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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成30年6月20日(水))

日時:平成30年6月20日(水)14:00~14:21  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

一昨日、大阪府北部を震源として発生した地震に関して、亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
消費者庁では、こうした震災の後に発生する傾向にある災害に便乗した悪質商法への注意を呼びかけています。被災地において、建物・設備の修理に関する消費者トラブルや不審な訪問・電話を受けるなど、悪質商法の心配がある場合には、消費者ホットライン「188」番にご相談ください。
昨日の時点において、大阪府、京都府、奈良県、滋賀県及び兵庫県内の相談窓口等については、全て通常業務に復帰いたしております。
また、過去には、福祉団体や公的機関を名乗り、震災に関する義援金をだまし取ろうとするなど、被災者への親切心につけ込む事例がありました。寄附する場合には、義援金を募っている団体の活動状況や使途をよく確認し、納得した上で寄附をするようにしてください。
引き続き、今回の災害に関する消費生活相談の状況を注視し、国民生活センターなどの関係機関とも連携しながら適切な対応を行ってまいります。
次に、消費者行政新未来創造オフィス開設1周年記念シンポジウムについてお知らせいたします。
「消費者行政新未来創造オフィス」は、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点として、昨年7月24日に徳島県庁舎10階に開設したところです。
このたび、オフィスの開設から1周年を迎えることを記念して、7月23日月曜日、徳島市内においてシンポジウムを開催いたします。登壇者等については調整中ですが、オフィスで進めているプロジェクトについて、基調報告や地方公共団体からの取組紹介、パネルディスカッションなどを予定しております。このシンポジウムを通じて、オフィスで進めているプロジェクトのこれまでの展開や、全国への展開を見据えた今後の取組についてお伝えできればと考えております。
徳島県からの参加にとどまらず、幅広く多くの方々のご参加をお待ちいたしております。詳細は決まり次第、改めてお知らせします。詳しくは消費者行政新未来創造オフィスまでお問い合わせください。
次に、消費者教育に関連して申し上げます。
先ほど申し上げました7月23日のシンポジウムでもパネルディスカッションのテーマに取り上げますが、オフィスで進めているプロジェクトの一つである、若年者向け消費者教育の取組に関し、消費者教育教材「社会への扉」の活用事例集を本日公表いたしましたので、ご報告します。
昨年度、徳島県内の全ての高等学校等で、主に1年生を対象として「社会への扉」を活用した授業を実施しました。このたび、授業参観ができた20校について徳島県とともに「社会への扉」の活用事例を取りまとめ、本日午前に記者の皆様方へ公表したところでございます。
この「社会への扉」は、消費者庁、文部科学省、法務省、金融庁の4省庁で2月に策定した「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」において、2020年度までに、全都道府県の全ての高等学校等での授業で活用されることを目指しています。
実践的な消費者教育を実施するためには、適切な指導が大変重要です。本事例集は、徳島県内の高等学校等の先生方が試行錯誤や工夫の上で実施してくださった授業例を広く紹介しております。全国の教員を始めとする指導者の方々が実践的な消費者教育を行う際の参考にしていただければと思います。こういった情報を全国へ届けるためにも、報道各位におかれましては、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
事例集のポイントや、活用の方法などについて、詳細は消費者教育・地方協力課にお問い合わせください。
先週水曜日、6月13日に民法の改正法案が成立し、2022年4月1日から成年年齢が現在の20歳から18歳に引き下げられることとなりました。消費者庁としては、若年者の消費者被害の拡大を防止するとともに、主体的に判断し責任を持って行動できる消費者を育成するために、更なる消費者教育の充実にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
次に、昨日、6月19日、特定非営利活動法人えひめ消費者ネットが適格消費者団体として認定され、福井内閣府特命担当大臣から認定書が交付されたことをご報告いたします。
今回の認定で、四国地方では初の、全国では18番目の適格消費者団体が誕生したこととなります。消費者庁としては、今後とも消費者団体訴訟制度の担い手である適格消費者団体の活動をしっかり支援していきたいと考えております。
最後に、この季節に注意しなければならないウエルシュ菌による食中毒についてご報告いたします。
梅雨の時期から、細菌による食中毒の発生は増加傾向にあります。加熱調理しても食中毒になるおそれがあり、消費者にあまり知られていないと思われるウエルシュ菌を取り上げて、このたび注意喚起を行いましたので、ご報告申し上げます。
カレーや煮物など一度に多く作る料理は、冷蔵庫に入れず室内で常温のまま置きがちです。料理がゆっくり冷める段階で生き残った細菌が増殖し、食中毒を起こす場合があり、その代表例がウエルシュ菌です。家庭でできる食中毒予防については、食品安全に関する総合情報サイトに掲載していますので、ご活用ください。
本日ご説明した内容は、「知って安心、食品の注意点」として6月14日に消費者庁ツイッターと子ども安全メール、6月19日に首相官邸LINEに掲載しております。消費者庁は、食品の安全について時節に合わせた注意喚起や消費者の方々に知っておいていただきたい注意点の発信を定期的に行うこととし、今回は5月のリステリアに続くものです。
記者の皆様におかれましても、食中毒が増える季節に向けて、消費者の皆様への情報発信にご協力のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。

