国民生活審議会総合企画部会
雇用・人材・情報化委員会(第2回)議事要旨

平成14年5月7日


1.日時 平成14年5月7日(火) 13:30-16:00

2.場所 中央合同庁舎第4号館第4特別会議室(406号室)

3.出席者
(審議会)
橘木委員長、大竹委員、木村委員、清原委員、関根委員、高山委員、都留委員、樋口委員、宮田委員
(事務局)
亀井内閣府大臣政務官、永谷国民生活局長、大石官房審議官(国民生活局担当)、渡邊官房審議官(国民生活局担当)、太田国民生活局総務課長、他

4.議題
1) 事務局からの報告
2) 樋口委員からの報告
3) 自由討議
4) 清原委員からの報告
5) 関根委員からの報告
6) 宮田委員からの報告
7) 自由討議

5.会議経過 (資料はPDF形式)
(1) 事務局より資料1 に基づき論点に関する基本的データ等について説明。
(2) 働き方の多様化等について樋口委員より報告がなされ、自由討議が行われた。
(3) IT・情報化と人材育成・雇用等について清原委員関根委員宮田委員より報告がなされ、自由討議が行われた。

6. 主な意見等
○ 日本の場合、正規社員の賃金の下方硬直性や解雇規制が失業にあらわれているのではなく、パートと正規の賃金格差を大きくしているという意見には賛成であるが、その格差を縮小する施策の中に正規社員の賃金の下方硬直性や解雇規制の程度の是正が何故含まれていないのか。パートの待遇を改善してもパートの賃金がマーケットメカニズムで決まる以上、不本意ながらパートで働く人が入って来れば、やはり賃金格差は残ってしまう。正規社員とパートの中間的な雇用保障の程度を持った労働契約のあり方をつくっていくことや、解雇規制の程度が小さくなれば、賃金の下方硬直性が小さくなるが、賃金の弾力性が現在の正規社員に比べて大きい労働者層をつくっていくことが必要。
→ 正社員の解雇規制と給与制度については、切り離して考えるべき。まずは、配偶者控除や家族手当等の生活給等、処遇制度の見直しが必要。しかし、これまで業績給が支払われていなかった部分があるかもしれないので、格差が生ずる可能性はあるが、平均賃金の引き下げになるかは分からない。解雇規制の緩和については留保が必要。日本において、解雇規制が誰が対象となるのかについて社会的合意がなされていないままでの解雇規制の緩和は中高年層の解雇を招き混乱をもたらしかねない。アメリカにおいては、解雇規制は緩いが誰が対象となるかについては合理的な理由が必要となる。
○ 配偶者手当の廃止促進のための、残業のみなし基準値給与の見直しという提言については、サービス残業が前提となっていては意味がないのではないか。公務員の給与体系から配偶者手当をなくせば、民間企業では、競争上、配偶者手当を設定せざるを得ないという状況から解放されることになり、より積極的な方法となるのではないか。
→ パートの雇用機会を増やす、あるいは待遇是正が正社員の勤務条件切り下げにつながって良いのか。公務員が民間企業の競争相手と見なされているかは疑問。
→ 配偶者手当をなくすのは、公務員、民間企業どちらから始めるのがよいのかは分からないが、組合の中でも配偶者手当の見直しの議論が起こっているところである。
→ サービス残業については、個人調査の労働力調査と、毎月勤労統計の労働時間には差があり、サービス残業は確かに存在すると考えられるが、自由競争のメリットを享受するためにはルールは守らなければならず、これを担保、チェックしていくことがシステムとして必要。
○ 樋口委員説明資料P.2の4のパートタイムの雇用条件、賃金格差の要因分解に関連して、職種が同じであれば格差を小さくすべきということで、根拠として勤続年数の長期化を挙げているが、職種が同じでも担当している仕事が同じとは限らず、その結果だけから格差の是正が適当というのは、経済学的に疑問である。
→ かなり細かく職種を分類(86職種)しているので、同じ職種においても格差があるということは、コントロールしない場合に比べてある程度合理性を持つと考えている。格差の存在自体、問題であるが、拡大していることが問題。
○ 樋口委員資料P.1勤め先企業におけるパートからその他の呼称の合計1400万人となるが、労働力調査の週労働時間35時間未満は2000万人程度であり、600万人の差はどこからきているのか。
→ 一つには、労働力調査の中に正社員でも週の労働時間35時間未満の人が含まれていることがある。呼称と労働時間のクロスタビュレーションによると、長時間で非正規社員が多かった。短時間雇用者は1200万人以上となるはずであるがなぜ出てきていないのかは不明。
○ フルタイムとパートタイムの格差是正のためには、フルタイムの賃金カットもオプションとしてあり得ないか。
→ 誰の視点から見るかということにもよるが、フルタイムとパートタイムの代替が発生しており、正規社員が賃金水準を維持しようとすればするほど企業は正規社員を減らすことになる。正規社員の雇用を守るためにも賃金制度の見直しが必要。

