凡例
1 用語
本報告で用いる用語の定義は、基本的には次のとおりとする。ただし、データの制約や分析目的に応じて異なった定義を用いる場合は、本文中で明記する。
- (1)PIO-NET:独立行政法人国民生活センターと都道府県、政令指定都市及び市区町村の消費生活センターや消費生活相談窓口(以下「消費生活センター等」という。)をオンラインネットワークで結んだ「全国消費生活情報ネットワークシステム」(Practical Living Information Online Network System)のこと。1984年に運用を開始し、消費生活に関して消費者から消費生活センター等に寄せられた相談情報が登録されている(個別の相談情報であるため、閉じられたネットワークで運用されている。)。蓄積された相談情報は、全国の消費生活相談窓口や消費者行政にとっての共有データとして、消費者トラブルを解決するための相談業務に役立てたり、情報を分析して、消費者トラブルの被害拡大や未然防止のための消費者政策の企画立案に活用されている。
本報告で用いるPIO-NETデータ(消費生活相談情報)は、原則として2017年3月31日までに登録された苦情相談で集計している。なお、PIO-NETデータは消費生活センター等での相談受付からデータベースへの登録までに一定の時間を要するため、相談件数データは今後増加する可能性がある。また、全国の消費生活センター等の相談窓口からの「経由相談」は除いて集計している。相談について、性別、年齢層別、職業別、地域別等の属性別に分析を行っているところは、当該相談のきっかけとなった商品・サービスの契約者を基準としている(ただし、第1部第2章第2節の東日本大震災関連の相談については、もともと被災県(岩手県、宮城県、福島県及び茨城県)の居住者であって他の都道府県へ避難している場合は、元の居住県の相談として集計している。同様に、熊本地震関連の相談については、もともと熊本県の居住者であって他の都道府県へ避難している場合は、熊本県の相談として集計している。)。 - (2)消費者事故等:消費者安全法第2条第5項で定義される事故及び事態。事業者が供給する商品・サービスについて、消費者の使用・利用に伴って生じた生命や身体に影響する事故、虚偽・誇大広告その他の消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するような行為が事業者により行われた事態やそのおそれがあるもの。
- (3)生命身体事故等:消費者事故等のうち、生命や身体に影響する事故及びそのおそれがあるもの。
- (4)財産事案:消費者事故等のうち、生命・身体事案を除いたもの。虚偽・誇大広告その他の消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するような行為が事業者により行われた事態及びそのおそれがあるもの。
- (5)重大事故等:生命身体事故等のうち、死亡や30日以上の治療を要するけが等、被害が重大であった事案やそのおそれがあるもの。
- (6)CCJ:国民生活センター越境消費者センターの略称。越境取引における日本の消費者と海外の事業者、海外の消費者と日本の事業者との間の取引において発生した紛争解決支援を行っており、国民生活センターからの委託を受けた事業者が相談窓口を設け、相談情報を蓄積している。
2 年号表記
本報告は、閣議決定を経て国会に提出する年次報告であり、表題は元号表記となっているが、本文中では、経済活動において西暦表記が用いられることが多いこと、海外データとの比較が必要となる部分もあること、グラフにおいては西暦表記の方が馴染みやすいと考えられることから、原則として西暦表記を用いている。
3 法令名の略称
本報告で用いる主な法令の名称及び番号は次のとおりである。また、特に断りがない限り、基本的に以下の略称を用いる。
法令名 | 略称 | 番号 |
---|---|---|
食品衛生法 | 昭和22年法律第233号 | |
農林物資の規格化等に関する法律 | JAS法 | 昭和25年法律第175号 |
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 | 出資法 | 昭和29年法律第195号 |
割賦販売法 | 昭和36年法律第159号 | |
家庭用品品質表示法 | 昭和37年法律第104号 | |
不当景品類及び不当表示防止法 | 景品表示法 | 昭和37年法律第134号 |
消費者基本法(消費者保護基本法) | 昭和43年法律第78号 | |
消費生活用製品安全法 | 昭和48年法律第31号 | |
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律 | 家庭用品規制法 | 昭和48年法律第112号 |
特定商取引に関する法律 | 特定商取引法 | 昭和51年法律第57号 |
貸金業法 | 昭和58年法律第32号 | |
特定商品等の預託等取引契約に関する法律 | 預託法 | 昭和61年法律第62号 |
製造物責任法 | PL法 | 平成6年法律第85号 |
住宅の品質確保の促進等に関する法律 | 住宅品確法 | 平成11年法律第81号 |
消費者契約法 | 平成12年法律第61号 | |
電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 | 平成13年法律第95号 | |
健康増進法 | 平成14年法律第103号 | |
