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意見のフォローアップに係る関係行政機関ヒアリング(平成23年7月11日に神奈川県内の幼稚園で発生したプール事故)議事録

意見のフォローアップに係る関係行政機関ヒアリング議事録

日時:平成28年12月22日 13:30~

場所:合同庁舎4号館 2階 共用第3特別会議室

宇賀委員長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第52回消費者安全調査委員会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
初めに、幼稚園で発生したプール事故に係る意見のフォローアップの審議を行います。
消費者安全調査委員会では、神奈川県内の幼稚園で発生いたしましたプール事故に係る事故等原因調査を行い、2年前の6月に内閣府、文部科学省及び厚生労働省に対しまして意見を述べました。この意見では、適切な監視指導体制の確保等、緊急時の備えに関する幼稚園等への周知徹底や、事故情報の共有等について対応を求めております。
本日は、その対応状況につきまして御報告をいただきます。内閣府、文部科学省及び厚生労働省におかれましては、お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。
それでは、内閣府から御説明をお願いいたします。説明時間は全体で15分でお願いいたします。
内閣府子ども・子育て本部(子育て支援担当)
内閣府子ども・子育て本部の堀内と申します。よろしくお願いいたします。子ども・子育て支援新制度が平成27年4月から発足しておりまして、内閣府がその調整、取りまとめということでございます。それで、その中でも、事故関係についても取りまとめという形になってございますので、本日、内閣府、厚労省、文科省ということで3府省にわたるのですけれども、私のほうからまとめて御回答したいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますけれども、資料に沿って御説明いたします。資料1の確認事項という資料がございます。表になってございますけれども、その一番右側の確認事項(平成28年12月)という部分についてお答えしたいと思います。
初めに、①の(ア)の部分でございます。調査委員会調査では、注意喚起を認識していない幼稚園等がある程度存在する。このことについて、どう捉えていますかということでございますが、感想としては非常に残念だと思っております。国としては、もう既に通知等を発出してございますけれども、自治体に対しまして、通知の発出、あとは全国会議等における周知、あるいは研修会の開催、ホームページの掲載ということで周知に努めているところでございますので、今後もあらゆる機会を捉えて周知徹底に努めていきたいと思っております。
続きまして、その下の(イ)の関係です。関係団体にも働きかけを行っているということでございます。御指摘のとおり、国としては、地方自治体を通した取組を進めているところでございますけれども、関係団体を通して、関係団体からより現場に近いレベルで、行政サイドではないツールと特色を活かした取組がなされているということを承知してございます。
続きまして、次のページ、(ウ)、通知を認識していても、園内で取組が実施できていないことが分かったということについてでございますけれども、これも残念な結果であると思っております。3府省としては、プール活動を含む重大事故防止のガイドラインを発出しまして、さらにこの10月に、事務連絡において、これまでよりも具体的に通知の活用法などについて、お示ししたところでございます。これからも、あらゆる機会を通じて周知していきたいと思っております。
あと、「例えば」以下、監視要員を派遣する等の補助制度の検討の余地はあるかということでございますけれども、プール指導については、教育保育の一環だということですので、幼稚園教諭や保育士が担うものと考えておりますけれども、御指摘については、今後さらに参考とさせていただきたいと思っております。
続きまして、②、ガイドラインの概要についてでございます。これにつきましては資料を用意してございます。恐縮ですけれども、資料2の右下にページが振ってございます。4ページをご覧いただきたいと思います。
