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岡村元消費者庁長官記者会見要旨
(2019年7月3日(水) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室)

発言要旨

西日本では、6月下旬から九州南部を中心に大雨が続き、人的、物的被害が出ております。亡くなられた方、そして被災された方々に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。
気象庁からも、昨日から大雨となっている九州では、命を守らなければならない状況が迫っているとして早めの避難が呼び掛けられており、既に避難指示が出された地域もございます。
消費者庁でも、本日、豪雨災害に備えてくださいと、Twitterで発信しております。周囲の方と声を掛け合い、最新の情報に注意しながら対応していただきたいと思います。
次に、7月の組織再編について申し上げます。
消費者庁は、一昨日、7月1日付で、消費者教育を専門的に担う「消費者教育推進課」を新設いたしました。同課は高齢者や障害のある方、若年者を始めとする全ての消費者に対し、ライフステージに応じた消費者教育の機会を提供するための施策の企画・立案業務を担うほか、消費者教育を行う現場との連携により、食品ロスの削減など、時々刻々と変化する社会問題への対応を図ってまいります。
引き続き、様々な方々との連携・協働により、自立した消費者の育成と、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
なお、消費者教育推進課の新設に伴い、「消費者教育・地方協力課」は「地方協力課」と名称変更し、地方消費者行政の充実に向けた支援を行ってまいります。
また、「消費者調査課」は、「参事官(調査・物価等担当)」に名称変更し、消費者調査課において実施してきた取組を、引き続き、着実に進めてまいります。
本年9月には、消費者庁創設10周年を迎えます。今回の体制強化も踏まえ、これまで以上に充実した消費者行政を展開できるよう、消費者庁としての取組を更に進めてまいりたいと思います。
最後に、「こども霞が関見学デー」の開催について申し上げます。
今年の「こども霞が関見学デー」は、8月7日水曜日、8日木曜日に開催されます。消費者庁も24府省庁等と連携して実施いたします。
消費者庁では、食品と生活の安全、栄養成分表示、エシカル消費などについて、子供たちに理解を深めていただけるプログラムを行うこととしていますので、多くの子供たちの参加を期待しております。

質疑応答

通販新聞の佐藤と申します。
課徴金の導入直後に就任されたということもあって、難しい舵取りもあったかと思うのですけれども、お疲れ様でした。
その課徴金についてですが、みなし規定である、その不実証広告規制に、その課徴金を掛けるということの妥当性について、その元検事という立場からどう思われるか、ご意見を伺いたいです。

国の法律でできた課徴金制度でございますから、消費者庁としては制度の運営に努めています。

あと、機能性表示食品の取締りについて、規制改革推進会議の、あの答申の方で、特にその機能性表示食品について、予見可能性の点が言われているのですけれど、この指摘についてはどう思われるか、伺いたいのです。

その点につきましても、いろいろな方々からご意見を寄せていただいております。私どもも、責任ある立場の者が有識者の方々とも協議も重ねまして、消費者庁として次の段階、皆様方にお示しできるような制度運営について、しかるべきときに発表させていただきたいと考えております。

フジテレビの一ノ瀬です。
消費者庁と直接関係ないことで恐縮なのですけれども、JOCの常務理事に就任予定だったのを辞退されたという報道がありましたが、理由など教えていただければと思います。

個別の人事のことですので...。7月9日まで消費者庁の長官という重い職責を担わせていただくことになっており、最後の日まで全力で現在の任務に当たりたいと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
歴代長官の中でも3年間という一番長い期間されていたということとか、消費者庁としての執行や、情報提供などについては、非常に積極的なところがありましたし、退任に当たってどういうことを思われているのか、お聞きできればと思います。

昨日の閣議で新任の長官と私の退任が決定されましたので、7月9日付で退任させていただきます。本日が私の、2年11か月、毎週水曜日、最新の消費者行政をお伝えしてまいりました定例記者会見としては、最後の場となります。
これまで、皆様、本当にありがとうございました。
皆様方にとっても、毎週水曜日、お忙しい中こちらにお越しいただくのは大変だと思います。皆様方の貴重なご意見とお時間を頂戴しているということを、私どももいつも認識しながら会見の準備をし、また、頂戴いたしましたご指摘、ご意見を踏まえた施策の展開ができるよう、努力してまいりました。
約140回かと思いますが、その間に消費者庁は、7歳から間もなく10歳の誕生日を迎えるところまで来ております。
もちろん、皆様方から見ますと、消費者庁に対しご指摘はあると思いますが、まだまだ本当に成長過程にある役所ですので、これからも皆様方のご指導を賜りながら、更に成長していくことを期待しております。
過去を振り返ってどうかということで申し上げますと、消費者庁の創設時の理念を踏まえた上で、法と証拠に基づき、厳正・適切な執行を行うとともに、庁内の政策部門と執行部門の連携を図ってまいりました。
また、消費者政策は経済政策でもございますから、経済官庁としての政策の実現も図り続けております。
そして、こういった取組の内容を広く知っていただくために、新しい形の広報活動も始めました。
皆様方からいただくご意見、ご指摘の中には、時には厳しいものもございまして、私自身、本当に勉強させていただく機会だったと思っています。
ですから、私自身は、この庁の歩み全体から見ますと、3年近くとはいっても、非常に短い期間だと思っています。
これからの消費者庁の成長に期待するということは、皆様方も私個人も同じだと思うのですが、その方向としては、消費者庁の創設目的である、安心・安全で豊かな消費生活の実現を図るとともに、現代の課題ですが、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、これまでの取組を踏まえて着実に、また、霞が関でも新しい役所であるという開拓精神に基づき、施策を進めてくれればと願っております。これからの消費者庁を担う、本日もこの会見の場に同席しております職員の活躍に期待しております。
皆様方のこれまでの記者会見での的確なご指摘、幅広いご質問は、本当に庁全体にとって大切な研鑽の機会となったと思っています。最後に、改めてお礼を申し上げます。
そして、締めくくりですが、「The best is yet to be」という言葉があります。最上のものは未来にあると訳される方もいますし、これからが大切という形で捉えておられる方もいると思います。共通する点は、未来が今よりも良くなるように努力し続けなければいけないということだと思っております。
もちろん、私自身も、これからの消費者庁に期待するだけでなく、自分自身のライフワークとして、人々の暮らしの安心・安全のためにできることを続けるつもりです。
皆様方、本当に長い間ありがとうございました。

