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記者会見(平成31年1月28日(月))

日時:平成31年1月28日(月)16:10~16:43 於:消費者庁6階記者会見室

1.発言要旨

  • 中川委員長

    本日の調査委員会では、住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等の調査報告書を取りまとめました。
    住宅用太陽光発電システムの導入件数は年々増加しておりまして、国内における累計導入件数が200万件以上でございます。非常に公共性の高い事案であります。また、同システムから発生した住宅の火災事故等が平成29年までに13件起きているなど、被害の程度も大きくなる場合があります。そのため、火災事故等の原因調査及び火災の防止策等の検討を行い、このたび報告書として取りまとめをいたしました。
    原因は、住宅用太陽光発電システムには、モジュールの経年劣化ないしは製造上の問題、またはケーブルの施工不良による不具合が発生することがあり、それによって、その不具合が進行した場合には発火するリスクがあるということです。
    それに加えて、当該製品、すなわちモジュールやケーブルと屋根の木材の間に不燃材料が存在しない,すなわち,鋼板といった不燃材料が存在しない設置形態がとられることがございまして、この報告書においては鋼板等なし型と呼んでおりますけれども、こういうタイプの製品が発火すると、これは住宅への延焼が発生する可能性があるということです。以上が原因の主要な部分です。
    その上で、経済産業大臣及び消費者庁長官に対して、必要な対応をするよう意見をすることにいたしました。具体的には、当該製品と屋根の木材との間に不燃材料等を挿入することが当面の最も有効な再発防止策であると考えておりますので、既に設置されている製品と、今後設置する製品の双方について、それぞれ対策がなされるべきであると意見を述べております。
    また、製品から発火する可能性のある不具合が発生していないことを確認する点検、これが何より重要であろうということで、その点検の実施も促進していただくような意見としております。
    加えまして、事故の発生、拡大の防止のため、既に当該製品を所有している方だけではなく、所有していない方ですね。これから買おうかなと考えている消費者に,太陽光発電システムに関する知識、理解の醸成を目的として、その火災リスク、点検の重要性についてわかりやすく情報提供していただくことも意見として述べております。
    以上が、太陽光発電システムに関するものであります。
    その他、本日の委員会では、現在調査中であります歩行型ロータリ除雪機による事故及び幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故について、それぞれ審議を行いました。
    続いて、部会の動きにつきましては、委員長代理からお願いいたします。

  • 持丸委員長代理

    今月に開催いたしました部会での議論を報告いたします。
    製品等事故調査部会では、ただいまありました歩行型ロータリ除雪機による事故について審議を行いました。
    私が部会長を務めますサービス等事故調査部会は、今月の開催はございませんでした。
    私からは以上です。
    御質問のある方は挙手願います。

2.質疑応答

NHKの飯嶋です。  
本日、報告書がまとめられた太陽光発電システムの件でお伺いしたかったのですが、火災の原因で、経年劣化だったり施工不良だったり、なかなか消費者というか使用している側が気をつけようにも気をつけられないことのほうが、原因が多いとは思うのですが、家に取りつけてあるものなので、消費者側として何か気をつけられる点はありますか。
中川委員長

まずはやはり点検です。全ての太陽光発電システムが問題なわけではなくて、設置形態がまず、第一です。モジュールの場合は性能の問題があることはあり得るのですが、問題はそこから燃え移ることですので、鋼板、不燃材料が挟まれていないものですね。モジュールやケーブルと、それから屋根、これは多くの場合は木材ですね。その間に不燃材料を置いていないタイプ、この報告書で言っている鋼板なし型というものに,御自分のものが当たっていないかどうか。これをまず点検して、当たっている場合は直ちに業者に連絡をして大丈夫か、あるいは設置形態を変えたほうがいいのではないかという行動を起こしていただく。それがほぼ唯一だと思います。

持丸委員長代理

補足をすると、実はいろいろ調べたのですが、まず、発電量が減っているということは残念ながら直接的な目安になりません。発電量はそれなりに変動していきますし、モジュールの劣化で発電量が減ることもありますので、それ自身は目安にならなくて、また、逆に特殊な機械ですので、コンセントを抜いて発電をとめるということはできないのです。お日様が当たると発電し始めてしまいますので、ですから、今、委員長から申し上げましたように、とにかくまず設置型を確認いただいて、専門の人に点検をお願いするというアクションを起こしていただくということになるかと思います。