重大事故の再発防止のための検証と事故防止等のためのガイドラインという概要を作ってございます。一番上は省略しますが、①として、重大事故の再発防止のための検証というところがございます。重大事故が起こったときは、当然、検証をやるわけでございますけれども、ガイドラインについては、その下の②の事故防止等のためのガイドラインという項目がございます。これについて、概略を説明したいと思います。
このガイドラインにつきましては、ここに○を3つ書いてございますとおり、3種類ございます。1つは、一番上の○ですけれども、事故防止のための取組として、施設・事業者向けのもの。もう一つは、2つ目の○でございますが、事故防止のための取組として、地方自治体向けのもの。3つ目は、事故発生時の対応として、これは施設・事業者、地方自治体共通のものと、3種類ございます。
1つ目の事故防止のための取組として、施設・事業者向けのものは、ここに書いてございますように、重大事故が発生しやすい場面、睡眠中とかプール活動・水遊び、食事中などの場面ごとの注意事項が書かれてございます。あとは、事故防止のための研修等による体制作りをお示ししているところでございます。
2つ目の地方自治体向けの事故防止のための取組につきましては、地方自治体と施設・事業者との連携体制の整備などをお示ししているところでございます。
3つ目の事故発生時の対応につきましては、事故発生時の段階的な対応、事故発生直後、事故直後以降、状況の記録、保護者等への対応など、お示ししているところでございます。
この中には、実際に自治体で使われているマニュアルなども参考例として添付されておりまして、具体的に分かりやすい内容となってございます。
続きまして、その下の③のガイドラインの周知徹底、またその評価ということでございますが、周知徹底につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現在も行っているところでございますので、今後ともあらゆる機会を通じて徹底していきたいと思っております。
評価については、ガイドラインを28年3月に発出したばかりでございますので、現在、評価について具体的なことはちょっと予定しておりませんけれども、3府省の事故防止の有識者会議もございますので、この有識者会議での議論を踏まえて判断していきたいと思っております。
続きまして、その下の④で、学校保健安全法第27条に定められている学校安全計画についての策定状況ということでございます。
まず、幼稚園の学校安全計画の策定状況についてでございますが、公立で99.5%、私立で73.9%、これはいずれも平成25年度の調査の結果でございます。文部科学省では、各教育委員会私学担当部局に対しまして、法令に基づき、学校安全計画の策定をするよう促しておりますので、当然、各教育委員会私学担当部局においては指導を行っているものと理解しているところでございます。
続きまして、その下の⑤幼保連携型及び幼稚園型認定こども園の安全計画策定状況と、そのほかの認定こども園、保育所の策定についての御質問でございます。
保育所型認定こども園とか地方裁量型認定こども園、保育所については、御存じだと思いますけれども、策定義務はございません。策定義務のある幼保連携型認定こども園と幼稚園型認定こども園の調査結果は、先ほどちょっと申し上げました平成25年度の調査が最新でございますが、この調査の中では、幼保連携型と幼稚園型認定こども園は幼稚園として調査されてございます。その率は83.5%ということになってございます。なお、現在集計しております平成27年度の調査では、幼保連携型については単独で調査しているところでございます。
あと、ほかの保育所等についての策定状況ということでございますけれども、これも資料を見ていただきたいと思います。資料2の6ページ、参考とございます。これを見ながら御説明したいと思いますが、平成27年4月に子ども・子育て支援新制度が施行されておりまして、学校保健安全法適用除外とされている特定教育・保育施設につきましては、この特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準、内閣府令第39号でございますが、この基準に基づいてやっているわけでございます。
32条に1号、2号、3号ございますけれども、1号として、事故防止のための指針を整備するということが書かれております。
2号として、事故が発生した場合など、当該事実が報告され、その分析を通じた改善策を従業員に周知徹底する体制を整備すること。
3号として、事故発生の防止のための委員会及び従業員に対する研修を定期的に行うこととしているところでございます。
