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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成30年11月8日(木))

日時:平成30年11月8日(木)16:30~16:49  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

本日は架空請求対策のための新たな注意喚起資料について、まずご報告申し上げます。
平成30年8月21日付けで法務省をかたるハガキなどによる架空請求に対する注意喚起のチラシを公表いたしました。
当該チラシにつきましては、各地方公共団体のご協力などにより、消費者の皆様に広く周知が図られたと考えております。しかしながら、最近、各地域の消費生活センターなどからも注意喚起がなされておりますとおり、ハガキによる場合と類似した内容の文言が記載された書面の入った「封書」が送りつけられるケースや、さらには裁判所あるいは裁判所管理局をかたるハガキも送りつけられるケースも見受けられるようになりました。
そのため、消費者庁として、新たなチラシを作成し、本日、この場において公表させていただきます。
今回のチラシでは、裁判所あるいは裁判所管理局をかたるハガキが送付されるケースも発生したことを踏まえ、訴訟に関する書類を裁判所が送付する際に用いる「特別送達」の特徴を紹介しています。
1点目として、「特別送達」は、訴訟に関する書類が、名宛人の知らないうちに郵便受けに投函されることはなく、また、ハガキで送付されることもありません。
2点目として、「特別送達」は、「郵便職員が名宛人に手渡す」ものであって、手渡しの際に、名宛人の方は「郵便送達報告書」への署名又は押印を求められます。
これらの特徴を知っているだけでも、消費者トラブルの発生が防止される可能性が高くなります。消費者の方々が、今回のチラシを記憶にとどめられることを強く期待しております。また、今回のチラシは消費者庁ウェブサイトに掲示いたしますので、報道各社の皆様におかれましても、周知にご協力いただければ幸いでございます。
消費者庁においては、今後も8月21日付けで公表したチラシ、そして、本日公表したチラシを活用して、あらゆる機会を捉えて注意喚起、普及啓発を進めてまいります。
次に、ノロウイルス食中毒の予防対策について申し上げます。
これまで、月に1回程度、この場にて、消費者の方々に知っておいてほしい食品安全のポイントについてお伝えしており、前回は「毒キノコ」について注意喚起をさせていただきました。マスメディアを初め、SNSによる情報発信等、記者の皆様方のご協力に感謝申し上げます。
さて、11月となり、これからノロウイルスによる食中毒が増え始める時期となります。過去5年間の食中毒統計を見ても、その傾向が分かると思います。ノロウイルスは、食中毒だけでなく、感染症という側面もあるため、患者が増加し始める前の、正にこの時期から感染予防を行い、社会全体の感染者を減らすことが重要です。
このため、公益社団法人日本食品衛生協会では、11月1日から来年1月31日までを「ノロウイルス食中毒予防強化期間」としてノロウイルスによる食中毒の発生予防に取り組んでおり、当庁も後援という形で関わっているところです。
本日は、ノロウイルスの感染予防対策を3点にまとめました。
1、食品は中心部までしっかり加熱すること。2、トイレ使用後や調理前には、適切な手洗いをすること。3、家族が嘔吐や下痢をした場合には、使い捨ての手袋、マスクの使用や殺菌消毒を行い、二次感染に気をつけることです。
特に手洗いの重要性についてはよく聞かれますが、手洗いにはどの程度のウイルス除去効果があるのか、皆様はご存じでしょうか。ある研究では、手洗いの効果を検証しており、流水のみの手洗いに比べて、ハンドソープなどを使った入念な手洗いには極めて高い除去効果があることが知られています。
本日はこの会見の後に、日本食品衛生協会のご協力のもと、手洗い方法の実演を予定しております。実際に流水のみの手洗いとハンドソープを使った手洗いを比較してみて、どの程度汚れの落ち具合に差が出るのか、皆様に実感していただきたいと思います。
ノロウイルスの症状は、単に下痢や嘔吐だけだと思われがちですが、乳幼児や高齢者等が感染すると、脱水症状を引き起こし、重症化することもあります。これから特に注意が必要な時期になりますので、消費者の方々に、この冬、手洗い等の対策を徹底していただけるよう、記者の皆様方におかれましては、引き続きの情報発信へのご協力をお願いいたしたく、何とぞよろしくお願い申し上げます。

2.質疑応答

日本消費者新聞の丸田です。
架空請求詐欺のことについてお聞きします。昨日、国民生活センターが、新たな手口として、10月下旬に公表したものを説明しておりました。国民生活センターのものは、まずは無視すると書いてありまして、本日のチラシを拝見すると、まずは消費者ホットライン188に相談しましょうと書いてあります。消費者庁は行動を促しているのですけれども、国民生活センターと同じことなのでしょうか。

