地方協力課 消費生活センターの設置・拡充など、地方の取組みを支援しています

「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」

3.主なテーマごとの「地方への期待」と「消費者庁の取組み」

(4) 行政・担当職員の取組みの強化

  地方消費者行政の充実・強化のためには、「現場」の相談員を支え、協働する職員の存在が必要です。
  このためには、まず何よりも首長のリーダーシップが不可欠です。そして、地方公共団体における消費者行政の担当幹部、担当課である「本課」の担当職員の積極的な取組みも不可欠です。「基金」の活用とともに、地方公共団体が自ら人員や予算などの重点配分を通じて、体制の整備と研修の充実を図ることなどが重要な課題であると考えます。

【「現場」の取組みの事例】
<盛岡市(岩手県)の事例>

  盛岡市では、平成19年度から「盛岡市多重債務者包括的支援プログラム」を開始。

  徴税担当課、福祉担当課、消費生活センター等が連携して全庁を挙げて多重債務者の掘り起こし、被害回復及び生活再建支援を行う体制をとり、実践している。

<長井市(山形県)の事例>

  長井市では、「市民のニーズを幅広く受け止めなければならない」という市長の強いリーダーシップの下、平成21年度中に相談窓口を消費生活センターに拡充することとなっている。

<群馬県の事例>

  平成21年春、群馬県では県下の市町村担当者を集め、「基金」の説明会を実施。当初は、群馬県下の市町村は他都道府県等に比べて出足が鈍く、申請額が低い実情にあった。

  「基金」の活用に向けて県の担当職員は、「基金」の概要、活用の事例、申請などについてわかりやすく詳細に図解した資料を作成。その資料をもとに、9月以降、担当課長が積極的に県下の各市町村の首長を訪問し、「基金」の活用を促した。その結果、「基金」の申請額は夏の段階での水準から2ヶ月後には約2倍となり、県としての申請額に反映。国からの交付額は申請額どおりとなった。

<新宿区(東京都)の事例>

  新宿区では、「エキスパート職員制度」を設けており、特定の専門分野に関する深い専門知識と豊富な経験を兼ね備えた職員を育成し、その能力を活用することにより、職員の意欲などの向上を図ることとしている。

  「エキスパート職員」になると、一般職員の人事異動基準にかかわらず、その専門分野に長期に在職できること、その専門分野の研修を優先的に受講できることなどの特徴があり、専門性の向上に役立っている。

<八王子市(東京都)の事例>

  八王子市では、「多重債務問題庁内連絡会」を立ち上げ、多重債務者の掘り起しや、被害回復、生活再建に取り組んでいる。また、昨年12月には、多重債務問題庁内連絡会を構成する関係各課職員を対象に、多重債務者の現状や解決方法などを講義する多重債務問題研修会を開催し、職員の対応力の強化を図った。

<聖籠町(新潟県)の事例>

  人口約1万4千人の聖籠町では、これまで消費生活相談は年間数件の実績しかなかった。

  町長と町民との「ふれあいトーク」などを通じて、人口の少ない町でも消費者被害の存在が把握され、専門の相談員を配置した相談窓口の必要性を町長が強く認識するに至った。

  当初は相談件数が少ないことから、事務的には相談員の配置が躊躇されたが、町長の強いリーダーシップにより、平成20年12月には相談員採用の検討の指示があり、翌年1月には方針を決定し、公募を経て、平成21年4月からは相談員を採用して、相談窓口を週5日開設することとなった。

<人吉市(熊本県)の事例>

  人吉市では、相談窓口の設置に当たり、職員の意識改革を図るため、市役所職員全員に多重債務問題に関する研修を受講させた。これにより、職員の間で消費者行政の重要性や相談窓口の必要性の認識が共有された。

  また、2名の専任職員を配置するなど組織としての体制強化を図った。

【課題】

(首長のリーダーシップ)

