国民生活審議会


第I部 歴史的転換期を迎えて

1. 経済社会の変化と国民生活の変容


第I部 歴史的転換期を迎えて

1. 経済社会の変化と国民生活の変容

我が国経済社会は、歴史上類をみない高度成長を通じて、急速なスピードで工業化を実現し、今や高度産業社会へと大きな変貌を遂げた。この間、国民生活も世界最長の平均寿命の実現、欧米先進諸国と肩を並べる所得水準の達成、サービス支出の増大等にみられる消費内容の高度化、耐久消費財の急速な普及による生活の質的向上等、多くの面で着実な改善を遂げてきた。

しかし、急速に進行しつつある高齢化をはじめ、技術革新の進展、情報化、国際化等、近年、我が国を取り巻く経済社会情勢の変化は一層著しく、国民生活の様々な側面で大きな影響を与えている。こうした環境条件の変化の中で、我が国が21世紀へ向けて歩む道のりは、まさに、我が国経済社会の大きな転換期であり、国民生活のあり方も大きく変容していくものと考えられる。

以下では、(1)で、人口の動向と急激な高齢化の進行についてみた後、併せて今後の国民生活を展望する上で関わりの深い技術革新・情報化、国際化についてもその動向を概観する。

(2)では、こうした中で生じている国民の生涯生活構造の変容を生涯生活時間、生涯生活コストの両側面からスポットを当てることにより明らかにする。

(3)では、高齢化を始めとする経済社会の環境変化に適切に対処し得ない場合の諸問題を指摘する。

(1) 経済社会の変化

[1]人口の動向と高齢化
ア 人口の動向

明治初年に約3、500万人であった我が国の人口は、その後、急速に増加し、昭和60年10月現在では約1億2、000万人と、この100年余りの間に3倍以上になっている。しかし、近年、女子の高学歴化や職場進出に伴う平均初婚年齢の上昇、第一次ベビーブーム世代の高出産期からの離脱等を要因とする出生率の大幅な低下により、人口増加率は鈍化してきており、これまでのような人口急増期は終わりを迎えている。厚生省人口問題研究所の推計(56年11月、中位推計)によると、今後半世紀は、我が国の人口は、1億2、000万人から1億3、000万人強の間で推移していくものと見込まれている。地域別には、これまでのような大都市圏への人口集中は緩和されるものの、結婚・出産適齢期人口の多い大都市圏での人口増加が大きくなるものとみられる。また、世帯について見ると、これまで都市を中心に雇用者世帯が増加するとともに、世帯規模が縮小してきており、こうした傾向には今後も大きな変化がないものとみられる。

図I-1 総人口の推移

図I-1 総人口の推移

(注)
  1. 年平均人口増加率は,5年毎の人口に指数増加曲線をあてはめて算出。
  2. 明治初年〜大正9年は,安川正彬「人口の経済学」春秋社(昭和52年),
    大正9年〜昭和58年は,総務庁「国勢調査」等,昭和59年以降は厚生省
    人口問題研究所「日本の将来推計人ロ-昭和56年11月推計」。
(出典)
人口問題審議会編「日本の人口・日本の社会」

表I-1 雇用者世帯比率と一世帯当たり人員

  雇用者世帯比率 一世帯当たり人員
昭和28年 46.9% 5.00人
30 49.0 4.68
35 54.6 4.13
40 60.1 3.75
45 60.4 3.45
50 63.4 3.35
55 63.7 3.28
56 62.8 3.24
57 62.1 3.25
58 63.6 3.25
59 63.5 3.19
60 62.7 3.22
(出典)
厚生省「厚生行政基礎調査報告」
イ 高齢化の進行

国民の平均寿命の動向をみると、59年には、男子74.5歳、女子80.2歳と、25年前に比べ、男女とも約10歳伸長し、今や世界最長の水準に達している。こうした平均寿命の伸長と出生率の大幅な低下により、我が国の人口構成は、世界でも例をみないほどの急速なテンポで高齢化しつつある。高齢化の水準(総人口に占める65歳以上人口の比率)が7%から14%に上昇するのに要する年数をみると、欧米諸国では45〜115年かかっているのに対し、我が国の場合は、わずか26年で到達するものとみられる。また、高齢化の水準も60年10月現在では10.3%であるが、75年(2000年)には、15.6%とほぼ欧米諸国並みとなった後、更に急上昇し、21世紀初頭には欧米諸国の水準を上回る高さになるものと見込まれる。

