文字サイズ
標準
メニュー

記者会見(平成30年6月22日(金))

日時:平成30年6月22日(金)15:45~16:03 於:消費者庁6階記者会見室

1.発言要旨

  • 宇賀委員長

    本日の調査委員会では、電動シャッター動作時の事故に係る事故等原因調査につきまして、経過報告を審議、決定いたしました。
    本件は、昨年7月に車庫の電動シャッターに挟まれて重傷を負った事故についての事故等原因調査の申出を受けたことをきっかけとして、調査案件として選定し、以来、調査を進めてきているものでございます。
    調査が完了するまでにもう少し時間がかかりそうであり、当該調査を開始した日から1年以内に事故等原因調査を完了することが困難であると見込まれる状況にあることから、消費者安全法第31条第3項の規定に基づきまして、これまでの調査の概要と今後の調査について示した経過報告を公表いたします。引き続き、調査を進め、可能な限り早急に再発防止策を示したいと考えております。
    その他、本日は、現在調査中であります住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等につきまして審議を行いました。
    続きまして、部会の動きにつきまして、委員長代理から説明していただきます。

  • 持丸委員長代理

    委員長代理の持丸です。今月開催しました部会の議論を報告いたします。
    今月は、製品等事故調査部会は開催をしておりません。私が部会長を務めますサービス等事故調査部会は、ただいま話がありました住宅用太陽光発電システムから起きた火災事故、それから電動シャッター動作時の事故について審議を行いました。
    私のほうからは以上です。

2.質疑応答

朝日新聞の長谷といいます。
電動シャッターの件、期間をもう少し長くとって調査を行うこととしたというのは、大きな原因は何に当たるのでしょうか。
持丸委員長代理

私、持丸のほうから回答します。
一番大きな理由は、原因はほぼ特定できましたが、再発防止策をどうするかというところが、極めて技術的なところで今もめているというか、まとめているところです。今日もその議論が比較的長引きました。
それがまとまれば、今度はそれを意見として、どの省庁にどうお願いするかということになる。報告書には、原因があって、再発防止策があって、意見があります。今はその再発防止策、どうしたらこの原因を防ぐことができるかというところで、最後、技術的な議論をしていると理解ください。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
関連です。今のお話ですと、原因はほぼ特定されたと。ただ、再発防止策ということですけれども、裏の「調査の概要」を見ますと、3つの方法でやっていらっしゃるということですよね。要するに、アンケート調査をされたり、製造事業者の聴取り調査もされていらっしゃって、原因がほぼ特定されたということなのですけれども、幅広いアンケートのような気もしますし、メーカーに対する聴取りも。
ここで、原因が電動シャッターといった、その製品のシステムといいますか、仕組みに対して問題があるとなってきた場合、こういう形で再発防止策がとれないということで報告が遅れた場合は心配しなくていいのかどうか。つまり、原因が特定された、その原因というのが製品起因による原因なのか、それともそういうことは発表されなくても再発防止はとられているような中での事故なのか、そこのところがよくわからないのです。
持丸委員長代理

原因は一つではありません。もちろん我々としても早く原因と対策を講じなければいけないと思っているのですが、簡単に講じていただける対策もないわけではありません。一言で言えば、「動いているシャッターの下をくぐるな」というのが極めて簡単にできる対策です。それだけをまさか我々が発表するわけにもいかなくて、もうちょっと根本的に、どうしたらシャッターがきちんと止まるのかとか、不用意に落ちてくることはないのかということに関して技術的な再発防止策を検討しています。
発生確率からいってもそんなに急に起きるわけではないだろうと思っているところもあるのですが、いずれにしても、もし短期的に我々が知らさなければならないとしたら、下がってきているシャッターの下をくぐらないでくださいというのが一番です。申し訳ありませんが、とりあえず言えるのはそのくらいです。最終的にそれだけの報告を出すつもりはもちろんありません。
以前のほかの事案でもそうだったのですが、新設のものと既設のものがあって、新設のものについてはいろいろな対策を我々のほうから再発防止策として提案して、うまくいけば省庁やメーカーに対応いただける可能性が高いと思っています。特に今回やっているシャッターというのは大手さんがつくっているもので、たくさんの中小事業者がつくっているものではないので、新設の安全性を一斉に改善できる可能性は高いと思っています。
一方で、実は既設のものがすごくたくさんあるのです。これは今までの立体駐車場とかエスカレーターのときとよく似た状況でして、それに対して何ができるかというのがやはり我々として、当初からわかっていたことですが、原因がはっきりしてくると、考えなければならないところとしてあります。その部分が一つ苦労しているところと言ってもいいかもしれません。

