記者会見要旨
(2019年4月25日(木) 16:14~16:30 於:消費者庁6階記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
よろしくお願いいたします。
本日の委員会では、調査委員会が平成30年4月に公表した教育・保育施設等におけるプール活動・水遊びに関する実態調査のフォローアップとして、内閣府に出席をいただき、調査委員会から具申した意見に対する取り組み状況について公開でヒアリングを行いました。また、出席されたのは内閣府の方1名ですが、文科省及び厚労省の代理ということでもあったと理解しております。
内閣府からは、毎年、プール活動・水遊びシーズン前に都道府県等の関係機関に対し、注意喚起のための通知を発出するなどの取り組みが行われているということでございました。本日のヒアリングにおける内閣府からの報告によりますと、平成30年度においては、市町村等職員向けの説明会で周知することや、施設事業者、保育士等にも研修会等の機会を活用し、直接周知を行っているなどの進捗が確認されました。その上で、事故リスクや事故防止対策の周知のためのさらなる取り組みについてこちらから意見を申し上げ、内閣府からは今後の課題とするというお答えをいただきました。
調査委員会では、プール活動・水遊びにおける事故の再発防止のために、水の外で監視に専念する人を配置し、その監視者が監視に専念することが必要であるということを繰り返しお伝えしているところでございます。それぞれの園で監視の体制や緊急事態への対応等を再度確認していただき、今年のプール活動・水遊びを行っていただきたいということが委員会としての思いでございます。
その際、これは前回お出ししたところでありますけれども、ここにチェックリストがあります。こういうものを読んでくださいとか、あるいはこういうふうなことに気をつけましょうということをわかりやすく両面で書いてございます。こういったものも含め、現場の職員の方に理解していただき、読んでいただくということを周知していただきたいわけですけれども、それがなかなか難しいというところで、今回のヒアリングを行ったわけでございます。
やはり難しいなということが確認されたといえば確認されたわけでございますが、もう少しやる方法はないかということでこちらからも提案をいたしましたが、すぐにやりますと言えるわけでもないと。それは、内閣府でも、あるいは各府省庁でも、それぞれルートが限られているという現状があるようでございます。この点は、引き続き一緒に検討していきたいと考えております。これが1点目でございます。
2点目は、歩行型ロータリ除雪機による事故の審議を行いました。本日の審議では、先月の委員会に引き続きまして、報告書の案の内容につきまして検討をいたしました。内容がまとまり次第、速やかに公表したいと思っております。本日も大分長く議論をいたしました。1時間近くやったと思いますけれども、内容は前回と変わっておりません。
内容の柱です。1本目の柱が、まず、安全装置の考え方ということで、多角化、現在あるものについてもう少し安全装置としての機能を高めるという、安全装置そのものについて人間工学的な工夫の余地があるのではないかということが一つ。
もう一つは、事故情報の収集・共有の仕方について問題がある。除雪機に関していうと、固有の情報の集まり方の難しさがある。製品安全法が想定しているように形では事故情報が集まらない部分があることや、あるいは、消費者庁にもう少しうまく集まる方法、行政機関を通じた方法はないかといった情報の収集の仕方について工夫の余地があるのではないかということと、情報共有ですね。一部で、除雪機の事故分析もあったのですが、その情報がうまく他の事業者に共有されていないのではないかとか、あるいは、事故情報そのものが集められていないことの結果でもありますが、業界団体でも必ずしも共有されていないということで、そういった事故情報そのものについて、ガバナンスがない状態というところがあるかなということ、これが2本目の柱です。
3本目の柱は、1本目の安全装置がどういうふうにすればいいかということは、提案はするわけですが、とはいっても新製品の開発になりますからすぐにできるわけではありませんので、とりあえず現行のものを使っている方々に対してどのように情報を提供するか。リスクコミュニケーションなのですが、これは先ほどのプールと一緒で、どうやれば本当に現場に伝わるのだろうかというあたりを考えなければいけないのですが、我々が単独で考えてもなかなかいいアイデアがないので、そこは関係機関にお願いすることになろうかと思います。そういう安全装置のあり方、情報収集・情報共有のあり方、3番目が現在持っている人に対する危険であることの周知の三本柱でつくっていくということでございます。
できれば次回の委員会で公表したいと思いますが、これから最後に非常に重要な手続が待っておりますので、絶対に出るとは言っていませんけれども、次回公表できるように一生懸命頑張っておりますので、公表できたら事務局を褒めてあげてください。
3番目として、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故について、本日の委員会で審議を行いました。本日の審議では、保育園や幼稚園等の送り迎えにおいて実際にお子さんを乗せて自転車を使用している方を対象とした実態調査を行うこととし、その具体的な内容、アンケートや撮影の仕方とか、そういったものについて議論を行いました。今後、協力を得られる施設を選定し、今回の調査ができるよう準備を進めてまいります。