また、地域別にみると、これまで、若年層の大都市圏への移動により非大都市圏で高齢化の水準が高くなってきたが、やがて、特に大都市圏の高齢化が急速に進行する時期を迎えるとみられる。次に、働き盛りの人々がどれほどの高齢者(65歳以上)と子供(15歳未満)を養っているかを示す従属人口指数をみると、現在は扶養負担の軽い時期に当たっており、年少従属人口と老齢従属人口の構成は変化するものの、全体としては21世紀まで、比較的低い水準で推移する。しかし、21世紀に入ると、生産年齢人口と従属人口の相対関係が大きく変化し、従属人口指数は急増するものとみられる。

図I-2 平均寿命の伸びの国際比較

図I-2 平均寿命の伸びの国際比較

(注)
厚生省「日本人の平均寿命-昭和57年簡易生命表」(昭和58年)
(出典)
人口問題審議会編「日本の人口・日本の社会」

図I-3 主要国における高齢化の状況

図I-3 主要国における高齢化の状況

(注)
厚生省人口問題研究所「人口統計資料集」(昭和58年)
(出典)
昭和59年厚生白書
[2]技術革新・情報化、国際化
(技術革新・情報化)

欧米先進国からの技術導入と自己開発の努力により進展した我が国の技術革新は、新幹線のように世界の最先端をいくものも現れるなど、戦後の高度成長と所得向上の原動力となり、技術水準は現在かなりの分野において世界のトップクラスとなっている。

特に、近年、高度集積回路(LSI)等に代表されるエレクトロニクス、セラミックス・高分子材料などの新素材、医薬品生産等多様な利用が期待されているバイオテクノロジー等ライフサイエンスといった新たな技術開発の活発化により「新技術革新の時代」と呼ぶにふさわしい時代を迎えている。中でも、エレクトロニクス技術の進展を中心に、情報処理技術と電気通信技術の結合により高度情報化が進み、国民生活の諸側面での情報化を加速させる大きな要因となっている。

職業生活面をみると、ファクトリーオートメーションやオフィスオートメーションなどにより重労働・危険作業の軽減や事務の効率化等が進んでいる他、データベース業や付加価値通信網(VAN)業等の新産業分野が形成されつつあり、新たな雇用の創出が期待されている。また、各方面で研究が進められている人工知能(AI)は我々の生活に様々な影響を与える可能性がある。

一方、家庭消費生活面では、マイコン内蔵の質の高い家電製品が普及するとともに、磁気カードによる現金自動受払機等(ATM、CD)の利用などが日常生活に定着しつつある。また、ビデオテックスやCATV等の家庭への導入も始まりつつあり、今後新しい情報通信システムを利用したホームショッピング等の発展の可能性もある。

さらに、社会生活面では、既に大型コンピュータによる一般の行政情報システムや救急医療情報システム等の拡充による行政サービス、医療体制などの効率化、公害監視システムや交通管制システムなどの整備に伴う安全体制の進展がみられる他、近年、放送衛星による辺地難視聴地域をカバーした衛星放送、テレビジョン文字多重放送等が開始され、また、教育機会の拡大を図る放送大学が開校されている。今後は、例えば遠隔医療システムによる辺地医療やコンピュータ支援教育システム(CAI)を用いた効率的な教育・訓練、ニューメディアの新たなコミュニティ形成への活用など、多くの分野において技術革新・情報化が国民生活に一層浸透していくことが期待されている。

図I-4 都道府県別にみた老齢人口比率

図I-4 都道府県別にみた老齢人口比率

(注)
総務庁統計局「昭和59年10月1日現在推計人口」
(出典)
昭和60年厚生白書

図I-5 従属人口指数の推移

図I-5 従属人口指数の推移

(注)
明治初年〜大正9年は,安川正彬「人口の経済学」春秋社(昭和52年),大正9年〜昭和58年は,総務庁「国勢調査」等,昭和59年以降は厚生省人口問題研究所「日本の将来推計人ロ--昭和56年11月推計」。
(出典)
人口問題審議会編「日本の人口・日本の社会」
(国際化)