2.質疑応答

データマックスの木村です。
先週、国民生活センターでビワの種子を使った健康茶の注意喚起が発表されたのですけど、消費者庁としても何か改めて消費者に向けて注意喚起、摂取時の方法や注意喚起する予定はあるのでしょうか。

国民生活センターの公表資料におきまして、国民生活センターが要望しているように、本件につきましては、事業者による品質管理や行政による事業者への指導徹底が肝要と考えております。
消費者庁では、昨年度公表した冊子「健康食品Q&A」等において、ビワの種に限らず、天然・自然由来の食品について、一般的でない食べ方や特定成分の過剰摂取をしないよう呼びかけており、今後とも健康食品に関する情報提供には努めてまいります。現時点で、ビワの種子を使用した健康茶等に関する重大事故の報告はなされておりませんが、消費者庁としては、引き続き事故情報の収集を行うとともに、健康食品等に関する消費者の理解に資する取組に努めてまいります。

もう1点関連で、ビワ種子の健康茶とか健康食品を販売しているネットのサイトを見ると、含まれているアミグダリンという成分をビタミンB17と言って、病気が治るとか、そういう宣伝文句が目につくのですが、その辺の指導は何かされないのでしょうか。

消費者庁としては、ご指摘のような情報も含めて、一般論ではありますが、景品表示法違反被疑事実を了知した場合には、適切に対処してまいります。

テレビ朝日、村野と申します。
最初に言及されました大規模地震に伴う便乗商法ですけれども、特に関西地区で気をつけるべきことはあるのでしょうか。例えば瓦屋根が多いので屋根裏の点検商法に注意してくださいなど、そういう関西ならではの注意事項みたいなのがあれば教えてください。

電話による消費生活センター等での相談受け付けからデータベースへの登録まで、一般論ですが、一定の時間を要しますので、現時点で、今回の地震に関しての相談状況について、具体的な事例をお示しすることは難しい状況にあります。そこで、これまでの大規模地震で見受けられた相談事例を整理して、国民生活センターのホームページでも注目テーマとして掲載しているところでございます。これは6月18日の国民生活センターホームページの「ご用心 災害に便乗した悪質商法」というテーマでの掲載でございます。
関西地方に限ったことではありませんが、過去の地震災害時に寄せられた事例として、ご指摘のような屋根の葺き替え工事の契約を迫るといったことはよく見受けられます。実際、一日に何度も訪問されて、熱心に工事契約を迫られる、また、地震後の屋根の無料点検だという形で話しかけてくる悪質業者もいる、そして、放置すると雨漏りをするからと言って、不安に思っている被災者の心理につけ込むような事例が見られております。
また、今回は一部地域に被害が集中しており、それほど大きな影響は受けなかった方たちもいます。そういった方々にとっては、身近な地域であり、また、知り合いもたくさんいる地域での被害ということで、自分たちのできることはしたいと思う、親切な人々の気持ちにつけ込む被害があっては困ると、大変心配しているところでございます。また、義援金について、公的な機関だから、と言って募る事例も見られております。
消費者の方々には、修理が必要だと言われても、その場では決めず、慎重に対応していただき、そして、契約後でも相談したい場合は「188」に連絡ください。また、不審な電話がかかってきたときは、すぐに切っていただきたい。不審な来訪の申出があっても、自分1人のときに来られても判断できないと言って断っていただきたい。金銭を要求されても支払わないでいただきたい。公的機関が電話などで義援金を求めることはありません。また、寄附をする場合は、先ほども申し上げましたが、団体の活動状況や使い道をしっかりと確認してからにしてください。
また、まだまだライフラインの復旧には時間もかかるという報道がございますので、消費者庁としては、消費生活相談だけでなく、例えば、食品表示規制の弾力的運用の検討、さらには生活関連物資の需給の動向と把握等に努めてまいります。皆様方にご報告すべきと判断することがありましたら、また報告してまいります。何とぞよろしくお願いします。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
最初におっしゃった「社会への扉」使った消費者教育の件なのですが、生徒さんたちに授業前後にアンケートをされているそうなのですが、消費者教育の成果を含めたものを検討するに当たって、このアンケートとはとても大事だと思っています。先ほど、1周年のシンポジウムが7月にあるとしているのですが、これまでにまとめができるものでしょうか。
消費者教育・地方協力課長

ご指摘の徳島オフィスでの取組は、今、徳島オフィスの方で、皆様方のアンケートの調査も含めて、事例を収集しているところでございます。まだ作業が進行中ですので、今時点ではお答えできないということでご容赦いただければと思います。