本日は、以上でございます。
続いて、部会の動きにつきまして、委員長代理から説明をお願いいたします。
(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸です。
今月開催いたしました部会での議論を紹介いたします。
製品等事故調査部会では、ただいま話にありました、歩行型ロータリ除雪機による事故、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故、及びハンドル型電動車椅子を使用中の事故、これらにかかわるフォローアップについても審議を行いました。
私が部会長を務めますサービス等事故調査部会のほうは、今月の開催はございませんでした。
私からは、以上です。
質疑応答
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問
NHKのイイジマです。
プールの事故の1つ目の件でお伺いしたかったのですけれども、内閣府から聞き取り・フォローアップをしたところで、まだやるべきことはあるということだったと思うのですけれども、実際に今やっていることについての評価をお伺いしたいと思ったのです。 -
答
(中川委員長)
評価は、難しいのだなということでしたね。公開ヒアリングでしたのでいらっしゃった方もいらしたと思いますけれども、我々のほうから出た案としては、例えば、今までは、職員に対する説明会とか、あるいは組織から組織に対する通知といういわばお決まりの方法をやっていたわけですけれども、もう少し幹部クラスに対して、つまり、下だけではなくて上からもということで、問題の深刻さを共有できないかと。これは、持丸委員がおっしゃったのでしたかね。事故自体は実は数が少ないので、事故の経験者が現場の先生方に少ないと。県単位あるいは地域単位で見ても経験者がいない。そういうなかで情報を伝えなければいけない。語り部的な人がいないわけです。プラス、予算の問題も出てくるだろうと。監視をする人を置けということですから、人数が余計に要るわけですね。
そういったことも含めると、もう少し政策決定あるいは予算決定にかかわるような人に対して情報を提供するというルートもあってよいのではないかと水を向けてみたのですけれども、うーんという感じでしたね。ないわけではないけれども、では、どこで誰に対してするのですとか言われて、例えば、知事会とかと議論しましたけれども、それはちょっと上過ぎるかなという感じも、正直、個人的にはしました。
とはいえ、今まで、別にプール事故だけではなくて、あらゆる消費者問題あるいはリコールもそうですけれども、どうやって現場に届けさせるかということが最大の課題で、大企業であれば繰り返し宣伝が打てるのですけれども、普通はなかなかそこまでできない。それは内閣府が不十分だというよりも、我々が全体でアイデアを考えなければいけない問題だなということを改めて思いました。だから、フォローアップという形がいいのか。ここからは個人的意見ですけれども、もう少し膝詰めで一緒に考えなければいけないのではないかとかということを考えたところです。 - 問 ありがとうございます。
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問
毎日新聞のオカです。
3件目のアシスト自転車の件ですけれども、まだ先だとは思うのですけれども、いつごろまでにまとまるかというめどがもし何かあれば。 -
答
(中川委員長)
まだこれから調査ですので、我々の中でめどはつくっていたと思いますけれども、まだ先ではないかと思うのです。 -
答
(持丸委員長代理)
これから画像を撮って、今はその同意書をどうするかとかということを検討していて、そこからこんなところで危ないことが起きているのかということを実際に集めて、問題を設定して、分析していきますので、もうちょっとかかるかなと思います。 -
問
朝日新聞のナガタニといいます。
先ほど委員長がおっしゃった事故情報の収集の仕方についてもう少し意見をお聞きしたいのですが、いろいろな事故が起きて、プール事故もそうですが、集める、集約することが事故情報はなかなか難しいと。消費者庁にうまく情報を集約する方法がないかどうかということも含めて考えていきたいという御意見がありましたけれども、具体的に現状の課題、その情報収集についての消費者庁における課題をどう見ていらっしゃるかということを少しお聞かせいただきたいと思います。 -
答
(中川委員長)
製品安全法では、製造者経由ですよね。製造者、事業者のほうから、事故情報を得た事業者が経産省に出して、そこから分析をする。経産省に来れば、行政機関ですから、消費者庁にも一元化で来る。その他、消防や警察からも来る。それは消費者安全法で消費者庁に来るようになっているのですけれども、今回の機械に関していうと、大分数が違う。我々が認識した数と関係機関が認識する数が違って、我々のほうが多いということは、どこかで情報が詰まっているのだろうということなのですね。
