平成14年6月20日
1.日時 平成14年6月20日(木) 16:00-18:00
2.場所 中央合同庁舎第4号館第4特別会議室(406号室)
3.出席者
(審議会)
橘木委員長、大竹委員、木村委員、関根委員、高山委員、都留委員、樋口委員、宮田委員
(事務局)
亀井内閣府大臣政務官、永谷国民生活局長、渡邊官房審議官(国民生活局担当)、大石官房審議官(国民生活局担当)、太田国民生活局総務課長、他
4. 議題 雇用・人材・情報化委員会 報告書(案)
5.主な意見等
○ 失業率の上昇と、長時間労働は大きな問題であるが、これを受ける政策が足りないのではないか。例えば雇用形態の多様化のためのワークシェアリングの議論を入れるべきではないか。サービス残業について書かれているのは政府の報告書としては珍しくて面白い。労働基準法との関係があり、書きにくいこともあるのだろうが、サービス残業があることは厳然としており、それを追認して、サービス残業はやめるように、という形で書いてあっても良いのではないか。
○ 報告書の冒頭に、考え方の枠組みを提示すべきではないか。具体的には、現状認識、中長期的に達成したい目標、目標達成のための戦略についてマクロ的視点から書くのが良いのではないか。一案として、達成したい目標は、日本の国際競争力を向上させることであり、現状認識としては、グローバル化は止められず、労働者の質と価格を基準にして、レベルの低いものは海外にでる。しかし、国内に留まるサービスは低賃金ながら残る。そこで戦略としては、質を保障すれば残るソリューション・ビジネスを育成することと、セーフティーネットを高めることである。
○ 冒頭のフレームワーク部分には、今までの日本の高い教育レベル・質の高い人材輩出による生産性の高さ、人材の有効活用による低失業率が、技術革新、IT化、高齢化、教育の質の低下により揺らいできたという認識について触れるべきではないか。長時間労働者の増加について、長時間労働・高所得と短時間労働・低所得という2極化が進んでいるという視点を入れてはどうか。報告書案では「サービス残業を示唆するデータもある」と書いてあるが、現在の労働力調査では時間あたりの賃金が計れないというのが現状。雇用者側からみた正確な統計が必要であり実際のデータを整備することは重要だと指摘したらどうか。
○ 報告書案P.13の「自己選択・自己責任」に関し、具体的にどのような能力が必要なのか明確に出し、そのためにどういうことをすべきかを書くべきではないか、単に、「IT等」とするのではなくこれから必要な能力を具体的に示すべきではないか。今まで必要とされてきた能力とこれから必要な能力が変わってきている。例えば高山委員の報告について触れられるのではないか。
○ 情報ハンドリング能力(メディアリテラシー)と、ITリテラシーについて、クロス集計をかけた調査を行ったところ、ITリテラシーについては、技術職で正の相関があり、メディアリテラシーについては雇用形態は関係なく、大学卒という学歴と、管理職という点で正の相関が見られた。大学でのレポート作成能力や資料収集等の実際の経験や、管理職という職種が関係しているようだ。
国民生活局の報告としてどこまで踏み込むべきか、歯がゆいところもあるが、国民へのメッセージであるとすれば、自己責任とセーフティーネットの整備との両面が挙げられており、どちらに進むべきなのか不明。自己責任社会への過渡期の摩擦を低減するためのセーフティーネットという位置づけなのか。
また、コミュニティカレッジが突然出てきたのはなぜなのか?