原因究明というのと再発防止というのがセットでという考えでいいのかどうかというのがずっとありましたもので。
持丸委員長代理

もちろん我々の報告書が出るときには、論理的にその部分が一つのセットになってくるわけです。原因は1個ではないですけれども、こういう原因があって、だからこういう対策をとれば低減できるだろうと。その中の幾つかについては、確かにそうなのだけれども、今動いているものにそれはできるのかという技術的な問題がそこに浮上してくるので、そのときにできないからやらないというわけにもいかないので、何とか現実的にリスクを少しでも低減し、かつ現実的にそれが入り込めるようにしたいというところを最後に苦慮している、そんな感じです。

もう一点だけ。
最初の調査の概要の中で、専門委員の2名を担当としてと書いてあるのですけれども、調査委員会は10人いて、そのうちの2人というわけではなくて、専門委員会がありますよね。
消費者庁事故調査室長

50人ぐらい専門委員として指名されている人の中で、シャッターに知見のある方を2名指名してお願いしています。

何十人もいらっしゃるので、2名というのはとても少ないような感じがしたのですけれども。
消費者庁事故調査室長

通常、最大3名ぐらいしか指名していません。何でたくさんいるかというと、消費者事故は取り扱っている分野が広いからで、食品から、機械から、医師など、そういう方を全て専門委員として任命しています。その中から、この場合は機械ということでお願いしているということです。

持丸委員長代理

こう言っては悪いのですけれども、たくさんプールしているのです。

単純に人数をふやせば早く進むというわけでもないのですか。
持丸委員長代理

逆に、むしろ専門委員が多くなると、専門委員同士で打ち合わせの機会などをつくらなければならなくなりますので、今までのものを見ていくと、専門委員の方が2~3人、2人ぐらいが妥当な気がしますけれども、お一人のケースもありますが、基本的には少しバランスを見て2~3人で、それ以外の視点を我々委員7名、部会は臨時委員8名ずつで多角的に見ていく。技術的、専門的なところはその先生方に見ていただいて対策案を立てていく。そんなやり方がやはり効率はいいのかなと思っています。

先ほど、対策を早く講じないとという発言があったと思うのですけれども、それであとどれくらいという目処は。
持丸委員長代理

いつも聞かれるのですが、正確なものはもちろんお答えできないのですけれども、何となく察していただきたいのは、今終盤に入っているということです。原因が究明されて、対策をどうこうしてということですから、もうそんなにお時間をとっていただくことなく、我々もこれを出したいと思っています。ただし、7月24日で調査開始から1年になるのですが、それには、今日の現状からいってちょっと間に合いそうもない。それで、とにかく一回ここで、これはルールですから経過報告を公表します。

一番怖いのは、原因究明をしている、この審議をしている最中に新たな事故が起きる。それが、実は原因究明をしていたその原因が、ある特定されているものがやはり原因だということがわかるような事故だけれども、再発防止がまだわからないというときの事故というのが、先ほどおっしゃった住宅用太陽光発電の案件でも言えるのではないかと思うのです。
つまり、先ほどおっしゃったシャッターの場合は、電動シャッターの既設のものと新設のものとあると。だから、この経過報告だけではなくて、社会に何かアドバイスとかはないものでしょうか。
持丸委員長代理

とても大事な御指摘でして、これは電動シャッターだけではない話です。
実は、この委員会の中でも委員の先生から、やはり時間がかかっているものについては、そういうような意味での、経過報告なのか、あるいは中間報告みたいなものを出したほうがよいのではないかという意見が出てくることがあります。
最終的にはそういう事例はないのですけれども、何を懸念しているというか、何でそうしない判断をしているかというと、多くの場合、特に我々は消費者ですから、消費者がどうしたらいいのかわからない。何だかわからないけれども、明日地球が滅亡しますと言われても、それを知らせてくれたのはありがたいのだけれども、どうしたらいいのですかというのがわからないと、なかなかアクションがとれないのですね。
ちょっと電動シャッターのケースと太陽光のケースは少し違うのですが、太陽光のほうは、前もお話ししたように、まだ原因が100%は特定できていません。電動シャッターのほうはおおむね特定できているのですが、どういうアクションをとればリスクが下げられるのかというところがまだきれいに整理できていません。
これが我々から見て、まだ向こう1年もかかる、その間に明らかに起きそうだということであれば、例えば先ほど言った、太陽光の場合は難しいけれども、電動シャッターならとりあえずくぐらないでとか、緊急避難的なことを申し上げることがあるのですが、それももうちょっとでできるというケースであれば、やはりセットできちんとお届けしたほうがいいだろうという思いです。
太陽光のほうは、電動シャッターとはちょっと事情が違いますが、今の段階ですと、発表したときにちゃんと御説明しますが、余りよい情報提供ができないと我々は思っていて、むしろ消費者が混乱するだけということになってしまいかねないということがあって、もう少ししっかり問題と対策と、対策がとれるだけの社会的な仕組みを整理してお出しするべきではないかと考えているということです。ちょっと抽象的にしか答えられなくて申し訳ありません。
したがって、どんなときも事前に情報を出さないと申し上げているわけではなくて、事案の特徴に応じて我々も判断をしていて、今抱えている2案件についてはそういう判断になっていると理解ください。