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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成30年4月4日(水))

日時:平成30年4月4日(水)14:00~14:33  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

皆様、こんにちは。今回は、平成30年度、初めての記者会見でございます。
消費者庁も、この月曜日には、新規入庁者11名の職員の入庁式をいたしました。その際は、取材いただきまして、ありがとうございました。フレッシュなメンバーを迎え、そして、一部には人事異動もございましたので、私ども消費者庁全員、また新たな気持ちで、これまで進めてまいりました消費者行政をさらに強化し、より一段の向上を目指して頑張りたいと思っておりますので、何とぞ、よろしくお願いいたします。
昨年度までのことを振り返りながら、今年度のことを申し上げます。消費者庁は、これまでいろいろな形でつくってきました制度をしっかりと運用し、強化していく段階に入っていると思っております。
例えば、特定商取引法に関する法律の改正法、消費者契約法の改正法、いずれも昨年のうちに施行期日を迎えております。また昨年は、国民生活センター法等の一部を改正する法律の成立・施行という形で、いわゆる2段階訴訟と言われております、消費者裁判手続特例法のための環境整備をいたしております。
消費者裁判手続特例法に関連いたしまして、特定適格消費者団体として、新たに昨年度1団体を認定したところでございますし、差止請求ができる適格消費者団体は、昨年度3団体を認定いたしました。今年は、四国にも適格消費者団体が誕生することを期待いたしておりますし、関東でも、さらに適格消費者団体が増えると、地域の方々の役に立てる対応が期待できるのではないかと思います。消費者庁としては、引き続き、こういった適格消費者団体・特定適格消費者団体の活動の支援にも力を入れてまいりたいと思います。
こういった制度についてだけでなく、法律の適正な執行につきましても、昨年度は、景品表示法、特定商取引法、預託法の施行について、行政処分という形で内容を公表したものの、「件数」のみならず、その執行にあたっての「意義」にご注目いただけるとありがたいと思います。法律の条文を慎重に検討した結果、事実に当てはめて、行政指導・行政処分などを行っておりますので、意識の高い事業者にとっては、今後の事業活動の指針となるような案件が多くあったと思っております。
そして、皆様方が当庁の法執行の状況を報道してくださいまして、一般の消費者の方に気付いていただける機会が増えたことにも感謝いたしております。皆様方も気付かれているとおり、インターネットでの消費活動、またSNSを使った勧誘・宣伝といった情報化社会に特有の消費者問題にも取り組んだ1年でございました。
これは法執行だけでなく、様々な調査活動においても、グローバル化している現在の日本の課題について、私どもも皆様方に報告し続けてきたところでございます。おそらく、今年度も、インターネット関連の案件については、法執行も一層の充実を図らなければなりません。 消費者安全法に基づく注意喚起につきましても、やはりインターネット関連の案件が多く見られた昨年度でございます。今年度も減る方向にはないと思っております。
さらには、政策的な活動ですが、公益通報者保護制度につきましても、消費者庁は全ての国の行政機関に向けてのガイドライン・地方公共団体向けのガイドラインを公表して、制度の定着への取組を進めております。
昨年度の7月に開設されました、消費者行政新未来創造オフィスでは、こういった制度の日本全国への普及に先駆けまして、一歩早く取り組んでいる案件がいくつかございます。先ほど、例に挙げました公益通報者保護制度に関しての窓口を設置するという事柄だけをとってみましても、徳島県は県及び県内の市町村全てに窓口が設置されております。引き続き、他の県でもこういった取組が進むことを期待いたしておりますので、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
また消費者志向経営の推進につきましても、昨年来、少しずつではありますが、着実に消費者志向経営の自主宣言をする企業が増えております。今年度は、第1回の表彰をいたしたいと考えております。
本年9月から消費者庁は設置以来10年目に入ります。これまで、積み重ねてきたことをベースとして、より一層、一人一人の暮らしの安心・安全を守るための消費者行政の推進に取り組んでまいります。
そして、先ほど、申し上げましたとおり、情報化・グローバル化の進む、今日の日本の社会でございますから、どうしても取り残されがちな人々がいらっしゃいます。こういった方々を消費者被害から守るためにも、地域社会の見守り力に期待するところでございますし、消費者庁としても地方消費者行政の推進には、様々な角度から力を入れてまいりたいと思っております。そして、こういった消費者庁の取組が生活者一人一人に届くためには、毎週水曜日にお時間を頂戴いたしております、メディアの皆様方のご協力が不可欠であります。どうぞ、本年度も消費者庁からの発信を全国に届けるために、ご協力をお願いいたしたく、改めてお願いする次第です。
その関連では、本日は新年度の第1回でございますので、3月20日の段階で、すでにお願い申し上げたことではありますが、新生活を始める方へ向けた呼び掛けについて、今一度申し述べさせていただきます。
お手元にその時に配布いたしましたチラシを、また配らせていただきました。これから、新しい環境で生活を始める方が多いかと思います。特に一人暮らしを始める方、また、転居して、新しい生活を始める方々へ向けてのメッセージではございますが、引っ越しなどはしなくても、この機会に新しい仲間との関係がスタートするという方も多いと思います。それぞれ5項目に絞りました注意事項を、今一度、ご確認いただけるよう、そして、新しい環境での消費生活がより豊かなものになるよう、新社会人、また、学年が1つずつ進む人たちに呼び掛けたいと思います。特にインターネット通販、SNS等との付き合い方については、今一度のご留意をお願いしたいところです。
消費者庁では、これからも消費者の皆様が安全・安心に暮らせるようにいろいろな取組を推進し、機会あるごとにメッセージを発信していきたいと思っております。どうぞ今年度もよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

