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第2部 第2章 第4節 4.公正自由な競争の促進と公共料金の適正性の確保

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者庁における主な消費者政策

第4節 消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成

4.公正自由な競争の促進と公共料金の適正性の確保

(1)競争政策の強力な実施のための各種対応

公正取引委員会では、独占禁止法の違反行為について、2016年度に延べ51名の事業者等に対して11件の排除措置命令を行いました。また、延べ32名の事業者に課徴金納付命令を行いました(2016年12月に行った、独占禁止法第63条第1項及び同条第2項の規定に基づく罰金調整後の数字)。

また、319件の届出のあった企業結合計画について、迅速かつ的確に審査を行いました。このうち、3件については、報告等の要請を行いました。また、2015年度に報告等の要請を行っていた2件について、2016年12月に、当事会社が措置を講ずることを前提に、独占禁止法上の問題はないと判断しました。届出会社に報告等を求める必要がないと判断した案件については30日の禁止期間(企業結合を実行してはならない期間。第1次審査)内に審査を終了するとともに、届出会社から禁止期間の短縮の申出のあった案件について当該期間を短縮しました。

近年、公正取引委員会には、競争環境を積極的に創造し、市場監視の機能・体制を充実させるなど、競争政策を強力に実施することが求められており、そのための体制の整備・充実が進められてきています。

具体的には、2016年度に、消費者教育のニーズの拡大等への対応のための体制整備のほか、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)運用部門及び独占禁止法審査部門を中心に体制の強化が図られました。また、即戦力となる職員を確保する観点から、任期付職員を採用しました。このほか、職員に対し、業務上必要とされる知識・スキルを付与する各種研修を実施しました。

(2)公共料金等の決定過程の透明性及び料金の適正性の確保

消費者庁では、電気料金値上げ後の東京電力の小売電気料金について、フォローアップの一環として2016年4月に消費者委員会へ付議し、消費者委員会意見を基に事後評価を行い、2016年5月に経済産業省へ、料金の適正化に向けて指導を行うよう要請しました。

また、電力取引監視等委員会(現在:電力・ガス取引監視等委員会)の電気料金審査専門会合(現在:料金審査専門会合)における送配電事業を行う電力会社の託送供給等約款の審査にオブザーバーとして参加しました。

電力の託送料金が認可された後に、消費者利益の擁護・増進の観点から、問題の所在及び改善方法について調査・審議を行うため、2016年5月に消費者委員会へ諮問し、消費者委員会からの答申を基に、2016年7月に経済産業省へ、消費者利益の擁護・増進に向けて対応するよう要請しました。

さらに、東京地区(注82)におけるタクシーの初乗り運賃組替えについて、国土交通省との協議を経て、2016年12月に物価問題に関する関係閣僚会議を開催し、了承を得ました。その過程において、消費者委員会から意見聴取を行い、消費者参画の機会確保のための取組を行いました。加えて、2013年から2015年までの間に値上げを行った電力5社(関西・九州・東北・四国・北海道)の小売電気料金について、フォローアップの一環として2017年3月に消費者委員会へ付議し、消費者委員会意見を基に事後評価を行い、2017年4月に経済産業省へ、料金の適正化に向けて指導を行うよう要請しました。

消費者委員会において、2016年2月から5月までに公共料金等専門調査会を計7回開催しました。同専門調査会では、2012年に電気料金の値上げを行った東京電力の原価算定期間終了後のフォローアップを行い、4月に「東京電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見」を取りまとめるとともに、2016年4月からの電力小売全面自由化に伴う消費者への分かりやすい情報提供及び消費者トラブルを防止する観点から、料金プランや比較サイトの状況、消費者相談の状況等について、事業者、関係機関、有識者等からヒアリングを行い、5月に「電力小売自由化について注視すべき論点」を取りまとめました。

また、電力の託送料金に関し、内閣総理大臣からの諮問を受け、消費者利益の擁護・増進の観点から、問題の所在及び改善方法について調査・審議を行うため、公共料金等専門調査会の下に「電力託送料金に関する調査会」を設置し、同調査会を2016年5月から7月までに計6回開催した後、報告書を取りまとめました。

さらに、国土交通省による東京地区におけるタクシー運賃組替え案について、消費者庁からの意見の求めを受け、2016年11月に公共料金等専門調査会を計4回開催して検討した後、消費者委員会からの意見表明を行いました。加えて、2017年1月から3月末までに同専門調査会を計7回開催し、実施後約1年が経過した電力小売全面自由化が消費者にもたらした影響のフォローアップ及び2017年4月からの都市ガス小売全面自由化の課題に関する検討を行うとともに、2013年から2015年までの間に電気料金の値上げを行った電力5社(関西・九州・東北・四国・北海道)の原価算定期間終了後のフォローアップを行いました。

経済産業省では、電力及びガスの小売全面自由化に当たり、意見募集手続を実施した上で、ガスの経過措置料金に関して指定旧供給区域等の指定を行うとともに、小売全面自由化に関する消費者向けのQ&A集の作成や、全国各地域における消費者向けの説明会の実施等、小売全面自由化についての周知・広報に取り組みました。

2016年3月から4月には、電気料金値上げ後の東京電力の小売電気料金について、電力・ガス取引監視等委員会の電気料金審査専門会合において、事後評価を行いました。2017年2月から3月には、関西・九州・東北・四国・北海道電力についても電力・ガス取引監視等委員会の料金審査専門会合において事後評価を行いました。

また、電力・ガス取引監視等委員会において、電力託送料金に関して、一般送配電事業者の収支状況(託送収支)、効率化の取組状況について、平成28年度実績分から定期的に事後評価を行うことを決定しました。


  • (注82)東京23区、武蔵野市、三鷹市が対象。多摩地区については対象外。

担当:参事官(調査研究・国際担当)