この指針の状況については、施行されてまだ時間もたっていないところから、調査は実施していないところでございます。
続きまして、3ページの⑥、教育・保育施設における有識者会議のスケジュール等でございます。これも資料2の5ページをご覧ください。これは、3府省共同で設置してございまして、事務局が内閣府となってございます。
真ん中辺に、2.主な検討課題が書いてございます。(1)~(4)がございます。データベースによる傾向分析、重大事故の再発防止に関する提言等でございます。
今後の予定でございますが、この有識者会議が本年度、平成28年4月に設置されておりますので、当面、地方自治体の検証をやっている最中でございます。その検証状況を見ながら、このような検討課題について議論されていくこととなってございます。
次の⑦の那須塩原市のプール事故でございます。この件に関しましては、これまで6回にわたって那須塩原市で検証委員会を開催しておりまして、事故の内容等を議論しているところで、こちらでも把握しているところでございます。
続きまして、⑧の重大事故以外の事例の検証を共有する機会ということでございますけれども、死亡事故以外の重大事故として、国に報告対象となる事例の中で、自治体・都道府県のほうで検証が必要と判断した事例については、検証を実施してくださいということになってございます。また、その検証を実施する重大事故以外の事故、いわゆるヒヤリハットについては、各施設・事業者等において検証を行ってくださいということ。これは、ガイドラインに書いてございます。
続きまして、⑨の文部科学省への、関係団体への周知・啓発、今後も継続的に取り組むかということでございます。これは、⑩の内容も同じですので、まとめてお答えしたいと思います。
毎年、プールの利用が増加する夏の時期を前に、4月下旬から5月上旬ぐらいにかけまして、水泳等の事故防止の通知を各都道府県教育委員会に発出しているところでございます。これについては、今後も継続予定ということでございます。
また、毎年春に各都道府県の幼稚園担当者を集めた会議も開催されておりますので、今後も継続していくということ。さらに、毎年6月に実施しております各教科等担当指導主事連絡協議会がございますが、これにおいても水泳事故防止について注意喚起を行ってございますので、今後も継続していきたいと思っております。
すみません、ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが、以上でございます。
宇賀委員長
ありがとうございました。
それでは、御質問や御意見ございますでしょうか。
澁谷委員、どうぞ。
澁谷委員
詳細な御説明をありがとうございました。
内閣府、それから各省庁におかれましては、各種通知あるいは文書、事務連絡等の発出をいただきました。また、事故情報の収集のデータベース化やガイドブックの作成といったことにも取り組んでいただいていることが分かりました。この契機となった事柄は、取り返しのつかない、大変痛ましいものでしたが、御遺族の御決断がただいまの御説明のように行政を動かしたということだと考えております。
周知はよくしていただいていると思います。そして、その評価のために有識者会議の活用ということも御説明いただきましたが、それだけでは周知されたことの評価というのは十分でないように思いますし、今後も引き続きさまざまな対応をされていくのだと思いますけれども、特に周知したことについての評価について、有識者会議を待たずに、あるいはまた、それぞれの府省で独自に何かお考えのことがありましたら、お知らせいただきたいと思います。
内閣府子ども・子育て本部(子育て支援担当)
内閣府の堀内です。
先ほど申し上げましたように、27年4月施行されまして、これだけじゃなくて、制度全体が変わってございまして、各自治体・事業者も事務的には結構ばたばたしているところでございますけれども、評価につきましてはいずれはやらなきゃいけないものかなと思っておりますので、内閣府だけではなくて、3府省でこれについてはよく協議していきたいと思っております。今のところ具体的なものはございません。
宇賀委員長
ほか、いかがでしょうか。
朝見委員、どうぞ。
朝見委員
ありがとうございました。
いろいろと注意喚起等あるいはガイドライン等、御努力なさっているようですけれども、私がちょっと感じたことを申し上げますと、注意喚起があっても取組ができていないところがあるということをお聞きした限りにおいては、いろいろな注意喚起あるいはガイドラインの徹底等をやっておられるのですけれども、その前提として、リスクの問題、つまり、重大な被害というものが認識されているのか。もちろん、死亡事故であれば死亡は重大だというのは当たり前のことですけれども、そういう事の重大性というものが十分周知されて認識されているのか。
