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記者会見(平成30年11月26日(月))

日時:平成30年11月26日(月)12:44~13:02 於:消費者庁6階記者会見室

1.発言要旨

  • 中川委員長

    どうもお待たせいたしました。
    本日の委員会は、たくさんのことを扱いました。 本日の調査委員会では、まず,歩行型ロータリ除雪機による事故に関する事故等原因調査について、経過報告を審議、決定いたしました。
    本件調査については、当該調査を開始した平成30年2月から1年以内に事故等原因調査を完了することが困難であると見込まれる状況にあり、加えて、本年の降雪が本格的に始まる前に調査の経過について公表することは事故の再発防止に有益であると考えられることから、消費者安全法第31条第3項の規定に基づき、これまでの調査の概要と今後の調査について示した経過報告を公表するものです。
    本経過報告においては、これまでの調査の経過を踏まえ、具体的な注意喚起の内容として、①、使用者がクラッチレバーから手を離すと、オーガやブロアの回転、除雪機の走行が停止する装置であるデッドマンクラッチの無効化はしてはいけないこと。②、降雪期が到来する前に、安全装置を含め、点検をした上で使用すること。③、特に後進時、後ろに行くときに事故が多く発生しているので、注意して扱うことの3点を特に重要なものとし、降雪が始まり除雪機が本格的に使用される前に、これらの点を踏まえ、関係行政機関から除雪機の安全な使用に関する情報の周知が徹底されることを強く期待するものです。
    その上で、調査委員会として、引き続き調査を進め、可能な限り早く再発防止策を示したいと考えております。
    以上が第1件目です。
    第2件目は、新たな調査案件として、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故をテーマに事故等原因調査を行うことを決めました。
    幼児同乗中の自転車事故は継続的に発生している事案です。特に、平成29年には同乗幼児の負傷者数が増加に転じております。加えて、幼児2人同乗用自転車の要件策定及び電動アシスト自転車のアシスト比率の引上げが行われてから約10年が経過したこと。保育園等への送迎等で今後も継続的な需要が見込まれることから、消費者の使用実態という側面と製品の特性という側面の両方から、幼児同乗中の電動アシスト自転車の安全性について、これまでの事故の原因を分析し、再発防止策を示すことが必要と考えました。
    第3件目は、調査委員会が平成29年11月に報告書を公表した、玩具による乳幼児の気道閉塞事故のフォローアップとして、経済産業省及び消費者庁に出席いただき、調査委員会から具申した意見に対する取り組み状況について、公開でヒアリングを行いました。
    本件について、経済産業省からは、玩具業界及び流通業界の計7団体に対し、玩具による乳幼児の誤えん、窒息事故に関する注意喚起等について要請文書が発出されております。
    報告によりますと、要請を受けた日本玩具協会において、玩具の安全性に係る基準、ST基準を改定し、対象年齢に関する要求事項を追加するなどの措置が行われたほか、消費者庁において、地方公共団体への通知の発出、SNS等を活用した消費者への情報発信、情報収集の状況などの進捗が確認されました。その上で、事故リスクや事故防止策の周知のためのさらなる取り組みについて意見交換を行いました。
    第4件目にプール事故の基礎的調査というものについて審議いたしました。
    幼稚園で発生したプール事故については、これまで平成26年に報告書を公表し、また、本年4月にはフォローアップとして実態調査を公表するとともに、関係行政機関に対して再意見を具申したところです。
    このたび、さらなる事故の再発防止のため、幼稚園、保育施設及び認定こども園等のプールに設置されたカメラの映像を解析することで、再発防止に資する知見を得るべく、基礎的な調査を行うこととし、その具体的な調査計画等について本日審議を行いました。
    なお、本件はこれまで報告書を公表してきた、いわゆる事故等原因調査とは法的な位置づけが異なる、基礎的な調査と呼ばれるものでございまして、最終的な成果のあり方を含め、現段階でゴールについて定まったものはございません。
    しかし、映像の解析を丁寧に進める中で、再発防止に向けた基礎的な知見を見出すことができれば、その活用方策についても検討していく予定でございます。
    最後ですけれども、第5件目として、現在調査中であります太陽光発電システムから発生した火災事故等について審議を行いました。
    続きまして、部会の動きについては、委員長代理からお願いいたします。

  • 持丸委員長代理

    今月開催した部会の議論を紹介いたします。
    製品等事故調査部会では、歩行型ロータリ除雪機による事故について審議を行いました。本日、経過報告を発表している案件です。
    それから、新たな選定事案の候補として、本日委員会によって選定されました幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故について、どのような視点、どのような範囲で調査を進めるべきかということについて審議を行いました。
    私が部会長を務めますサービス等事故調査部会のほうは、住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等についての審議を行いました。
    私からは以上です。

2.質疑応答

ニッポン消費者新聞の丸田です。
2点あります。
1点が、プール事故の基礎的調査ということですけれども、先ほどの委員長のお話では、法的な規定ではないところでの分析調査みたいなことをおっしゃったのですが、そこをもう一回。
もう一点が、除雪機のアンケートなのですけれども、除雪機は例年いろいろ事故が起きていますが、新しいものであればあるほど安全設計みたいなものはわかりやすくなってきてはいるのですけれども、事故が起きているものについての製造面などはどこかに出ているのでしょうかという2点です。
中川委員長