  地方公共団体における消費者行政の位置づけを高め、消費者行政の充実・強化を図るためには、首長のリーダーシップが欠かせません。
  併せて、地方議会の議長を始め地方公共団体の幅広い関係者の理解と協力も不可欠であると考えます。

(都道府県における「消費者行政推進本部」の設置)

  まず、都道府県においては、知事を本部長とするなど、「地方消費者行政推進本部」を設置して、消費者行政の基本方針を策定するとともに、消費者行政の総合的な展開を図ることが重要な課題であると考えます。
  すなわち、「基金」などの国の支援措置の活用、独自の予算の手当・増額、消費者行政の担当職員の増員と専門性の向上、消費者行政の担当部署の他の部署に対する「司令塔」としての機能の発揮、管内の市町村との連携などについて検討し、具体化していくために、庁内の関係部署はもちろん、地域の学識経験者、関係団体、事業者などとの連携を積極的に実現していくための「母体」を知事のリーダーシップのもとにつくることが重要であると考えます。
  その際、地域の実情によっては、都道府県の「消費者行政推進本部」に市町村が参加することで、管内の市町村との連携の一層の強化が図られると考えます。もちろん、管内の市町村としても独自の「消費者行政推進本部」を設置して取組みを率先していただくことも重要であると考えます。
  なお、都道府県には、消費生活審議会が設置され、地域の学識経験者や関係団体の参加を得て、消費生活条例など制度面の課題などについて検討する体制が既にみられますが、基本方針やさまざまな課題についての検討の成果を迅速に具体化していく観点からは、組織としても、消費生活審議会とは別に独自の「本部」とすることが望ましいと考えます。
  地方関係者との意見交換においては、一部の地方公共団体から、形式的な「本部」を設置するだけでは形骸化を招きかねないといった意見がありました。形骸化はもちろん避けるべきです。必ずしも形式にとらわれることなく、先導的な事例も参考としながら、幅広い分野にまたがる消費者問題への対応を総合的に推進するための体制の整備としての「本部」の設置は象徴的な取組みであると考えます。

(市町村における「連絡会」「協議会」などの設置)

  また、都道府県のみならず、市町村においても、「連絡会」「協議会」などを設置して、庁内の関係部署や関係団体との連携、情報の集約・共有、総合的な対策の推進などを図ることが重要な課題であると考えます。
  すなわち、消費者行政の担当部署を始め、税務、福祉、教育、保健などの関連部署や警察、保健所などの機関、民生委員、婦人会、社会福祉協議会、弁護士、司法書士、医師、建築士、事業者などの関係者・関係団体との連携を地域の実情に応じて積極的に実現していくための「場」づくりが重要であると考えます。

(職員による相談員に対する積極的なサポート)

  相談員の相談業務を職員が積極的に支えることも重要な課題であると考えます。例えば、相談員があっせんを行う際に、消費者行政の担当課である「本課」の職員が立ち会うなど、複雑化・高度化しつつある相談内容に「本課」の職員と相談員とが連携して対処したり、法執行を担うことは、個別事案の解決のために重要な意義を持つこととなります。
  しかしながら、地方関係者との意見交換においては、「本課」の職員と相談員 との間の連携が必ずしも十分ではない事例もみられました。専門性の高い相談員が長年キャリアを積み重ねていく反面で、職員は通常の人事ローテーションで次々と異動していくこともその一因とされています。

(職員の専門性の向上)

  相談員からは、「職員にはスーパーバイザー的な役割を期待する」「そのような職員がいれば安心して相談に取り組むことができる」などの意見がありました。
  このような要請に応えていくためにも、相談員のみならず、地方公共団体の職員においても、専門性の向上を図ることが重要な課題であると考えます。
  このためには、消費者相談、法執行、消費者教育・啓発、商品テスト、消費者団体活動支援などの消費者行政の総合的な視点を養うとともに、複雑化・高度化しつつある相談内容の個別事案の解決に資するために、職員の専門性の向上のための研修の充実が不可欠であると考えます。
  また、他の業務を同時に抱えながら消費者行政を担当している小規模な基礎自治体の職員においても、庁内連携による相談の「掘り起こし」や生活再建といった基礎自治体の重要な役割を担うための知識や技能の向上が不可欠であると考えます。