鋼板なし型ではないものでも火災にはなっていると思うのですけれども、それについても点検はきちんとしたほうがいいと。
中川委員長

なし型以外はなっていないと思います。その報告は受けておりません。

持丸委員長代理

温度が高くなるリスクは常に持っています。ただ、とにかく優先順位から行きますと圧倒的に、今、委員長から申しましたような過去の事案と、それから、原因のリスクからいって、鋼板なし型が非常にリスクが高いので、とにかくまずそこから型番を確認いただいて、点検を受けるのがよいかと思います。

共同通信社の新為です。  
全国1,500人に対してインターネットで回答してもらった件なのですけれども、7割の人が保守・点検をしていなかったというこの調査結果についてはどのように受けとめられているのか。  
あと、これは1,500人で大丈夫だったでしょうか。2点なのですけれども、お願いします。
中川委員長

まずは1,500人でいいかというのは大丈夫ですね。  
どう受けとめられているのかというのは難しい問題でして、もともとは点検義務があるとは考えられていなかった。法令上はそうではなかった。FIT法ですね。それが改正されて、現在では点検義務がある。所有者は消費者ではありますけれども、同時に発電をして売電をする以上は事業者として点検しなければいけないと。そうでなければ認定されないという制度に変わりましたので、現在は義務があります。そこら辺がどの程度周知されているかということ自体が問題ですし、なかなか200万件もあると、全員がそれを理解するというのは難しいところではあると思います。法制度が変わって、今まではそうではなかったのに何で急に変わったのだと思う方もいらっしゃると思うのですが、それは仕方がないと思いますので、周知するしかないかなと思っています。

毎日新聞の岡です。  
確認なのですけれども、火災の件数について、先ほど13件とありましたが、72件調査対象があって、そのうち13件を調査されて、残りの59件は火災ではないということでいいのですか。
中川委員長

事務局に確認します。どうですか。

事務局

住宅の野地板に燃え移るような火災にはなっていません。消防が出動すると火災扱いになるので、その辺の定義づけをどこで見るかは難しいのですけれども、この絵にありますように、住宅の火災と俗に言うような野地板への延焼は、多分五十何件というのはパワーコンディショナの発火だと思いますが、ないと思っています。壁が少しすすけて焦げたとか、そういうものをどこまで見るかというのはありますが、我々が今、問題としている、写真で見ていただくとわかるような消防が放水して家の火事を消さなければいけないような状況にはなっていないと理解しています。

東洋経済新報社の岡田です。  
住宅用太陽光発電システムの件で、報告書に関してですけれども、これは社名とか型式は実名の開示をしなかった理由はどこにあるのでしょうか。
中川委員長

社名につきましては、火災に至った、実際に延焼までしたものは1社です。ところが、我々が原因と考えた,そもそもモジュールがどのようにして発火するかとか、モジュールが発火する可能性のある、そういう意味では怪しいタイプのモジュールは,ほかの企業もつくっています。なので、危険性は当該1社だけではありません。逆に言うと、当該1社以外のところも気をつけてほしい、リスクアセスメントをしてほしいと,報告書に書いてあります。そういう意味では、全ての事業者に、我々がまだ調査できていない事業者もございます。たとえば小規模の事業者ですね。どこか1社の問題ではなくて,業界全体として、モジュールが燃える可能性であるとか、ケーブルの設置の不良ですね。そういったあたりを総点検していただく必要があると思いますので、特定の会社を挙げることは、余り再発防止のためにはならぬだろうと考えた次第です。

ただ、今回調査をした対象がどのメーカーのどの型式かというのを明らかにする意味はあるのではないかと思うのですけれども。
中川委員長

型式というのは太陽光発電システムのですね。

はい。
中川委員長

先ほど申しましたように、例えばモジュールとかケーブルが発火してすぐ消えたというのであればそんなに大きなことにならないのですが、現在緊急性を要すると思っているのは延焼するものなのです。そこは先ほど言ったように、不燃物が間に挟まっていない、つまり,燃える可能性があるものが置いてあるのだけれども、それがそのまま木材の屋根にくっついている、そこが最大の危険です。そういう設置形式全部が問題でありますので、その意味では、その設置形式をとっている型式を明らかにしたとも言えるわけです。

