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第1部 第1章 第3節(2)越境取引に関わる消費生活相談

第1部 消費者意識・行動と消費者問題の動向

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第3節 消費生活相談の概況

(2)越境取引に関わる消費生活相談

●越境消費者センター(CCJ)の活動

グローバル化が進む中、消費者がインターネット経由で気軽に海外事業者と取引できるようになったこと等により、海外事業者とのトラブルが発生しています。

消費者庁では、消費生活センター等における相談受付機能を補完するため、2011年11月から2015年3月まで「消費者庁越境消費者センター」を開設し、越境消費者取引でのトラブルに関する相談対応及び海外の消費者相談機関との連携体制の構築に関する実証調査を行いました。その結果、この期間に延べ1万件を超える相談に応じるなど越境消費者トラブルの解決支援に大きな役割を果たしました。

さらに、2015年4月からは、相談体制を整備し、事業として恒常的に行うことを目的として、国民生活センターに移管し、「国民生活センター越境消費者センター(CCJ: Cross-border Consumer center Japan)」と名称変更して、引き続き活動を行っています(注26)

(CCJの具体的な取組内容及び海外の消費者相談機関との連携体制の構築については、第2部第1章第6節を参照。)。

●CCJに寄せられた相談の特徴

CCJが受け付けた相談の件数は、2013年から2016年までの4年間は毎年4,000件台で推移しています(図表Ⅰ-1-3-17)。2016年は4,468件で、取引類型別では「電子商取引」が4,380件(98.0%)、「現地購入」が75件(1.7%)、「その他」が13件(0.3%)でした「。電子商取引」、つまりインターネット取引によるものが引き続き大部分を占めています。

2016年にCCJが受け付けた相談を性別でみると、「女性」が55.1%と「男性」の44.3%よりも多く、女性の割合が男性の割合よりも多い傾向は2013年から続いています。また、同様に職業別にみると、「給与生活者」が41.9%と最も多く、「主婦・パート・フリーター」が24.3%で続きます。この傾向も2013年から続いています。

●50歳代、60歳代、70歳代の人の相談割合が増加

CCJへの相談について年齢層別にみると、2016年に最も高い割合を占めているのは「40歳代」で26.4%です(図表Ⅰ-1-3-18)。次に高い割合を占めるのは「50歳代」(22.3%)であり、2年連続の上昇により、2年連続で低下した「30歳代」(19.6%)を超えました。「50歳代」、「60歳代」、「70歳以上」の相談割合はいずれも2014年から2016年までの3年間で増えており、それぞれ12.8%(567件)から22.3%(996件)、5.4%(239件)から10.7%(477件)、2.5%(110件)から4.7%(210件)と、2倍近い増加となっています。これには高年齢層のインターネット利用率が上昇していることが影響していると考えられます(第2章第1節参照。)。

●2016年はソフトウェアに関する相談割合が増加

CCJが受け付けた相談について商品・サービス類型別割合の推移をみると、2016年の「身の回り品」(注27)は26.3%(1,176件)で、2015年の35.6%(1,492件)より減少したものの、最も高い割合を占めています(図表Ⅰ-1-3-19)。主な内容としては、2015年に急増したSNSの広告を通じた化粧品購入に関するトラブルが依然として多い状況です。2015年は「表示よりも高額な料金を請求された。」という事例、2016年は「お試しのはずが継続購入になっていた。」という事例が目立ちました。

2016年は「ソフトウェア」の相談割合が20.8%(931件)と、2015年の7.6%(318件)と比べて2倍以上に上昇しました。これは、2016年にパソコンの画面上に偽の警告を表示して、ウィルス対策ソフトを購入するよう誘導する手口についての相談が増えているためです。相談内容としては、「インターネット閲覧中に『ウィルスに感染した』という警告がパソコンの画面上に表示された。警告に従って記載された電話番号に問い合わせたところ、ウィルス対策ソフトを購入するように誘導され、クレジットカードの番号を伝えてしまった。」といったものが多く寄せられています。偽警告に焦って支払をしてしまい、後から解約しようとしても海外事業者であるため解約の申込みは日本語で受け付けておらず、相談につながるケースが多いと考えられます。このような手口については、独立行政法人情報処理推進機構から注意喚起が出されています。(注28)

「役務・サービス」では、主な相談内容として、「相談サイトにクレジットカード情報を登録して無料トライアルを利用したが、自動で継続会員となってしまい毎月請求が発生している。解約したい。」といったものが寄せられています。

●決済手段が「クレジットカード」の相談件数が増加

CCJが受け付けた相談について決済手段別に件数の推移をみると、「金融機関振込」が2013年の2,373件をピークに減少し続けているのに対し、「クレジットカード」は増加し続け、2016年は3,430件に達しました(図表Ⅰ-1-3-20)。