NHKの飯嶋です。本年度もよろしくお願いします。
今、長官から、新生活を迎える皆さんへの気を付けてほしい点について、メッセージをいただきましたが、万が一、何か起きてしまった場合は、どうしたらいいかということについても、呼び掛けていただいてもよろしいでしょうか。

契約や製品等に関するトラブルや事故に遭わないことが一番でございますが、予防ができないことも往々にしてございます。こういった消費者トラブルで困ったときは、身近な消費生活センター等の消費者生活相談窓口にご相談いただきたいと思います。「消費者ホットライン188」を是非覚えておいていただき、自分が困ったときには遠慮なく188に電話をしてみる。そして、友人が困ったときにも、それを知らせてあげていただきたいと思います。188にご連絡いただければ、最寄りの消費生活センターにつながります。

徳島新聞社の湯浅です。本年度、よろしくお願いいたします。
先ほど、消費者行政新未来創造オフィスの取組について、ご紹介いただきましたけれども、地方の自治体と連携して、そこに根差した相乗効果で、新しい取組が広がってきているというのは、非常に意義深いことだなと思っているのですけれども、2年目を迎えるにあたって、課題や、これからの運用の方向性について、具体的に見えてきておられましたら、教えていただける範囲でお願いできますでしょうか。

徳島の皆様方のご協力を得て、進めているプロジェクトは多数ございます。その中でも、すでに徳島が先進的な取組をしてくださったもので、全国展開のアクションプログラムまで決定したものが、消費者教育の推進でございますので、この機会にご報告申し上げます。
平成34年度から18歳が成年になるという内容を含む民法の改正案が今国会で法案提出予定となっております。消費者庁といたしましては、これまで、未成年者取消権で保護されていた18歳、19歳の方々が成年になることで、失うことになってしまう取消権の問題も、大変重要なことだと考えております。これまでも取り組んでまいりましたが、若いころからの消費者教育の推進については、一層の力を入れようと考えております。昨年度に作成いたしました「社会への扉」という教材を、徳島県では、全ての高校で取り上げて、消費者として自立した消費活動を営むためのクラスを開催してくださると伺っております。すでに、いくつかの高校では実際の授業を行ってくださいまして、そこには特別支援学級や定時制高校も含まれるということで、先生方のお声も伺っております。
こういった徳島での実際の教材を使用した授業の経験を踏まえ、これから日本全国で消費者教育を進めていくにあたって、徳島での成果をもとに、改善しながら、まずは、8か所、その次にもっと多くの都道府県で、最終的には全国の全ての高校生が、平成34年度までに一度は消費者教育の授業を受けるという方向でプログラムを組んでおります。
今年度の徳島県でのプロジェクトについては、すでにできていることは、全国展開のための拡大を目指し、反省点については、改善をして、どのようにすれば全国展開ができるかをしっかり検討していきたいと思います。
また、実証的な研究についても、今までなかなかできなかった画期的な研究も行いました。具体的には、障がいがある方々の消費行動や若者の消費者被害の心理的要因についてなど、東京ではできなかった研究についても、徳島では、地元の方々のご協力も得て、行うことができました。こういった研究・分析をさらに深く検討することで、日本全体の消費者行政の推進に生かしていきたいと思います。 その意味で、徳島オフィスの2年目は、私どもにとっても非常に重要な、次の段階に進むための時期だと考えております。徳島の方々へも引き続きのご協力をお願いしたいところです。

