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第2部 第2章 第1節 1.事故の未然防止のための取組

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者庁における主な消費者政策

第1節 消費者の安全の確保

1.事故の未然防止のための取組

(1)身近な化学製品等に関する理解促進

環境省では、化学物質やその環境リスクに対する国民の不安に適切に対応するため、リスクコミュニケーションを推進しています。

化学物質のリスクに関する情報の整備のため、2014年度及び2015年度のPRTRデータの集計結果(注22)を基に、「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック」を作成し、2016年9月に発行しました。

また、身近な化学物質に関する疑問に対応する「化学物質アドバイザー」の派遣を実施しており、2016年度は17回実施しています。

(2)家庭用化学製品の安全対策のための「安全確保マニュアル作成の手引き」作成

厚生労働省では、家庭用品に使用される化学物質による健康被害を防止するため、家庭用品規制法に基づいて規制基準を定めており、2017年3月末時点で、21物質群について、物質群ごとに対象製品(繊維製品、洗浄剤等)の基準を設定しています。

また、1995年7月のPL法の施行に伴い、事業者自らによる製品の安全確保レベルのより一層の向上を支援するため、家庭用品メーカー等が危害防止対策を推進する際のガイドラインとなっている「家庭用化学製品に関する総合リスク管理の考え方」を踏まえ、各種製品群につき、メーカー等が製品の安全対策を講ずるために利用しやすい「安全確保マニュアル作成の手引き」を作成しています。1998年に防水スプレーについて手引を作成したのを皮切りに、2011年の家庭用洗浄剤・漂白剤まで5種類(10製品群)の手引を作成しました。なお、直近では、2015年3月に、家庭用防水スプレー製品等安全確保マニュアル作成の手引(第3版)の改定が行われました。今後、有識者及び専門家等の意見を踏まえて、製品群ごとに手引を作成又は改定する予定です。

(3)軽井沢スキーバス事故を受けた対応

国土交通省では、2016年1月に長野県軽井沢町で発生したスキーバス事故を踏まえ、「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」を開催し、同年6月に「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」(以下「総合的な対策」といいます。)を取りまとめました。

総合的な対策では、安全対策の根幹にある基本的な考え方を明確にした上で、それに沿った形で、対策の具体的な項目等ついて整理しています。2017年3月末までに、85項目中80項目について実施済みとなっています。

加えて、総合的な対策に基づき、2016年10月に、旅行業者の企画募集のパンフレット等に貸切バスの事業者名の掲載を義務付けるよう、通達の改正を行いました。同年12月には、貸切バス事業者の安全情報を国土交通省ウェブサイトに公表しています。

このほか、国土交通省及び警察庁では、乗客へのシートベルトの着用の注意喚起、発車前の乗客のシートベルトの着用状況の目視による確認等の徹底を全ての貸切バス事業者に要請するとともに、シートベルト着用励行リーフレットを作成し、ウェブサイト等を活用し周知しました。

消費者庁では、2016年4月に、貸切バスツアーに関する消費者意識調査を実施し、その結果を公表しました。

(4)住宅・宅地における事故の防止

建築行政の分野において、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第20号)や、建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)、建築士法の一部を改正する法律(平成26年法律第92号)が成立するなど、社会情勢の変化等に対応できるよう制度の見直しが進められています。

国土交通省では、2015年6月に各特定行政庁(注23)に対して、改定した「建築行政マネジメント計画策定指針」に係る通知を発出し、「建築行政マネジメント計画」の見直しの積極的な取組と適切な業務の推進のための支援を行いました。

また、2015年5月に「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン」及び「宅地耐震工法選定ガイドライン」を改定し、「大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン及び同解説」として取りまとめました。

(5)基礎ぐい工事の適正な施工を確保するための取組

国土交通省では、基礎ぐい工事問題の発生を受けて、建築物の安全性確保や国民の不安払拭を図る観点から、2015年10月に「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」を開催し、同年12月に中間取りまとめがなされました。これを受け、基礎ぐい工事の適正な施工を確保するための告示を2016年3月に策定しました。告示やこれを受けた業界団体ルールを自社の施工に取り入れている企業数は133社中133社全てとなっています(2017年3月末時点)。