「金融機関振込」が減少している要因としては、①「金融機関振込」が主な決済手段であったトラブル類型である「詐欺疑い」(注29)、「模倣品到着」の相談件数が減っていること、②「詐欺疑い」、「模倣品到着」の決済手段が「金融機関振込」から「クレジットカード」に変化してきていること、の2点が挙げられます(図表Ⅰ-1-3-21)。②の背景として、警察からの情報提供等に基づき、金融機関が決済に使用されていた銀行口座を凍結している、といった状況が相談内容から伺えます。「クレジットカード」増加の要因としては、主な決済手段が「クレジットカード」のトラブル類型である「解約」(注30)の相談件数が増えていることがあります。トラブル類型が「解約」の相談としては、2016年に増加した偽警告でのウィルス対策ソフト購入への誘導や2015年に急増して2016年も継続して相談件数の多いSNSの広告を通じた化粧品購入に関するものがあり、これらの多くにクレジットカード決済が利用されています。

●事業者所在国が米国の相談が増加

CCJが受け付けた相談について事業者所在国別に件数の推移をみると、「所在国不明」が2014年をピークに減少しているものの、2014年から2016年までの3年間継続して最も多くを占めています(図表Ⅰ-1-3-22)。

2016年は、「米国」が1,025件と、2015年の688件に比べて増加しました。前述の偽警告でウィルス対策ソフトを購入するよう誘導する手口についての相談の多くは事業者所在国が米国であるため、「米国」が増加しています。

事業者所在国別にトラブル類型の内訳をみると、「米国」や「イギリス」ではトラブル類型が「解約」の相談が多いのに対し、事業者所在国が「中国」では「模倣品到着」、「詐欺疑い」の相談が多くなっています(図表Ⅰ-1-3-23)。

2016年は、事業者所在国が「所在国不明」の相談のうち、トラブル類型が「解約」の相談件数が最も多くなりました。これまでSNSの広告を通じた化粧品購入に関する相談については事業者所在国が「英国」のものがほとんどでしたが、2016年では「所在国不明」に移ってきているためです。2015年まで事業者所在国が「所在国不明」の相談のうち最多のトラブル類型であった「詐欺疑い」は、2016年は「解約」を下回りましたが、継続して相談が寄せられています。主な相談内容としては、「注文した商品が未着で問い合わせようとしても、電話番号や住所などの会社情報がなく、メールをしても返事がない。」といったものがみられます。2016年の相談のうち、事業者所在国が「所在国不明」でトラブル類型が「詐欺疑い」である相談の8割以上で、サイトの表示が日本語であったとされており、海外事業者と知らずに購入手続をしたケースも多いと考えられます。

図表Ⅰ-1-3-17CCJが受け付けた相談(取引類型別)

図表Ⅰ-1-3-18CCJが受け付けた相談の年齢層別割合

図表Ⅰ-1-3-19CCJが受け付けた相談の商品・サービス類型別割合

図表Ⅰ-1-3-20CCJが受け付けた決済手段別相談件数の推移

図表Ⅰ-1-3-21CCJが受け付けたトラブル類型別-決済手段別の相談件数の推移

図表Ⅰ-1-3-22事業者所在国別件数の推移(2016年上位3か国、その他及び所在国不明)

図表Ⅰ-1-3-23CCJが受け付けた事業者所在国別-トラブル類型別の相談件数の推移


  • (注26)2015年度は移管準備のため4~5月は相談窓口を閉鎖し、6月から相談受付を開始。
  • (注27)「身の回り品」は、バッグ、財布、腕時計、装飾品、化粧品等を含み、有名ブランド品等が多い。
  • (注28)独立行政法人情報処理推進機構(以下同)「“ウイルスに感染した”という偽警告でサポートに電話するように仕向 ける手口に注意」(2016年6月21日公開、2016年9月29日更新)
    「偽警告で電話問い合わせへ誘導する手口の相談が月間200件に急増」(2016年9月29日公開、2016年10月24日更新)
    「偽警告の新たな手口に要注意!」(2017年1月31日公開)
    「偽警告で、また新たな手口が出現」(2017年3月29日公開)
    「被害低減のための偽警告の手口と対策を紹介する映像コンテンツを公開 ~2016年度の偽警告に関する相談件数は昨年度の7.7倍に~」(2017年4月11日公開)
  • (注29)「詐欺疑い」は、注文及び決済の事実が確認できるにもかかわらず、何も届かないまま事業者とのコミュニケーションが途絶え(又は事業者が合理的な対応をしない)、なおかつ事業者の実態が正確に把握できない相談を指す。
  • (注30)「解約」は、業者が意図的に消費者に望まない契約をさせようとしており、これを解約したいとの相談、及び、事業者のミスや相談者の自己都合による契約解除や商品注文のキャンセルなどの相談を指す。

担当:消費者調査課