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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成28年10月5日(水))

日時:平成28年10月5日(水)14:00~14:28  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

初めに「美容医療サービスを受けるに当たって注意すべき事項」の公表についてご報告します。
消費者庁では、厚生労働省と協力し、美容医療サービスを受けるに当たって注意すべき事項等についてチラシを作成し、先日、9月27日公表いたしました。
美容医療サービスは、消費者と事業者との間の情報の質・量や交渉力の格差が大きい、一旦施術されると不可逆性が大きい、費用が高額に及ぶことが多い、消費者被害が広告、勧誘、契約、施術等の各段階に起因するなどの理由により、消費者政策上極めて重要な分野ですが、相変わらず、残念ながら消費者トラブルが発生している状況にあります。
このため、美容医療サービスを受けるに当たって注意すべき事項として、施術を受ける前に、(1)医師の説明を十分に理解できたか、(2)今すぐ必要な施術かを確認した上で、落ち着いてよく考えてから施術を受けるよう注意喚起を行うためのチラシを作成し、公表いたしました。
消費者の皆様には、美容医療サービスを受けるに当たっては、今回まとめたチラシを参考に、是非落ち着いて、よく考えてから施術を受けていただきたいと思います。

2.質疑応答

日本消費経済新聞、相川です。
この注意喚起なのですが、どういう方法で注意喚起をされるのでしょうか。
消費者政策課

まず、消費者庁のホームページにアップさせていただいて、トピックスの方には出ているかと思います。併せてTwitterとFacebookの方にも掲載しております。
併せて厚労省からもホームページ、Twitterで公表しているところでございます。
あと、併せて、地方公共団体に対しまして、消費者庁から消費者担当部局宛て、厚労省から衛生主管部局宛てに送付しているほか、消費者庁からは消費者団体向け、厚労省からは美容医療関係団体やインターネット関係の業界団体宛てにもチラシを送付し周知をお願いしている、そういったことでございます。

今回、高齢女性の被害が余りに悪質で、もうこれは詐欺に近いのではないかと私は思っています。
実は、広告を何枚か拝見させていただいたのですが、明らかにもう自由診療であることを書いていないとか、金額は書いていなくて「お気軽にご相談ください」というふうに書いていて本当に人に知られず簡単に若返るということをうたっています。
それで思わず電話をしてしまうと、「相談ですよ」と呼ばれてそのときに注射をされていて、人によって人相を見てではないかと思うのですが、お金がありそうな人、気の弱そうな人には1本何百万もする注射の請求をし、「お金がない」と言うと100万単位で注射の値段が下がっていくというような、もうこれは啓発をしているような段階ではないと思うことが一つと、厚労省は権限がないと言うのです。自治体にしかないからできないと言うのですが、自治体の保健所は、皆さんやることが多くて恐ろしくてなかなかクリニックに自治体の担当者がどこまでできるかという問題がありまして、これはもうちょっと真剣にやっていただかないと、とても問題ではないかと思うのと、それからホームページをほとんど見ないようなご高齢の方がほとんどで、皆さん新聞広告、新聞の折り込みチラシから入っている。新聞の側も私は問題があるのではないかと思うのですが、ああいう広告を平気で入れている。
この辺について何らかのことを消費者庁がしないと、啓発ばかりやっていても、本当に救済にもならないし未然防止にもならないのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

大変重要なご指摘だと思っております。
契約については188の相談窓口がありますが、この啓発も当然粘り強く進めてまいります。業界全体に対してどういった働きかけができるのかも考えていきたいと思っております。

日本消費者新聞の丸田です。
確認です。美容医療サービスについては改正特商法の特定継続役務の追加類型の中に入れるという、その検討が5月の改正の中であったと思うのです。
それは、定義とか範囲とかということを検討されるということのように聞いていたのですが、これはどうなっているのでしょうか。
消費者政策課

特定商取引法、今ご質問のあった特定継続的役務提供の関係は担当課としては取引対策課になりますけれども、政策課で把握している限りのこととしましては、現在政令改正に向けて検討を、その定義も含めて対象となる美容医療サービスの中身も含めて検討を行っているというふうに承知しております。

その場合、例えば国民生活センターが前に被害を発表した包茎手術であるとか、あるいは、医療脱毛であるとか、つまりお医者さんが関わるものを丸ごと対象にしているということでしょうか。

具体的に対象になる役務については、今後検討ということでございますけれども、継続的役務でございますので、1回きりのものは、多分対象とならないということがまずありまして、そのほかにも、まず医療の中で更に美容の向上を目的とするとか、そういう定義が置かれて、その上で、具体的に対象となる役務を今後規定していくことになると思いますので、そこら辺の対象になってくるかどうかということだというふうに思います。