日本消費経済新聞の相川です。
長官が、今まで取り組んできた中で、経済政策もやってきたとおっしゃいましたが、執行と政策部門の連携を図ってきたということで、この3年間で一番、消費者庁の成果が上がったと思っていることは何か。
それから、3年間でまだやり残していることがある、この辺は課題だと思っていることがあったら、お教えください。

一般論ですが、政策を支えるものとして個別事件にハイライトをして執行することにより、その成果を広く周知することで、事業者の方々に自分の行動を確認していただいて、より良い消費者のための経営をしてくださる企業が伸びるように、そして、消費者をないがしろにする事業者には、早くマーケットから撤退していただきたいと思います。消費者庁が真面目な企業の方には頼りにされ、不心得者が消費者の権利をないがしろにするような場合には厳正に処分するということで、悪質な事業者には恐れられる存在でありたいと思います。
個別論でと申しますと、全ての事件について一つ一つドラマとストーリーがありますので、どれがということはありませんが、巧妙複雑化し続ける事業者の不適切な活動に対して、役所が対応するために、役所もあらゆる手段を工夫して使っていくわけですが、これも様々な制約の中で、限られた人数でやっていることですから、国の役所としてやるべきことについて、できることを積み上げてきたと考えております
被害者には、早く被害に気付いていただきたいですから、全国で活動してくださっている都道府県・市町村の消費者センターで、消費者に寄り添って相談を受け付けてアドバイスをされている相談員の方々の生の声を、リアルタイムで聞くことが非常に大切だと思っています。そういった方々と職員との距離感が近くなったことが、大きな進歩の一つと思っております。
そして、この努力は更に続けなければいけないと思っています。地域によって差があるという現状は、少しずつでも解消したいと願っております。

今後、消費者行政に向かっていく人たちに対して、私たちへメッセージをいただけませんでしょうか。

消費者庁では、複数の分野の専門家が、それぞれ自分のエリアについて現状を把握し、その時点でベストと思われる解決を探って、日々努力しております。
そういった各職員が抱えております課題をしっかりとコーディネートして、優先順位を付けて、皆様方に分かっていただけるように説明していくことも、庁の代表としての仕事だと思っております。

新設された消費者教育推進課について、少しお話を伺わせていただきたいのですが、実は「社会への扉」を使った授業というのが、集中強化期間ということで、2018年は都道府県のうち8自治体では全てのところで授業をしてほしいという目標を掲げられていたと思うのですが、蓋を開けてみると、実施できたのは徳島県一つだけでした。
それでいうと、7割以上で実施できているところが6県しかないということで、いろいろな課題があると受け止めているのですが、どのような課題があると受け止められていて、今後その新設された消費者教育推進課では、どのような取組をしていこうとお考えになっているか、教えてください。

今の質問が大変良く分かる例だと思うのですが、徳島以外ができていないとか、7割できているところが少ないというご指摘ですけれども、見方を変えますと、5割、6割できているところがこんなにあると。別の言い方では、これだけ多くの県で、5割には達していないけれども、ここまで努力してくれた、という形での取り上げ方もしていただければと願うところでございます。
一方の見方だけでなく、違う見方もした上で報道いただければ、実態が人々にうまく伝わるのではないかと思います。それは仮に4割しかできないという地域があった、やっていなかったという結果がある地域であったとしたら、成功例などを見て、良いところは取り入れる、また、それぞれの県での工夫をされるといった取組があっても良いと思っておりますし、目標までの期間を考えますと、現在分析してきちんと数字を出していることは、マイルストーンとして非常に意味がある取組だとも思っております。
こういった、それぞれの地域でやってくださっていることを取りまとめるための国の役所として、消費者教育推進課はこれまでの取組に加え、ほかの官庁との連携も強化し、また、地方との連携も強化し、なお一層充実させて、消費者教育の推進に取り組んでまいります。その場合は、私ども消費者庁も一生懸命努力する。そして、それぞれの地域で頑張っている方々にも、現場での知恵を出していただくということだと思います。