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記者会見要旨
(2019年9月30日(月) 16:15~16:30 於:消費者庁6階記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
それでは、最初に、概要について私からお話をいたします。
本日の委員会では、調査委員会が平成30年9月の報告書を公表した電動シャッター動作時の事故のフォローアップとして、経済産業省及び消費者庁に出席いただき、調査委員から具申した意見に対する取り組み状況について、公開でヒアリングを行いました。
本件について、経済産業省からは、電動シャッターへの安全装置の装備について、JISの改正に向けた検討中であること、また、製造事業者や業界団体の取り組みについて説明がありました。また、保守点検に関する取り組みや課題についても説明がありました。
消費者庁からは,ニュースリリースや自治体への通知の発出等を通じて、電動シャッターの所有者や利用者である消費者への周知をしている状況について説明がありました。
その上で、事故防止のため、さらなる取り組みについて意見交換を行いました。これが1点目です。
2点目は、新たな事故原因調査を行うことに決めました。申出を契機として、自動ドアによる事故をテーマに、事故等原因調査を行うということを決定しました。
自動ドアによる事故は、別途今日お配りしていると思いますが、この資料のとおり、継続的に幅広い年代で発生している事案です。
自動ドアは、1950年代後半から広く普及し、現在、日本国内では200万台以上の自動ドアが稼働していると推定されていることから、自動ドアの安全性について、これまでの事故の原因を分析し、再発防止策を示すことが必要と考えています。
少し敷衍させていただきますけれども、自動ドアの方式はさまざまありますが、そのうち8割以上を占めると言われる引き戸式を対象にします。また、今まで消費安全調査委員会では、エスカレーター、エレベーター、立体駐車場、シャッターというように、モーターと人間が共存する場面で起きた事故を扱ってきましたが、その延長上に、今回の自動ドアによる事故を位置づけているとお考えいただいてよろしいかと思います。詳しくは、後から持丸委員からいろいろお話しいただけると思いますので、よろしくお願いします。
3番目は、子供による医薬品の誤飲事故のフォローアップです。
まず、チャイルドレジスタンス(CR)包装容器の導入に関する厚労省の取組状況について、事務局から報告を受けました。
厚労省の取組状況として、子供の医薬品誤飲事故防止につながる医薬品の包装容器のあり方に関する研究における調査検討の結果及び提言内容等の報告を受けました。また、フォローアップの一環として、公益財団法人日本中毒情報センターに寄せられた、子供による医薬品誤飲事故に関して情報分析を行いましたので、その結果の概要を公表することを決めました。
調査委員会が平成27年11月に公表した報告書と同様に、子供の発達に応じて起こりやすい特徴があるということなどが確認できました。
公表資料につきましては、後で事務方より説明をさせていただきます。
調査委員会は、子供による医薬品誤飲事故を防ぐためには、CR包装容器の導入と消費者への周知を通じて、家庭における医薬品の適切な管理を促すことが、いずれも重要であると考えております。
引き続き意見に対する取組状況を整理し、委員会としての取り組みを検討したいと考えております。
4番目、これが今日の最後ですが、調査委員会が平成31年1月に報告書を公表した、住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等のフォローアップとして、調査委員会から具申した意見に対する経済産業省の取組状況について確認を行いました。
通常、フォローアップは、報告書の公表から1年後をめどに行っておりますけれども、今回は応急の点検が必要であるということでしたので、前倒しする形で、特に応急点検の実施状況について確認を行いました。
現時点では、最大約2万5400邸が応急点検対象邸数ですけれども、この8月の段階で、そのうち約2,000邸までモジュールメーカーによる応急点検が実施されているということでした。1割弱ですけれども、これがこの1年後、来年の1月までにどれぐらい増えるかというところを、また引き続き注視していきたいと思います。
また、意見では、新たに設置される住宅用太陽光発電システムについては、鋼板なし型のものについては、設置形態の変更を求めています。
この意見に基づいて、箇所により対応方法は異なりますけれども、いずれも設置形態での変更での対応がなされているという報告を受けています。
私からは以上です。
続いて部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
今月開催した部会での議論を紹介いたします。
製品等事故調査部会では、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故に関して、調査として実施する走行実験の内容等について審議を行いました。
それから、私が部会長を務めますサービス等事故調査部会では、本日選定されました自動ドアによる事故について、どのような視点で調査を進めるべきかといった点について審議を行いました。
私からは以上になります。

