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記者会見(平成31年3月22日(金))

日時:平成31年3月22日(金)16:24~16:41 於:消費者庁6階記者会見室

1.発言要旨

  • 中川委員長

    本日の調査委員会では、第1に,歩行型ロータリ除雪機による事故の審議を行いました。
    本件については、先月まで実際に除雪機を用いて積雪のある地域において検証を行っておりました。安全装置やその他の機構において調査委員会が改造を加えた除雪機を用いて前進や後進などの基本的な動作を行いながら、実際に除雪作業を行うとともに、事故の状況を再現して安全装置の有効性を検証するなどして、製品面の課題を検討いたしました。その作業が終了いたしましたので、その結果も踏まえた報告書案につきまして、本日はその審議を行いました。
    具体的な内容はまだ言及することができないと考えておりますが、後で、幾つかお話をします。今後、数回の審議を経て内容が取りまとまり次第、速やかに公表したいと考えております。
    第2に,体育館の床板の剝離による負傷事故のフォローアップを扱いました。これにつきましては、以前に報告書を出しておりますけれども、類似の事故が2月22日に埼玉県で、2月26日に愛知県でそれぞれ確認されましたことから、まず、これを調べて、そして、フォローアップの質問事項を加えるのか、ないしはもう少し報告書自体、調査をやり直すのか、そういったことも含めて方針を決めたいと思っておりますので、この床板剝離についての負傷事故のフォローアップ自体を今停止しておりまして、まず、この事案の調査に入っているところでございます。現在、現地調査の実施について関係機関と調整を行っているということでございます。
    第3に、本日の委員会ではプール事故の基礎的調査についても、その具体的な進め方について審議を行いました。どのようなところで何カ所ぐらいの幼稚園等でどのようなカメラを設置して、そのデータを誰がどのように検証するのかといった基本的な方針について、委員会として了承することになりました。それに基づいてこれから発注等、手続が始まるということでございます。
    基礎的調査でありますので、いつ、どういういい情報が出てくるかわからない。いい情報というのは、プールではこういうリスクがあるのだということを読み取るようなことができる有意義な情報ということです。事故が起きなくてもこんなことをしているようでは事故が起きるなというような情報です。例えば教諭の動き方ですね。みんなが何かに気を取られて同じ方向を向いてしまって全然監視していないではないかというように、事故が起きていなくても、これではいつか事故が起きるよねという状況をどれぐらいうまく発見できるかということにかかっておりますので、調査結果をいつ報告できるのかわからないのですけれども、希望といたしましては、夏のプールシーズンに間に合うようにといっても、今はもう3月ですから今年のプールシーズンには間に合わないですね。今から1年以内に発表できれば一番いいと思うのですけれども、有意義な情報はなかなか我々が頑張れば出てくるというものではありませんので、あくまでも希望的観測だという形で御理解いただければと思います。
    以上が今日の委員会、3点でございます。
    続きまして、部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。

  • 持丸委員長代理

    委員長代理の持丸です。
    今月の部会の議論を紹介いたします。
    製品等事故調査部会は、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故、それから、本日議論いたしました歩行型ロータリ除雪機による事故について審議を行いました。それから、私が部会長を務めますサービス等事故調査部会、今、部会長から説明いただきました、プール事故の基礎的調査について、その方法論とか、その辺について審議を行いました。
    私からは以上です。

