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記者会見要旨
(2019年10月29日(火) 16:24~16:45 於:消費者庁6階記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
よろしくお願いします。
今日は持丸委員長代理がお休みですので、私一人で会見をさせていただきます。
本日の調査委員会では、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故に係る事故等原因調査についての経過報告を審議、決定いたしました。 本件調査については、調査を開始した平成30年11月から1年以内に事故等原因調査を完了することが困難であると見込まれる状況にあることから、消費者安全法第31条3項の規定に基づき、これまでの調査の概要と今後の調査について示した経過報告を公表するものです。
本経過報告においては、主な事実情報として、公益財団法人交通事故総合分析センターの交通事故統計の事故件数を記載しておりますが、幼児同乗中の自転車の事故対応につきましては、事故に至る直接的、間接的な原因が先ほどのデータからは必ずしも明確ではないということから、より深く実態に踏み込んだ検証をすることとしています。配付した紙の最後の4ポツのところで書いてありますように、2つの調査を行っているところです。
一つは、使用実態調査です。自転車の停止から幼児の乗せ降ろし、発進までの実態をアンケート及びヒアリング等も実施しながら実態把握に努めています。関東及び関西の幼稚園、保育園の協力を得て、利用現場での映像撮影も含め、アンケート、ヒアリング等を行っているところです。ちょうど今、そのまとめができたところと聞いていますが、今日の委員会審議に間に合っていませんので、経過報告書でも,使用実態調査で何がわかったかは書かれていません。
もう一つの調査が、走行テストです。設計面での問題があるかということです。幼児同乗用自転車の実機を用いた走行テストも行い、転倒リスクと相関性の高い要因を特定するなどして、走行安定性についての検討を行っていきたいと。これも現在やっている最中です。
調査委員会としましては、可能な限り早急に再発防止策を示したいと考えています。
これが1点目です。
2点目は、ハンドル形電動車椅子を使用中の事故のフォローアップについて議論を行いました。これまで確認が未了であった厚労省、国交省、消費者庁の取り組み状況について審議をいたしました。今回確認した主な取り組み状況は次のとおりです。
まず、ハンドル形電動車椅子の運転に必要な知識、教育と危険回避に必要な技能訓練の実施を目的としまして、消費者庁において「ハンドル形電動車椅子安全利用に関する知識・技能についての教育・訓練の基本項目」というものが策定されたという報告がありました。消費者庁によりますと、ハンドル形電動車椅子のレンタル利用者に対しては、日本福祉用具供給協会等によって、先ほどの基本項目に基づく講習会が実施されているとの報告が厚労省からあったということです。
加えて、8月の審議では、その記者会見でも申し上げましたけれども、経済産業省、厚労省と我々調査委員会が出した意見の解釈に齟齬がありました。その後、相互に調整をいたしまして、経産省においては、踏切での介助者なしの単独走行に係るリスクアセスメントを実施していただくことになりました。
厚労省については、運転適正と事故の関係について、これまでよりも規模を大きくした調査を計画していただくことになりました。
国土交通省につきましては、脱輪した場合でも自走で踏切道へ復帰できるような踏切道側部の構造について、関係の会議体などでこれらの情報を周知し、問題意識を共有されるということになりました。
以上の確認をいたしまして、調査委員会としましては、今回の取り組み状況の確認を一旦終えて、引き続き類似事故の発生や意見先行政機関の取組状況を確認していくというモードに移ることにしました。
3点目ですが、家庭用ヒートポンプ給湯器事案及び家庭用コージェネレーションシステム事案のフォローアップについても議論を行いました。
同種、類似の事案のリスクが許容可能な程度に減少したとはまだ言えないと考えていますが、とはいえ、根本的な解決のためには、低周波音固有の人体への影響の有無及びそのメカニズムの解明が必要であるわけですが、そのための調査が環境省において進められているところです。これはなかなか時間がかかると覚悟をしています。当面は事故の発生状況の経過観察を行っていくということで、メーンは環境省の調査を待つということです。
その他ですが、新たな選定事案の候補等について審議を行いました。
続いて、今月開催した部会での議論を紹介いたします。
製品等事故調査部会では、幼児同乗中の電動アシスト自転車について審議を行ったということです。サービス等事故調査部会では、新たな選定事案の候補について審議したと聞いています。
冒頭、私からは以上です。