資源小国である我が国は経済及び国民生活を維持する基盤そのものが世界との相互依存関係によって成り立っており、経済大国となった今、国際社会における地位も高まり、その主要メンバーとしての責任も重くなってきている。

国民生活や経済と国際化との関わりをみると、まず「モノ」の国際化という面では、貿易依存度を高めつつ先進国の中でも有数の地位を占めるに至っており、製品輸入等も徐々に増加し、外国製品の消費も国民の間ではかなり定着していると言えるが、貿易収支の大幅黒字等を背景に欧米先進国との間で貿易摩擦が生じ重大な問題となっている。また、「カネ」の面では、金融政策など国際的影響を多大に受けるようになってきており、金融の国際化が直接・間接に国民生活へ与える影響は一段と増加している。このように、「モノ」、「カネ」の面における国際化は既にかなり進展してきている。一方、「ヒト」の面では、海外渡航者(60年;495万人、対50年比2倍増)、訪日外国人(同;226万人、同3倍増)、海外長期在留邦人(59年:23万人、対49年比2倍増)など人の交流は数の面では年々増加傾向にあるが、パーセプションギャップといわれるような相互認識の不十分さなどが指摘されている。また、「情報」の面では、テレビの衛星同時中継、国際ダイヤル通話の普及など国民生活における国際的メディアの急激な発展がみられる。

このように、我々の日常生活の多くの分野において国際化は浸透してきており、今後も一段と進むと予想される。

(2) 国民の生涯生活構造の変容

[1]生涯生活時間

国民の平均寿命の伸長に伴い、生涯を通じた生活時間は、男子で約65万時間、女子で約70万時間と、25年前に比べ10万時間近く増加している。

生活時間の内訳をみると、例えば雇用者の年間総実労働時間がこの25年間に約2、400時間から約2、100時間へと300時間短縮しているなど、生涯を通じて、生活時間に占める労働時間の割合は減少してきている。これに加えて、平均寿命の伸長に伴い、職業生活からの引退後の期間が長くなっていること、また、女子については、早期に子育てが終了し、その後の期間が著しく長期化していることなどから、生涯を通じて有する自由時間は大きく増加している。しかし、我が国の年間総実労働時間は、アメリカ、イギリスの約1、900時間、フランスの約1、700時間、西ドイツの約1、600時間など、欧米諸国と比較すると、依然として長い(図I-6)。この背景として、週休二日制や長期休暇制などの休日・休暇制度が、我が国は他の先進諸国に比べて普及が遅れているということがある。また、生活時間を年齢別にみた場合、20歳代後半から50歳代にかけての働き盛りの世代において、他の年齢層に比べ労働時間・家事時間が長く、自由時間が短くなっている(図I-7)

図I-6 主要国の年間総実労働時間

図I-6 主要国の年間総実労働時間

(注)
  1. EC及び各国資料による。
  2. 労働省労働基準局賃金福祉部企画課推計

図I-7 自由時間の性別・年齢階層別内訳

図I-7 自由時間の性別・年齢階層別内訳

(注)
ここでいう「自由時間」とは,本調査の「3次活動時間」のことであり,
趣味・娯楽,スポーツ,交際等一般に「余暇時間」と呼ばれるものにあたる。
(出典)
総務庁統計局「社会生活基本調査」(昭和56年)

一方、所得水準の上昇や基礎的ニーズの充足等生活の量的充実、自由時間の増大等を背景として、国民の生活意識は個性化、多様化し、高次サービスへのニーズの高まり、文化欲求の増大等が進んできている。このような中で、余暇に対する国民の関心度は高まっており、労働と余暇のバランスのとれた生活を重視する人々や、余暇の積極的な活用の中に生きがいや充実感を見出す人々が増加しつつあり、生活における自由時間の重要性が高まってきている。