○ メディアリテラシーの育成、特にメディア評価能力、表現能力は社会にとって重要なだけでなく企業にとっても重要。しかし利用スキルの習得とは異なり、メディア評価・表現能力の習得には個人差もあり時間もかかるため身につけるのは容易ではなく、経済的に価値がある、自己実現につながることなどがインセンティブとなる。今後、雇用に関する情報提供を充実させていくに当たっては、要求されるスキルとメディアリテラシーをからませた情報を提供していくことによりそのようなインセンティブになるのではないか。
○ 日本の就業人口のうち、テレワーク、SOHOは何パーセントくらいを占めているのか。これを今後5~10年くらいのタームで何パーセントくらいまで持っていくべきと考えるか。また、ITに直接関わる専門職についてはどうか。テレワーク、SOHOについてどれくらいの賃金レベルを想定しているのか。
→ 日本テレワーク協会の推計では2005年くらいに就業人口の6%までの見通しとなっているが、重要なことは雇用形態の柔軟な類型として提起されていくなかで雇用者・労働者が選んでいけるようになることであり、どのくらいの水準が望ましいかは単純には言えない。環境問題・CO2削減の観点でライフスタイル、ワークスタイルを変えていく必要があるということもあり移動しないで働ける雇用形態の推進としてもすべての業種で最低でも6~10%の達成が望まれるのではないか。また、IT専門職については、このままだと、中国やインドに代表されるアジアの諸国に専門職も委託する形となって、日本国内で自前の専門職が育たないのではないかということが懸念される一方、大学におけるITの専門職育成の定員数がかなり低水準であり、まず高等教育における定員数から見直すべき。
○ デジタルデバイドに関する政策的介入が必要かどうかという問題について、テレビ等と同様に市場原理に任せるべきという反対論者もいるが、テレビは一度購入すれば電気代だけで済む一方、パソコンではそうはいかないという違いがある。また、インターネットは双方向コミュニケーションであるところが重要。アメリカでは電話及び郵便がユニバーサルサービスとなっている以上、インターネットをユニバーサルサービスとすること自体の妥当性は何かという議論がある。
○ 今後5~10年間で高卒、大卒間でのメディアリテラシーの格差が広がる可能性が高い。欧米では15~18歳で約8割以上、スウェーデン等では9割以上のインターネット利用率がある一方日本ではパソコン系インターネットの利用率(携帯電話系とパソコン系を明確に分けるべき)は20代でも半分という状況。メディアリテラシーを身につけた若者が社会の中軸を担いうる社会とそうでない社会とで大きな格差が生ずる可能性がある。
○ 情報ハンドリング能力まで含めて、デジタルデバイドについて政策介入をすべきか、できるとすればとのようにするのかが問題。
→ ITスキルの習得について、IT講習会や学校の情報教育程度で終わってしまうのではなく、きちんと介入してやるべき。
→ IT推進基本法をIT国家戦略の基本として持っていることを確認すべき。国民誰もがITの恵沢を享受するというのがIT基本法の理念であり、8条ではIT格差の是正を入れ、地域的格差のみならず身体的条件による格差の是正は国や地方自治体の責務とされており、格差是正の政策については、一定の踏み込んだ取り組みが必要。しかし、デジタルデバイドの解消には、生涯学習の中で自主的に主体性を持った取り組みが必要となるため、メディアリテラシーを身につける意欲をもてる社会をつくることが重要であり、(ユニバーサルデザインの普及等のようにベンチマーク等により定量的に実施できるものではないので)政策としてできるものの限界を認識しつつ、謙虚に実施していくべき。