また、その被害に対するリスク、そういうことが起こるかもしれないけれども、うちではないよねというリスクの把握の仕方が甘くないのかという問題があるのかなと、私はちょっと受け取ったわけで、その辺について啓蒙というのでしょうか、教育というのでしょうか、そういうものについては、どこか、何らかの形での取組がなされているのでしょうか。
内閣府子ども・子育て本部(子育て支援担当)
御指摘のとおり、重大事故になって、例えば死亡事故に結び付くという認識をしていただくことは重要だと思っています。ガイドラインの中にもそのようなことは書いてございます。それで、研修会の中でも、つい先日も私、保育士さんの研修会に出てきましたけれども、実際に被害者、死亡事故に遭われた方のお話を聞いてもらったり、そういう例をお話しさせてもらったりして、そういう認識を持ってもらおうということはしているところでございます。
宇賀委員長
ほか、いかがでしょうか。
持丸委員、どうぞ。
持丸委員
持丸です。
私ども、今回のことを皆さんにお願いして、皆さんにいろいろやっていただいているわけですが、そもそもかなり難しいお願いをしているのだなというのを強く認識しています。安全を守るときに、物で守れるとか、環境で守れるというものは、ある意味ではそれを作っているところとか調達する段階で一気にかけてしまうと、かなりのレベルで現場の安全が守れるということは実感しておりますが、今回のようにオペレーションで最終的に安全を守らなきゃならないというときは、オペレーションをやる方一人一人までにこれを徹底しなきゃならないというのは非常に大変なことだと認識しています。
しかしながら、今回、私どもがこれについてすごく神経質になっておりますのは、ヒヤリハットみたいな事案が実際に起きておりまして、死亡事故には至っていないのですけれども、これがまた繰り返されますと、我々は何だったのだろうということもありまして、何とか徹底を進めたいという思いがございます。
私から1つ提案があるのですが、内閣府さんだけではなくて、もしかしたら、そこにいらっしゃる省庁だけでないのかもしれないのですが、似たようなオペレーションで守らなきゃならないような事案で、通達と最終的な行為の確認までが比較的うまくいった事案というのはあるのでしょうか。私、経済産業省傘下の研究所で、私どもがよくやるのは物で直してしまうほうなので、これですとライターとか、遊具は国土交通省さんとか、比較的やりやすいのですけれども、こういうオペレーションを最後まで通達するというのは相当な工夫がいると思います。
先ほどもありましたように、通達するだけではなくて、受容していただくという意味では、リスクの認識をちゃんとコミュニケーションしなきゃならない。何かうまくいっている事案があれば、ひとつそういうものを参考に作戦が立てられるのではないかと思いまして、お互い鋭意努力すると言っているだけでは、もしかしてこれはだめなのではないかという個人的な心配が少しあるというのが正直なところです。何かお知恵があれば、少し聞かせていただきたいのですが、いかがでしょうか。
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
失礼します。文部科学省でございます。
例えば、学校の中で起こる死亡や障害を伴う事故については、ここ30年ぐらいで見てみますと、数としては、かなりに落ちてきています。学校では、運動部活動や体育中の事故が重度の障害や死亡につながったりするという事例がありますので、文部科学省では、例えば部活動・体育の指導をするときに、どういうことに事前に気を付けておけばいいかということを、いろいろと事例集を作って周知しています。
これが適切な例か分かりませんけれども、例えば、歯の障害を伴う事故がありますが、歯がぶつかって欠けるとか抜けるというものに関しては、マウスガードをしっかりと事前にしておくとか、抜けて30分以内に保存液に漬けておけば再生が比較的やりやすくなるといった知識をしっかり教員に共有していくことで、そういった障害を伴うような事故が比較的少なくなってきていると現場から聞いておるところでございます。
持丸委員
ありがとうございます。
もし御存じでなければ、後日お話いただいてもいいのですが、そういう教育コンテンツを使って、各県の教育委員会とか、そういうチャネルから段階的に各学校の担当に落としているというラインで徹底していると理解すればよろしいですか。
