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記者会見要旨
(2019年12月23日(月) 16:15~16:40 於:消費者庁6階記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
大変お待たせしました。
本日は、ほぼ全ての案件で大変長い議論になりまして、大分予定より遅くなって申しわけありません。
そのうち、本日決定いたしました項目について、幾つかお話をします。
本日の調査委員会では「毛染めによる皮膚障害」の第4回目のフォローアップについて、審議をしました。
厚生労働省、消費者庁の取組状況を確認したところ、厚労省からは、日本ヘアカラー工業会において一般消費者向け「ヘアカラーリングABC」を掲載し、小冊子をダウンロードできるようにするなど、ウエブサイトでの情報提供を行っていること、新たな注意事項を記載した製品に切りかえが行われたこと、理美容師に対する啓発がなされていることなどの報告がありました。
また、消費者庁からは、政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報」において、ヘアカラーによるかぶれについて注意喚起を行ったことの報告がありました。
これまでのフォローアップにおいて、厚労省及び消費者庁においてさまざまな取り組みがなされており、その結果、製造販売事業者や、理美容業界における取り組みが進められてきたことが確認できました。毛染めによる皮膚障害の重篤化を防ぐためには、酸化染毛剤やアレルギーの特性、対応策等について、社会全体で知識として共有されることが重要ですので、引き続き、さまざまな場を通じて、継続的な取り組みを行っていただきたいと考えています。
調査委員会としましては、厚労省、消費者庁の取り組みを毎年、これまでは確認してきました。今後、どのようにするかにつきましてですが、報告書の公表後、消費者庁の事故情報データバンクの年度ごとの登録件数が一定程度にまで減少していること、すなわち報告書を公表した年度は200件程度でございましたが、その後は130件程度で推移しているということ、また、日本ヘアカラー工業会が毎年のようにさまざまな取り組みをされており、理美容師に対してさまざまな啓発活動をし、その商品の表示の仕方、自主規制基準の改正等、非常に積極的に行っていることも考慮しまして、取り組み状況の確認については、これで終了することにしました。ただ,今後も同種事案の発生状況、件数について注視していくことは、言うまでもございません。
次に2件目でございますが、「子供による医薬品誤飲事故」のフォローアップについて、審議を行いました。
まず、今年9月時点では、厚生労働省から、日本製薬団体連合会において、アンケート調査を実施中、という報告を受けていました。今般、アンケート調査の結果の追加回答について、報告を受けました。報告の内容は以下のとおりです。
製薬企業119社でいわゆるCR、すなわちチャイルド・レジスタンス、あるいはレジスタントというのが正確かもしれませんが、CR包装容器の検討を行っており、現時点では22社、82製品にCRが導入されているとのことでした。加えて、CR包装容器を導入している製品の薬効群ですが、腫瘍用薬、化学療法剤等でボトル調剤されているものが多く、また、比較的薬価が高い医薬品で採用されている傾向が見られるということでした。
CR包装容器の導入に関しましては、御存じのとおり、高齢者には逆に開けにくい、医療従事者にとっても非常に使いにくい等々、さまざまな要素を考えなければいけませんので、この導入については、難しい面があることは、委員会としても承知しています。厚労省でさまざまな検討がなされ、関係者の取り組みが進められていることについては、評価をしたいと思いますので、両省庁に対する取組状況の確認は、差し当たり、一旦ここで終了したいと考えています。
他方で、先ほど申しましたように、CR包装容器の導入は、さまざまな要素を考えながら、段階的にやっていく必要があるだろうということで、また、新たな「こまもり袋」という工夫も業界でなされているところでありますので、調査委員会としては、引き続き、何かできることはないかということを検討したいと思っています。
子供による医薬品誤飲事故を防ぐためには、CR包装容器の導入と、それから、リスク等の周知を通じて、家庭における医薬品の適切な管理を促すことが、いずれも重要ですが、それについて、厚労省や消費者庁の一層の取り組みに期待するとともに、我々調査委員会としても、CR包装容器の導入の促進のために、もう少し工夫ができないかを考えていくことを確認しました。
部会の動きでございますが、今月は製品等事故調査部会及びサービス等事故調査部会とも、不開催であるということですので、特段御報告することはございません。
私からは以上でございます。

質疑応答

(司会)
それでは、質疑応答に移らせていただきたいと思います。
御質問の際は、社名、氏名を述べられてから、一問ずつ簡潔にお願いいたします。
それでは、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
朝日新聞のノムラです。
子供の医薬品の誤飲についてなのですが、今のアンケート結果が報告されたということで、119社中22社が導入されているということで、残りは、検討はしているが導入に至っていないということだと思うのですけれども、導入に至っていない理由とかは、委員会のほうとして把握されていらっしゃいますでしょうか。