リコールを促すようにということは経産省には求めていないということですか。
中川委員長

リコールをしろとまでは特定はしていません。それも選択肢だと思いますけれども、例えばリコールとなると、それは全部取り外せということになりますね。だけれども、間に鋼板等の不燃物があればいいわけですので、それを後から挟む工事をし直すという選択肢もある。モジュール等はそのままで、しかし、ちゃんと間に挟む工事をするという選択肢もあり得ますから、そうしますと、リコールだけが選択肢ではないだろうと。あとはもうどちらが高いかとか、そういう問題ですので、そこまで我々は限定しない。特にリコールしなければいけないとは書いておりません。

もう一つ、点検をユーザーに求めているということですけれども、点検をしないうちに火災になった場合の責任は施工業者、ハウスメーカーも含めたメーカー側にあるのか、あるいは所有者側にあるのか、今後はどちらになるのでしょうか。
中川委員長

これは法的責任の問題ですから、委員会が扱う問題ではございません。今の改正FIT法のもとですと、どちらになるでしょうねと考えると,所有者のほうの義務でもあるし、かつ当然ながら安全な製品を提供するのは別の法律で事業者の義務でありますので、どちらの責任かというのは法律的にもなかなか難しい問題だと思います。  
いずれにせよ、今のは私の個人的な発言です。委員会として検討したわけではございません。

共同通信の新為です。  
確認なのですけれども、調査結果の中で、複数の製造業者のパネルで発火のおそれがあるとわかったということなのですが、これは調査の中では発火の可能性が認められなかった業者のものもあるという理解なのですか。
中川委員長

それも、ある。ただ、我々がこれは可能性があるだろうと。いろいろあって、モジュールから発生する場合ですね。ケーブルからも発生するのは設置不良です。これは施工不良でちゃんと工事すればいい話で、モジュールから発火する場合はそれの製造上の問題のこともあり得るし、それから、経年劣化ということもあります。

例えばA社とB社のパネルでは発火のおそれがあると認められたけれども、C社のパネルでは発火のおそれが。
中川委員長

おそれがないと別に確定しているわけではないので、少なくとも燃えたものについては、この可能性があるということがわかっているだけです。ほかが安全ということまではわかっていないです。

だから、この事業者だったら安全とか、そういうものはわからないという趣旨で公表していないということでよろしいのですかね。
持丸委員長代理

そうですね。ちょっとテクニカルなことになるのであれですけれども、もちろん、太陽光発電の素子や素子周りというところが製造不良なりなんなりで原因になっているケースもあり得ますが、途中にありますように、バイパス回路というところが、どこかが影になったり、どこかの部分が壊れたときに過大な電流が流れて、そこが長期間ドライブされると今度はバイパス回路のほうが壊れてしまうという構造がこの中にはあって、それは実はいわゆる太陽光発電のデバイス単体の問題ではなくて回路系全体の話で、それはどの企業も似ているようなものになっています。そこが発火原因の一つでもあると我々は考えて、その実験もしていますので、それも踏まえると特定の企業だけではないと。  
特にある企業さんが非常にシェアが高かったこともあって、シェアが高いと事故発生率も当然高くなるわけですね。それもあって、これから先、ある年数がたって起きてくるのにはシェアが高かった時期から徐々に変わってくることもあるので、我々としては、先ほど委員長が言っていた設置型には注意をしてほしいのですけれども、このメーカーだから安全ということは考えないでリスクを確認してほしいというのがメッセージです。

つまり、それはどの業者のものであっても発火の可能性があると。
持丸委員長代理

リスクがあります。

リスクがあるというふうに記事で書いてもいいのですか。
持丸委員長代理

はい。構造上のリスクがあるということです。

わかりました。ありがとうございます。
朝日新聞の長谷です。  
統計でとっていたら教えてもらいたいのですが、今回、注意を呼びかけている鋼板なし型というのは、調べられた中で国内の何社のメーカーが何種類販売しているというのは、今の時点ではわかるのでしょうか。
中川委員長