製造者経由の製品安全法のほうは、原因はわかってきました。これはやむを得ない、これはしようがないなということがわかってきましたが、そうではないほう、行政機関からあちこちに行く情報がどこかでとまっているという実態があるのではないかという推測をしています。ただ、それ以上、今は具体的にわかっていません。たまたま今回だけそうだったのか、つまり、これを事故と認識しなかったとかということもあるかもしれないし、上に上げるべき情報だと思っていなかったとか、そういうあたりの勘違いがあったのかもしれないので、制度としてどこかが詰まっているということなのかどうか、はっきりしないのですね。
ただ、今回、少なくともこの除雪機に関していうと、つまり、季節的に使われるもので、しかも、使われる時期、場所が決まっているものについて特有なのかどうかも含めて、何がその情報が詰まっている原因なのかということを、今回のこの事案だけではわからないので、もう少し調べてみなければわからない。そういう意味では基礎調査になるかもしれません。それはわかりませんが、少なくとも情報がどこかで詰まっていることだけは確認できた。偶然だった可能性もありますので、それが誰かが確実に悪いというような、そこまではまだわからないですね。
ただ、そういうことが指摘できたことは非常に重要なことかと思います。製品安全法と消費者安全法で,事故情報の一元化ができるだろうというと、実はそうでもないのではないかという課題がありそうなこともわかってきましたので、今後はそのあたりを突っ込んでいけると、法律の運用ないしは改正に向けての提案ができるかもしれない。これは将来的な課題ですけれどもね。今のところは、確実にここがおかしいということがわかったわけではない。ただ、詰まっているらしいということがわかったということです。
よろしいですか。 -
答
(持丸委員長代理)
今まで経験していて思うことは、事業者と病院と消防というものが一つのラインで、それはそれで上がっていくわけですが、一つは、消費者が上げないということがありますね。私が悪いのだからと思っていて、消費者が上げない。
もう一つは、途中で、いや、これは何か使い方が悪かったのだから事故ではないよとどこかの方が思うと、そこで上がらなくなってしまうことがあります。
もう一つは、タグが間違ってつくということもあるのですね。今回の事例はそうではないかもしれませんけれども、例えば、この除雪機にマフラーが吸い込まれて何か事故が起きたときに、タグは「マフラー」になっているというケースもあるのですね。そうすると「除雪機」で検索をしても引っかからなくなってしまって、我々も、今までそういうような幾つかのケースが出てきているので、一言で言うと、件数がそんなに多くはないので、とにかく丸ごと上げていただけるようにしたほうがよいのではないかとは思ってはいるのですけれども、そのあたりも少しずつ特定しながら、間のところを解除していければいいかなと思います。 -
答
(事務局)
委員長の御発言で1点だけ。細かい部分で恐縮ですけれども、消費生活用製品安全法で、事業者、製造業者が事故情報を通知する先ですけれども、さっき経産省とありましたが、重大事故であると消費者庁に直接来るということでございます。非重大事故の場合は、NITEのほうに回っていくと承知しております。 -
答
(中川委員長)
失礼しました。修正します。 -
問
ニッポン消費者新聞のマルタです。
今、委員長のほうで、事故情報の収集のところがどこかで詰まっている可能性があるというお話でしたが、消費者安全法と消費生活用製品安全法という2つの法律によって、基本的には、消費者安全法の場合は、市区町村の長、各省庁の長も含めて、長が把握した情報、事故情報については、消費者庁に来るというルートになっていると思います。消費生活用製品安全法の場合は、事業者がやるわけです。
そうなると、一番最近で気になっていたのが、介護事故といわれる施設の事故、高齢者を対象とした高齢者施設の事故が本当に来ているのかどうかというところで、いろいろ聞いてはいたのです。要するに、来るための条件としては、消費者事故かどうかということをどこかで判断していて、どこかの判断のときに消費者事故ではないという判断をされたときに、先ほどおっしゃったように、そこで詰まってしまうとかということがあるかもしれません。
きょうの検討では、基本的には、事故情報データバンクとか、いろいろな収集のルートがあるのだけれども、それが消費者事故として収集されていない、つまり、どこかまでは来ているけれども、どこかの判断でそういうふうになっているということがわかったのか、それとも、そこまでも事故情報が来ていないということがわかったのか、それはどうでしょうか。ルート自体がどこかで、要するに、判断するところまで来ているのか、それとも事故情報自体が来ていないのか。
例えば、先ほどおっしゃった除雪機のあれでは、消費者自体で上げないという判断があるかもしれません。だけれども、それは病院に行ったときとか、あるいは消防で呼んだときとか、救急車を呼んだときとか、何か消費者安全法の中で来そうですよね。来そうだけれども、それが消費者事故ではないと判断されたと。 -
答
(中川委員長)
現実は両方あると思いますけれども、ただ、そもそも行政機関にも来ていないものは多分我々も把握できていないので、それは調査ができないだろうと思います。
我々が思っているのは、現場の行政機関には来ているのだけれども、そこから先の処理が、先ほど持丸委員もおっしゃったことも含めて、さまざまな原因で最終的に消費者庁のところまで来ていないとか、あるいは関係者に確認されていないというような、そういうところを想定して先ほどの発言をしました。 -
答
(中川委員長)
ぜひチェックリストの周知をお願いします。
ありがとうございました。