質疑応答

(司会)
それでは、質疑応答に移らせていただきます。
御質問の際は、社名、氏名を述べられてから、一問ずつ簡潔に御質問願います。
それでは、質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。

(記者)
朝日新聞のノムラです。よろしくお願いします。
幼児同乗自転車の調査についてなのですけれども、使用実態調査のまとめができたところということだったのですが、これはこの後別途そこだけ内容を発表されるのか、あくまで報告書のときに公表されるのかというのはわかりますか。

(中川委員長)
それは内容によるのですけれども、例えば緊急性があるとかということがあれば、恐らくその部分だけ切り出して報告はあり得ると思います。そうではなくて、これを現状のまま公表しても意味がわからないだろう、もう少し整理しないと,ということになると、常に緊急性とのバランスですが、基本的には報告書でお示しすることになると思います。

(記者)
報告書の公表時期のめどというのは。

(中川委員長)
まだ全然わからないです。

(記者)
まだ時間がかかるかもしれないですけれども、例えばこういう事故は多分入園の春の時期にふえるという傾向があると思うので、例えばそれまでにとか、そういうめどは。

(中川委員長)
できればとにかく早くしたいのですけれども、設計の走行テストのほうが、始めてはいるのですが、まだどのぐらいかかるか目処は,事務局としてもまだわからないのではないかと思います。
アンケートなどの使用実態調査のほうは、ちょうど今、取りまとめをしている最中だと聞いていますので、その分析は1カ月、2カ月先というところだと思います。そんなに時間がかからないと思うのですが、走行テスト調査のほうは何しろ、設計がうまくいっているかというのは極めて難しい話ですので、いつ出来上がるか想像がつかないのです。もしそれが非常に時間がかかるということであれば、使用実態調査だけ切り離して公表するということもあると思いますが、今のところは全く、どちらも我々委員会としてはまだ見ていないので想像がつかないところです。

(司会)
ほかに質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。

(記者)
ニッポン消費者新聞のマルタです。
今の関連なのですけれども、今後の調査ということで使用実態調査と走行テストと書いてありますが、電動アシスト自転車と通常の自転車、つまり、幼児同乗のあれは区別してやっていると理解していいのですか。区別しているのでしょうけれども。

(中川委員長)
電動アシストを対象にしています。幼児同乗中の電動アシスト。

(記者)
結局、電動アシストの事故と電動アシストでない通常の自転車の事故の原因というのはまだ区別されていないということですか。

(中川委員長)
ここは事務局からお願いできますか。

(事務局)
電動アシストについては、対比の意味で非電動アシストの自転車についても調べる対象には入っております。それから、事故の形態によって、例えば停止中に転倒してしまうというのは電動アシストのあるなしに関係なく起こる事故でございますので、これはその区別なく調査の対象にするというような形で、そんな形で混在しているということでございます。

(記者)
つまり、非電動アシストの自転車の事故と電動アシストの事故というのは区別されているということですか。それとも、同じだということですか。

(事務局)
同じではないと考えています。区別して調査をする予定でございます。

(記者)
それと、先ほど委員長がおっしゃった、家庭用のヒートポンプと家庭用のコージェネの事故のフォローアップなのですけれども、これは報告書をまとめた以降、事故とか苦情とかというのは来ていますか。

