平成14年5月21日
1.日時 平成14年5月21日(火) 14:00-16:00
2.場所 中央合同庁舎第4号館第4特別会議室(406号室)
3.出席者
(審議会)
橘木委員長、木村委員、関根委員、高山委員、都留委員、宮田委員
(事務局)
亀井内閣府大臣政務官、永谷国民生活局長、大石官房審議官(国民生活局担当)、渡邊官房審議官(国民生活局担当)、太田国民生活局総務課長、他
4.議題
1) 事務局からの説明
2) 木村委員からの報告
3) 都留委員からの報告
4) 自由討議
5) 事務局からの説明
6) 自由討議
5.会議経過 (資料はPDF形式)
(1) 事務局より資料1に基づき論点に関する基本的データ等について説明。
(2) エンプロイアビリティ、人材育成・教育等について木村委員(資料2 骨子、報告資料)、都留委員(資料3)より報告がなされ、自由討議がおこなわれた
(3) 事務局より資料5に基づき第1回・第2回における各委員の報告・意見のポイントをふまえた「雇用・人材・情報化委員会」とりまとめイメージについて説明がなされ、自由討議が行われた。
6. 主な意見等
エンプロイアビリティ、人材育成・教育
○医療、年金、その他社会保障関連の社会化、市場化による雇用創出への期待について、どのくらいの年収を想定しているのか。需要は高い一方、ユーザー側が価格に対して敏感であり、数の確保はできても、必ずしも高い賃金の確保することは難しいのではないかとの観点もある。
→今後の研究課題ではあるが、少なくとも正社員とパートタイマーのような二極化は防げるのではないかと期待。
○日本が考えるモデルの一つとして、スウェーデン等、北欧型の成功例が引用される場合が多いが、グローバル競争の中で、高い税金を嫌って企業(製造部門、R&D部門ともに)を国内に留めておくことが難しくなっているという過程も含めて考える必要がある。
→日本は、現実問題としてはアメリカ型の方向に進み、個人の選択で上位20-30%に入っていくという社会になるということも考えられるが、この場合は、理念的にスウェーデンをモデルとしたコンセンサスコミュニティーを提唱している。今後10年くらいの社会の動きを見る上で重要な視点であると認識している。
○資料2「情報ネットワーク社会としての日本社会と人的資本」の中で、「人的資本」はどういう意味で使っているのか。経済学の用語では、通常「技能蓄積」をイメージするが、ここではネットワーク社会における仕事上のスキルというイメージか。
→人間開発のイメージで使っている。
○資料2 P.9,10,11について、アメリカ型は、ネオ・リベラリズムではなく、リバタリアニズム、ドイツ型は、キリスト教民主主義よりもコーポラティズム、北欧型にリベラリズムが、もしくは、ユニバーサリズムがよいのではないか。
→アイヴァーセンとレンの直訳であるが、アメリカ型、ドイツ型については指摘のとおり、北欧型については、ユニバーサリズムに修正したい。
○日本は今後、これまで日本経済を支えてきた製造業から比較優位を捨てて、アメリカなどのようなサービス産業やITにシフトすべきと考えるか。
→製造業は日本の強みであり、今後も雇用創出領域として2割程度の雇用を保つと考えられるが、製造業と言っても、第2次産業というよりも第2.7次、2.8次といわれるように、実際にどのような労働に従事するかは、変わってくると思われる。モノをつくって経済的価値をつくっていくことが日本の一つのコアコンピタンスであるという点について異論は無い。一方で、消費を軸にした社会においては、就労構造の偏りを克服できないのではないかという観点から、社会的サービスを提案している。
○オンライン教育を日本において普及させていく際の条件として何が必要と考えるか。オンラインでのスキルアップが自己実現にはなっても、現状の日本の社会、企業組織においては経済的なメリットは期待できないのではないかと考えられるが、具体的には、何が必要なのか。
→早稲田大学では、コンソーシアム等をつくりe-learningに積極的に取り組んでいる。理工系の場合、アジア、アフリカ、中南米等で留学を考える人はネット上で比較をしており、日本-の大学はすべりどめにされる場合が多い。e-learningは大学の付加価値そのものの中で大きな役割を果たすと考えられ、高等教育サービスというサービス産業における地位を築いていく上での課題と考えられる。
→成果主義を導入した企業では社員に対する教育訓練を同時に強めた時に初めて労働意欲が高まるという研究がある。
→中国の四川省にある四川大学のビジネススクールでもすでにe-learningが始まっている。モノつくりだけでなく教育の分野でも中国は脅威である。
→大学に求められるサービスが拡大する一方で、研究者は十分な研究を続けられるのか。
「雇用・人材・情報化委員会」とりまとめイメージ
○
非正規の増加を自然の流れと見なすのか。正規として働きたいが様々な制約から非正規で働かざるを得ないという女性の現状を容認する雰囲気に見える。
→(事務局)不況期でも非正規が増えているのが最近の新しい傾向であり、社会としてのトレンドとなってきているのではないか。需給関係から言えば、非正規の需要が増えれば賃金が上がるのが自然であるが、実際には待遇が改善されていない。原因の一つとしては、供給が相当増えていることが考えられるが、今のシステムに問題があるのではないかとも考えられる。正規では需要が減り、非正規の待遇が改善されていかないという問題をどのように直していくのかが重要。
