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第1部 第2章 第2節(1)商品やサービスを選ぶ際の消費者としての行動や意識

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者意識・行動

第2節 消費者意識・行動の状況

(1)商品やサービスを選ぶ際の消費者としての行動や意識

●積極的な行動を心掛ける消費者が多数

消費者は、自ら進んでその消費生活に関して、必要な知識を修得し、必要な情報を収集する等、自主的かつ合理的な行動に努めていく必要があります。

消費者庁「消費者意識基本調査」(2016年度)では、消費者として心掛けている行動について聞いています。その中で、「表示や説明を十分認識し、その内容を理解した上で商品やサービスを選択する」ことに対し、68.3%が「心掛けている」(「かなり心掛けている」+「ある程度心掛けている」。)と回答しています。2014年度調査、2015年度調査と比べると減少していますが、全体的には依然として商品やサービスの表示や説明について意識し、積極的な行動を心掛ける消費者が多いといえます(図表I-2-2-1)。

●品質、機能を意識し、信頼性を重視して商品を選択する消費者が多数

2016年度の同調査で自らの消費行動について聞いたところ、「買う前に機能・品質・価格等を十分に調べる」ことや「多少高くても品質の良いものを選ぶ」ことに対して「当てはまる」(「かなり当てはまる」+「ある程度当てはまる」。)と回答した割合が、それぞれ5割を超えました(図表I-2-2-2)。消費者の大半が品質や機能を重視しているといえます。

また、「同じ店舗・事業者を利用することが多い」や「実際に現物を見て商品を確認してから購入する」に対し「当てはまる」と回答した割合がそれぞれ6割を超えています。消費者が店舗や事業者に対して信頼性を重視し、商品やサービスに対して慎重な傾向が示されています。

●世代によってお金を掛けているものは異なる

現在お金を掛けているものを聞いたところ、「食べること」と回答した割合が最も多く、6割以上となりました(図表I-2-2-3)。その他は各年齢層でお金を掛けている商品・サービスの特徴が分かれ、10歳代後半から30歳代まででは「ファッション」や「理美容・身だしなみ」などにお金を掛けている反面、貯金と回答した割合も高く、堅実な傾向もあることがうかがわれます。

また、30歳代、40歳代では「子供の教育」と回答した割合が比較的高く、特に子供のいる人のうち、お金を掛けているものとして「子供の教育」と回答した人は、30歳代で57.9%、40歳代で66.5%という高い割合になりました。60歳代以降は「医療」と回答した人の割合が高くなりますが、「旅行」や「交際」と回答した人の割合も高く、活動的な高齢者が多いことがうかがわれます。

次に、今後お金を掛けたいと思っているものを聞いたところ、10歳代後半から50歳代までの広い年齢層で「貯金」と回答した人の割合が高くなりました。また、30歳代、40歳代で「老後の準備」を挙げる人が多く、比較的若い年齢層でも将来的な不安があることが示されています。60歳代以降では、「食べること」と回答した人の割合が最も高くなるとともに、「医療」、「健康・リラックス」のような健康面に関するものの割合も高く、健康面に気を遣っていることがうかがわれます。また、10歳代後半を除く全年齢層で「旅行」の割合が高くなっています。

今後節約したいと思っているものを聞いたところ、「車」と答えた人の割合が全年齢層で高くなりました。近年、若者の車離れがいわれていますが、高年齢層でもこの傾向があることが示されています。年齢層別でみると、10歳代後半では「食べること」や「通信(電話、インターネット等)」と回答した割合が高く、30歳代から60歳代まででは「ファッション」や「通信(電話、インターネット等)」、70歳代以上では「ファッション」と回答した割合がそれぞれ高くなっています。「いずれも当てはまらない」と回答した人の割合は、70歳以上で最も高くなっています。ファストファッションなどの台頭で、過去に比べ安価で品質のよいものが手に入るようになったことで「ファッション」に対する節約意識が高くなったものと思われます。また、スマートフォンなどの情報関連機器が人々の生活になくてはならないものになるにつれ、通信費に対する人々の負担感も増加していることを示しています。

●店舗の利用頻度は減少

消費者庁「消費者意識基本調査」(2016年度)によると、この1年間に利用した販売形態について、2012年度調査と比べ「店舗」が5.1ポイント減少しました。

年齢層別でみると、全年齢層で「店舗」の利用回数の減少がみられ、特に10歳代後半、60歳代及び70歳代で週1回以上又は週3回以上利用すると回答した人の割合が10ポイント以上減少しています(図表I-2-2-4)。

また、「インターネット通販」の利用頻度については、80歳以上を除く全年齢層で月に1~2回程度以上利用したと回答した人が増加し、特に30歳代及び40歳代ではそれぞれ8ポイント以上増加しました(図表I-2-2-5)。その他「訪問販売」、「電話勧誘による販売」、「カタログ販売」、「テレビショッピング」については、2012年度調査とほぼ同様の結果でした。

●インターネット通販の利用理由は「時間を気にせず買物ができる」が最多

「インターネット通販」を利用したと回答した人に対し、利用理由を聞いたところ、「営業時間を気にせず買物ができるから」が67.1%と最も高く、次いで「品ぞろえが豊富、インターネット通販でしか買えない商品があるから」(63.5%)、「安いから」(54.3%)、「様々な商品の価格や品質を比較しやすいから」(47.0%)、「店舗までの移動時間・交通費が掛からないから」(44.4%)となりました(図表I-2-2-6)。

また、性別及び年齢層でみると、子育て期に当たることが多い20歳代及び30歳代の女性は「外出が困難だから」を選択した割合が他の年齢層より高いなど、ライフスタイルによる理由の違いもみられました。

●電子マネーが利用されるように

消費者庁「消費者意識基本調査」(2016年度)によると、この1年間に利用した支払形態について、「電子マネー」では、「利用した」(「積極的に利用した」+「必要な場合のみ利用した」。)と回答した割合が28.7%となり、2012年度調査に比べ13.5ポイント増加しました(図表I-2-2-7)。年齢層別でみても、全ての年齢層で増加しています。

また、「クレジットカード」では、「利用した」と回答した割合が55.9%となり、2012年度調査に比べ4.7ポイント増加しています。

一方、「分割払い(クレジットカードを用いないもの)」は2012年度調査に比べ減少しています。「デビットカード」については、変化はありませんでした。

担当:参事官(調査研究・国際担当)