(中川委員長)
理由は、やはりCR、チャイルドレジスタントだと、シニアフレンドリーではないということ。高齢者に使いにくいことが一番大きいようです。
あとは値段の問題もあるのかなと。新しいことをやれば値段が上がりますし、それが保険対応できていないのでしたか。薬価基準内での設備投資による経費面の影響も懸念されるというのが、厚労省からの返答です。
それから、製造面で生産速度の低下。これも新しい技術ですので、その分だけ遅くなることも懸念される。
服薬コンプライアンスということで、先ほど申しましたように、シニアフレンドリーではなくなって、高齢者が面倒くさくなって飲まなくなるというのも困る。
こういう、いろいろな理由が言われているということです。

ありがとうございます。
関連してなのですけれども、今「こまもり袋」の御紹介がありましたが、医薬品自体に、そういったチャイルドレジスタンス機能を導入することは難しいにしても、そういったチャイルドレジスタンスの機能がついた薬袋だったり、保管する箱というのが、商品としては開発されていると思うのですけれども「こまもり袋」を含めて、まだ、一般消費者に向けては販売がされていないのです。
なので、お子さんがいる家庭とか、例えばお孫さんが遊びに来るおじいちゃん、おばあちゃんが使いたいから欲しいと思ったときに、今、買う手段がなかなかないのですけれども、こうした現状は、どのように受けとめていらっしゃいますか。

(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸です。
おっしゃるとおり、ちょっと話が戻りますが「こまもり袋」は、ぜひ我々としても推進してほしいということで、そのことは何らかの形で意見として上げたいなと思って、意見というのは、ここの意見というよりも、今回のフォローアップの中で、そういうような推進策をどう考えているか。
と申しますのは、まず一つは、対策として、ボトル調剤と、先ほどお話が出ましたけれども、これは欧米で既にやられていることで、比較的チャイルドレジスタンスがやりやすいのですが、御存じのとおり、これは各国の習慣とか、文化のことがありまして、日本は余りボトル調剤で出さないで、PTP包装といって、一個一個プシュっと押すようなタイプで出しておりまして、あれがCR、チャイルドレジスタンスとシニアフレンドリーを両立させるのが難しいのです。
我々のほうでも、ある程度できますよということはお出ししているのですが、当然コストもかさむ。それに対する1つの解決策として、厚労省を中心に研究者と開発したのが「こまもり袋」みたいなアイデアでして、私は個人として非常に合理的なものだと思っていますし、まずは、薬局での周知を図るという手段のようですので、それをまずは我々としても見守りたいですけれども、意識を高めるという意味では、キッズデザイン賞も出しましたし、ぜひいろいろな形であれが使えるようになってきて、それがお年寄りの飲み忘れ防止とも、うまくつながるような形になっていくとよいのかなという期待は持っています。

NHKのアキヤマです。
今のに関連してなのですけれども、そのアンケートの結果などというのは、既に公表されているものなのでしょうか。

(中川委員長)
我々はアンケートをいただいていますけれども、日本製薬団体連合会のほうは、まだアンケート先から同意を得ているわけではないので、アンケート自体の公表はできないということではあります。しかし、内容的には,先ほどほぼ全部お話ししました。それ以外、何かとくに情報があるわけではないと、私は思います。

では、アンケート結果をもとに、委員会としては、引き続きの促進を求めたという。

(中川委員長)
求めたといいますか、結局、今回、アンケートでわかったのは、では、どこで使っているかというと、例えば抗がん剤のようなものです。それはさすがに物すごく危ないだろうと製薬会社のほうも思って、やはりCRにすると。かつ値段が高いものは、ちょっとずつCR包装になってきているわけです。
先ほど持丸委員長代理がおっしゃったような、やはりボトルでないものについてはやりにくい。一般の普通に家庭にある薬には、そういう包装が多いですので、特殊な薬については進んでいるのですけれども、そうでないものについては、そうでもないという状況で、そこをどうやって、先ほどの「こまもり袋」も含めて、ほかのアプローチもあるかとか、それから、シニアフレンドリーとチャイルドレジスタンスが両立しにくいという厚労省等からの反応なのですけれども、本当にそうなのかというところは、もう一度、我々も検討できないかと考えているところです。

