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岡村元消費者庁長官記者会見要旨
(2019年6月19日(水) 14:10~14:19 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室)

発言要旨

昨夜、6月18日の山形県沖地震により被災された皆様方に心からのお見舞いを申し上げます。
現時点までに、山形県、新潟県の全ての消費生活センターの通常稼働を確認済みでございます。また、消費者庁のSNS、Twitter、Facebookにより、災害に便乗した消費者トラブルに関する注意喚起も、既に実施いたしております。
被災地では大雨の可能性もあるとの情報が入っておりますので、引き続き消費者庁全庁で注意を払い、生活の復興に向けて力を尽くしてまいりたいと思います。
大規模な災害の後には、災害に便乗した消費者トラブルが多発することがあります。被災地においては、建物、設備の修理や点検をかたる悪質商法などにご注意いただき、契約は慎重に行うようにお願いします。生業(なりわい)・生活の再建に際し、消費生活上のトラブルにより、少しでも不安なことや困ったことがある場合には、「消費者ホットライン188(いやや!)」にご相談ください。
さて、地震の災害については日頃から注意を怠らないことが大切ですが、梅雨時及び台風の時期には、それにとどまらず集中豪雨などへの備えが必須となります。近年は特に、河川の急な増水・氾濫などにより、大きな被害が発生しています。昨年の平成30年7月豪雨による大規模な被害が記憶に新しいところですが、令和の時代になりましてからも、例えば、先月下旬に、九州南部で局地的に雷を伴った激しい雨が降った地域もあったところでございます。
消費者庁では、昨年度における地震、大雨等の災害時の対応も参考として、「消費者行政かわら版」第2号を作成し、広く周知を図ることとしました。災害への事前の備えを促し、被害の発生を抑止したいと意図したことのほか、「チケット不正転売禁止法」が6月14日に施行されたことも踏まえ、チケットについては、正規の方法で購入すべきことなどを紹介しております。
本資料は、都道府県等の消費者行政担当部局や消費者団体に提供するほか、複数の民間団体に、会員向けの周知をお願いすることを予定しております。一人でも多くの方の目に留まることを期待しております。
次に、「消費者白書」について申し上げます。
昨日6月18日に、令和元年版の「消費者白書」を公表いたしました。メディアで取り上げていただきましたことに、改めてお礼申し上げます。
今回は、本年9月に消費者庁設立10周年を迎えることから、「消費者庁及び消費者委員会設立10年」を特集テーマとしました。
この10年間の取組の成果と課題を明らかにし、消費者問題の新たな潮流を踏まえた今後の消費者政策に関する展望を示しております。
また、消費者問題の概況を振り返り、2018年の消費生活相談の特徴も紹介しています。2018年の消費生活相談件数が101万8,000件と11年ぶりに100万件を超えたこと、特に「架空請求」に関する相談件数が過去10年で最多となったことなどを記載しています。
消費者庁では、白書で示されたデータ、分析結果を踏まえ、今後も消費者等への情報提供や注意喚起などの取組を推進してまいります。
消費者事故に関する注意喚起等は、メディアへの広報を始め様々な方策を用いて、一人でも多くの消費者に伝えることが非常に重要であると認識しています。引き続き皆様方のご協力も賜りながら、消費者庁が発信する情報が一人でも多くの方々のお手元に届くよう努めてまいります。
最後になりますが、メディアの皆様方におかれましては、消費者問題・消費者政策に関する資料として、白書を引き続きご活用いただけますと幸いでございます。
最後に、ダイエット健康食品の注意喚起について発言いたします。
消費者庁では、健康食品を理解し、利用する際に注意すべきポイントをお伝えするために、「健康食品 Q&A」を作成し、消費者を中心とした各方面への配布や、意見交換会等で教材として活用するなど、健康食品に関する正しい知識の普及に努めているところです。
先日、国立健康・栄養研究所は、ウェブサイト「健康食品の安全性・有効性情報」において、ダイエット効果を標ぼうする、いわゆる「ダイエット健康食品」に関する健康被害情報をまとめたページを掲載いたしました。
本日、皆様のお手元に配布している記事によると、2010年から2018年までの間に、日本国内の公的機関から出された健康被害に関する注意喚起情報は24件あり、うち22件が痩せることを使用用途とする製品によるものであったとのことです。
この国立健康・栄養研究所の発表を踏まえ、当庁では、自治体の監視指導強化を集中的に実施する食品表示に関する夏期一斉取締りにおいて、ダイエット効果を標ぼうする健康食品についても、啓発パンフレットを活用した注意喚起を行っていただくよう依頼しております。
健康食品は、食生活や生活習慣が改善に向かうよう意識した上で、あくまで補助的なものとして利用するべきものであって、医薬品ではありません。
引き続き健康食品の適切な利用のため、啓発活動を行う必要があると認識しておりますので、記者の皆様方におかれましても、当庁の取組にご協力いただければ幸いでございます。