また、あわせて工事監理者が基礎ぐい工事における工事監理を行うに当たっての留意点を示したガイドラインを策定するとともに、建築基準法(昭和25年法律第201号)上の中間検査等における留意点を取りまとめ、建築設計関係団体や特定行政庁等へ周知しました。

さらに、一級建築士定期講習等実施機関に対して、地盤・基礎に関する講習内容の追加・充実を依頼しており、2016年度における地盤・基礎に関する講習内容が反映された一級建築士定期講習の受講者数は、4万2696名となっています。

(6)まつ毛エクステンションによる危害の防止

2013年6月に厚生労働省「生活衛生関係営業等衛生問題検討会」で取りまとめた「まつ毛エクステンション教育プログラム」に沿った教科書を公益社団法人日本理容美容教育センターにおいて作成し、2014年度からこれを使用し、美容師養成施設通学者への教育の充実が図られているところです。

また、2013年度から、生活衛生関係営業対策事業費補助金により、美容師を対象とするまつ毛エクステンション指導者養成講習会を実施する事業者団体を支援しています。

国民生活センターでは、まつ毛エクステンションによる危害を減らすため、事故情報の分析や利用者の意識調査、接着剤の調査等を行い、2015年6月に「後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害」(注24)を公表しました。

なお、事故情報データバンクに登録されている、2016年度に発生したまつ毛エクステンションに関する事故の登録件数は、84件となっています。

このほか、厚生労働省では、2015年度に各地方公共団体の衛生主管部局で把握した消費者からの相談内容等について調査を実施し、集計したところ、健康被害等の件数は175件でした。

(7)子供の不慮の事故を防止するための取組

長年にわたり、1~14歳の子供の死因の上位が不慮の事故となっており(注25)、この傾向は変わっていません。

消費者庁では、子供の不慮の事故を防止するための取組として、2009年12月から、「子どもを事故から守る!プロジェクト」を実施しています。具体的には、同プロジェクトのウェブサイトにて、全国の先進的な取組事例等を紹介しているほか、0歳~小学校入学前の子供の安全情報や事故予防の豆知識、消費者庁に集約される事故情報を基にした注意喚起を記したメールマガジン「子ども安全メールfrom消費者庁」を、2010年から配信しています。2016年度は51回配信し、登録者数は約3万人となっています。

さらに、啓発活動として、同プロジェクトのシンボルキャラクター(注26)が、佐賀県、大阪府茨木市、群馬県大泉町及び長崎県大村市のイベントに参加し、子供の事故予防を呼び掛けています。

また、2016年6月に、9府省庁が参加する「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議」を設置し、2016年6月、同年11月及び2017年3月の3回、会議を開催しました。

このほか、厚生労働省が実施した「人口動態調査」の詳細データを入手・分析し、同データを基に子供の事故防止に関する注意喚起を2件公表するとともに、分析内容をまとめ公表(注27)しました。

経済産業省では、2016年7月に開催された「子ども霞が関見学デー」の中で、製品安全について親子で考える機会を設けました。また、小学校高学年を対象とした製品安全教育を試験的に実施しています。

(8)危険ドラッグ対策の推進

薬物乱用対策の実施に当たり、関係行政機関相互間の緊密な連携を確保するとともに、総合的かつ積極的な施策を推進することを目的として、「薬物乱用対策推進会議」(2008年12月閣議口頭了解)を設置しています。現在は、薬物乱用の根絶を図るため、「第四次薬物乱用防止五か年戦略」(2013年8月薬物乱用対策推進会議決定)及び「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策」(2014年7月18日薬物乱用対策推進会議決定。2014年8月7日一部改正。)に基づく取組を進めています。

内閣府では、同戦略及び同緊急対策のフォローアップを2016年6月に取りまとめました。同年9月には薬物乱用対策推進地方本部全国会議を開催し、同フォローアップについて報告するとともに、関係府省庁及び都道府県間の連携の促進を図っています。

経済産業省では、新たに指定された指定薬物について、産業分野での利用状況も踏まえ、産業界への情報提供等を適切に行うことにより、同施策に対する産業界の理解と協力の促進に努めています。また、同戦略に基づき、国連の麻薬新条約上、国際的な流通管理を実施すべきと定められている原料物質について、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)等に基づき、国際会議等を通じた情報や関係国の規制等も踏まえながら、輸出審査を厳格に実施しました。さらに、講演会の開催を通じ、輸出事業者等に対し、我が国における麻薬等原材料輸出規制制度等の周知を行うとともに、事業者における自主管理の徹底等を要請しました。