このように生涯を通じた生活時間配分をみると、特定の年齢層に労働時間、自由時間が集中し、時間的ゆとりの偏在の問題が顕在化してきており、生活水準の向上に伴い高まりつつある国民の新たなニーズに応えきれない状況となっている。

[2]生涯生活コスト

昭和59年度「国民生活白書」では、人生80年時代における平均的なライフサイクルに基づいてモデル世帯を設定(夫婦と子供二人、子供は二人とも大学進学)し、生涯収支計算を行っている(図I-8)。

これによると、平均寿命の伸長、出産期間の短縮等によるライフサイクルの変化、生活ニーズの高度化、多様化等により、とりわけ中年期において、各種の生活コストが集中し、家計を圧迫している。なかでも、子供の高等教育機関への進学による教育費負担、住宅取得に伴う住宅ローン支払等の生活コストの集中が、中年期における経済的余裕感を乏しいものにしている。このことは、子供の教育費は同じ条件として、住宅を取得した場合と取得しない場合について、あるいは住宅は取得しないが、子供が大学へ進学した場合と進学しない場合についての生涯支出のモデル計算を行った結果からも分かる(図I-9)。このように生涯を通じた生活コストの分布をみると、特定の年齢層に大きな経済的負担が集中しており、収入と支出のアンバランスの問題が顕在化してきている。

図I-8 モデル世帯の生涯収支(57年価格)

図I-8 モデル世帯の生涯収支(57年価格)

(注)
  1. 総務庁「全国消費実態調査」(54年),「消費者物価指数年報」(57年),労働省「賃金構造基本統計調査」(57年),「退職金支給実態調査」(56年)文部省「保護者が支出した教育費調査」(57年),「学生生活調査」(57年)等による。
  2. 年金給付の計算は厚生年金保険によるものとした。
(出典)
経済企画庁「国民生活白書」(59年)

図I-9 モデル世帯生涯支出

図I-9 モデル世帯生涯支出

(注)

図I-8のモデル世帯の生涯支出を基に,各モデル世帯(二人大学・持家,二人大学・賃貸,二人高校・賃貸)の生涯支出を以下により計算したものである。

[1] 
二人大学・持家;
夫22歳から34歳までは,モデル世帯の規模に応じた広さの借家に住むものとし,夫35歳時に2,200万円の新築分譲住宅を購入し,1,335万円を借入れ,年利6で20年間で返済するものとした(家賃については,建設省「住宅需要実態調査」(58年)による)。
[2] 
二人大学・賃貸;
モデル世帯の規模に応じた広さの借家に住むとものとした(家賃については[1]に同じ)。
[3] 
二人高校・賃貸;
教育費については,[2]のモデル世帯の教育費より大学における教育費を差し引いた(家賃については[2]に同じ)。

(3) 高齢化の進行等に伴う問題点

急速な高齢化の進行とそれに伴う生涯生活構造の変容、技術革新・情報化、国際化等は、国民生活に、既に様々な影響を与えつつあるが、将来は、職業生活・家庭生活など各面にわたって一層大きな影響を及ぼすものと考えられる。その影響は、今後、人生80年時代に対応した経済社会システムの構築などの対応が早期にかつ適切に行われない場合には、大きな歪みとして現れてくるおそれがある。

特に高齢化の進行は、経済社会の活力と世代間の負担の変化を通じて、雇用、社会保障を始めとする既存システムにとって大きな試練となることが確実である。すなわち、生涯にわたる経済生活の安定という観点からは経済的負担が中年期を中心とする現役勤労世代に益々集中するとみられることである。今後、高齢化が急速に進行する中で、高齢者の能力活用が雇用の面で適切に進められなければ、相対的に減少する若年層における労働力需給のひっ迫、増大する高齢層における就業機会の不足等年齢間の労働力需給の不均衡が拡大し、失業率が上昇することが考えられる。この場合には、年金等の社会保障負担と租税負担を合わせた公的負担は、現在、主要先進諸国の中では最も低い水準にあるものの、今後、高齢化の進展等により20年もの長期にわたる高齢者の引退後の生活を支えるため、長期的には上昇することとならざるを得ず、これを負担する勤労世代は経済面で厳しい状況におかれるおそれがある。