→当委員会の報告書において、具体的にどうあるべきかまで踏み込むべきと考えるか。
○
女性は、出産・育児のために一度退職しなければいけないという風潮が日本企業には根強い。非正規に中心をおくよりも、正規雇用がなぜ続かないのかをきちんとアドレスすべき。一生働き続けたいと考える女性が辞めざるを得ない状況についての解決策を当委員会で提示すべき。
○
資料5-1「非正規雇用の増加等働き方の多様化」について、個人がライフスタイルとして積極的に選んだ結果としての非正規雇用のことだけを扱うのではなく、非意図的な非正規雇用も含まれるとすれば、働き方の多様化というのには違和感がある。
○
報告書の中でITをどこにどのように入れていくのか。ITは付録なのかという印象を受ける。女性の働き方等については、他の審議会等でも報告が出されており、これらとのバッティングを避けるという観点で、ITを生かしたところでどのような問題点があるのか、何が可能なのか考えるべき。
○
これまでの委員からの報告で触れられている賃金格差の拡大の問題について取り上げられていないが、格差についての現状認識、これからの動向について報告書で述べるのか、述べるとすれば、格差は縮小したほうが良い等の提案を含めるのか。
(事務局)個人のライフスタイルは多様な選択の中から自分で選ぶものであるという考え方があるが、他方で今後、個人間の格差の問題は重要になってくると考えられる。現状はどうなっていくのか、価値判断としてどのようにとらえるのかということが問題となる。格差には、平均より上の格差と平均より下の格差があり、平均より上の格差を縮小させることは、社会をリードする人材の国外へのシフトにつながるなど不可能ではないか。平均より下の格差の問題について、ITによる技術の変化に適応できない人や職業能力が陳腐化する人は、まず、失業の危機に陥ると考えられることから、公共的な政策としてはセーフティーネットの整備という視点でとらえられるのではないか。
○ 格差についての善し悪しは個人の価値判断によるものであり、この委員会でのコンセンサスを出すべきではないのではないか。
→(事務局)格差について良い、悪いという問題としては取り上げられない。
○
所得格差の上を下げずに下を上げるということであるが、下を上げるためには財源が必要であり、上が犠牲になる必要がある。財源をどこに求めるのかまで議論する必要がある。
→(事務局)下を上げる場合に、再分配によるのか、雇用機会を与えることによるのかという問題があるが、この委員会は雇用がテーマであり、失業中の所得の保障だけでなく、どのように能力を身につけ刷新し、新しい職を見つけてリバウンドしていくのかという観点からもセーフティーネットを考えていくべきではないか。
○
政府には、希望的観測だけでなくいくつかの確実性の高いシナリオや、個人が価値判断をするのに十分な情報の提供が求められ、これはセーフティーネットにもなるのではないか。
→このような政策をとれば、格差は拡大する、このような政策をとれば、格差は縮小する、というシナリオを提示して国民に判断してもらうというのはあり得るのではないか。
→(事務局)明確な数字を伴ったシナリオは困難だが、定性的なシナリオの提示等はありうる。
○非自発的な非正規雇用の増加という暗いイメージに対して、ITのenablerとしての要素を入れ、ITの活用と女性の働き手としての活用を絡めることにより、もう少し明るい絵を描くことが可能ではないか。在宅勤務は、ブロードバンドとインターネット接続が可能になって初めて実現するものであり、e-learningの運営も大卒女性の活躍の場であると言われている。また、携帯端末について、PCの保有率が家庭を前提にすると頭打ちで、その使い手の多くが男性である一方、携帯端末はPCよりも普及が期待され、使い手が男性ばかりではないということが指摘されている(資料2.P55)。
○
教育の問題をもっと入れて欲しい。これまで、日本では企業内能力形成が行われてきたが、企業内での支払い能力がなくなりOFF-JTに頼らざるを得なくなった場合、どこで、誰が、どのファイナンスに応じてやるのかを取り上げるべきではないか。
○
日本人が個人のコアコンピテンシーをどのように高めていくのかが重要。e-learningを含め、企業内教育、パブリックで行われる様々な教育がITにより進化していくことは明らかであり、また、教育を受けたことによるコアコンピテンシーの高まりが業績評価と連動してきている。「ITの活用」の部分は、業績評価と教育がITによってどのように変わり、個人のコアコンピテンシーをどのように高めていくことができるのかを取り上げることにより希望的なシナリオになるのではないか。
(配布資料)(PDF形式)
議事次第
資料1 第3回雇用・人材・情報化委員会 参考資料
資料2 木村委員報告資料(骨子、報告資料)
資料3 都留委員報告資料
資料4 第1回・第2回における各委員の報告・意見のポイント
資料5 「雇用・人材・情報化委員会」とりまとめイメージと論点の補足資料