独立行政法人国民生活センター法 | 国民生活センター法 | 平成14年法律第123号 |
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 | 平成14年法律第26号 | |
食品安全基本法 | 平成15年法律第48号 | |
個人情報の保護に関する法律 | 個人情報保護法 | 平成15年法律第57号 |
公益通報者保護法 | 平成16年法律第122号 | |
米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律 | 米トレーサビリティ法 | 平成21年法律第26号 |
消費者庁及び消費者委員会設置法 | 平成21年法律第48号 | |
消費者安全法 | 平成21年法律第50号 | |
消費者教育の推進に関する法律 | 消費者教育推進法 | 平成24年法律第61号 |
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法 | 消費税転嫁対策特別措置法 | 平成25年法律第41号 |
食品表示法 | 平成25年法律第70号 | |
消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 | 消費者裁判手続特例法 | 平成25年法律第96号 |
4 調査
主として使用している調査の概要は次のとおりである。なお、調査結果におけるNは質問に対する回答者数。M.T.はMultiple Totalの略で、回答数の合計を回答者数(N)で割った比率。複数回答ができる質問では通常その値は100%を超える。
- (1)消費者意識基本調査
日頃の消費生活での意識や行動、消費者事故・トラブルの経験等を聞き、消費者問題の現状や求められる政策ニーズ等を把握するために、消費者庁が毎年度実施している調査。2016年度の概要は次のとおり。- ア 調査項目
消費生活における意識や行動、消費者事故・トラブル、消費者政策への評価、消費者契約、食品の表示。 - イ 調査対象
(ア)母集団:全国の満15歳以上の日本国籍を有する者
(イ)標本数:10,000人
(ウ)抽出方法:層化2段無作為抽出法 - ウ 調査期間
2016年11月4日~30日 - エ 調査方法
訪問留置・訪問回収法(調査員が調査票を配布、回収する方法) - オ 有効回収数(率)
6,009人(60.1%)
- ア 調査項目
- (2)地方消費者行政の現況調査
地方公共団体における消費者行政の現況を把握することを目的に、消費者庁(2008年度以前は内閣府)が毎年実施している調査。概要は次のとおり。- ア 主要調査項目
地方公共団体における消費者行政を担当する組織、職員配置、予算、事業の動向等。 - イ 調査時点
各年4月1日現在(直近の調査は、2016年4月1日現在)
- ア 主要調査項目
- (3)風評被害に関する消費者意識の実態調査
東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、福島県を含めた被災県の農林水産物等について、消費者が買い控え行動をとっている場合の理由等を調査し、今後のリスクコミュニケーションでの説明内容を始めとする各般の風評被害対策及び消費者理解の増進に関する取組に役立てることを目的に、消費者庁が実施している調査。概要は次のとおり。- ア 調査項目
放射線等の基礎的な知識や人体影響についての理解、食品の購入に際しての考え方、食品中の放射性物質の基準値に関する考え方、出荷制限に関する情報入手の状況等 - イ 調査対象
20~60歳代の男女、インターネットモニター(有効回答数5,176人) - ウ 調査対象地域
被災県及び被災県産農林水産物の主要仕向先県等(岩手県、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県) - エ 調査時期
(第1回)2013年2月14日~15日
(第2回)2013年8月24日~28日
(第3回)2014年2月14日~19日
(第4回)2014年8月25日~31日
(第5回)2015年2月6日~12日
(第6回)2015年8月11日~17日
(第7回)2016年2月4日~9日
(第8回)2016年8月17日~23日
(第9回)2017年2月2日~10日 - オ 調査方法
インターネット調査
- ア 調査項目
- (4)消費生活に関する意識調査
個別のテーマについて、日常の消費生活における意識等について調査を行い、消費者問題の現状や求められる政策ニーズ等を把握し、消費者行政の施策検討等に活用することを目的とした調査。概要は次のとおり。- ア 調査項目
(1件目) フィンテック等に関する調査
(2件目) 食品ロス問題等に関する調査
(3件目) SNSの利用、暮らしの豊かさ、シェアリングエコノミー等に関する調査
(4件目) SNSの利用及び消費者教育等に関する調査 - イ 調査対象
(1件目) 満18歳以上の国民全体に対して偏りなく抽出(有効回答数3,000人)
(2件目) 満18歳以上の国民全体に対して偏りなく抽出(有効回答数3,000人)
(3件目) 満15歳以上の国民に対して偏りなく抽出(有効回答数3,000人)
(4件目) 満15歳から25歳までの国民に対して偏りなく抽出(有効回答数 3,000人) - ウ 調査時期
2017年2月~3月 - エ 調査方法
インターネット調査(4件目はLINE Research Platformで実施。)
- ア 調査項目
担当:参事官(調査研究・国際担当)