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
そうです。実際に子供に直接関わるのは、教員になりますので、そこの研修をしっかりやっていくことが重要かと思います。
持丸委員
すみません、長くて恐縮ですが、私、プール事故に関わったときに、確かに各県の教育委員会で何県か講演して、各校から代表が出ていた。逆に、質問ですが、保育園とか、そういうところでも、そういうピラミッド状というか、通達の仕組みというのはあるのでしょうか。
厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課
厚労省保育課の川島と申します。
具体な事例は、今、お伝えはできないのですけれども、基本的には自治体から通達等を出して、自治体又は関係団体等に情報提供が行われ、それぞれで周知なり研修というものがされているという形は一緒かと思います。
宇賀委員長
淵上委員、どうぞ。
淵上委員
淵上でございます。
いろいろ周知・情報を流したり、丁寧にやられているなと思いますが、我々の今回のフォローアップもそうですけれども、PDCAといいますか、結果がどうなったのかということをフォローすることが大事だと思いますが、一番最後の結果は事故の件数だろうと思いますので、それが本当に減ったのかという視点で、急に短期間でできることではないですが、長期間にわたってフォローしていくと。
交通事故というのは、死者数そのものに国民はものすごく関心を持っているということもあるのですが、そこまでいかなくても、そういう大きなPDCAを回して国民の意識を高めると、場合によっては県別に優劣を比較するとか、途中で、言葉はちょっと失礼ですけれども、やった、やったじゃ済まないような本当の結果を、PDCAを回すような、そういううまい仕組みがあればいいなと思っています。以上です。
内閣府子ども・子育て本部(子育て支援担当)
今の御指摘につきましては、三府省の事故防止の有識者会議がございます。その中でデータベースの分析とかをしていく予定となっておりますので、そういう評価のようなものは当然議論されていくと思っております。
淵上委員
そういうものを少し広く公表するということはできないのでしょうか。
内閣府子ども・子育て本部(子育て支援担当)
もちろん、この重大事故の有識者会議の内容については、全部公開されております。データベースは、27年からやっていますけれども、内閣府のホームページで公開されております。年間の集計も公表していますので、そういうデータ的なものは全て表に出ているところでございます。
宇賀委員長
水流委員、どうぞ。
水流委員
各保育園がどのように実施するかの最大の監視者は保護者の方という気がするのです。プールを始める前に、うちの保育園ではどのような管理形態で、具体的にどうやって、この時間の中をどういうふうに進めますというプロセス等を記述したものを各保護者に渡すということは、今、義務づけられているのでしょうか。
厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課
保育の内容をどういったものを提供しますというのは、保護者の方が利用する際に事業者が説明するということにはなっております。その中にプールの関係で、プールをやりますというお知らせはしていると思うのですけれども、どこまでお知らせしているのかというのは、今、手元にはないので詳細は不明ですが、保育内容については、事前にサービスを利用する際に御説明するという仕組みにはなってございます。
水流委員
消費者庁のほうで保育園にたいして実施された電話アンケートを見ると、その事実を知らない、分かっているのだけれどもできない、いくつかスタンダードとしていいやり方はあるけれどもそれを知らない、あるいは知っているけれどもリソースが準備できない、などいろいろな理由があるようです。具体的にモデルとしてこんなプロセスがいいですよといった具体的な事例を作って、それをウエブサイトからダウンロードできるようにしておくと、それを少し編集した自組織のプールの実施プロセスとして、保護者に渡せるかもしれません。
子供たちにとってプールはすごく楽しいことですので、安全過多となりシュリンクすることがないようにしていただきたいと思います。安全を担保するときには、実施直前準備ということが重要と思われますので、園と保護者がお互いに共有できる文書があると、双方の安全に対する姿勢が引き締まっていくのではないかと考えられます。