→ 高齢者・障害者・主婦層のデジタルデバイド解消に限定すれば政策的介入は必要(全面的ではないが、一部分では必要)。テレビの機能はシンプルであるが、インターネットは双方向であり、複雑であるためメディアリテラシーが必要。このための教育が必要となるが、支援技術を必要とする障害者や高齢者をサポートする施策が必要となる。欧米でも行われている。
○ 格差是正をするのであれば、公か民か。公であれば、ベネフィットは全員に享受されなければならない。また、メディアリテラシーを身につけることをいらないという高齢者等に対して、公が強制的にやらせる必要はあるか。
→ 使いたくない人に使わせる必要は無いが、使いたい人が使えない状況は是正すべき。格差是正について、機器に関しては企業側の問題であるが、政府や自治体には高齢者や障害者に見ずらいホームページの是正等が求められる。
→メディアリテラシーは主体的な学習であり教育ではない。公が提供するのは学習機会の提供。インセンティブがあることを理解した上で、必要と思ったひとが学習できる環境を整えることが必要。どういう社会にしたいのか、どういう人材を社会として必要としているのかというところから生ずる問題である。
→インターネットに必要なネットワークの整備は、基本的には民間の競争に任せられているが、山間地、過疎地については、国が予算を出して保障するという地域も出てきている。メディアリテラシーの習得機会は、公・民・NPOにより多元的に提供されるのが望ましい。
→ITを学習したいか、したくないかの意思決定に必要な情報の提供は公がすべき。ポジティブな面でのインセンティブだけでなく、生涯にわたって賃金が低くなる、就きたい職に就けないなど、学習しないことに関するペナルティもあるという情報。
○ 国語が全員読める程度に情報リテラシーを国民全員に与える必要があると考えるか。
→ 基本的なスキルについては、いわゆる読み書きそろばん程度に必要と考える。
→ 初等中等教育の体制づくりが急務。社会の情報メディア普及はS字カーブであると言われる。ITの場合、先発組と後発組が同じ高さまで達するか、山が実は違うのではないかが問題。放っておくと日本が社会の中でストラティフィケーションの後発組に入ってしまう可能性がある。高齢者への対応も重要であるが、これからの社会を支える子供たちをどのように育てるかという施策は公的に実施される必要がある。
○ 宮田委員説明資料P13.携帯電話の利用者と非利用者の違いで、携帯電話利用のインターネット利用では、PC利用のインターネット利用ほどメディアリテラシー育成につながらないという原因は携帯電話そのものにあるのか、特性にあるのか、携帯電話の進歩で克服できるのか、平成12年度調査ということで、若い女性の使用率が多いことからデータのバイアスによるのか。
→ 携帯電話は、インターネットへの入り口としては良いが、そこで終わってしまい、そこから高等なメディアの利用には進んでいかない。携帯電話が便利であるために携帯電話の程度でとどまってしまう若者が多いことは日本にとってかえって不幸なのかもしれない。(携帯電話の機能改善よりも)そこでとどまっている人のメディアリテラシーが育たないことの方が問題が大きい。

以上
(配布資料)(PDF形式)
議事次第
資料1 第2回雇用・人材・情報化委員会 参考資料
資料2 樋口委員報告資料
資料3 清原委員報告資料
資料4 関根委員報告資料
資料5 宮田委員報告資料
[問い合わせ先]
内閣府国民生活局総務課
03-3581-0385
* 本議事要旨は暫定版のため、今後、修正がありえます。