○ 政府の委員会報告として、どこまで踏み込めるか、その限界もある。大学教育についてはもっと「ガンバレ」というメッセージを書いて欲しい気がする。
○ 大学のコミュニティー・カレッジ化はアメリカでも進んでおり、生涯学習への対応として書いた方がよいのではないか。仕事をすることはどういうことなのかを教えるべきである。雇用に関係して言えば、現在大学において職業についてほとんど教えていないのが問題ではないか。社会人学生が入れば、普通の学生の意識も確実に高まる。
○ これまでは、企業が入社後に社員を教育してきたが、これからはその面は変わらざるを得ない。
○ 米では、失業者が能力開発をするためにコミュニティカレッジに通っている。コミュニティ・カレッジには能力開発とセーフティーネットという両方の機能がある。大学に関しては、あらゆる大学をひとくくりにして論じるには無理があるのではないか。アメリカのトップ30は、コミュニティー・カレッジと一線を画しており、スキルとしての即戦力は教えていない。トップの人材を育成する大学とそうでない大学と分けるべき。
○ 冒頭のマクロの書き方として、国民生活審議会として、あくまで国民生活の向上を大きな目標として掲げるべきであり、その手段として、日本の国際競争力を挙げるということではないか。
エリート教育だけでなく、ケア・サービスについても「共感」等の能力を高めることが必要。教育については、高等教育以前に初等、中等での画一的な教育が問題ではないか。サービス残業については、法を守っているかを別としても、実態として何時間働いているのかは調べるべき。報告書案P.6の「労働市場全体での保障」という言葉は主体が明確でないため、違和感がある。
→ 表現ぶりについては工夫したい。
○ 前文もそうだが、報告書のサブタイトル(副題)も必要だろう。キーワードは「2極化」といったところか。例えば、二極化が進展している社会の中で活力・安心をどう確保するかというメッセージを出したらどうか。
→各委員に納得いただけるようなものを事務局から考えてご提示する。
○ 高齢化、IT化、失業という3大テーマであるので、年取ってしまってコンピュータを使えないとクビになってしまうというような、大変暗い印象を受ける。この報告書の意図としては、そういうものになってはいけないと考える。なぜ中高年は失業してしまうのか、賃金が高いからなのか、ITが使えないからなのか、その辺の原因究明を明確にし、対応策を考えるべきではないか。そのためにも、P18のマル4にもITリテラシーの話を入れてはどうか。また、この部分の「高齢者」を「中高年」と変更してはいかがか。
→不安感をあおるというのはよくないし、基本的にご意見には賛成である。しかし、同時に冷たい話かもしれないが、厳しい現状を示すというのも意味のあるものである。
○ セーフティーネットの中で最も重要なのは、事実を正確に認識させることである。
○ 報告書案P.16の最後のパラグラフにある「処遇格差」の部分について、これは賃金格差を指しているのだと思うが、この文章を読む限り「パートが正規社員の所まであがっていく」というように読めるのだが、実際に市場で是正されるとすれば「正規社員の賃金がパートの所に下がっていく」という可能性もある。厳しい現実を示すという意味でも、また「パートが正規社員の所まであがる」という誤解を生じさせないためにも書き方を変更してはいかがか。
○ その点については、パート研の中間報告でも正規社員の処遇について触れられている。諸手当の見直しということで。それは入れた方がいいと思う。
○ 報告書案P.17の「パートの処遇改善のための法律による原則の明記とガイドラインの提示」は「パートの処遇改善のための法律」ということではなく、むしろ「パートと正規社員の均衡待遇のための法律」とした方がいいのではないかと思う。
→「賃金カットもやむなし」というような内容を書けるかどうか、政府の報告書としてそこまで踏み込めるかどうか。
○ パート研は公式な研究会ではないが、厚生労働省の研究会として中間報告を出している。だから、ここで初めて言うわけではない。
○ 賃金の話をするとき「水準」と「決め方」の2つの問題がある。水準だけでなく「決め方」についても問題提起する必要があるのではないか。パートであっても能力に応じて決めるとか。
→パートは時給、正社員は月給(日給)というように入り口から二つの給与体系に分かれていることが問題。決め方も同じにした上で、差があるということであれば能力によるということができる。
○ 報告書案P.17のマル2(b)に「国民健康保険の保険料への累進制の導入」というものは書けないか。今、上限が60万となっており、これは年収で600万くらいでクリアする金額である。600万の1割は大きな負担であり、年収600万の人と年収1億の人が同じ保険料というのは、問題があるのでは。
○ 報告書の公表はどういった形なのか?
→白表紙の報告書として製本するものと、インターネットのHPでも公表する。
○ 総合企画部会には、どうなるのか?
→委員会として報告書を公表する。それを部会に委員会の報告として出す。ということ。
○ 報告書案P.13で雇用の創出の具体策としてNPOをあげており、これは重要な施策と考える。それなのに、P.15とP.18のように「NPO」と「ボランティア」を一緒くたにするというのはNPO=無償(ただ働き、ひとのいい人)という意識があるので、思い切ってボランティアを削除してしまうということはできないか。
○ NPOを「雇用の受け皿」というのを強めるための意見だと思うが、現実には介護等は無償(ボランティア)でやっているものがほとんどであり、NPOはお金で買えないものもあるからやっているということもあり、注釈でも何でもいいからボランティアというのも残すべき。
○ ボランティアにも無償のものと有償のものとがあると考える。有償ボランティアについて特別法を設ける必要があるのではないかという議論も出てきている。現状では、最低賃金に下の方といえば、400円といった有償ボランティアは認められない。
○ これらの意見を踏まえて事務局で改定をしますが、最終的には委員長一任ということでよろしいか?
→一同異議なし
→それでは私と事務局で頻繁に連絡を取り合って報告書を完成させ、こういった報告書というのは政府内での調整というものも必要となるので、調整をし、7月の早い時期に公表できるように事務局で作業をしていただきたい。