通報者の探索を防ぐ措置を徹底することが重要です。

Q28 不利益な取扱いや範囲外共有又は通報者の探索が行われた場合の「懲戒処分その他適切な措置」(指針第4の2(1)ロ及び第4の2(2)ハ)とはどのような措置が考えられますか。
A

懲戒処分の典型例としては、懲戒解雇、諭旨解雇、降格、出勤停止、減給、戒告・けん責などがあるとされていますが、これらに加えて、悪質性の程度も踏まえながら、例えば、不利益な取扱いを行った者の配置転換や、同様の行為を繰り返し行わないことを誓約させるなどの措置も考えられます。

Q29 内部公益通報受付窓口の外部委託先において、範囲外共有が行われた場合の「懲戒処分その他適切な措置」(指針第4の2(2)ハ)とはどのような措置が考えられますか。
A

内部公益通報受付窓口の外部委託先において、範囲外共有が行われた場合の懲戒処分その他適切な措置とは、例えば、損害賠償請求や外部委託先による再発防止策の提出、委託先の変更などが考えられます。また、外部委託先の従事者については本法第12条の違反として第21条の罰則が科される可能性も考えられますが、実際に範囲外共有が行われた場合には、実効的な救済・回復の措置を講ずることが困難な場合も想定されることから、範囲外共有を防ぐ措置を徹底することが重要です。

Q30 労働者及び役員に対する教育・周知は、どのような方法で行えばよいですか。
A

各事業者においては、経営幹部や(契約に基づき事業者の事業に従事している、又は従事していた)請負先等の労働者等を含めた全ての労働者等に対して周知を行うことになりますが、事業者と教育・周知の対象者との関係(情報伝達の容易さ等)は事業者ごとに、また、(同一の事業者においても)対象者ごとに異なることから、それらの実情に応じた方法によって行うことが必要です。
教育・周知の実効的な方法として、例えば、以下のような方法が考えられます。

  • その内容を労働者及び役員の立場・経験年数等に応じて用意する(階層別研修等)
  • 周知のツールに多様な媒体を用いる(社内イントラネット、自社ウェブサイト(インターネット)、社内研修、携行カード・広報物の配布、ポスターの掲示等)
  • 内部公益通報対応体制の内容、具体例を用いた通報対象の説明、通報者保護の仕組み、その他内部公益通報受付窓口への相談が想定される質問事項等をFAQにまとめ、社内イントラネットや自社ウェブサイトへの掲載やガイドブックの作成を行う
Q31 退職者に対する教育・周知の方法はどのようなものが考えられますか。
A

退職者に対する教育・周知の方法として、例えば、在職中に、退職後も公益通報ができることを教育・周知することやインターネット上の自社ウェブサイトに記載することなどが考えられます。

Q32 「従事者に対しては、公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行う」(指針第4の3(1)イ)とはどのような内容の教育を行うことが考えられますか。
A

従事者に対する教育については、公益通報対応業務に従事する頻度等の実態に応じて、内容が異なると考えられますが、本法第12条の守秘義務の内容のほか、例えば、内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置等の各局面における実践的なスキルについても教育することなどが考えられます。

Q33 「是正措置等の通知」(指針第4の3(2))は文書で行う必要がありますか。
A

是正措置等の通知の方法について特段の規定はありません。
また、通知の態様についても、一律のものが想定されているものではなく、例えば、公益通報者個人に通知をする、全社的な再発防止策をとる必要がある場合に労働者及び役員全員に対応状況の概要を定期的に伝える等、状況に応じた様々な方法が考えられます。

Q34 内部公益通報を受け付けた際、その旨を公益通報者に通知する必要がありますか。また、通知をするに当たって、公益通報者から通知は不要との意思表示があった場合は、どのようにすればよいですか。
A

内部公益通報の受付の通知について特段の規定はありません。しかし、指針の解説においては、公益通報の受付や調査の開始についても通知することを推奨される取組として示し、また、行政機関向けガイドラインでは、通報を受理したときは受理した旨、受理しないときは受理しない旨及びその理由を、通報者に対し、遅滞なく通知することを定めています。
なお、指針の解説及び行政機関向けガイドラインは、公益通報者との信頼関係の確保等の観点から通知を定めたものであるため、公益通報者から通知は不要との意思表示があれば、公益通報者の意向を尊重し、通知を行わないこととしても差し支えありません。

Q35 公益通報者が匿名の場合にも是正措置等の通知は必要ですか。
A

匿名の内部公益通報であるため公益通報者への通知が困難である場合には、是正措置等の通知を行わないこともやむを得ないと考えられます。
なお、指針の解説においては、匿名の内部公益通報であっても公益通報者と内部公益通報受付窓口の担当者が連絡を取る方法として、例えば、受け付けた際に個人が特定できないメールアドレスを利用して連絡するよう伝える、匿名での連絡を可能とする仕組み(外部窓口から事業者に公益通報者の氏名等を伝えない仕組み、チャット等の専用のシステム等)を導入すること等を求めています。