第1点目でありますが、法律上は、第16条第5号で、前各号に掲げる事務を行うために必要な基礎的な調査及び研究を行うとあります。これに基づくのが基礎的な調査です。
幼児のプール事故に関しては、すでに原因を解明し、再発防止策をつくってフォローアップもしたのですが、もっと深い事象があるのではないか。監視をしていながら溺れるという事故のメカニズムが、これまでに出てきた事故を見ているだけではまだまだ十分なことがわかっていない。我々がわからないメカニズムで溺れるのではないかということから、もう少しこちらのほうから積極的に情報を収集して、いつかもっと深く解明したいと考えた次第です。
全部の幼稚園が動画を撮っているわけではありませんので、そういう意味ではどのような情報が出てくるかということにかかってくるので、いつになるかわからないけれども、継続的に情報を収集していこうという趣旨で基礎的調査をやることにいたしました。

事故調査室長

御質問いただきました2点目の除雪機の件でございます。
今回の注意喚起でデッドマンクラッチの無効化ということがございまして、無効化してしまう背景等も調べまして、果たしてこの装置がいいのかどうかということも含めまして今後検討ということになると思うのですけれども、製品としては使いやすい方向に向かっているのではないかというお話なのですが、除雪機安全協議会のほうではデッドマンクラッチのほうに収束していまして、ほかの安全装置を許さないわけではないのですけれども、煩雑になったりということでそれになっていると。
それが、皆さんだんだん対策といいますか、工夫ということで、離してしまうととまってしまうので、それをずっと握り続けた状態にするということを実態として行っているということがございますので、それ以外にも何か対策ができないのか。あるいは、もう少しこの装置の改良点がないのかという観点もございますので、今後、そちらの調査を進めていきたいと考えています。

先ほどの注意喚起の中で、坂道のことはおっしゃっていましたか。坂道上でのバックはありましたか。
事故調査室長

バックするときに巻き込まれやすいということはございます。
一つは、例えば転んでしまって巻き込まれてしまうということがございますので、緊急停止バーというものがついているのですけれども、それよりも低いところにいってしまって、そのままひかれてしまうということがございますので、そこの辺はやるかどうかわからないのですが、安全装置のあり方のほうも見ていかないといけないかなと思っています。

除雪機の関連なのですけれども、先ほどの御説明の中で、①、②、③ということで、デッドマンクラッチの話など幾つかポイントをおっしゃったと思うのですが、それはいただいている資料の中でどこに当たるのでしょうか。
事務局

今の御質問の御趣旨は、要点が最後どこにまとめられているかということだと思います。
19ページをごらんいただきたいのですけれども、下のほうの「4.現段階で注意喚起すべき事項」の2つ目の段落から、「具体的な注意喚起の内容として」と、ここからが文章になっていますが、ここにまとめております。
1つ目が、デッドマンクラッチが装備されている除雪機の使用者に対して、周知ともに無効化しないように呼びかける必要がある。これが1点目です。
「また」からが2点目で、有無にかかわらずですけれども、20ページに行っていただきまして、使用前に定期点検、特に安全装置の動作確認を行う必要があることについて周知すると。正常に機能しない場合はもちろん使用しないように呼びかける。これが2点目です。
3点目が、その次の「さらに」ということで、除雪機による死亡事故、ヒヤリハットが後進時に多く発生していると。ここはもう一個補足の情報がありますが、「また」のところで、ヒヤリハットは除雪作業中に限らずに、移動中、しまったりという収納中のただ動いているときにも発生しているということで、このあたりについて注意をしていただきたいと。
大きく分けてこの3点というか、ここについて特に強調したいということでございます。

一つ、今のあれなのですけれども、田舎のほうは除雪機を使うわけですけれども、私もそうですが、一人も講習を受けたことはなく、定期点検もほとんどない中で使っているわけです。定期点検はこの場合入っていますが、要するに、使い方とか、高齢者が圧倒的に多い中で、定期点検しろと言ってもなかなかできないような状況であるわけです。
また、1台がとても高いものだから、集落ごとにシェアしているという状況もある中での注意喚起といった場合に、売る人が来るわけですけれども、それは農協であったりするわけです。そういう講習をするであるとか、現状に即したものはまだほかにないでしょうか。
持丸委員長代理

まず、現時点での経過報告には含まれておりません。そこがきれいに出るぐらいであれば、経過報告ではなくて我々も最終報告を出したいと思っておりまして、今回、いつもと違って少し分厚い経過報告を出しておりますのは、委員長からも話がありましたとおり、もともと2月に始まったもので、それが今の見通しで行くと1年を超えそうだと。その1年を超えそうだというところが、今、御質問のありました、ここに書いてあるこういうことがどうもひっかかっているということに対して、どういうアクション、デッドマンクラッチそのものを製品改善するとか、今、お話があった、講習会を何とかするというようなところをしっかり立てるのにもう少し時間がかかりそうだと。特に、何度もお話ししていますが、実験を少ししなければいけないということもあって、そこにもう少し時間がかかりそうだと。
ただ、それを雪が解けたころになって報告して、いや、そんなことなら最初のころでも少し言っておいてくれればよかったのにということもあるだろうということをこちらでも勘案いたしまして、まだ十分な対策がそろってはいないのですけれども、とにかくこんな事故がこんな場面で多く発生しているので、現時点ではとにかくお気をつけくださいというようなことで経過報告を出しているという状況です。

中川委員長

緊急アラートを出すという趣旨です。