子供たちの健やかな成長・発達にとって、水遊びというのは非常に重要ですので、それが実現できるように、肯定的に大人が準備していく仕掛けのプロセス設計について、きちんとどこかでモデルとして提示することが重要ではないかと思っています。そのあたりの可能性というのはいかがでしょうか。
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
幼稚園の事例ですが、今回の御質問にもいただいていました学校安全計画というものを各園で作らなければいけないことになっています。どういうものかというと、毎月、こういう指導、安全の対策をやっていきますという年間計画になっていて、例えば7月頃にはプール遊びがありますよということが見えるようになっている。これは特段、保護者に見せなければいけないということは、我々として義務化していません。ただ、保護者とも、地域とも共有していくことの重要性というのは、他の機会でも指摘いただいているところですので、我々としてはそれを促しているという状況でございます。
先生がおっしゃられた、具体的にどういうことに気を付けるかみたいなモデルなども、我々としてもある程度整理して、しっかりと示していかなきゃいけないということは問題意識として抱えておりますので、いただいたようなところを踏まえてやっていきたいと考えているところです。
宇賀委員長
河村委員、どうぞ。
河村委員
先ほどの御説明の中で、民間のプール施設等から監視要員を派遣する等の補助制度の検討の余地というところで、教育の一環であるからというお答えだったのですが、小さな子供たちのプール遊びのことで言いますと、例えば柔道の指導の中で起きる事故に対する知見とか、そういうこととはちょっと違って、専らここの事故調査の問題では、指導に直結した何かではなくて、専ら監視の人を置いて、その監視の質とスキルだと思うのです。
そういうときに、私たちも工夫しなければいけないと思うのですけれども、通達・通知の文書の中で、水遊びの監視を行う場合に見落としがちなリスクや注意すべき視点、ポイントについて、事前教育を十分に行うという言葉で表しても、言われたほうも、それでスキルが上がるものでもない気がいたします。
ですから、問題は、ここで次の事故を起こさない、減らしていくには、専門的な教育を受けた方がそこに来られるのは難しいとしても、プールの監視についての教育の動画とか、芋を洗うように遊んでいる子供たちの中で、どれが溺れているかを見つけるためのビデオとかを私、ちょっと見たことがあるのですけれども、そういう非常に具体的な監視の質とスキルを上げることを考えるのがとても大事な気がいたします。
現場の方たちの側に立って考えても、お役所的な通達文書が積み上がって、読んだのだろうか、やったのだろうかといっても、それでスキルはそう簡単に上がるものだと私は思わないので、もし専門の方が来られないのであれば、少しでも専門の人たちが学んでいること、内容を具体的に知る機会があるとか、そういうツールを渡すことができるとか。一番いいのは、動画的なもの、映像的なものだと思うのですが、そういうことについては何か実現可能性というものは。ぜひやっていただきたいとは思うのですけれどもね。
内閣府子ども・子育て本部(子育て支援担当)
その辺も含めて、3府省で参考にしていきたいと思っています。
宇賀委員長
朝見委員、どうぞ。
朝見委員
すみません、先ほどの話にちょっと戻ってしまいますけれども、モデルとか基準というものをお示しになるというのは、それはそれで理解できるのですけれども、そこで1点注意していただきたいのは、その示したものがひとり歩きするというか、逆に、いや、それはやりましたよという口実に使われないようにしていただきたい。それは、これなら絶対安全というものを示すことはできないわけですから、そうすると、示したものは、いや、これは守っていましたけれども、事故は起こりましたよという口実にされるというのは決していいことではないし、そうすると、今度はそんな不十分な基準を示したのという話にもなりかねないという点は、ちょっと御留意いただきたいかなと思います。
以上です。
宇賀委員長
ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、各府省におかれましては、引き続き取組を進めていただきますようにお願いいたします。また、本日の議論を踏まえまして、来年のプールシーズンに向けて、具体的な対策を御検討いただきますようにお願いいたします。
この会議の公開はここまでとなります。