(職員の消費者行政に関する「キャリア・パス」の構築)

  併せて、地方公共団体において、職員の専門性の向上のための「キャリア・パス」の構築も重要な課題であると考えます。
  地方関係者との意見交換において、地方公共団体の職員の消費者行政に関する「キャリア・パス」が構築されているかどうかについても尋ねました。
  しかしながら、消費者行政を経験した職員が消費生活センターの所長などの担当幹部に就く事例は、一部の地方公共団体にはみられたものの、人事面での「キャリア・パス」を構築するには至っていない、という回答がほとんどでした。
  職員の専門性を高めていくためには、職員自身のモチベーションを高めていくこともまた不可欠であり、人事面での個別の評価とともに、将来の展望をもつことができるような「キャリア・パス」の構築が重要であると考えます。
  通常の人事異動の周期よりも比較的長く配属されるような人事面の措置や消費者行政に関する部局に複数回配属するといったシステムなどを導入することが望ましいと考えます。

i. 首長のリーダーシップと連携の体制づくり

【地方への期待】

○ 「消費者行政推進本部」の設置など総合的な推進の体制づくりを

  首長のリーダーシップの発揮を強く期待します。
  都道府県において、知事自らが本部長となるなど、庁内の関係部署が一堂に会する「消費者行政推進本部」を設置することを期待します。
  また、市町村においても、「連絡会」「協議会」などの設置を期待します。
  これらの地方消費者行政の総合的な推進の体制には、関係者・関係団体の参画も得て、地域を挙げた取組みが展開されることを期待します。

【消費者庁としての取組み】

○ 首長・担当幹部のリーダーシップの重要性や関係部局の横断的な連携の必要性を働きかけます

  さまざまな機会をとらえて、首長のリーダーシップが地方消費者行政の充実・強化に不可欠であること、担当幹部の率先した行動が重要であること、関係部署をまきこんだ横断的な連携の強化が総合的な消費者行政の推進に直結することなどを働きかけます。
  また、「本部」や「連絡会」「協議会」などの先導的な事例について、その具体的な活動の成果なども含めた情報の発信・提供を図り、幅広く地方公共団体の取組みを促します。

ii. 職員の研修の充実と「キャリアパス」の構築

【地方への期待】

○ 職員による相談員に対する積極的なサポートを

  相談案件への対処、法執行における立会いなど、職員が相談員の業務を積極的に支えるよう、消費者行政の担当課である「本課」の職員に対して積極的なサポートを行うよう徹底することを期待します。

○ 職員の専門性の向上を

  相談員のみならず、職員の専門性の向上のために、職員の研修の充実、(独)国民生活センターによる研修への参加の機会の確保などを具体化することを期待します。

○ 消費者行政担当職員の「キャリア・パス」の構築を

  相談員を支え、また、職員のモチベーションを高めるなどの観点から、人事面での「キャリア・パス」の構築についての検討とその具体化を期待します。

【消費者庁としての取組み】

○ 職員向けの研修の拡充などを図ります

  さまざまな機会をとらえて、職員の専門性の向上や「キャリア・パス」の構築の重要性を地方公共団体の首長等に働きかけます。
  同時に、「基金」を活用した研修の開催や内容の充実に対する積極的な支援とともに、(独)国民生活センターによる職員向けの研修の地方での開催の拡充などを図ります。

○ 国と地方との人的交流を強化します

  消費者庁の執行担当部署での受入れに限らず、消費者庁と地方公共団体との間での職員の交流を図り、国と地方のそれぞれの人材育成、人的連携を強化します。

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