記者会見要旨
(2019年11月28日(木) 12:15~12:30 於:消費者庁6階記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
よろしくお願いします。
本日の調査委員会では、新たな調査案件として、水上設置遊具による溺水事故をテーマに、事故等原因調査を行うことを決定いたしました。
2019年8月に遊園地のプール上に設置されていたアスレチック型のエア遊具施設で、ライフジャケットを着用して遊んでいた女児が行方不明となり、約1時間後、遊具の下の水中で発見されたという非常に悼ましい事故がありました。これを発端として、事故等原因調査を行います。
本件重大事故と同様の水上にエア遊具を浮かべて設置するという施設は、全国に少なくとも30カ所以上あるということから、本件重大事故の原因を分析し、同種類似の事故の再発防止策を示すことが必要と考えました。
どのような観点からの調査を行うかの詳細については、今後の検討となりますが、現時点では、エアマットの中に入ってしまった要因のほか、製品設計のあり方等につきましても、さらに監視の仕方についても検討していくことになると考えています。
その他、本日は、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故、その他につきまして、さまざまに審議を行いました。
続きまして、今月の部会の動きについて、持丸委員長代理からお願いします。
(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸でございます。
今月開催した部会の議論を紹介いたします。
製品等事故調査部会では、ただいま話のありました幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故に関する審議を行いました。それから、私が部会長を務めておりますサービス等事故調査部会では、本日の委員会で選定されました水上設置遊具による溺水事故についての審議を行いました。
私からは以上でございます。
質疑応答
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問
(司会)
それでは、質疑に移らせていただきます。
御質問の際は、社名、氏名を述べられてから、一問ずつ簡潔にお願いいたします。
それでは、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
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問
朝日新聞のカネダと申します。
全国に同様の施設が少なくとも30カ所あるというお話でしたが、死亡例まではなくとも、そういうヒヤリハットとか、そういった情報は、現時点でどれぐらい寄せられているとか。
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答
(中川委員長)
溺水事故ということになると、ヒヤリハットも含めて、情報ははっきりしていません。溺水以外の事故情報はあります。例えば転落とか、それはいろいろあるのですけれども、今回は、差し当たりは溺水で考えています。
(持丸委員長代理)どうも我々が今調査している形では、遊具そのものは古いのですけれども、最近急に増えてきているという状況があるようで、それで、事故件数はもしかしたら、まだそんなに、死亡事故みたいな形では顕在化していないのかもしれないのですが、今まで我々が見ていなかったリスクがここにはありそうだという観点で、しっかり調査をしていきたいということでございます。 - 問 すみません。冒頭にいなかったので、二重になってしまったら、大変恐縮なのですけれども、8月に起きたことを改めて、少し時間はあいてしまったけれども、やる意義というか、やる思いみたいなものを改めて、委員長、お願いします。
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答
(中川委員長)
この種の施設が全国で少なくとも31件あるのですけれども、これがはやり始めたのが比較的最近なのではないかと思われます。正確なところではありませんが、おおよそ3年ぐらい前からはやり始めて、そして、どういう製造事業者がつくっているか。これもはっきりよくわからないです。輸入のものも含めてです。
現在、警察の捜査も含めて事故原因の調査がされていますけれども、事故の再発防止という観点からすると、十分な検討がなされない可能性はあると考えています。たとえば事業者団体がはっきりしていれば、そこで安全策を考えることが期待できるのですが、どうもそういう状況ではなさそうで、このままでは再発防止策について誰も検討していない状態になるおそれがあります。溺水事故の情報自体はまだ1件だけなのですけれども、考えてみれば、繰り返し起きてもおかしくない事故ではあるのです。
プールですから必ず浮き輪をつけている。ところが浮き輪をつけることによって、ますます、あるいはつけていなくても一緒かもしれませんけれども、その遊具の下に入ってしまうと、本当に浮き上がれない。ちょうど飛行機に乗るときに最初に言われる事故対応マニュアルをお考えください。もし着水した場合、肩につけて膨らませるものを着けよと指示されますが、それは機外に出てから膨らませること、中で膨らませたら、飛行機の中に閉じ込められてしまう。あれと同じ構造ですので、非常に危ない状態なのです。
もう一度起きてもおかしくない事故であり、かつ再発防止策について所管がはっきりしない状態ですので、そういう意味では、潜在的に極めて危ないということで、調査をする意味があると考えています。
(持丸委員長代理)
サービス部会でやることになったのですけれども、もう一つの大事な理由は、とにかく夏に向けて間に合うようにしたいというところがございます。
もちろん、正直なところ、今から始めて夏までに完全な調査報告書ができるかどうかは、ちょっと難しいのですが、少なくとも、何らかの調査結果を間に合わせたいと、完全なものではなくてもですね。
さらに考えてみますと、それが夏の直前に出てきて、製品を変えてとか言っても、もちろん多分、調査報告書の中には、そういうものが入る可能性もありますが、サービス部会で引き受けたということは、例えば附帯的なセーフガードであるとか、監視体制であるとか、遊ばせ方といったような、もしかしたら、もう製品は買ってしまって、オープンすることになっていたとしても、まだ間に合うような手段が残されているのではないかと。
我々としては、そこを考えているところがありまして、答えがどうなるかは、まだ何とも申し上げられませんけれども、急ぎ選定できないかということを検討したと、そのような次第です。 -
問
共同通信の田中と申します。
今回のようなエア遊具について、一般的に規制ですとか、そういった基準を設けているルールのようなものはないという理解でよろしいでしょうか。
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答
(中川委員長)
ないと理解しています。 - 問 ありがとうございます。
- 問 事故のシナリオをもう一回確認させてほしいのですけれども、先ほど、エアマットの中に入ってしまったとおっしゃったと思うのですけれども、下に潜り込んだという趣旨の理解でいいですか。
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答
(中川委員長)
そうです。 - 問 そのライフジャケットの浮力によって、そういうことも起きた可能性があるのではないかというお話ですよね。わかりました。
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問
毎日新聞のオカです。
以前にもちょっとお聞きしたことがあると思うのですけれども、これは関連の事業者団体などはないということでいいのですか。
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答
(中川委員長)明確にはないのではないかと思います。輸入も、多いか少ないかはわかりませんけれども、それなりにあるだろうと想像されます。この点について事務局のほうから何かありますか。
(事務局)
完全にないかというと、そうでもなくて、日本エア遊具安全普及協会というのがございます。こちらのほうでは、私も新聞で拝見した情報でございますけれども、こういった水上に設置するエア遊具について、何がしかのガイドラインを策定する方向という情報は得ております。
ただ、業界団体ではございますけれども、完全にそれらを掌握し切れているということでもなくて、国内のメーカーはある程度入っていって、あと、輸入業者が幾つか入っているようなのですけれども、そういったところを全て押さえ切れているわけではない。全てというのはちょっと難しいかもしれないですけれども、大半を押さえ切れているかというと、そうでもないようでございますので、そういったところをコントロールできているところが、今のところはないに等しいのではないかというところでございます。 - 問 ありがとうございました。
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答
(事務局)
補足なのですけれども、先ほど基準があるかというお話がございましたけれども、水上のエア遊具に特化したものではないのですけれども、先ほどお話のありましたエア遊具安全普及協会のほうから、安全に関する10カ条というものが、陸上に関してになってしまうかと思いますが、そういったものは出てはございますので、補足させていただきます。