(持丸委員長代理)
私個人は、消費者庁でこれをやる前からこの事故にかかわっておりまして、若干個人的な感想ですが、そのころから考えると、とにかく動いたというのは、私個人の中ではすばらしいことだと思っているのです。それほどこの案件は、非常に誰がやらなければならないにも障壁があって、私どもが東京都と実施したときも、東京都が予算を出して、薬局で試しにやった期間だけは動きましたけれども、そこから先は全部ゼロに戻ってしまったと。それに対して、119社中で22社、82製品にとにかく導入ができたのは、大きな一歩だと思っています。
我々として、今度は何をしっかり見なければならないかというと、実は、薬効の厳しいものについて、とにかくやってくれというのが、我々の意見です。
それに対して、薬効が強くて、かつ薬価が高いとか、ボトルというのが入って、危ないのだけれども、別に全ての製品でやる必要はないのです。ビタミン剤などはそんなにリスクはないので、そうではなくて、リスクがあるのだけれども、薬価がたまたまそれほど高くなかったとか、PTPばかりですごくやりにくかったようなものが、どれだけ残っているのかというのを、しっかりフォローしながら、あと、どこを攻めなければいけないか。それに対して、今までどおりでいいのか、先ほど言った「こまもり袋」みたいなものも含めてやっていくのかという、そういうあたりを見ていく必要があるのかなと思っています。

もう一点、個人的に気になっているところなのかもしれないのですけれども、今言った高齢者と子供というときに、やはりどちらを基準に置くのかというのは、恐らく薬に限らない、特に製品事故には起きてくるのではないかということがあるのですけれども、私個人的には、子供のほうが知識もないし、危険度が高いのではないかなという思いもあるのですが、そのあたりの基準をどこに置くかというのは、今後、何か考えていらっしゃるところはあるのでしょうか。

(持丸委員長代理)
まず、これは世界的な問題でして、残念ながら、世界的にも、これをどこへ水準を置くかというコンセンサスはありません。
例えばわかりやすい事例でいくと、今、この医薬品の話と、今日は全然関係ありませんが、ライターという話が非常にわかりやすい例で、私もよく申し上げているのですが、どちらも実験上は、高齢者が使えるという範囲で抑えていて、子供に使いにくくするというので抑えているのはそのとおりです。
一方で、ライターのほうは、思い切って法規制をしてしまって、こちらではそうではないというのは、やはり使い捨てライターを使うということが、どれだけ生命とか、健康の維持にクリティカルかということです。マッチもあるではないかとか、使い捨てではないライターもあるではないかという選択肢が、医薬品の場合はないのです。
それを摂取しないことが、高齢者にとっても命にかかわる問題になってまいりますので、やはりこちらにとっては、シニアフレンドリーというのは、ライターなどに比べると、はるかに重要な問題で、必ず守らなければならない問題だとなってくると思います。
その中で、どれだけ技術やデザインで、双方がうまくバランスできるようなところを見つけるか。あるいは制度上の工夫をどうするかというところだと思います。
ちなみに、これは我々が研究した結果なのですけれども、高齢者の方は、実は出せるのです。つまりちょっと固くなっても、実は出せるのですが、今までと同じ力で出せないと、それ以上の力を出そうという気がしないと。これが結構大きな問題です。
例えばチャイルドレジスタンスライターを高齢者につけてくれというと、ほとんどの高齢者がつけられません。目の前でつけてみせると「あっ、強く押せばつくの」ということで、強く押す気がするのです。これは、つまり力が出るかどうかではなくて、今までそんなに力が要らなかったから、力を出す気がないのです。それで、出せませんよという答えを出してしまって、周りにそういうことをおっしゃってくれる人がいれば「何だ、前より頑張ればいいのね」ということになるのですが、そうではないと、ただ押せないということになってしまう。力だけの問題ではなくて、認知的な問題が結構入っているので、割と問題としては、難しいことにはなっています。

毎日新聞のオカです。
今日、お話がなかったのですけれども、今、調査中の案件の今後の御予定で、もし、お聞きできるものがあれば、教えてください。

(中川委員長)
調査中の案件はいろいろあるのですけれども、どれがいいですか。

(持丸委員長代理)
どれも答えは同じだと。

(中川委員長)
どれもお答えできることは限られているので,答えは同じですけれどもね。
例えば幼児同乗中の電動アシスト自転車事故については、今、言えることは実機を使った走行テストは終わりましたということで、その点では進歩しています。それについて、今、事務局において取りまとめ中ですので、今日は委員会にまだ上がってきていないですけれども、そういう作業段階にあるということは聞いております。
あとは、お話しできることが特にないですね。調査継続中であるとか、審議継続中というものばかりです。