3.発言要旨

次に風評被害に関する消費者意識の実態調査(第8回)の結果についてご報告します。
お手元にも資料はありますが、モニターを見ながらご報告します。
消費者庁は、平成25年2月から、食品中の放射性物質に関する消費者意識等について、半年ごとにインターネット調査を実施しています。
本日、8月に実施した第8回目の意識調査の結果を公表いたします。
詳細については、記者会見後、担当課からご説明いたしますが、私から主に3点についてコメントいたします。
折れ線グラフにご注目ください。
まず、「放射性物質の含まれていない食品を買いたいことを理由として、食品の産地を気にしている人」は、調査開始以来徐々に減少していましたが、この方たちに食品の購入をためらう産地を聞いたところ、「福島県」を選択した人は、回答者全体の16%前後で減少傾向が横ばいとなっています。
この要因の一つとして考えられることは、この今モニターに出ている図に表れています。現在は、食品はモニタリング検査を行い、検査の結果、基準値を超えたものは流通・消費されない制度となっているのですが、このことについて知っていると回答した人が、第1回調査時の6割から4割まで減少しています。
一方で、「検査が行われていることを知らない」と回答した人は第1回調査時の2割から3割強まで増加しています。今回の調査では、この傾向は一服しているように見られます。
次に、図表3でございます。
また、流通している食品の放射線による低線量放射線のリスクの受け止めに関しては、「情報が十分でないためリスクを考えられない」と回答する人が、第1回の調査以降増加傾向を示し、第8回の今回では約3割となっています。増加傾向は一服していると見られます。
このように、東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年半が経過し、食品と放射能に関して消費者の知識や理解はある程度は進んでいる一方、消費者の有する知識や理解の度合いが徐々に低下し、そのまま固定化していることが示唆されます。
次に、消費者庁では、消費者の皆様が自らの判断で適切な消費を行えるよう、これまで様々な形で食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションに取り組んでまいりました。全国で500回を超えるシンポジウム形式の意見交換会や、セミナー形式の研修会等を実施してきたほか、「食品と放射能Q&A」を発行し、85万冊以上配布しています。
これに加え、今年度は消費地における親子参加型のイベントに出展するなど、新たな取組も行っているところです。
当庁としては、今回の調査結果で消費者意識の変化に一服感が出ていることを踏まえ、今後は、福島県を中心とした取組に加え、他地域での取組も積極的に展開するとともに、効果的なリスクコミュニケーションの手法を検討するなど、食品中の放射性物質に関する正確な情報発信に積極的に取り組んでまいります。
詳細については、この会見後に消費者安全課からご説明いたします。
以上です。

4.質疑応答

ニッポン消費者新聞の丸田です。
長官がご説明になった2点目のグラフの出荷制限について「知っている」というのが4割。検査の実施を「知らない」というのが3割ということについて、当初の5割と2割よりも知らない人が増えて知っている人が減っている。
これについてリスコミもされているのですけれども、どういうふうにお考えかというのが一つと、もう一つが、この検査は多分後の調査結果でもあるのではないかと思うのですが、基準値が設定されている。基準値以上のものは、もちろん規制があるのですけれども、基準値以内であっても購入するか、しないかという結果というのは報告書の中にあるのでしょうか。

勉強が進んでいる人は、自分なりの考えを持っている分野だと思うのですが、事故から5年が過ぎ、より深い理解をしようという意欲のある人が減った可能性もあるかなと多少気にしているところですから引き続き理解を深めるよう、消費者庁としては地道なリスクコミュニケーションの活動を丁寧に。また、少し対象(リスクコミュニケーションの相手方)の層を変えることなども含めて、今後どういった形でこの取組を深化させていくか工夫いたしたいと思います。

消費者安全課

もう一点ございました基準値以内であれば受け入れられるということにつきましては、この後、資料を配付して、別途ご説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

5.発言要旨

3点目のご報告事項です。
特定保健用食品の許可取消しを踏まえた再発防止策について引き続きご報告をいたします。
まず、特定保健用食品に許可時の関与成分が規定量含まれていない、関与成分がそもそも含まれていないといった重大な事案が発生したことを踏まえ、9月27日付で業界団体を通じ、関与成分の含有量に関する調査を依頼する内容の通知を発出したことを、先週の会見でご報告したところです。
その後、トクホ制度全体にかかわる今回のような事態の再発防止策として、更に9月30日付で業界団体に対して品質管理などの徹底をトクホ申請企業に対して取り組むよう注意喚起をする通知を発出いたしました。
併せて、業界団体に対しては、先般発出した調査の回答をしっかりとお願いするとともに、今後の業界を挙げての一層の努力を直接私自身からお願いいたしたところです。
一方、日本サプリメント株式会社に対しても、「今回の件は非常に遺憾であり、消費者の信頼を裏切り、更にトクホ制度の根幹を揺るがしかねない重大な事案である」旨を社長に直接申し渡したことをご報告いたします。
引き続き、トクホ制度に対する消費者からの信頼を取り戻すため、消費者庁として再発防止策に取り組んでまいります。