法務省では、同戦略に基づき、必要とする者を対象に、刑事施設における薬物依存離脱指導、少年院における薬物非行防止指導を実施しており、同指導の担当職員を対象にした研修を実施し、指導の充実を図っています。

警察では、医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)を始めとする各種法令を駆使して危険ドラッグ事犯の取締りを徹底するとともに、関係機関との情報共有を強化しています。

なお、2016年中の危険ドラッグ事犯の検挙事件数は、864事件、検挙人員は920人となっています。

消費者庁では、関係機関と連携しつつ、特定商取引法に違反しているおそれのある危険ドラッグの通信販売サイトに対し、適切な措置を講ずるとともに、関係機関に対する情報提供を行い、消費者保護を十分に確保するよう努めています。2016年度は10の通信販売サイトに対し、表示の是正要請を行いました。

外務省では、2016年4月に開催された国連麻薬特別総会において、覚醒剤や危険ドラッグ等の合成薬物問題が世界規模で拡散していること、麻薬取引を含む国際組織犯罪の不正収益がテロの資金源となるリスクの高まり等を指摘し、国際的な対策が急務であることなどを主張しました。また、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)(注28)と連携して実施している、様々な国際協力や危険ドラッグ対策における日本の先駆的な取組についても紹介しました。

国土交通省では、自動車運送事業者を対象として、危険ドラッグ等薬物に関する正しい知識や使用禁止について、運転者等に対する日常的な指導・監督を徹底するよう、運行管理者等に対して2年に一度受講が義務付けられている一般講習等を通じて指導を行っています。また、運行中の危険ドラッグ等薬物の使用が疑われる場合には、事業者に対して監査を行い、点呼等の運行管理や運転者に対する指導・監督が適切に行われているか等、法令違反の有無をチェックし、違反内容等に応じて行政処分を実施することとしています。

海上保安庁では、緊急通報用電話番号「118番」(注29)を積極的に広報し、薬物事犯等の情報提供を国民に対して広く呼び掛けたほか、海事・漁業関係者に対して、薬物事犯に係る情報の提供依頼等を行っています。

厚生労働省では、指定薬物の指定について、基本骨格が同じ物質を一括して指定する包括指定を行う等して、危険ドラッグに含まれる物質を迅速に指定薬物に指定しました。2016年度までに新たに指定した指定薬物は2,362物質となっています。

また、危険ドラッグ販売店への継続的な立入検査を行い、2014年3月時点で215店舗存在した危険ドラッグ販売店舗を2015年7月に全滅させました。さらに、地方厚生局麻薬取締部において、危険ドラッグの製造業者、販売業者等を中心に積極的な検挙を行っています。

取締り体制の強化にも努めており、地方厚生局麻薬取締部において、2015年2月に危険ドラッグ対策のため増員された29名を活用し、取締り体制を強化しました。また、財務省(税関)との協力体制も強化し、輸入通関前での検査命令を行い、我が国への危険ドラッグ(原料を含む。)の流入を阻止しています。関係省庁と連携し、危険ドラッグ販売店及びインターネット上の販売サイト等の情報共有を行っています。

さらに、インターネット上で危険ドラッグを販売しているウェブサイトを調査し、法令違反を発見した場合には当該サイトのプロバイダ等に対して削除要請を行い、ウェブサイト等を閉鎖又は販売停止に追い込むよう取り組んでいます。2016年3月までに、合計303サイトに削除要請を行い、247サイトを閉鎖に追い込みました。

また、内閣府、警察庁、消費者庁、文部科学省、国土交通省、厚生労働省、法務省、財務省がそれぞれ消費者への情報提供・啓発活動を行っています。

内閣府では、青少年に対して危険ドラッグの危険性等を周知するため、ウェブサイトにおいて啓発用短編マンガを用いた青少年向けコンテンツを配信するなどの広報・啓発活動を推進しています。