データマックスの木村です。
食品表示の取締りについても、不適正な広告表示の取締りの強化を望む声も多いですので、その辺も力を入れていただければと思っております。

食品表示も昨年度は、皆様方にいろいろご指導をいただきながらではありますが、消費者庁は力を入れて取り組んでまいりました。
記憶に新しいかと思いますが、9月1日には、これまで一部の加工食品にのみ義務付けられていた原料原産地表示について、全ての加工食品を義務表示の対象とする、食品表示基準の改正を公布・施行いたしております。
また、先月でございますが、遺伝子組換え表示制度に関する検討会の報告書を公表し、さらには、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインも改正いたしております。
これからも、消費者庁としては、しっかりと制度を運用してまいります。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
先ほど、長官がおっしゃったように、昨年度は法執行や情報提供がとても積極化されたような気がしました。一方で課題として、インターネット関連の苦情相談に対して、どのように対応していくのかというところも課題として残ったのではないかと思います。
また、情報発信は非常に活発化されましたけれども、それが本当に届けられるべき人に届いているのか、つまり、ネットだけに頼らない情報発信のあり方が課題として残ったのではないかと思います。
司令塔機能についても、消費者問題と政策自体が幅広く、とても裾野が広くなってきている中で、司令塔機能というのが、どこまで発揮できるのかということが課題だと思います。
あと、3月30日に公表のギャンブル等依存症の対策について、私自身は、本当の対策強化であるならば、ギャンブル依存症を生み出す社会構造や仕組みに対して、メスを入れていくということも必要があると思いますが、いかがでしょうか。

ただいまの丸田記者のご発言の前半部分の情報発信につきまして、昨年の消費者白書で、若者の消費について特集いたしましたが、スマホと一緒に暮らしている若者が非常に多いという結果が出ました。いろいろなところで待ち時間に使うだけでなく、1人で自宅でくつろいでいるときもスマホと一緒にいるというような行動様式がありますので、そういった方々の中には、情報がスマホ経由に偏っている人もいて、困ったときに二次被害にも遭ってしまうという残念なことも起きています。
また、そもそもスマホやインターネットに触れないままの暮らしをしている方もまだまだいらっしゃいます。こういった現代社会ならではの情報伝達の難しさについては、何度も丸田記者からご指摘を受けておりますし、消費者庁としてもいろいろ工夫を凝らしていきたいと申し上げているところです。
例えば、「知っている人しか知らない188」と言われたこともありますが、今年度は、さらに一歩進めまして、日頃から188を知ってもらうために、手帳等に掲載してもらう働き掛けも担当課において進めております。徳島でも、お買物に来た人に気付いてもらうというイベントをさせていただきましたところ、アブナイカモとすだちくんが一緒に登場して、親子連れにご理解いただけたということもございました。
地域の力を借りながら、情報発信をしていきたいと思っておりますから、国民生活センターを通じて全国の消費生活センターに発信しているものもございますし、消費者庁から各都道府県、そして、都道府県を経由して、市町村にお願いしているものもございます。情報発信についても、複数の情報発信チャンネルをうまく組み合わせて、次の段階にすすみたいと思っております。政府関係のネット発信の中でも、フォロワーが最も多い首相官邸LINEで、昨年度、消費者庁がメッセージを発信しましたが、こういった機会も今年度は、さらに増えていくものと思っております。
丸田記者のご発言の後半部分でございますが、まさに、いろいろな関係省庁がそれぞれのところで力を入れてやっていることをうまくコーディネートして、コントロールタワーとして、国全体の消費者の役に立つ行政がより進歩するようにという、消費者庁に期待される役割は本当に大きなものだと思います。美容医療といった、厚生労働省では医療の課題の後になりがちな分野についても、消費者庁と一緒に対応することで、一人一人の生活者の役に立つ形の発信をさせていただいたのは昨年のことであります。
それぞれの課題に応じて、各課では関係省庁と連携しつつ、今年度はさらにコントロールタワーとしての責任と自覚を持って、消費者への情報提供に努めていきたいと思いますし、国ができることの調整に力を入れてまいります。
そして、ご発言の最後にありました、ギャンブル等依存症対策についてですが、社会構造そのものに起因する現代社会の課題というものは、様々なことがあろうかと思います。
消費者庁は一つ一つの課題がすぐには解決できないようなことでも、少しずつでもできることを息長く続けていきたいと思っておりますので、これからも地域の方々と協力し合いながら、消費者庁のできることを進めてまいります。
そういったときに、メディアの方々のご意見・ご示唆、大変ありがたいと思っておりますので、今年度もよろしくお願いいたします。