何社かは私は聞いていませんが、鋼板なし型が大体10万棟ということです。太陽光発電は全部で200万棟ぐらい導入されていますが、そのうち10万棟ほどが鋼板等なし型であると聞いています。

何社かは。
事務局

製造メーカー3社以上。それ以上はわかりません。

持丸委員長代理

少なくとも3社は製造していると。それ以上あるかもしれない。

今の関連なのですけれども、たしか報告書で6社のメーカーを調べて5社が鋼板なし型だったような気がするのですが。
事務局

我々が調べた6社のうち5社が鋼板なし型をやっているのですかという意味の御質問ですね。

はい。
事務局

アンケートのところを御覧になって、シェアが少し5%とかあるようなメーカー、そこを見られていると思いますので、今、我々が知る限り3社ですけれども、多分それは過去の製品で一時期鋼板なし型があったとかというのが、アンケートのパーセンテージですね。そこを入れると、今、やっていると言われると違うのですが、過去において一時期、少しであったとしてもそういうものを扱ったメーカーは何社かと言われれば、76ページに書いてあるとおり、ヒアリングをした6社中、なしは1社だけですから、そういう意味では5社が該当しているということにはなるかもしれません。

でも、過去にということは、その会社の製品が今もあるかもしれない。
事務局

今も存在している会社であるならばという条件つきになりますが。

ありがとうございます。
事務局

ちょっとややこしい言い方で申し訳ないのですが、そういう意味では、76ページのヒアリング調査結果の、今、御社はどのぐらい鋼板なし型のモジュールが過去について販売したものの中にありますかという質問で、5社あるのは見てのとおりでございます。

たびたび済みません。共同通信の新為です。  
86ページの消費者に対する再発防止策の中で、「モジュール形態が『鋼板等なし型』で、かつ導入時の保証期限を超えた製品の所有者は」という条件になっているのですけれども、要は、「保証期限を超えた製品の所有者は」という限定をつける意義はどういうところにあるのかなと思うのです。要は、保証期限内であっても依頼したほうがいいのかなと素人目には思うのですが、どうなのでしょう。
中川委員長

それはそうです。要するに、長年経っている人は特に気をつけてくださいという緊急性です。今回、大体7年、10年前後のものが特に火災、延焼までしていますので、そういう意味では、モジュール自体も古くなると発火しやすくなる可能性がありますので、それだけ長い人は特に気をつけてということです。

これは例えばつけてすぐの人が記事などを読んで、すぐかえたほうがいいとはならないと受け取ってもいいものなのでしょうか。
中川委員長

それだと今度は逆に、つまり、この報告書に基づいた対応はされているか、結局、鋼板なし型かどうかが重要だということですから、なし型である以上は相談されたほうがいいのではないかと思います。経年によってどんどんリスクが高くなっていくということですね。

わかりました。
東洋経済の岡田です。  
鋼板なし型というのは建材一体型モジュールとニアリーイコールと考えられるのですけれども、その違い、あるいは同じ、どういう。今まではたしか建材一体型という言い方を委員長のほうでされていませんでしたか。
持丸委員長代理

そうなのですが、報告書の31ページと32ページを見ていただきたいのですけれども、実は我々も建材一体型と説明した後に、企業さんといろいろ話をすると、細かに幾つか違うことがわかってまいりまして、この中で屋根置き型というのがおおむね屋根をふいた後から上に乗っけているもので、これは普通、余り一体型と呼ばないのです。そこから下の(2)(3)(4)というのがほぼ一体型に相当するのですが、一体型なのだけれども不燃材を敷いてその上に最初から乗っけているものとか、モジュールの下のほうに不燃材料が最初から入っているものとか、そのようなケースもあって、この中では鋼板等なし型という(4)がリスクが高いということになったと。  
実はこれは若干厄介でありまして、消費者の方は屋根を見上げたらわかるかというと、この(2)(3)(4)の区別はほぼほぼわからないのです。ですから、事業者さんに聞いていただくしかないと思うのです。  
それから、消費者によっては自分が住んでいる賃貸のアパートの上についているのだが、保有者は住んでいる人ではないというケースもあるのですね。申し上げにくいのですが、リスクだけ背負っていて売電は家主さんがしているケースもあるのです。このケースはもちろん家主さんでも何でも、とにかくどうなっているのでしょうという声を出していただくことが必要かなと思っています。  
形式的には一体型なのですけれども、その中で特に鋼板等なし型、(4)が今回、理屈はわかると思うのですが、リスクが高い。そういうことになっております。

