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第2部 第2章 第6節 1.国の組織体制の充実・強化

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者庁における主な消費者政策

第6節 国や地方の消費者行政の体制整備

1.国の組織体制の充実・強化

(1)消費者行政体制の更なる整備等

2015年度の消費者庁の政策評価については、「消費者庁政策評価基本計画」(2013年3月18日消費者庁長官決定。2016年2月26日一部改正。)及び「平成27年度消費者庁政策評価実施計画」(2015年12月25日消費者庁長官決定)に基づき、2016年8月にその評価書を公表しました。

この2015年度の政策評価を踏まえた上で、2016年度には、消費者庁が所管する法律の執行体制の強化、効果的に機能する仕組みの構築及び法制化に向けた検討などに取り組むこととし、予算要求及び機構・定員要求並びに改正法案の成立や法制度の具体化につなげたところであり、消費者行政に係る体制の更なる整備等に有効に結び付けることができました。

また、2016年9月1日にまち・ひと・しごと創生本部にて決定した、「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」において、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした新しい消費者行政の発展の拠点として、徳島県に「消費者行政新未来創造オフィス」を2017年度に開設することが盛り込まれ、それに伴う予算要求及び機構・定員要求を実施しました。

さらに、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律(平成27年法律第66号)が2015年9月に公布され、これまで内閣府が所管していた消費者問題に関する事項の総合調整事務が2016年4月1日に消費者庁に移管されました。事務の移管後も消費者庁において総合調整機能を発揮し、消費者行政の司令塔・エンジン役としての役割の発揮をより一層強力に図っています。

(2)消費者庁における国際担当の体制強化

消費者庁では、国際業務実施体制整備等のため、2016年度には国際室を設置し、定員を新規増員したほか、庁内の国際担当者が連携して国際会議に参加しました。

(3)消費者委員会の事務局体制の充実・強化等

消費者委員会は独立した第三者機関として、消費者の声を踏まえつつ自ら調査審議を行い、消費者庁を含む関係府省の消費者行政全般に対して建議等を実施するとともに、内閣総理大臣、関係各大臣等の諮問に応じて調査審議を行います。消費者行政が直面する諸課題に適切に対処するためには、消費者委員会が様々な消費者問題について調査審議を行い、積極的に建議等を行うことが重要です。

このため、内閣府において、事務局体制の充実・強化を図るための予算・定員要求を着実に行うとともに、民間の多様な専門分野における人材を任期付職員、技術参与や政策調査員等として任用し、委員会活動をしっかりと支えることとしています(注102)

また、消費者委員会が調査審議を進めるために、関係府省への資料要求やヒアリング等を頻繁に実施しています。この結果、消費者委員会は2009年9月の発足以降、数多くの意見表明(注103)を行ってきており、消費者基本計画への反映、法令の改正・執行強化等を通じて、消費者行政の推進に活かされています。

2016年度においては、「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」(2017年1月31日)の公表、「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」(2016年4月12日)の公表及び同建議に係るフォローアップを実施しました。

このほか、施策の進捗に応じ、「クレジットカード取引に関する消費者問題についての建議」(2014年8月26日)、「教育・保育施設等における事故情報の収集及び活用に関する建議」(2014年11月4日)、「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」(2015年7月7日)の追加のフォローアップを行ったほか、消費者庁長官からの意見の求めに応じ、民法の成年年齢が引き下げられた場合に新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済のための対応策について検討を行い、2017年1月に消費者委員会としての意見を取りまとめました。

(4)障害者の消費者被害の防止策の強化

消費生活センター等へ寄せられる障害者の消費者被害に関する相談件数は、近年減少傾向にあるものの、2016年度は18,557件と依然として多くなっています。また、相談の大半が障害者本人以外から寄せられるケースであることを考えると、実際にはより多くの障害者が被害に遭っていることが想定されます。

また、2016年4月に、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)が施行され、不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供により、障害の有無に関わらず共に暮らせる社会を目指す取組が始まりました。国においては、今後の基本方針や、障害者への対応要領を定めることが求められています。

消費者庁では、高齢者及び障害者の消費者トラブルの防止等を目的とし、障害者団体のほか高齢者団体・福祉関係者団体・消費者団体、行政機関等を構成員とする「高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会」を平成19年から開催し、消費者トラブルに関して情報を共有するとともに、悪質商法の新たな手口や対処の方法などの情報提供等を行う仕組みの構築を図ってきました。平成29年3月に開催した「第13回高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会」では、「高齢者、障害者の消費者トラブル防止のため積極的な情報発信を行う」、「多様な主体が緊密に連携して、消費者トラブルの防止や『見守り』に取り組む」等の申合せをしました。