6.質疑応答

データ・マックスの木村です。
日本サプリメントの社長に直接お話したということで、相手の方はどのようなコメントを述べていたのかというところをまずお願いします。

個別の企業との会談でありますので、ただいまご報告させていただいた部分を皆様に開示するということについて、相手の企業に了解を得ておりませんので、相手の企業がどのようなことを私たち消費者庁に言ったのかについては、恐縮ですが直接相手の企業から聴取していただければと思います。面談内容を外に開示することの了解は得ておりませんでした。

日本健康・栄養食品協会に改めて品質管理の徹底を依頼したわけですけれども、「強力な取組を推進していただくよう」という文言があるのですけれども、具体的に例えば日健栄協の方では、今後再発防止に向けてこういうことを考えているとか、そういったお話はあったのでしょうか。

そのような具体的なコメントについては、先週の段階ですので、なかったかと思います。これも正確には直接団体とお打合せください。

長官がお会いしたのは、下田理事長でよろしいですか。

はい。下田さんが消費者庁までいらっしゃいました。

健康産業流通新聞の和田と申します。
業界団体の方が自主的に調査をしまして、期日までにその回答があったとして、そこで新たな事案が出てきた場合、消費者庁としてはどのような対応を想定されるのでしょうか。

新たな事案の内容にもよるかと思いますので、今の段階で全てについてケーススタディをしているわけではございませんが、予想されるパターンの中で、ほかの会社もあった場合、また、ほかの会社にはなかった場合と、それがまず二つに分かれます。ほかの会社でも類似の大変遺憾な事態があった場合は、その数が複数かもしれませんし、2、3という数字ではなくもっと多いのかもしれません。そこは結果次第ではありますけれども、緊急度の高いと思われる、少なくとも数社までであれば、直ちに聞き取り調査も始めたいと思います。

その後の対応は調査をしてからということになるわけですか。

個別の調査をしてからですか。

そうですね。

26日までの期限で全体像が見えますので、その中で類似の残念な事態につながりかねない状況にあると思われる会社がありましたら、直ちに動きたいと思います。そしてその数社から個別対応をどんどん進めていくと。

あともう一点ですけれども、機能性表示食品も関与成分とか試験等々、非常にトクホと似たところがあるのですけれども、今回はトクホについて調査を業界団体の方にということですが、今後、将来の話でよいのですけれども機能性表示食品については事案がないとはいえ、そこら辺は調査なり買上げ調査というところはもう既に検討されていると思いますけれども、そっちの方の対応というのは何か考えられるのでしょうか。

今の段階で考えるか考えないかと言われると、考えていかなければいけない時期であるかもしれないと当然思いますが、まずは優先順位の高いトクホ、より高いハードルを課している特定保健用食品ですので、当面はこちらに集中して対応いたしたく思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
一つだけ、今回の件について、日本サプリメントに対して特に気になっているのは、消費者対応について、消費者庁の方から何か指示されましたでしょうか。というのは、先月いっぱいは社告の中に出てくるフリーダイヤルでもご質問がある方とか、あと購入された方が返納する希望のある方とかということが書いてあるのですが、そのフリーダイヤルがずっと通じないということで、恐らく消費者対応ということについては、結構、消費者の方々も不満に思っていらっしゃると思うのですが、そのことについて何か消費者庁の方からなされましたか。

私どもから彼らに申し渡したことなので、この場で言えると思うのですが、消費者に対してはより丁寧な対応をお願いしたいということを繰り返し申しました。

日本消費経済新聞、相川です。
このトクホの取消しを受けた日本サプリメントの製造工場がGMP認証を受けていたようなのですが、これは事実でしょうか。

今この時点では情報を持っていないので、確認してからお答えいたします。

どうもそのGMP認証を受けている工場のようなのです。実はGMPというのは適正製造規範というふうに呼ばれているようで、食品の中のこういうものを日本はちょっと複雑なようで二つの協会がどうも認証をしていると。
認証をしていて、もしこういうことが起こったのであれば、そのGMPの基準というのは何なのだろうかと。全然製造に成分が入っていないとか、足りないものが平気で出されるような、それがもしその工場であれば、その基準を見直していただかないと消費者はとても安心できないと。
それから、消費者にとってすごくその二つの協会が認証をしているというのは非常に分かりにくく、どちらを信じてよいのかということにもなりかねず、少し公的な行政、国の方でそれを一本化するとか、水準をどのぐらいまでにするとかいうようなご検討ができないのかなと思っているのですが、いかがでしょうか。

ご指摘は承りました。ただいま相川記者からは製造方法の認証についてコメントがありました。私どもが食品表示の関係でやっていることを念のためにご報告いたしますが、トクホについては特定保健用食品表示許可証というものを会社の方にお渡しするときに、許可の条件というのを付けておりまして、そこに当該食品の保健の効果又は安全性につき、新たな知見を入手した際には遅滞なく消費者庁食品表示企画課まで報告することと明記してお願いしております。
ですから、新たな知見を入手した際に、企業には消費者庁に速やかに報告する責任があります。それを今回怠ったことが取消し処分の背景になっておりますので、ただいま相川記者のご指摘の製造方法の認証とは直接結び付くことではない事項による許可に対する責任を怠った状況であったということでございます。