(中川委員長)
申出はありまして、それについては毎回審議しておりますけれども、現時点で新しく取り上げているものはありません。我々が今、新しい知見を得られそうだという見込みがないためです。前回出した報告書はそうでしたけれども、原因は推測はされるのですが、いまひとつ明確なところまで特定できないので、中期的な徹底した調査が必要だということで環境省にお願いしているわけです。それを待たずにすぐにやるべきだというほど、新しい事象が出ているわけではないと考えていますので、結局、同じ原因なのだろうけれども、その原因が明確にできていない。ですので、対策も、前回の報告書で示したものと異なるよりよい対策を打ち出すべきだというような情報が得られているわけではないので、今のところは経過観察というような状況です。

(記者)
もう一点、サービスの部会なのですけれども、先ほどの新しい案件というのは何ですか。

(中川委員長)
それはまだ公にできません。委員会として採用するかどうかまだ決めておりませんので。サービス部会で色々審議した後、委員会に来ます。委員会で取り上げるかどうかを決めますので、組織としてはまだ色々調べている状態なのです。

(司会)
ほか、質問はございますでしょうか。

(記者)
毎日新聞のオカです。
事故のデータなのですけれども、たしか調査を始めるときも、電動かどうかの区別がなかったと思われますけれども、事故件数のデータとしても分離できないということで変わりはないですか。

(中川委員長)
これは分析センターの話ですか。事務局からお願いします。

(事務局)
全く区分できなくはないのですが、これはあくまでイタルダ、分析センターのほうは交通事故として通報されたものでございますので、そのときに電動アシストであるという記録がなされればそれは残るのですけれども、そこが十分ではないところもありますので、今回この資料には電動アシストの件数は載せませんでした。

(記者)
もう一つの消防庁のほうは区分されていないということですよね。分けられていないということでしたよね。

(事務局)
ないわけではないのですが、同じようなステータスになっています。

(記者)
あと、別件で、電動車椅子のほうは、これで一旦フォローアップとしては終わりというか休止というか。

(中川委員長)
それはどう表現するかなかなか難しくて、さっきも室長に確認していたのですけれども、フォローアップの終了ではないのですよね。何と表現するのでしたか。

(事務局)
取組状況の確認というのをフォローアップとしてやっておりまして、今回2回目になるのですけれども、そちらについては一旦意見先がこうしていますというような回答とかをいただいていますので、それをいきなり、またすぐにどうなりましたかと聞くわけにもいきませんので、ある程度期間を置いてから、その取組といいますか、その進捗状況について確認させていただくという段階に入ったということでございます。

(中川委員長)
こう説明していいのですかね。フォローアップするという場合は、例えば次いつやりますと締め切りをつくりますよね。今回、締め切りは明確につくっていない。約1年は考えている。

(事務局)
そこは、意見先と完全に切れてしまうわけではありませんので、ある程度状況が見えてきて説明できるという段階になりましたら説明していただくということになると思います。

(中川委員長)
何だか微妙な感じですね。フォローアップというとやっていないじゃないかという感じもするのですけれども、そうではないし、やってくれている。だけれども、じゃあいつかというわけにもいかないから、約1年ということなのです。それとも、こちらからどうですかと聞きにいく感じですかね。

(事務局)
期間は限定できていないのですが、ほぼ大体1年ごとぐらいの目安でやらせていただいています。

(司会)
ほか、質問はございますでしょうか。

(記者)
朝日新聞のカネタと申します。
電動アシスト自転車の関連なのですけれども、これは事務局でもいいのですが、当初の見込みより少しおくれぎみなのかどうか。というのは、掘っているうちにもう少し知りたいのがたくさん出てきてとか、どんな事情でというのを少し伺ってもいいですか。

(事務局)
当初の予定としては1年という区切りがあって、今回経過報告ということになっているのですけれども、ここに挙げさせていただいた事故情報分析データでは、そちらにも書いてございますが、直接的、間接的な要因がなかなかわかりづらい。事故状況を読んでいるだけではわからないということで、現場での調査あるいは実機を走らせての調査をやろうということになっておりますので、そこはやはり準備も含めてかなり時間がかかるということでございます。

