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第2部 第1章 第6節(2)消費者契約法の見直し

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁における主な消費者政策

第6節 消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整備

(2)消費者契約法の見直し

●2016年改正の背景及び経緯

近年の高齢化の進展を始めとした社会経済情勢の変化等により、例えば、認知症の高齢者に対し、多量の着物などの必要のない商品を老後の生活に充てるべき資産をほとんど使ってしまうほど購入させるといった高齢者の消費者被害が増加しており、中には、改正前の消費者契約法では十分に被害救済を図ることが難しい事案もあります。また、2001年に消費者契約法が施行されてから、裁判例や消費生活相談事例が蓄積しており、その傾向(注9)等も踏まえ、適切な措置を講ずる必要があります。

こうした状況を踏まえ、内閣総理大臣から消費者委員会に対し、消費者契約法の規律等の在り方についての諮問が行われました。その後、消費者委員会に設置された消費者契約法専門調査会における審議を経て、2016年1月に、諮問に対する答申がなされました(注10)

そして、消費者庁及び法務省では、同答申の内容も踏まえ検討を進め、2016年3月に消費者契約法の一部改正法案を国会に提出し、「消費者契約法の一部を改正する法律」(平成28年法律第61号。以下「改正消費者契約法」といいます。)が同年5月に成立し、同年6月に公布されました。改正消費者契約法は、一部の規定を除き、2017年6月3日から施行されました。

●改正内容の概要

主な改正内容としては、①過量な内容の契約の取消権の新設、②不実告知における重要事項の範囲の拡大、③取消権の行使期間の伸長、④無効とする消費者契約の条項として事業者の債務不履行等の場合でも消費者の解除権を放棄させる条項の新設、⑤消費者契約法第10条に例示を追加することなどがあります(図表Ⅱ-1-6-3)。

●消費者契約に関する制度の認知度は比較的低い

「消費者意識基本調査」(2016年度)において、消費者契約に関する制度の認知について調査したところ、「未成年者が契約をするには、原則として、保護者(注11)の同意が必要で、保護者の同意なく結ばれた契約は、取り消すことができること」(注12)を知っていた割合は68.8%、「訪問販売や訪問購入、電話勧誘販売などによって結んだ契約に対しては、契約から一定の期間内であれば契約を解除できる『クーリング・オフ』という制度があること」(注13)を知っていた割合は90.4%となっています。

これに対し、消費者契約に関して、「事業者が事実と異なることを告げるなどの不適切な勧誘を行い、それによって消費者が誤認・困惑して契約した場合には、契約を取り消すことができること」(注14)を知っていた割合は54.3%、「事業者の損害賠償責任をどのような場合でも一切免除するなどの消費者の利益を害する不当な契約条項は、無効となること」(注15)を知っていた割合は20.6%となっており、比較的認知度が低いといえます(図表Ⅱ-1-6-4)。

そのため、消費者庁では、改正消費者契約法の内容について紹介した「消費者契約法の一部を改正する法律に関する一問一答」の公表のみならず、従来の内容についても併せて記述した消費者契約法の逐条解説の改訂やリーフレット(図表Ⅱ-1-6-5)の作成を通じて周知し、制度の更なる理解増進を図っています(注16)

図表Ⅱ-1-6-3消費者契約法の一部を改正する法律(平成28年法律第61号)

図表Ⅱ-1-6-4消費者契約の認知状況

図表Ⅱ-1-6-5知っていますか?消費者契約法


  • (注9)法施行後の裁判例や消費生活相談事例等については、2014年10月に消費者庁が取りまとめた「消費者契約法の運用状況に関する検討会報告書」に整理されています。
  • (注10)答申において引き続き検討を行うべきとされた論点については、2016年9月7日から再開された消費者契約法専門調査会において審議がされています。
  • (注11)ここでは親権を行う者又は未成年後見人を意味します。
  • (注12)民法(明治29年法律第89号)第5条第2項。
  • (注13)特定商取引法第9条等。
  • (注14)消費者契約法第4条。なお、事業者が不適切な勧誘を行い、それによって消費者が誤認して契約した場合には、契約を取り消すことができるという制度は、特定商取引法上も存在しています(特定商取引法第9条の3等)。
  • (注15)消費者契約法第8条から第10条。
  • (注16)各内容の詳細については、消費者庁ウェブサイトを御参照ください。
    http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/

担当:消費者調査課