質疑応答

(司会)
それでは、質疑応答に移らせていただきます。
御質問の際は、社名、氏名を述べられてから1問ずつ簡潔にお願いいたします。
それでは、質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。

NHKのアキヤマと申します。
2点質問させていただければと思うのですけれども、1点目が、今日公開で行われていたシャッターの件なのですけれども、フォローアップということでしたが、進んだのか、おくれているのか、私個人としては評価しにくいものだったのですけれども、委員長としてはどのように受けとめられたかというのが1つ目の質問です。
2つ目が、今回挙げられていた延長線上にあるという自動ドアの件なのですけれども、特にどういった事例というか、どういった申出を受けて事故調として扱うべきだと判断されたのかというのを教えていただければと思います。

(中川委員長)
まず、今日の公開ヒアリングのシャッター事故の件ですね。
JISについては、今年中に原案ができるという報告をいただきました。報告書から1年を超えておりますけれども、きちんと進展されているのではないかと理解しています。
JISの案がどのようなものかというのは、まだこれからですので、それについて我々が意見を言うかどうかはまだわかりませんけれども、JISの作成に関しては適切な対応をされていると思います。
他方で、既設のものについて安全装置を後づけできないかということにつきましては、まず、その把握が難しいということもあるでしょうし、把握できても所有者の方が、うちは大丈夫だとか、事故が起きていないということでなかなか対応していただけないということをおっしゃっていまして、これは十分ではないと思います。とはいえ,これは本当に地道にやるしかなくて、シャッター事故が非常に悲惨なことになるのだという意識が、所有者側、あるいは施設をつくる側にないと、やはり後回しになってしまいがちですので、対応が困難であるということは理解しています。
だからといってそのままというわけにもいかないので、これは引き続き、また来年に向けてフォローアップをやっていくと決定したところです。
十分と思っておりませんが、かといって妙案があるわけでもなく,地道にやるしかない問題です。地道にやるように関係団体を指導していきたいともおっしゃっていましたので、それがどの程度結果が出るかということを、また来年に向けて見ていきたいと思います。
2点目の自動ドアに関してですが、詳しくは私よりも持丸委員に聞いていただくのがいいと思いますけれども、配付されたものをごらんいただければと思いますが、重大事故になっているのは、なぜかというのはなかなか難しいのですけれども、50歳代以上なのです。転倒が絡んでいる。押されて転倒して、その結果ということですので、それが本当に年齢に限定されているのかどうかということも含めて調査しなければいけないのですけれども、我々自身も、普段ひやっとすることがあるだろうと思います。まだ開いていないものにぶつかったり、閉じようとするものにぶつかりそうになったり。事故を見ると挟まれたというのが一番多いということですので、意識されていない、安全と思い込んでいる動くもので、最後かどうかわかりませんが、大物として残っている案件なのだろうと思います。
この点は、持丸委員にお願いします。