(記者)
わかりました。
素人考えなのですけれども、調査のスタート地点でそういう基礎データはある程度そろっていて、そこに少し時間がかかっているというのは余りイメージできなかったので、ちょっとお尋ねしたのですけれども。

(中川委員長)
我々、どの調査も始めるときには大体どのぐらいでというスケジュール表を必ずつくるのですけれども、それを見ると、なるほどこんなに時間がかかるのかと思います。例えば、最初にデータベースを調べますが,それが早くても1カ月です。何も出てこない。では次に何が必要かと考える。設計、性能テストと、それから使用実態。使用実態の調査が始まるまでに意外に時間がかかって、はっきり覚えていませんけれども、3カ月ぐらいかかった。組織ですので一つ一つ決裁をとるための時間も必要。それから、どこの幼稚園、保育所にお願いするか。そこでまたいろいろな守秘義務の取極書を作らなくてはならないし,委員会の承認が必要とか、そうやってやっているうちに、あっという間に半年が経つという感じなのです。実態調査に入る前に半年もかかってしまう。これをもっと早くできないかと思うのですが、でも、事務方の話を聞いていると、相当に頑張っていただいているのですけれども、組織でやっているとなかなか時間がかかっています。

(記者)
ありがとうございます。
まさにそういう問題意識で伺ったのですけれども、世の中の関心も高いでしょうし、かなりスレポンスを早くやったほうが反響も大きいテーマでしょうから、そういうリソースを使ってどんどん進めるところは進めていただきたいと、これは質問ではなくて要望です。

(中川委員長)
ありがとうございます。

(記者)
もう一つは、今後の調査のところで、とりわけ設計上のほうのものは、まだこれから網羅的に調べるという話なのか、ある程度筋のいい、出口がある程度見えていて、もう少し時間をかけたいという話なのか、どちらでしょうか。

(事務局)
走行テストのほうは今、準備中で、実験自体は今後実施するのですけれども、ある程度当たりをつけてはいますが、何分実験ですので、観測データがどれぐらい、どんな形で集まるかというのを見てみないとなかなか判断できないということがありますし、かなり膨大なデータになると思いますので、それがまた少し時間がかかるかなと思うのですが、全く想定がないわけではありません。

(記者)
わかりました。ありがとうございます。

(司会)
ほか、質問はございますでしょうか。

(記者)
1つだけすみません。今の幼児同乗用の、これは最初、去年の11月に出発したときは、電動アシスト自転車であるか、電動アシストがない普通の自転車、幼児同乗ですけれども、これをなぜ電動アシストにしたのかということをもう一度お願いしたいです。

(中川委員長)
一つはやはり使用例がとても多いことです。そして、電動アシストを過信するといいますか、子ども2人を同乗させるというのはますます危ないわけです。アシストなしで2人というのはなかなか脚力が要ると思うのですけれども、アシストがあるとできるが,その分危ないかもしれない。そういう意味で、より危険性が高い可能性のあるのが電動アシストだろうと私は理解しております。この理解で正しいか、事務局からもお願いします。

(事務局)
電動アシストについては、一つは幼児同乗用、お子さんを乗せて走るという大きい特性が一つ。それから、電力を使ってアシスト力、補助力があるというもう一つの理由があります。その大きい2つの特性を持っているということで対象にしたということと、資料のほうにもございますけれども、幼児2人同乗用の自転車の要件というものが策定されて、基準ができて、2人乗せられるようになったのがちょうど10年前ぐらいなのです。それと、電動アシストのアシスト比率というのが、法令が改正されて、今まで人の力の1倍だったのが2倍まで引き上げられている。これもほぼ同じ時期で10年たっているということで、その後の状況についても調べる必要があるのだということも理由の一つになってございます。