警察では、各都道府県警察において「薬物乱用防止教室」等を開催するほか、警察庁において薬物乱用防止広報強化期間(2016年6月から7月まで)を設定するなど、関係機関、関係団体等の連携を強化し、危険ドラッグを含めた薬物の乱用防止のための広報・啓発活動を推進しています。また、インターネット上で危険ドラッグに関する違法・有害情報を確認した場合に、的確な対応がなされるよう、インターネット・ホットラインセンターの役割の周知を図っています。

消費者庁では、薬物乱用に関する各種運動・月間等の時期に合わせ、薬物乱用防止に関する通知を、関係府省庁と連名で各都道府県の関係部局に発出し、消費生活センター等に広報・啓発の強化等について依頼することで、薬物の危険性・有害性の周知徹底、訴求対象に応じた広報・啓発活動の推進、関係機関の相談窓口等の周知徹底等を図っています。

また、消費者庁ウェブサイトにおいて、上記通知や、関係府省庁の薬物乱用対策のページへのリンクを掲載し、消費者に対する危険ドラッグの正しい知識の情報提供・普及啓発を実施しています。

文部科学省では、全ての中学校と高等学校で、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師等を講師とした薬物乱用防止教室を年1回は開催するよう促すとともに、薬物乱用防止啓発のための啓発教材等を作成し、小学5年生、中学1年生、高校1年生等に配布するなど、学校での薬物乱用防止教育の充実強化を図っています。

また、学校における薬物乱用防止教育等の充実を図るため、薬物乱用防止教室の指導者になる者を対象とした講習会、教職員等を対象としたシンポジウムを開催するとともに、大学生等向け啓発用リーフレットを作成・配布しました。

国土交通省では、運行管理者の受講が義務付けられている講習や地方運輸局が開催する自動車事故防止セミナー等において、危険ドラッグ等薬物の使用禁止に係る啓発活動を推進しています。

厚生労働省では、「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」(2016年6月20日~7月19日)及び「麻薬・覚醒剤乱用防止運動」(同年10月1日~11月30日)等において啓発資材の配布やキャンペーンの実施等、危険ドラッグ等の危険性・有害性の周知徹底、訴求対象に応じた広報啓発活動の推進を図っています。また、近年、若年層の大麻や危険ドラッグの乱用が問題となっていることから、大麻や危険ドラッグ等の怖さについて解説した薬物乱用防止啓発のための資材を作成し、全ての高等学校卒業予定者、小学校6年生の保護者、青少年に配布しています。

法務省では、「“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し,立ち直りを支える地域のチカラ~」(注30)の一環として、危険ドラッグを含めた薬物乱用問題等をテーマとした非行防止教室等を開催しています。2016年には、1,875回の非行防止教室等を開催しました。

財務省では、税関ウェブサイトや税関ツイッター等を活用し、危険ドラッグについて注意喚起を行うとともに、学校等へ税関職員を派遣して行う薬物乱用防止教室等において、違法薬物と併せて危険ドラッグの人体への悪影響や危険性について注意喚起を行っています。


  • (注22)「化学物質排出移動量届出制度(PRTR制度)」により、人の健康や動植物に有害な影響を及ぼすおそれのある化学物質について、対象事業者には、毎年度、対象化学物質の環境に排出される量(排出量)及び廃棄物等に含まれて事業所の外に移動する量(移動量)についての届出が義務付けられており、国は届出の集計結果及び推計を行った届出対象外の排出量の集計結果を併せて公表することとされている。これらの集計したデータのこと。
  • (注23)建築行政事務を行う建築主事を置く市町村の長又は都道府県知事のこと。
  • (注24)http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150604_1.html
  • (注25)厚生労働省「平成26年人口動態統計」
  • (注26)一般公募を経てシンボルキャラクターとして「アブナイカモ」を採用し、消費者庁職員がテーマソング「おしえてね アブナイカモ」を制作した(2013年1月23日公表)。
  • (注27)http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pdf/children_accident_prevention_161102_0002.pdf
  • (注28)United Nations Office on Drugs and Crimeの略。持続可能な開発と人間の安全保障を確保する観点から、不正薬物、犯罪、国際テロリズムの問題に包括的に取り組むことを目的に設立。
  • (注29)http://www.kaiho.mlit.go.jp/doc/tel118.html
  • (注30)全ての国民が、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪のない地域社会を築こうとする全国的な運動。

担当:消費者調査課