質疑応答

ニッポン消費者新聞の丸田です。
消費者白書の件で、いろいろ実績の中では特徴があったと思いますが、一つは100万件を11年ぶりに突破したという、この理由を長官はどうお考えだということが一つです。それと、白書の特集の最後のところに、消費者庁としての今後のあるべき姿について、発信する情報が天気予報のように深く生活の中に浸透していて、困ったときに110番や119番のように頼られる存在であるとか、社会的に消費者施策の推進が極めて存在感があるものという、そういった存在感のある行政として、ということが書かれていました。
この白書の活用なのですけども、メディアに対しては分かるのですが、どういう範囲、どういうところで期待されているかということ、この2点をお聞きしたいと思います。

消費生活相談件数が昨年に比べて増えている要因についてのご質問につきまして、いろいろな見方もあろうかと思いますが、私どもとしては、まずは身に覚えのない料金が請求される架空請求に関する相談が前年の16万1,000件から25万8,000件と大幅に増加しておりますことが、全体の件数の増加にも影響したと考えております。
また、架空請求以外で増えておりましたのは、簡単に高収入を得られる副業や投資のノウハウと称して情報を売る情報商材に関する相談や、地震、豪雨など自然災害に関する相談、暗号資産(仮想通貨)に関する相談などが前の年に比べて増えております。
SNSの利用が社会の各方面に浸透していることも影響していると思いますが、情報商材に関する相談については、中高年の被害も多く見受けられることから、これからの私どもの消費者政策につきましても、この白書の様々な情報を踏まえた展開を考えていかなければと思っているところでございます。
ご質問の後段ですが、私ども消費者庁設立10周年を迎えますので、今まで以上にこの国で暮らしている一人一人の方たちに、その存在を知ってもらえればと願うところでございます。ですから、ご指摘につきましては、活用される場面自体も増えていかなければと思っております。
白書につきまして、印刷をしたものをこれから一般に販売も含めて配布していくことになりますが、例えば全国の図書館などに置かれていれば、身近に感じていただける消費者白書となるのかもしれないと期待するところですし、全国の都道府県、市町村の消費生活センター、また、それぞれの行政の人たちが日々参照してくださると、有効活用が図れると期待しているところでございます。

(消費者調査課)
2点目について補足させていただきますと、消費者白書は全国の全ての地方公共団体の消費者行政担当課に配布しています。それから、全消費生活センター、そして全ての都道府県立図書館にもお送りしています。ですので、消費者行政担当職員、消費生活相談員、それから一般の方にも広くご覧いただけるようになっております。
また、消費者団体や経済団体などの各種関係団体にもお送りしております。大体4,600部ほど、そのような形で配布させていただいております。

各行政庁の施策に活用されることを期待しております。

消費者新聞の丸田です。先程おっしゃったダイエット健康食品が夏期取締りの対象になっているということですが、具体的にどういうところを、どういうテーマでやるのかということが一つです。
もう一つが、消費者委員会が消費者法分野の検討ワーキング・グループの報告書を発表されて、中長期的な視点からグランドデザインをまとめられ、いろいろな横断的な対応策を提案されていますが、悪質事業者に対する財産保全であるとか、破産申立てであるとか、そういう制度の検討も提案されています。
今回の消費者委員会のこの報告に対して、意見も出されていますけれど、消費者庁として次期消費者基本計画の中に反映されるということはお考えなのかを伺います。

(表示対策課)
夏期一斉取締りにつきましては、毎年食品衛生の強化が図られる7月1日から月末まで、全国の154の都道府県等に対して、食品表示に関する一斉の取締りをお願いしているところでございます。
その一環の中で、今回消費者安全課が作成しました、ダイエット食品に対する注意喚起、啓発を併せて、一般的には事業者向けの取締りではありますが、一般消費者に接触する機会の多い保健所等において、そういった啓発もご協力をいただくことを併せてお願いをするという趣旨になっております。
詳細につきましては、来週の長官会見の方でこのダイエット食品以外の強化項目と併せてご説明をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

ご質問後段は、6月13日の消費者委員会で取りまとめられた消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの報告書のことでございますね。
ご指摘の第4期基本計画の立案作業がこれから本格的に進められていくこととなりますので、その際にはご指摘の報告書に記載されている、「報告書が提示する観点」を適切に踏まえてまいりたいと考えております。
そして、財産分野における消費者被害の発生防止、迅速な救済に資するよう、関係省庁と連携した上、また、全国の関係者との連携も深化させて、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

(消費者政策課)
ご案内のとおり、個別施策のご提案のような形で、ワーキング・グループの報告書に書かれたものが幾つかあろうかと思いますが、報告書においても、また、意見でも求められているのは報告書が提示する観点について、中長期的な視点から尊重していってほしいという内容だったというふうに理解をしています。公正な市場を実現するというところの目標は共有化をしつつも、どういった形でそれをやっていくのかということと、その中長期的な視点を基本計画とどうやってすり合わせていくかについては、今後の話になると理解をしています。
いずれにしても、どういった形でその消費者被害を防止していくのかという観点については、認識は同じかなと理解しておりますので、次期の計画に向けて、フィージビリティーのある、実現可能性の高い取組を今後ともやっていくという形で考えております。