文字サイズ
標準
メニュー

COLUMN7 食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーション

食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーション

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故後、科学的知見に基づき食品中の放射性物質に関する基準値が設定され、合理的な検査体制の下で食品の安全が確保されているものの、被災県産の農林水産物を買い控えるという消費行動がみられました。

このことから消費者庁は、風評被害払拭のためには、消費者を含む関係者が相互の状況を共有し、正確な理解に基づき行動することが必要であると考え、食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションを重点的に実施しています。そのリスクコミュニケーションにおける説明内容や開催地選定等に活用するために、食品と放射性物質に関する消費者意識の実態等を調べています。

2017年度は二つの意識調査を実施しました。

まず、「風評被害に関する消費者意識の実態調査」です。この調査は、被災地域及び都市圏の消費者約5,000人を対象とするインターネット調査で、2013年から半年に一度、継続的に実施してきました(図表1)。2018年2月に実施した第11回調査の詳細はこちら https://www.caa.go.jp/disaster/earthquake/understanding_food_and_radiation/pdf/understanding_food_and_radiation_180307_0003.pdf

【図表1】 放射性物質を意識し産地を気にする人が、購入をためらう産地

この調査は、震災2年後からの消費者意識の傾向を時系列的に確認できることから、一定の役割を担っているといえます。一方、震災から7年が経過し、この調査では確認しきれない消費者の現状や意識が生じてきているとの指摘もありました。そこで、新たに全国47都道府県の消費者約7,000人を対象とした「放射性物質をテーマとした食品安全に関するインターネット意識調査」を2018年1月に実施しました(図表2)。
詳細はこちら https://www.caa.go.jp/disaster/earthquake/understanding_food_and_radiation/pdf/understanding_food_and_radiation_180307_0001.pdf

【図表2】 福島県産の食品を購入している理由

これらの意識調査の結果や、2017年12月に復興庁及び関係府省庁により策定された「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」も踏まえ、消費者庁は、リスクコミュニケーションの開催地について、被災地から消費地に重心を移していくとともに、伝達すべき情報や手法を精査し、消費者の理解増進に努めます。

なお、消費者の理解増進の一助として、「食品と放射能Q&A」、「食品と放射能Q&Aミニ」を作成し、リスクコミュニケーションの場で活用しています(図表3)。これらは、放射線の基礎知識、食品中の放射性物質の基準値や検査結果等を分かりやすく説明している冊子です。是非ご覧ください。

【図表3】「食品と放射能Q&A」、「食品と放射能Q&Aミニ」

担当:参事官(調査研究・国際担当)