この鋼板なし型の中の建材一体型なのですけれども、これは国土交通大臣の大臣認定を得ている不燃材料としての扱い、位置づけではないのでしょうか。
持丸委員長代理

追加で説明をいたしますと、屋根というのはもらい火をしないという機能が根本的な思想にあるそうでして、何で(2)や(3)が存在しているかというと、本体のモジュールがもらい火をしなければよそからは火が飛んでこないので、建築物の防火安全としてはできていると。つまり、瓦が発火するということは基本的に想定していないのと同じことで、この屋根がもらい火をしない機能をもしこの太陽光発電システムが持っていた場合は、そこから下は気にしないというのが基本的な屋根の防火の発想だったので、今回のようなことが起きるということになります。

ということは、燃えないはずの不燃材料が燃えるということが問題の根本としてあるわけですね。
持丸委員長代理

そういう部分もあります。

となると、点検をしたところでそれがいつ燃えるかもわからないわけですし、78ページを見ますと「モジュール発火の推定原因は施工不良ではなく、モジュールの不具合によるものと考えられた」とある以上、そのようなものが設置されていることそのものが、いつ何どき火災が起こるかわからないということにもなりかねないとも思われますので、これは点検をすればいいというものではなくて、撤去をする。少なくともそのような状態のものはメーカーの責任で撤去なり是正させるということにしないと、点検していないということを口実に消費者のほうが責任をとらされるようなことになりかねないのではないかと思うのですけれども、その辺は消費者庁としてきちんとした見解を出すべきではないかと思いますが。
中川委員長

それは委員会としては、経産省に対してそこら辺をどうようにやっていくかの仕組みをつくってくださいという言い方をしています。鋼板等なし型の場合は、これを例えば(2)の鋼板等敷設型にかえていくということになっていくと思うのですけれども、その場合、どちらがどの程度お金を負担するのかというところまで我々が決められるわけではないので、そこはもう少し実態がいろいろあるでしょうから、かつ、10万棟もあれば、消費者のほうも黙ってはいないと思いますから、そこは経産省で業界との間で調整をしてくださいということになります。我々でどちらの責任かということまでは決められない。我々は再発防止のための対策を求めることに尽きますから。

ただ、経産省は、いわゆる業界を監督する側で、メーカーは自分たちでつくっているわけですね。消費者庁側がどちらのサイドに立つ、消費者委員会側がということになると、消費者側がいろいろなことを求めたとしても立場的には弱いと思われるのですが、今みたいな話ですと、結局点検をしっかりやってください、必要があれば取りかえてくださいということになると、今まで安全なものだと、要するに、燃えないものだとして国土交通省が大臣認定をしていたわけではないですか。ところが、そういったものから火が出て家が燃えてしまうなどということが起こり得るという大変重大な事態で、今も質問するまではそういう御説明はなかったわけですけれども、これは問題なのではないかと。やはりもうちょっと踏み込んでこの報告書を書くべきだったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
持丸委員長代理

御指摘のような議論が中でもございました。要するに、何を申し上げたいかというと、製造業者に点検をしなさいということを経済産業省から言ったときに、消費者が言ってこないから点検が進まないのだよというような理由が出されてしまうと、我々がフォローアップをしたときに、点検が進んでいませんね、あなた、ちゃんとやっているのですかというと、それは消費者が言ってこないからねという話になっては具合が悪い。  
ただ、今回の案件は、皆さんは御存じかどうか知りませんが、今までここでいろいろやってきた案件とちょっと事情が違っているのは、売電をしているのでその方に必ず製造元からコンタクトできる状況にあります。例えば毛染め剤を売っているとか、そういうどの方が使っているのか非常にリーチしにくくて消費者側から積極的に何か言わなければならないことではなくて、基本的に製造側から責任を持って達成率をできるものだと我々は把握していて、その旨を経済産業省にお願いしています。  
では、どうして消費者庁側にも申し上げているかというと、今、申しましたように、実は自分の住んでいる家の屋根に乗っているものは自分が買ったものではないとか、そもそも家を買いかえたら最初からついていたとか、いろいろなケースがあって、必ずしも今の火災のリスクを受ける人そのものが所有者や購入者ではないケースも考えられて、その場合は今、私が言った理屈ではリーチできないのです。そこで消費者庁にもお願いをして、消費者側も同じように意識をしてくださいねということを今回はお願いしているということです。  
したがって、経済産業省から売電のチャンネルを使って、網羅的にこのことにアタックしてくださいねというのが基本的な我々の意見ということになります。

