平成14年3月13日
1.日時 平成14年3月13日(水) 15:00~17:00
2.場所 中央合同庁舎第4号館第3特別会議室(226号室)
3.出席者
(審議会)
佐和部会長、奥村委員、木村委員、関根委員、橘木委員、時子山委員、西垣委員、浜田委員、樋口公啓委員、樋口美雄委員、藤原委員、水巻委員、御船委員、山岡委員
(事務局)
松下内閣府副大臣、亀井内閣府大臣政務官、永谷国民生活局長、中城官房審議官(経済財政-運営担当)、大石官房審議官(国民生活局担当)、渡邊官房審議官(国民生活局担当)、松山参事官(経済財政-経済社会システム担当)、太田国民生活局総務課長、堀田消費者企画課長、西崎物価調整課長
4.議題
国民生活の視点からみた構造改革の課題について
5.会議経過
(1) 事務局より資料2、資料3に基づき構造改革についての説明を行い、国民生活の視点からみた構造改革の課題、対応策、今後の検討の方向等について自由な意見交換が行われた。
(2) 今後の運営について以下の通り了承された。
・ 今回の議論を再度整理した上で、順次テーマを設定して集中的に検討する。
・ まずは、雇用、人材育成、教育の在り方、これらと情報化との関わり、情報技術の活用などを中心に、専門的な立場から検討する委員会を設置し、6月頃に報告書を取りまとめる。
・ 委員会の構成、名称、具体的検討事項等については、今回の議論を踏まえて、部会長一任とする。
・ 委員会の座長として部会長より橘木委員が指名され了承された。
6. 主な意見等
雇用・労働
【雇用・労働の柔軟性】
○日本においては、社会的サービス分野の拡充が必要ではないか。それが雇用につながる。
○短時間正社員など、柔軟な働き方が必要。
○ワークシェアリングというとネガティブなイメージでとらえられているが、親の教育参加やNPO活動との両立といった積極的な意味で取り組むべき。
○ITにより高齢者や障害者の活躍できる可能性が高まる一方、日本の法律、制度がこれに対応できていない。→欠格条項の見直しがなされており、かなり改善されるのではないか(事務局)。
【格差】
○日本では賃金格差が小さいといわれているが、男女間、パート・フル間等では大きな差があり、必ずしも小さくない。
○失業率、所得格差、財政赤字の3つを同時に克服することは無理といわれている(サービス経済トリレンマ)。日本では何を犠牲にするのか。
【雇用・労働対策の視点】
○高齢者や女性の就労の問題については、各方面で同じ提言を繰り返している。なぜ実現できていないのか、各主体それぞれについてつめて考える必要がある。
○就業の場の確保については高齢者・女性に加え、若者の雇用参入問題も考えるべき。→社会に出る若者をどうするかという問題。
○雇用対策は地域の問題。政策を考える場合に国をイメージしているが、地方公共団体のことを忘れているのではないか。大都市と地方との意識はかなり違う。地方自治体の役割は何かを議論すべき。
○ITの雇用創出に期待するのは、無理があると思う。
○能力開発支援は個人を対象にすべき。
IT
【ITと経済・富】
○雇用創出には国際競争力が大切。富国強知が重要。デジタルテレビなどの日本の得意分野(non-PC)を強化すべき。
○今後の世界では情報ネットワークをコントロールできるところに富が集まる。アメリカ、北欧などにおいては、小学生からのIT教育が進んでいる。日本においても初等教育からのIT教育の充実が必要。
【IT化】
○ブロードバンドは、ITに不可欠であるが、ただ、光ファイバーを引けば良いという訳ではなく、どうしてやるのかのブレークダウンが必要。まずは、テレビがインターネットにつながることが必要。その際、官民の役割分担(官:公的部門、民:コンテンツ 等)を明確に。
○国際的にみた日本のITの進展はベストテンの下のほう。総合力ではアメリカ、密度では北欧。
【ITと生活、デジタル・デバイド】
○日本では、国も、IT産業も含めて「知業」に対応できる体制が整っていない。
○高齢化対策として、医療のIT化にはもっと大きく取り組むべき。IT化を本格的にやるためには居住空間をかえていく必要がある。
○IT利便性の享受については「年齢、性別、“障害”にかかわらず」として欲しい。
○大学では就職活動にもインターネットが不可欠であり、ITに触れる機会があるが、高校では少ないので、ここで大卒・高卒間のデバイドが生まれる可能性がある。小中高でのIT教育が不可欠で、この面で日本は遅れており、後になってから影響が出てくるのではないか。
教育・人材
【分析】
○90年代の我が国では学力の低下が起こった。努力や勤勉さが失われ、失業率上昇の1つの原因になっている。
○バブル、バーチャルで日本の勤勉性がおかしくなった。
○小中学校教育の問題は親がしっかりしていないこと。
【改革の方向】
○教育については、これまで内輪の競争のみであったが、これからは国際的な競争の観点が必要。