国民生活センターの10月31日付けの発表でございますが、「法務省管轄支局 国民訴訟通達センターからの封書による架空請求は無視してください。」と書いてあります。「法務省管轄支局 国民訴訟通達センター」というセンターはありませんので、そこからの封書による架空請求は無視してください。
この国民生活センター作成のチラシも、大変よくできています。私どもの、本日お配りしております新しいチラシは、裁判所に関係するところからの差し出しがなされたと疑わせるような、「地方裁判所管理局」と書いたハガキも出ているということで、また最新の情報を入れております。
もちろん、身に覚えがないものを無視することが、絶対に必要なことなのですが、「何だろう」と思うだけでも心配になるものですし、本当に裁判所からのものであれば、無視してはいけないのではないかと思ってしまう、人の心につけ込んだ手口ですから、そこで、「自分は身に覚えがないのだけれども、どうしよう」と思ったら、188に連絡してくださいという趣旨で、法務省だけでなく、裁判所の関係者を装った連絡についても、無視してほしいという思いで作成しております。
188に電話をして相談をしますと、「無視してください」と言われます。架空請求は無視していいのです。
「無視してはいけないのではないか」と思うような方には、188にご連絡いただければ、188の担当者が、「どういうところから来ていますか」、「どういう手続でしたか」ということを確認して、分かった段階で直ぐに、「それは架空請求ですから、無視してください」と言います。
そういう意味では、少し対象としている手口が広がったことで、私どもとしては、188を活用してくださいという思いも込めて書いております。

共同通信の新為です。
このハガキの件、詐欺の件なのですけれど、対策パッケージであったり、記者会見等でいろいろ注意喚起されていると思うのですけれども、その効果といいますか、現状で、まだその猛威を振るっているのか、それとも少し減少傾向にあるのか。
あと、来年以降、同じように被害が増えるのか、減るのかというところ、どのように考えられていますか。

この夏の続く災害のこともありまして、私どもも、たびたびこの場でもご報告してきたところですが、一定の効果は出ていると認識しています。具体的な数字がありますので、担当課からご報告いたします。

消費者政策課

架空請求に関する相談件数の推移を申し上げます。現在、パッケージ自体はフォローアップ中ですので、詳細な分析は、今後やっていきたいと思います。
数字を報道していただく上で注意していただきたいことを、まず申し上げますと、今日のチラシの裏面にもございますが、裏面は、古いのと新しいの、共通なのですけれども、不安に思った方以外にも、覚えのない請求が来たら、情報提供してくださいと呼び掛けていまして、皆さんの報道を見た方から、「これ、来ているよ」と情報提供も来ます。そういう数字も入っているということでご理解いただきたいのですけれども、パッケージをまとめた今年7月以降の月別の件数、総数を申し上げますと、7月が24,579件、8月が16,223件、9月が17,331件、10月はまだ登録されていないものが多いとは思いますが、12,470件。
途中、9月が増えているようにも見えますが、8月末にチラシをリリースしまして、自治体などに配りましたので、それを見て、「覚えのない請求が来たので情報提供しました」というのが、おそらく入っているのではないかと思います。
件数だけ見ますと、総数は減っているようにも見えますので、今後、詳細な分析が必要ですが、効果が出ている可能性はあると思います。

少なくない数の相談が寄せられている現状でございますから、引き続き、全国各地域の方々が消費者トラブルに遭うことができるだけ少なくなるように、注意喚起に取り組んでまいりたいと考えております。

NHKの飯嶋です。よろしくお願いします。
本日の発表についてではなくて恐縮なのですけれども、来週、債権者集会があるジャパンライフについて、何点かお伺いしたいのですが、ジャパンライフに対して、消費者庁として4回の処分があったりですとか、それ以外の指導だったりの対応もされてきたと思います。外部からといいますか、被害者側からは、消費者庁の対応が遅かったのではないかとかという指摘もあるのですけれども、処分について、これまでの処分、指導について、どうお感じになられているのかというのが一点と、あと、対策として今後、法律を変えるべきではないかという意見もあるのですけれども、法律を変える、変えない云々は別として、同様の被害を出さないために、今後どういうふうに対応されていきたいのかお伺いできますか。

被害については、大変心が痛む被害でありまして、心からお見舞い申し上げます。
消費者庁としては、ジャパンライフが顧客に対する支払いを続けている段階から、同社が商品を十分に保有していないなどの重大な違反を認定して、合計4回にわたり行政処分を行うなど、可能な限り迅速かつ厳正に対処してまいりました。
消費者庁が業務の停止を命じたために、同社は新規顧客の獲得ができなくなり、また、同社の正確な財務状況などを繰り返し顧客に通知させたため、解約、返金請求が増加した結果、同社は資金繰りに窮し、破綻したものと承知しております。
消費者庁の対応は、消費者被害の拡大防止に効果があったものと考えております。
引き続き、類似案件も含めまして、消費者被害の防止のため、法と証拠に基づき、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

制度の改正等については、お考えはありますか。

ジャパンライフ社に対しては、現行の法制に基づいて4回の行政処分を行ったところであります。
また、平成28年に改正された特商法が、昨年12月から施行されておりまして、これには事業者の取締役などに対する業務禁止命令が盛り込まれるなど、悪質事業者対策が強化されたところです。
こういった新たな業務禁止命令の活用なども工夫いたしまして、引き続き悪質事業者に対しては、厳正な法執行を行うとともに、消費者被害の状況を把握して、消費者庁ができることを、可能な限りやっていきたいと考えております。
すなわち、現段階では、具体的な法令改正を考えるというよりも、今ある法制を活用して、法執行の実効性を高めていきたいと考えているところです。