それをきちんとやるのには、少なくともこの屋根材一体型で売っているもの、かつ、しかも鋼板なし型を施工したというのが、ちゃんとデータをハウスメーカーは持っているわけですから、それについてはちゃんとリコールさせると。それをきちんと消費者安全調査委員会がこの報告書に当たって提言することが、最も消費者に立ったスタンスではないかと思うのですけれども、何でそういうリコールを要請することを言わなかったのか。委員会でそういう議論はなかったのでしょうか。
持丸委員長代理

その議論ももちろんございました。これは一般的な回答になるのですが、我々の委員会では基本的に政策の詳細に立ち入るのではなくて、どういう目標を政策として達成しなさい、我々はそれをモニタリングしますよという言い方をしています。したがって、それを法令でやるのか、リコールでやるのか、標準でやるのかというのは政策ツールの問題で、我々は、各省庁が我々の達成しなさいと言ったことをどういう手段でやるのかというのは、各省庁の判断に任せますよと。  
それについては、時々文書として「等の」ということをつけることもございますが、基本的には我々の立ち位置はこういうような問題で、こういうような原因で、こういうような状態にしてほしい、我々はそれをフォローアップしますよという意見になっております。

ということは、それがきちんと周知されて、撤去されるなり取りかえられるなりというのがされているかどうかというのは、誰が責任を持ってこれをちゃんとチェックすることになるのですか。
持丸委員長代理

我々が責任を持ってチェックすることになります。つまり、経済産業省さんに我々はフォローアップの数値を出してくださいとお願い申し上げて、それがいやいや1%しか進みませんといったら、我々はまた再意見を出して、こんなことではだめでしょうと。そうしたら、さらに政策に問題があったのではないですか、そういうようなことを申し上げることになると思います。

リコールを求めることは、別にこの報告書に書くこと自体がこの委員会の越権になるのでしょうか。
中川委員長

越権ではないですね。越権ではないですけれども、それしか方法がないのかということなのです。先ほどの社名の公表もそうですけれども、どれだけ再発防止に役に立つかという観点から考えた場合、リコールしか方法がないのか。
何をもってリコールというのかということも問題になります。おっしゃっているのはかなり広い意味だと思います。我々が結局この鋼板なし型は非常にリスクが高いよと言っているのは、それとは違う設置形態、それとは違う製品にしてくださいということですから、それは多分おっしゃっていることに近いのではないかと思いますが、リコールという言葉は法律の世界では非常に特定の意味ですので、そういう言葉は使わないと。それ以外の選択肢もあるかもしれない。特に方法は限定せずに、しかし、最終的には鋼板なし型というものがない状態、できるだけ早い時期になくしていくということが一番重要なことでありますので、このような形にしてあります。だから、リコールという言葉に限定しない。それももちろん選択肢だけれども、それ以外もあるだろうと。それについては我々が知識を持っているわけではないので、特には書いていません。  
しかし,リコールしなくていいという意味ではなくて、それも含めてさまざまな選択肢をとってくださいと。それで、先ほど委員長代理からありましたように、我々はフォローアップをしますので、対策が進んでいないということがわかれば、そのときは、それについて意見を言わなければいけなくなると思いますので、段階を踏んで進めていくということです。

最後に1つ。点検の費用はどちらが持つべきだということなのですか。点検ないし撤去の費用は。
中川委員長

そこは再発防止そのものではないので、委員会としての意見はありません。現時点でこれを話すことは,先ほども言ったように,個人的な意見,法律家としての意見になるのでやめておきます。