(持丸委員長代理)
改めまして、持丸です。
まず、私からもシャッターについて少し追加でコメントを申し上げますが、私も委員長と同じでして、とにかくJIS制定に向けて動いているという点は非常によいことだと思っています。
少し私から追加をいたしますが、JISというのは、基本的に任意の規格なのですね。したがって、皆様方からすると、それ自身に強い法的拘束力はないではないかということなのですが、あながちそうとも言えなくて、JISで明らかにこういう安全対策をとるべきであると言っているのに、その安全対策をとらなかったがゆえに事故が起きた場合、まず民事で負けます。ということを考えますと、やはりリスクを考えると、JISで公開された安全対策はとっておかなくてはいけないということになります。
これに対して、例えば今回のシャッター、実はこの後お話しする自動ドアもそうなのですけれども、製造メーカーは大手の少数のところがかなりのシェアを持っています。したがって、製品で直せるのだとすると、そういうところはJISにすぐ準拠しますので、非常にインパクトがあるのですが、若干難しいのは、今、委員長からも話がありましたとおり、それを設置して運用しているところが非常に多岐にわたっていて、その段階で運用上少しチューニングができたり、製品に合ったセンターをつけないでおこうという選択ができたりするという部分が、少し難儀になっています。
これに関して、とにかくJISができますと、いろいろな形でこういう安全基準ができましたよというのが、皆さんも含めてさまざまなメディアで出てまいりますので、それが大手メーカーだけでなくて、知らしめる効果があるだろうというのを一つ期待をしております。
もう一つは、私、JISの専門家でもあるのですけれども、実はJIS法が改正されまして、現時点では製品だけでなくて、役務もJISの対象になっています。したがって、考えようによっては、理論的には運用保守もJISの一つの枠組みになると考えられると、新しい製品をこうしなさいだけでなくて、施行やそれ以降の保守点検についても、もしかしたら言及できるのかもしれない。これは原案がどうなるか、我々もわからないですが、そういったところを視点に見守っていきたいと思っています。
肝心の自動ドアですが、申出について詳細をお答えできないのですけれども、本日配付されている資料の冒頭にありますように、店舗入り口にある自動ドアから入ろうとしたところ、突然閉まり始めたドアが体にぶつかって、どうもそれに起因して、転倒して骨折したといった事案がありまして、これに関連して幾つか調べたところ、別にこの事案だけではなくて、身体に危害が加わるような事故が他にもありそうだということで、関連する事故を調査したり、あるいはそれにかかわる既存のJISとかそういうものを調査して、我々としては、これはもう少し安全に向けて取り組むべきではないかという判断をしたということになります。

(司会)
ほかに質問はございますでしょうか。

(記者)
朝日新聞のカネタと申します。
今の持丸先生のお話を少し確認させていただきたいのですけれども、運用保守の話は、今、自動ドアのお話をされていたのでしょうか。電動シャッターのほうでしょうか。

(持丸委員長代理)
一般論から言うとどちらもということになりますが、少なくともメインでお答えしたつもりはシャッターのほうです。シャッターのほうについて、新しいJISが作成されていて、今、作成しているということは、法律施行後の作成ですので、理論的には役務もJISの範囲に含めることができるので、方法論の問題ですが、そこまで考えたものにしてくれると、その結果として広く安全が担保できるようになるとよいなと思っているということです。
ただ、それを演繹して考えますと、もしかしたら自動ドアについても同じようなことが考えられるかもしれない。これは個人的に、今、そう思っております。

わかればで結構なのですけれども、まさにシンドラーエレベータのときには、運用保守の会社が自分勝手な直し方などをして事故に至ったという指摘がされたのですけれども、このシャッターとか自動ドアもそういう傾向があるのでしょうか。

(持丸委員長代理)
シンドラーのケースも含めたエレベーターの事案もここで扱ったわけですけれども、厳密に言うと類似している構造はあるのですが、問題構造が若干違っているところがあって、一概に同じような構造とは言えないと思います。
例えばあのときは、既に報告書でも書きましたけれども、保守点検業者が変わったときに、そこに情報がきちんと伝達されているかどうかとか、そういうところにおいて少し問題があったということです。
今回は、ドアの方はこれから調査ですし、シャッターの方については、むしろ新しい安全装置がまだ十分についていないとか、そういう意味で、一様に保守とか点検といっても、エレベーターのときとは様相が違っていると理解しています。
ただ、全般から言うと、安全というのは、製品を出荷する段階だけで担保するわけではないですよという意味だと思っています。

(司会)
ほかに質問はございますでしょうか。

(持丸委員長代理)
今、事務方から来たのですが、シャッターのJISは既存のものがあって、今、ちょうど改正の議論をしているということだそうです。済みません。少し修正します。