国民生活センターでは、障害者からの消費生活相談体制の整備に向けて、障害者からの消費生活相談を引き続き受け付けています。

また、弱視、色覚障害者等に配慮する観点から、国民生活センターのウェブサイトの音声読み上げソフトへの対応等を実施しました。

さらに、2017年版「くらしの豆知識」(注104)は、カラーユニバーサルデザインを基本として作成するとともに、デイジー図書(国際標準規格の視覚障害者向けデジタル録音図書)を作成・配布しました。

(5)国民生活センターによる消費生活センター等への相談支援機能強化

国民生活センターでは、全国の消費生活センター等からの商品やサービスなど消費生活全般に関する相談や問合せ等に対応する「経由相談」を実施し、相談解決の支援を行っています。

各地の消費生活センター等への相談支援機能を強化するため、2011年度に専門チーム制を本格導入し、2016年度には、専門家からのヒアリング、弁護士会、事業者団体等との意見交換会等を多数行い、専門性の強化を図りました。

また、消費生活センター等のバックアップとして、土日祝日に窓口を開設していない消費生活センター等を支援するため、消費者ホットラインを通じて、「休日相談」(2014年度までの名称は「土日祝日相談」)を行うとともに、平日には、各地の消費生活センター等が通話中のために電話がつながらない場合に対応する「平日バックアップ相談」を運営しています。

さらに、地方の消費生活センター等が昼休みを設けることの多い平日の11時から13時までの時間帯に、消費者から電話で直接相談を受け付ける「お昼の消費生活相談」を行っています。

2016年度に「経由相談」は7,589件、「平日バックアップ相談」は3,728件、「お昼の消費生活相談」は3,033件を受け付けました。

相談処理の専門性の強化を図るため、法律、自動車、土地・住宅、美容医療に加え2015年10月から新たに「決済手段」についても高度専門相談の実施を開始しました。さらに、商品に関する苦情相談の解決のため、各地の消費生活センター等からの依頼を受けて商品テストを実施しています。

また、国民生活センター越境消費者センターにおいて、2015年6月から越境消費者相談の受付を開始し、2017年3月末時点で8,772件の相談を受け付け、海外提携機関12機関と連携し消費者に対して内容に応じた助言や情報提供を行いました。うち2件について、国民生活センターウェブサイトでの公表を行いました。

(6)消費者政策の推進等に向けた関係省庁等の連携強化

消費者庁では、2016年12月に消費者政策担当課長会議を開催しました。この会議では、関係省庁と消費者政策に関連する最近の動向について意見交換を行い、今後も協力して消費者課題に取り組んでいくことを確認しました。

(7)消費者・生活者を主役とする行政を担う国家公務員の意識改革

「昇任時相談窓口等体験研修」は、「生活安心プロジェクト「消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて」(2008年4月国民生活審議会意見)に対するアクションプラン(工程表)」(同年7月23日生活安心プロジェクトに関する関係省庁局長会議決定)に基づき、各府省庁の審議官級職員を対象に2009年度に人事院と内閣府の共催により、試行的に開始されました。その後、第2期消費者基本計画(2010年3月30日閣議決定)において継続的に実施することとされ、以後、人事院と消費者庁の共催により実施しています。

具体的には、国民生活センターや消費生活センター、行政相談所、日本司法支援センター(法テラス)、公共職業安定所、児童相談所、福祉事務所、年金事務所の協力を得て、消費者・生活者の声に触れる相談窓口業務を体験する業務体験研修(全体で3期間、うち1日派遣。)及び同研修で得られた経験や気付き、行政や公務員の在り方について考えたことなどを参加者間で討議するとともに、討議概要を発表する事後研修(全体で2回、うち1回参加。)から構成されています。

2016年度は、計73名が研修に参加しました。

研修終了後に実施したアンケートでは、参加者の97.3%から有益との回答を得るなど、高い評価を得ていることから、今後も継続して実施を予定しています。

(8)消費者からの情報・相談の受付体制の充実

消費者庁及び関係府省等では、消費者からの多様な情報・相談に対応するために、相談窓口ごとに電話、メール等の受付手段を拡充するなど、体制の整備を進めています。

消費者庁では、消費者からの情報・相談の受付体制の拡充について、関係府省庁等の相談窓口の設置状況を取りまとめています。主な相談窓口等は別表(注105)のとおりです。


  • (注102)2016年度の消費者委員会事務局の予算額は、約150百万円(当初)、定員は13名。
  • (注103)2016年度末までの主な成果としては、建議20件、提言・意見72件。
  • (注104)くらしに役立つ幅広い分野の知識・情報をわかりやすくまとめた小冊子で、2017年は「長寿時代のリスク管理」を特集。
  • (注105)章末【別表】を参照。

担当:消費者調査課