○トップクラスの知識レベルをどのように高め、また、すそ野をどう広げるかが問題。質と数が足りない。教育改革が必要。
○複式簿記に基づく改革をする必要がある。選択肢が増える中では、どれくらいのコストを誰が負担するのかという責任ある選択が背骨になる。学生への奨学金についても、一方的な支給では責任ある選択にはならないのではないか。意欲と能力を優先すべき。また、その点では給付よりも貸し付けの方がよい。
○教育で必要なのは単に一律の競争原理ではない。教育は多次元であるべきで批判的な層を含めあらゆる層に対応した育て方が必要。
○生産性(ソロー残差)の源泉は教育。日本の教育への公的負担のGDP比は低い。もっと大きくしたい。また、先生の給与を挙げて優秀な人を集めるべき。
○勉強したほうが得だというインセンティブも必要ではないか。
○勤勉性の回復には「国民皆農制」が必要ではないか。(農業を作付けから収穫までの作業を一貫して体験させるNPOを設立した。)積み重ねが必要。→4月からの完全週休二日制では、子供達に対する社会教育の一環として自然体験学習が求められているが、教育委員会等による準備が不十分。特に初等・中等教育では国の方針が県にうまく伝わっていない場合も多く、幼児教育についても同様である。特に市町村の教育委員会がもっとしっかりしないといけない(大臣政務官)。
○大学での通信教育では、皆やる気のある人たちである。構成をみると7割が大学又は短大卒である。社会人になった後に、もう一度大学にもどって勉強して、再度社会に復帰するというよりは社会と大学を往復できるような仕組みが必要。
【改革の方向(初等中等教育)】
○資料には大学の話題が多いが、初等中等教育も重要。
○小学校は30人40人学級と教師が少なすぎる。ファシリテイターをつけたり、親が自分の得意分野を活かして教育に参加することなどが必要。日本ではコミュニティ、子供、親が分断されている。→大学も法人化だけでなく、「移民政策」(海外からの人材登用)が必要。
【人材】
○人材にはトップ、ミドルマネージャー、レイバーの3種類があるが、日本はミドルが過大で、他が不足しているが、アメリカでは適正に分布していると言われており、移民政策を使ってバランスをとっていると考えられる。日本においても、特にトップを補うには「移民政策」(国外からの人材スカウト)が必要。
【海外の事例・分析】
○英国ブレア首相の演説で教育、教育、教育といったように教育が重要。英国では、それが、成果として現れている(サッチャー時代に公教育が荒廃し、機会の平等も失われ6%台の高い失業率であったが、ブレアになって教育の復興によってエンプロイアビリティが高まり、失業率は3.1%まで下がった。)。
○日米の教育水準が90年代以降逆転している。アメリカはどうやったのか。
構造改革全般
【改革の視点等】
○国民生活は、特に『生涯』という観点からの構造改革が必要。
○構造改革には地方自治体、家族の視点が必要。→近く公表予定の国民生活白書では、家族をテーマにしている(事務局)。
○政府の役割と民間に期待することを区別すべき。オランダやフランスでは、フルタイムとパートタイムの賃金格差を禁止する法律が整備され、フランスでは35時間労働が成立、といずれも政府主導で行われた。政府主導なのか労使交渉に期待するのかなど、この審議会ではどこまで掘り下げるのか。→官・民のやるべきことについては、整理して峻別させて頂く(事務局)。
【改革の不安】
○構造改革には不安や萎縮を招くことの無いような改革の戦略が必要。新しい建物ができる前に古いものが壊されてしまうのではないかというのでは不安になる(例えば、労働市場の流動化については、雇用の受け皿の前に解雇権の議論が進めば不安につながる。)意図的に順番をつけて進める必要がある。
○構造改革により変化するということ自体に皆不安を感じている。「今のように生活していても大丈夫」と不安を取り除くことが必要。
その他
【セーフティネット】
○セーフティネットは雇用面だけではなく、介護、医療、子育てなど全般について考えるべき。消費の拡大にも必要。
【消費者】
○消費者教育については、いかに被害を防ぐかというネガティブな視点だけではなく、消費によって自分の人生を実現していくという視点が必要。
【消費】
○社会保障への安心がないと消費は伸びないのではないか。
【NPO】
○構造改革のどの分野においてもNPOは大きな役割を担っている。NPOは自発的に活動するのが前提であり、自由に活動ができるよう、活動の妨げをなくしていくべき。
○資料では個別の分野でNPOが出すぎている。政府の個別政策の文章にNPOを書かれるのは不自然。もっと全体について重要な問題がある。
【その他】
○いろいろな審議会での議論を国生審で集大成しているようだが、すでに各分野において議論が尽くされている感があり、今は議論より実行が必要。提言はやらなければだめ。スピードが重要。
○人間の評価基準が拝金主義に陥っている感がある。