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第百九十六回国会 衆議院消費者問題に関する特別委員会における福井内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)所信表明

消費者及び食品安全担当大臣として、所信の一端を申し述べます。

「国民の命と平和な暮らしを守り抜く」ことは、現内閣の最も重要な方針の一つです。消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会を実現することは、そのために不可欠なものと考えています。
先月、担当大臣を拝命しましたが、消費者の暮らしの安全・安心に関わる現場の取組を私自身の目で把握し、実際の政策に反映していくように努めます。委員各位の御指導、御協力もいただきながら、これから申し上げる施策に取り組んでまいります。

第一に、消費者政策の現場である地方の消費者行政の充実・強化を図ります。

消費者が自分の問題を相談するのは、全国八二九箇所に設置された消費生活センターです。そこで勤務する消費生活相談員の皆さんが様々な相談に対して丁寧に聞き取り、助言を行い、その結果等を記録していることの積み重ねが個々の消費者問題の解決だけではなく、注意喚起、行政処分や新たな立法の源となっています。
これまで整備されてきた地方の消費者行政の体制を維持するとともに、積極的に取り組む地方公共団体を支援するための「地方消費者行政強化交付金」を新たに創設します。また、知事等に対し、自主財源に裏付けられた消費者行政の予算の確保も働きかけます。これにより、消費者がどこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる体制を構築します。
高齢者も若者も、女性も男性も、そして障害の有無にかかわらず、誰一人取り残されることがないように、消費者安全法に基づき、地域における「見守りネットワーク」を全国に展開します。

第二に、安全・安心な消費生活を実現するための制度の整備とその円滑な運用に取り組んでまいります。

消費者契約法の見直しについては、昨年八月の消費者委員会の答申を踏まえ、今月、「消費者契約法の一部を改正する法律案」を提出させていただきました。
また、昨年の常会においては、被害回復のための訴訟を行う消費者団体を、国民生活センターがバックアップするための法案を全会一致で可決いただき、昨年十月に施行しました。制度を適切に運用し、消費者被害の防止と迅速な救済が実効的に図られるように取り組んでまいります。

食品表示法に基づく食品表示制度については、昨年九月に施行した加工食品の原料原産地表示を含めた普及啓発に努めます。引き続き、食品表示制度が消費者の自主的かつ合理的な食品の選択に資するように適切に運用します。

第三に、消費者の安全・安心を脅かす事態には、断固として対応します。

消費者取引の適正化のため、景品表示法、特定商取引法などの所管法令を、法と証拠に基づき厳正かつ適切に執行し、不当表示や悪質商法に対処します。

食品の安全・安心の確保に向けて、関係省庁と連携しながら、司令塔としての役割をしっかり果たします。また、食品中の放射性物質に関するものなど、リスクコミュニケーションの充実を図りながら、正確でわかりやすい情報発信を行います。

近時、消費者の安全・安心を脅かすような企業不祥事が明らかになっています。法令違反行為が放置されることがないように、企業の自浄作用を十分に発揮していただく必要があります。この観点からも、公益通報者保護制度の実効性の確保にも取り組んでまいります。このため、本年一月、消費者委員会に対し、諮問を行っており、本年秋頃の取りまとめに向けて、検討を進めます。また、事業者による消費者志向経営の広範な普及に向けた取組も強化します。

消費者事故は、消費生活のあらゆる場面で生じ得ます。これに対処するため、消費者庁は、その司令塔機能を十分に発揮するとともに、各省庁の所管の「すき間」に入る事案には真っ先に対応しなければなりません。関係省庁との日頃からの連携を深め、様々な緊急時対応を想定した訓練を充実させるとともに、積極的な情報発信を行います。また、消費者事故の原因の究明と再発の防止にもしっかりと取り組んでまいります。

これらに加え、将来を見据えた取組も強力に推進します。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される二○二○年度を初年度とする次期消費者基本計画の策定に向けた検討に着手します。

成年年齢の引下げを見据えて、消費者教育教材を活用した授業の実施、実務経験者の効果的な活用を始めとした取組を集中的に実施することで若年者への消費者教育の一層の充実を図るなど、消費者の特性に配慮した消費者教育の体系的な推進に取り組んでまいります。

まだ食べることができる食品が廃棄される「食品ロス」の削減に向け、関係省庁と連携しつつ、国民運動の展開などの取組を行います。

実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点である「消費者行政新未来創造オフィス」を昨年七月に徳島県に開設しました。オフィスの取組を充実させ、全国の消費者の利益に資する高い成果を創り出すことができるように取り組んでまいります。

これらの施策の実施に当たっては、担当大臣である私の下、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの緊密な連携を図り、それぞれの役割を最大限発揮させながら、消費者の安全・安心の確保に全力を尽くします。

櫻田委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

平成三十年三月二十二日