また、生涯生活時間の面でも、現在みられる世代別の余裕の偏在が一層顕著になるとみられることである。現在、生涯を通じた時間的な余裕は現役勤労世代、特に中年期には乏しく、高齢期には多いという状況にあるが、今後、高齢層と青年層・中年層との間で労働機会の再配分が適切に進められない場合には、高齢層においては自由時間が大部分を占める生活を送ることとなる一方で、現役勤労世代においては労働時間が長いままとなり、世代別の偏在が一層顕著になるおそれがある。

このように、生涯生活コスト、生涯生活時間の両面で、勤労世代に負担が集中することになれば、ひいては個人、家庭、地域、企業等経済社会の活力が失われることになるおそれがある。現役勤労世代への負担の集中は、その勤労意欲に悪影響を及ぼすとともに就業の意欲と能力のある高齢層が就業できない場合には生きがいの喪失にもつながる。また、現役勤労世代は男女とも勤労生活に追われることとなり、大事な子育て期や老親の扶養期に十分なケアができないなど家庭における養育機能や老親の介護機能が大きく低下することが考えられる。さらに、趣味、社会参加活動等を通じて実現される人々の交流も高齢世代を中心とするものに傾斜し、こうした活動が地域社会等にもたらす活力も現役勤労世代の参加の下に行われる場合と比べて、その内容、多様性等の面で制約を受けることが考えられる。

以上のように高齢化の進行は様々な問題点を我々に投げかけており、早急に対処する必要がある。さらに、我が国における高齢化は、技術革新に伴う情報化及び国際化の進展とほぼ同時期にかつ複雑にからみあって到来するため、これらに対し全体として適切な対応が行われなければ、国民生活に重大な悪影響を及ぼすことも想定される。

すなわち、技術革新・情報化の進展は、職場においては生産性の向上、危険な仕事や肉体労働の減少等を可能とし、家庭生活や地域生活においては安全の確保、質の高いサービスの供給をもたらしており、さらには高齢化社会に対応するための新たな可能性をも生みだすものであり、今後とも国民生活の向上に寄与することが期待される反面、技術革新・情報化の進展に伴う産業・就業構造の変化に適切に対応できない場合には、雇用面等に厳しい影響を及ぼす可能性がある。また、オフィスオートメーション化や頭脳労働の増大によるストレスの過度の蓄積等労働環境上の問題を深刻にするおそれもある。一方、家庭生活、とりわけ消費生活においては、消費者が情報に過度に依存してしまうことによる主体性の低下、消費の分野における情報量の増大に伴い多くの不正確な情報が流通するおそれ、ニューメディアを用いた無店舗販売等の拡大に伴う消費者トラブルの増大などが懸念される他、家庭サービスの機械化や外部化により、従来家庭が持っていた生活の知恵が世代間で伝承されないこととなり、家庭機能が一段と低下するおそれがある。また、高度に情報化された経済社会は、事故、災害に対して極めて脆弱であること、個人情報に関するプライバシー侵害のおそれがあること、コンピュータ犯罪という新たな犯罪を生むことなど、従来確保されていた安全性が失われる可能性があることも指摘しなければならない。さらに、現代の技術革新の進展は利用の仕方いかんによっては人間の生活のあり方そのものに大きな影響を与える可能性もある。例えばライフサイエンスの進展は、臓器移植の例に見られるように、人間の尊厳、倫理との関係等人間の生き方、考え方との関係まで大きな課題を投げかけている。

また、国際化の進展に関しては、内需中心の経済構造への転換と国際協調、国際社会で通用する人材の育成等に努めなければ、国際的依存度の高い我が国にとってその存立が脅かされるような大きなダメージとしてはね返ってくるおそれがある。また、今後とも海外で生活する日本人が増えてくることから、在留邦人子女の教育機会の確保及び帰国子女受入体制の充実、医療体制の整備等生活基盤の充実が図られなければ、海外での生活が益々厳しいものとなり、国際化の進展の障害になる可能性がある。

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