  • 持丸委員長代理

    先ほど後で追加すると申し上げた歩行型ロータリ除雪機ですが、今日は予定を超えてかなり議論が長くなりました。どういうことが議論になったかということなのですけれども、一つは安全装置です。デッドマンクラッチを無効化するという使い方をされること、あるいはそれだけでは十分ではないということで、どのような装置をつければいいのかというのを実機で検証してみたわけです。この検証についていろいろ意見が出ました。
    もう一つ重要な論点があります。情報収集がうまくいっていないということをもう一つの柱にするということを以前からお話ししていたと思いますけれども、除雪機の事故に関する情報収集だけがうまくいっていないのか、それとも、除雪機で起きている情報収集のまずさがもっと一般的にあるかもしれないということで、これは除雪機の事故の報告書なので、本来であれば除雪機の情報収集がうまくいっていないことについての指摘をし、どうすればいいかと書くのが報告書なのですけれども、それだけではないのではないか、もっと広がりがある問題ではないかという指摘が複数出ました。
    そうであれば、どういう原因でうまく情報収集できていないのか、例えばこれは使用者が悪いのだということでなかなか事故情報として、つまり改善すべきものだという形で情報が上がってこないのかもしれません。情報収集の仕方そのものというのは除雪機に限った話ではないだろうということで、この問題についてはもう少し別の形で調査してもいいかなと。どうするかはまだわかりませんけれども、情報が詰まっているところをもう少し一般的に検討してもいいかもしれないというように、除雪機を超えた取り組みにも話が広がりましたので、非常にいい問題意識を共有できたと思っております。
    ということで、本日の議論をふまえて報告書案を書き直していくわけですけれども、来月検討して、それでうまくまとまれば5月に公表できますが、もし来月の段階でさらにいろいろ意見が出てくるようであればもう1カ月遅れることになります。ただ、余り遅らせていると次の雪のシーズンに間に合いませんので、そこら辺ももちろん考えながら、充実した報告書にしていきたいので、バランスは難しいのですけれども、来月はもう一回これについて検討します。その次に出せるか、その次かというあたりが微妙だなという感触を持っております。
    以上です。

2.質疑応答

ニッポン消費者新聞の丸田です。
今のお話の中の除雪機のことなのですけれども、今日の議論が大きく2つあって、それが改造を加えた除雪機を用いてのもの。要するに、デッドマンクラッチのことであるということと、もう一つが情報収集のあり方ということで、情報収集のあり方についてお聞きしたいのですけれども、先ほどの委員長のお話では除雪機だけに限らない、その種のものに課題があるのではないかということですが、これは例えば全くほかのサービス事故であるとか、製品事故であるとかということについての情報収集のあり方なのか、それとも、ある分野の特定のものが議論になったのかということはどうでしょうか。
中川委員長

ほかにもあるのではないかと言われたときに、特定のものが議論になったわけではありません。これはほかでもあり得るねということです。調査委員会として情報収集について一般的に掘ったことはないので、なぜどこで詰まるのかということを調査委員会として指摘をして、それをヒントに例えば消費者庁のところでもう少し一般的に議論してほしいというふうな投げかけをすることが考えられるのではないかと。だから、除雪機は実際に情報収集がうまくいっていないということはよくわかっているのです。我々が把握したのと報告されていた件数にかなり差があったわけなのですけれども、除雪機のほかにどこでこうした問題があるのかは今後調べてみる価値があるのではないかということです。もちろん網羅的には無理ですよ。あらゆる事故についてこれだけ差がありますという形で提示するのは無理ですけれども、ただ、ほかにもあるかどうかを一定の範囲で調べてみてはどうかとうことです。

例えば、先週厚生労働省のほうで発表した、調査結果を出した介護福祉施設であるとか介護保険施設であるとかということの昨年度の事故の中での死亡事故が1,500件ぐらいあるという報告があったけれども、事故自体は市区町村であるとか自治体に対して報告することが定められていながら、本当にそれが行っているのかどうかとか、行ったものが消費者庁に重大事故として報告されているのかどうかについての疑問が渦巻いておりますけれども、特定のものということではなくて、むしろそういうものがあればそういうものも含めた検討ということをやっていくということでいいのですね。
中川委員長

