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第2部 第2章 第1節 2.消費者事故等の情報収集及び発生・拡大防止

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第1節 消費者の安全の確保

2.消費者事故等の情報収集及び発生・拡大防止

(1)事故情報の収集、公表及び注意喚起等

消費者庁と国民生活センターが連携し、関係機関の協力を得て、生命・身体に関する事故情報を広く収集し、収集した事故情報を事故防止に役立てるために提供する「事故情報データバンク」(注33)を2010年4月1日から運用しています。

また、消費者庁では、消費者安全法の規定に基づき通知された生命・身体被害に関する消費者事故等について、(原則として)週1回定期的に公表しており、2017年度には、重大事故等1,280件の事故の概要等の公表を行いました。

さらに、消費生活用製品安全法の規定に基づき報告のあった重大製品事故については、原則として週2回定期的に公表しており、2017年度には、845件の事故の概要等の公表を行いました。

このほか、特に消費者が注意すべき事案については、被害の未然防止・再発防止を図るために、消費者への注意喚起を実施しています。

内閣府、文部科学省、厚生労働省では、教育・保育施設等(認定こども園、幼稚園、保育所、小規模保育事業所、認可外保育施設等)における重大事故の再発防止の取組について、専門家による「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」(注34)を開催し、2015年12月に最終取りまとめ(注35)を行いました。2015年4月から、教育・保育施設等において重大事故が発生した場合には国への報告を行うこととしており、2016年3月には「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」を作成し、重大事故の再発の防止のため、地方公共団体による事後的な検証の実施について通知するとともに、教育・保育施設等に対する指導監査等は、目的に照らし、必要に応じて、事前通告せずに実施することについて通知しました。

さらに、2016年度からは「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議」を開催し、地方公共団体による教育・保育施設における死亡事例等重大事故についての検証等を踏まえ、教育・保育施設等における事故の発生及び再発の防止に向け、注意喚起を行うなど情報を発信しています。

また、2015年度からは「特定教育・保育施設等における事故情報データベース」(注36)として、重大事故のあった地方公共団体からの第一報(原則当日又は翌日)を四半期ごとにまとめ公表しています。

2015年8月に公表された消費者委員会「商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する建議」に基づき、商業施設内の遊戯施設の安全に関するガイドラインの策定に向けた検討会を2016年に開催し、「商業施設内の遊戯施設の安全に関するガイドライン」を取りまとめ、同年6月に公表しました。

また、同年7月、流通業界に対し、商業施設内の遊戯施設における事故情報の収集、情報提供に関する周知文を発出しました。

(2)緊急時における消費者の安全確保

緊急事態等においては、「消費者安全の確保に関する関係府省緊急時対応基本要綱」(2012年9月関係閣僚申合せ)で定める手順に基づき、関係府省が相互に十分な連絡及び連携を図り、政府一体となって迅速かつ適切に対応し、消費者被害の発生・拡大の防止に努めるとともに、関係行政機関や事業者、医療機関等から寄せられる事故情報については迅速かつ的確に収集・分析を行い、消費者への情報提供等を通じて、生命・身体に係る消費者事故等の発生・拡大を防止することとしています。なお、同要綱及び「冷凍食品への農薬混入事案を受けた今後の対応パッケージ」(2014年3月関係府省庁局長申合せ)を踏まえ、消費者庁では、関係府省と連携し、毎年度1回緊急時対応訓練を実施することとしており、2017年度は、2017年12月に食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省と連携し、訓練の詳細を当日まで明かさないブラインド方式で行う等、実践的な方法での緊急時対応訓練を実施しました。

(3)リコール情報の周知強化

消費者庁では、これまで関係府省等が主管する法令などに基づき個々に公表していた「リコール情報」について、消費者庁がこれらの情報を一元的に収集した上で、消費者が分野横断的にリコール情報を確認できる「消費者庁リコール情報サイト」(注37)の運用を2012年4月から開始しました。2013年後半からは地方公共団体や事業者が独自に公表している情報などの収集にも努め、2017年度までに5,466件のリコール情報が登録されており、メールマガジンの登録数は8,064件となっています。また、リコールが多発している製品群に着目し、当該製品群に係る事故事例、製品規格、正しい使い方などといった製品安全情報を中心とした関連情報の提供にも取り組んでいます。

(4)製品安全に関する情報の周知

経済産業省では、消費者庁に報告が行われる重大製品事故の情報や経済産業省に届出が行われるリコールの情報等については、経済産業省のウェブサイト等で随時公表(注38)を行い、消費者等への注意喚起を行っています。

また、政府広報や、独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「NITE」という。)のプレスリリースにおいても、最近事故が増加している製品や季節に応じて事故が増加する製品等の注意喚起を行っています。

2017年度は、長期使用製品安全点検制度の所有者情報の登録率向上のため、説明会等を通じた設備の設置工事事業者等との連携を進めるとともに、政府広報等の各種媒体を通じた消費者への働き掛けを行っています。

また、国民生活センターでは、人の生命・身体等に重大な影響を及ぼす商品や品質・表示等に問題のある商品について、消費者被害の救済や未然防止・拡大防止のために、消費者の使用実態を考慮しつつ科学的に信頼性の高い商品テストを実施しています。テスト結果において、商品の問題や使用に当たって注意を要すること等が確認された場合には、消費者へ注意喚起をするとともに、関係行政機関・団体に要望・情報提供を行っています。

(5)道路運送車両法に基づく自動車のリコールの迅速かつ着実な実施

国土交通省では、自動車のリコールの迅速かつ着実な実施のため、2015年6月に道路運送車両法(昭和26年法律第185号)を改正し、装置メーカーへの対策を強化しました。また、自動車メーカー等及びユーザーからの情報収集に努め、自動車メーカー等のリコール業務について監査等の際に確認・指導するとともに、安全・環境性に疑義のある自動車については独立行政法人自動車技術総合機構において現車確認等による技術的検証を行っています。2017年度は、リコール届出件数が377件、リコール対象台数が770万台となっています。また、2017年度には、複数の自動車メーカーによる、型式指定車の完成検査における不適切な取扱いが判明したことを受け、市場措置を速やかに行うことを促しました。さらに、ユーザーからの不具合情報の収集を強化するため、「自動車不具合情報ホットライン」(注39)について周知活動を積極的に行いました。

(6)高齢者向け住まいにおける安全の確保

厚生労働省では、2018年3月に、全国会議の場や有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査結果を踏まえた通知の発出を通じて、都道府県等において指導指針を的確に運用し、行政指導を徹底するように要請しました。また、2018年4月2日付けで「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」を改正し、都道府県等の指導指針に反映するよう周知・徹底を図りました。


担当:参事官(調査研究・国際担当)