Q36 連絡先不明の匿名の公益通報者からの内部公益通報について、調査中に通報者の身元が判明した場合、是正措置等の通知を行うべきですか。
A

指針の解説においては、匿名の内部公益通報であっても公益通報者と内部公益通報受付窓口の担当者とが連絡を取ることができる仕組みを導入することを求めており、匿名の内部公益通報であっても是正措置等の通知が可能であると考えられます。匿名の公益通報者が、こうした仕組みを使わず、内部公益通報の受付時点では連絡先が不明であったものの、調査中に当該公益通報者の身元が判明した場合に是正措置等の通知を行うかどうかは、個別の事案ごとの判断となります。
例えば、匿名の公益通報者が上述の連絡の仕組みがあることを認識していたにもかかわらず、当該仕組みを使わずに内部公益通報してきた場合であれば、通報先からのその後の連絡を希望しない趣旨であると考えられます。他方、匿名の公益通報者が上述の連絡の仕組みがあることを認識していたかが不明の場合には、通報先からの連絡を希望しない趣旨であるかは明確ではないものの、当該公益通報者の身元を誤った場合には、通知することによって内部公益通報に係る秘密を漏えいしてしまうおそれがあるため、これらの事情を考慮して判断することが考えられます。

Q37 是正措置等の通知に関して留意すべき「利害関係人」(指針第4の3(2))には具体的にどの程度の範囲の者が含まれますか。
A

利害関係人には、内部公益通報に関して利害関係を有する関係者が広く含まれます。具体的には、被通報者のほか、調査協力者(調査の過程で聞き取り調査を行った被通報者の上司・同僚等)、取引先等も含まれます。

Q38 是正措置等の通知に関する措置は、「書面により内部公益通報を受けた場合において」行う(指針第4の3(2))とされていますが、電話による内部公益通報も対象に含まれますか。
A

電話による内部公益通報は、書面による内部公益通報には該当しないため、是正措置等の通知に関する措置の対象に含まれません。

Q39 内部公益通報への対応に関する記録を保管する「適切な期間」(指針第4の3(3)イ)とはどの程度の期間を指しますか。
A

記録を保管する適切な期間とは、個々の事業者が、見直し・改善や評価・点検のサイクル、内部監査・外部監査・業所管省庁等の検査・監督上の要請、個別案件処理に当たっての必要性、労働関連法令や自らの事業に関する法令等を総合的に検討した上で、適切と判断する期間を指します。

Q40 「内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検」(指針第4の3(3)ロ)はどのような方法で行えばよいですか。
A

内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検の方法として、例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 労働者及び役員に対する内部公益通報対応体制の周知度等についてのアンケート調査(匿名アンケートも考えられる。)
  • 担当の従事者間における公益通報対応業務の改善点についての意見交換
  • 内部監査及び中立・公正な外部の専門家等による公益通報対応業務の改善点等(整備・運用の状況・実績、周知・研修の効果、労働者及び役員の制度への信頼度、指針に準拠していない事項がある場合にはその理由、今後の課題等)の確認
Q41 「内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績の概要」の開示(指針第4の3(3)ハ)は、どのような内容が考えられますか。
A

内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績としては、例えば、以下のようなものが考えられます。

  • 過去一定期間における通報件数
  • 是正の有無
  • 対応の概要
  • 内部公益通報を行いやすくするための活動状況

なお、開示の内容・方法を検討する際には、公益通報者を特定させる事態が生じないよう十分に留意する必要があります。

Q42 「指針において求められる事項について、内部規程において定め」る(指針第4の3(4))必要があるとのことですが、○○規程という名称により定める必要がありますか。
A

内部規程の名称について特段の規定はありません。
なお、事業者において、指針に沿った内部公益通報対応体制の整備等を確実に行うに当たっては、指針の内容を当該事業者において守るべきルールとして明確にし、担当者が交代することによって対応が変わることや、対応がルールに沿ったものか否かが不明確となる事態等が生じないようにすることが重要であり、その観点からルールを規程として明確に定めることが必要です。

Q43 外部通報をする前に、必ず、内部公益通報しなければならないとする規定を内部規程に定めてもよいですか。
A

本法では、通報先に応じて、それぞれ本法の規定に基づく保護を受けるための要件(保護要件)を定めており、保護要件を満たしていれば公益通報者は保護されます。公益通報者は保護要件を満たしていれば、どの通報先に公益通報してもよく、また、どの順序で公益通報しても構いません。このような本法の考え方からすると、通報先に順序を付けるような規定を内部規程に定めることは、本法の趣旨に反するものであり、事業者がこのような規程を作成した場合は、その他の事業者外部(報道機関等)への通報の際の保護要件である「役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合」(本法第3条第3号ニ)にも該当し得ると考えられます。

担当:参事官(公益通報・協働担当)