今日、それについて方針を決めたわけではないので、委員長の個人的見解とお受け取りください。これは切り離してやる価値があるのではないのかというアイデアを申してみたということであります。
その際に、今の介護施設の話も含めてどこら辺を取り扱うのが適切かというのはもっと先の話になると思います。やるならば,いわゆる基礎的調査になると思いますが、まだ、やる、やらないそのものが決まっていない状態ですので、そういう方向性もあるのではないかというアイデアの段階です。

3月に入ってからいろいろ事故の報道があって、例えば、バスの裁判があったのですね。ここではスキーバスのことがこの事故調でどうするかということを情報収集されていらっしゃったと思うのですけれども、裁判は運転手が悪いのか、それともバスの部品が最初から壊れていたのかということが論争になって、結局部品が壊れていたのだということで運転手に対しての無罪判決が出たとか、それが同じ種類のものが同じメーカーの同種の型のものがリコールされていたとか、あるいは北海道だったら北海道でリコール対象外になっていたというのが裁判のあれの中でその後に出てくるということなのです。
要するに、スキーバスのツアーのことについては、国交省のほうで調査した報告書とかが出たりしていたのですけれども、製品ごとの問題点というのと、例えば運輸サービスの事故というものについていろいろな形で情報収集あるいは通知されていますけれども、そういうものを事故調ですくい上げながら選定していく、調査対象にしていく仕組みというか、そういうものについても検討していただきたいなと。これは意見です。
要するに、裁判があって、出た後に同じようなものがこれまでも事故があったのだということが後に報道されましたもので、そうすると、スキーバスのあった時期と前後していますから、その前の話とかがありましたので、そういうことを感じました。
だから、情報収集というあり方については具体的なものとして検討していただきたいという感じです。
中川委員長

御質問は、情報収集について仮にやるとしたら、基礎的調査をするかという話ではなくて、スキーバスの事故について取り上げる可能性があるかということですか。

そうですね。そちらのほうが。
中川委員長

常にその可能性を考えながら、事務局で国土交通省の取り組みの状況を見ています。国土交通省の分析の仕方、それから、何より事故調査は裁判の視線とは違いますので、ドライバーの過失か製品のバスの車の部品が悪かったのかだけの話ではないだろうという見きわめがつきましたら、かつ、国土交通省がそこら辺について検討していないのであれば、我々がやらざるを得ないなということになると思います。それは引き続き事務局で注意深く情報を見ているところです。

朝日新聞の長谷といいます。
まだ先の話だと思いますが、ロータリ除雪機の検証なのですけれども、これはどういう使い方をしたら安全かというところまで踏み込んだ形の内容になるでしょうか。
中川委員長

使い方でどういうことをしてしまうかということはわかってきています。安全装置を無効化するとかですね。あるいは無効化する気にならないためにはどういう改善が必要なのかを検討しています。また,それ以外にどういう装置をつければいいのかという多重化ですね。このように,安全装置の多重化と、人間工学的に見て使いやすい安全装置とするためにはこういうアイデアがありますよということを出していく。そういう報告書になると思います。
ただ、それをどのように使うかは企業のコストの問題ですので、これをしてくださいというところまでは特定できませんが、いろいろなアイデアがありますよということを出していくことになると思います。

持丸委員長代理

ユーザーが無効化をするという使い方が悪いから、無効化しないように使いなさいというような報告書ではないだろうということですね。それは当然そんな寒い時期に長いことバーは押していたくないだろうから、そういう無効化するような使い方は想定される中で、どうやって安全を守るかということを議論していると思ってもらえれば。

1つだけ、除雪機の場合、実態はこれから使わないわけですね。これからしまうわけです。半年間使わない。しまい方というのがどういうふうにお考えなのか。つまり、しまった後、半年使わないままに次にまた使うわけですけれども、そのときになかなか点検とかをしないままにやるということがあったりして、しまい方は苦労されるところがあるとは聞いておりました。つまり、季節製品ですので半年間使わないということもあって、できるだけ早く報告書が欲しいと。
中川委員長

それは重々受けとめます。