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第2部 第6章 第2節 地方における体制整備

第2部 消費者政策の実施の状況

第6章 国や地方の消費者行政の体制整備

第2節 地方における体制整備

1.地方消費者行政の充実・強化に向けた地方公共団体への支援等

消費者行政の最前線は、「地域」です。消費者庁では、消費者の安全・安心の確保のためには、「現場」である地方消費者行政の抜本的強化が不可欠との認識から、地方公共団体との連携を強化しながら、その取組を支援してきました。

具体的には、2009年度から2011年度までの3年間を地方消費者行政の「集中育成・強化期間」と位置付け、地方消費者行政活性化交付金により各都道府県に造成された「地方消費者行政活性化基金」(以下「基金」といいます。)を通じて、地方公共団体の消費者行政の充実・強化に向けた取組や支援などを行ってきました。

2012年7月には、この「集中育成・強化期間」後の地方消費者行政について、「地方消費者行政の現況調査」や「現場」の声から地方消費者行政の現状と課題を分析し、中長期的な展望に立った地方消費者行政の目指す姿を描きながら、「消費者庁の取組」と「地方自治体への期待」をまとめた「地方消費者行政の充実・強化のための指針」を策定しました。

2014年度には、指針も踏まえながら、これまで充実・強化されてきた取組が後退しないよう、基金の活用期間を延長しました。また、これまで補正予算中心の措置であり、毎年度の予算措置の見通しが不透明な状況であったことから、2014年度予算には30億円を措置し、当初予算における大幅増額を実現したことで、地方における計画的・安定的な取組が可能となりました。その後、基金に上積みしない「地方消費者行政推進交付金」として、2014年度補正予算には20億円、2015年度予算には30億円、2015年度補正予算には20億円、2016年度予算には30億円を措置し、交付金と合わせて、これまで累計約445億円を措置してきました。また、2013年度から2015年度に引き続き、2016年度においても、「国と地方とのコラボレーションによる先駆的プログラム」として、国から先駆的なテーマを提案して地方公共団体と連携して実施します。

消費者庁では、地方消費者行政推進交付金の当初予算化及び基金の活用期間の延長を措置したことを踏まえ、中長期的な検討を実施するため、「地方消費者行政強化作戦」を定め、計画的・安定的な取組の中で、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる地域体制の全国的な整備に取り組むとともに、人員・予算の確保に向けた地方の自主的な取組を支援しています。

これとは別に、東日本大震災の被災地への支援として、震災・原発事故を受けた緊急対応(食品等の放射性物質検査、食の安全性等に関する消費生活相談対応等)により、被災県(岩手・宮城・福島・茨城)では基金に不足が見込まれたため、2013年度予算には約7.3億円、2014年度予算には約7億円の上積みを行い、2015年度予算には、地方消費者行政推進交付金として約4.8億円を措置しました。2016年度予算には約4.8億円を措置しています。

また、消費者庁では、消費生活相談員の専門性やその果たしている役割の重要性を踏まえ、各地方公共団体において、再度任用する回数に関して一律に制限を設けることなく、消費生活相談員の専門性に配慮した任用を行うよう、消費者庁長官から地方公共団体の首長宛ての通知等により、消費生活相談員のいわゆる「雇止め」の見直しを求めました。この消費生活相談員の雇止めの見直しについては、消費者庁と総務省との間で協議を行い、①実態として非常勤職員の行う業務の中にも恒常的な業務があること、②任期ごとに客観的な実証を行った結果として、同じ者を再度任用することは排除されないことについて認識を共有していたところです。2015年3月に公布した改正消費者安全法の関係内閣府令において、地方公共団体が消費生活センターに係る条例を制定する際の参酌基準として「消費生活相談員の専門性に鑑み適切な人材及び処遇の確保に必要な措置を講ずること」を盛り込んだほか、関係内閣府令等について、都道府県担当課長会議や各都道府県の開催する管内市区町村向け説明会、消費者団体等において説明を実施しました。

2.地域の見守りネットワークの構築(消費者安全確保地域協議会、消費生活協力員、消費生活協力団体)

消費者庁では、消費者トラブルの防止及び被害からの救済について、地方消費者行政推進交付金等により、被害に遭うリスクの高い消費者(障害者、高齢者、被害経験者等)を効果的・重点的に地域で見守る体制を構築し、消費者トラブルの防止及び早期発見を図る取組等を支援するとともに、障害者の特性に配慮した消費生活相談体制整備を図る取組等を促進しています。

加えて、地方公共団体が、障害者を始めとする消費生活上特に配慮を要する消費者への見守り活動等を目的とした消費者安全確保地域協議会を組織することができること等、消費者安全法の一部改正を盛り込んだ不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律が2014年6月に公布され、2016年4月1日に施行されました。

また、2015年3月に公表した消費者安全法の改正法の関係内閣府令及びガイドラインについて、都道府県担当課長会議や各都道府県の開催する管内市区町村向け説明会、消費者団体等において説明を実施しました。

あわせて、2015年9月3日に開催した第11回高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会において、各構成員が傘下の団体に対して、消費者安全確保地域協議会への参画を働き掛けるなど、多様な主体が緊密に連携して、消費者トラブルの防止や「見守り」に取り組むことを申し合わせました。また、2016年3月25日には、フォローアップのための第12回会合を開催しました。

3.地方公共団体との政策・措置に関する情報等の共有

消費者庁では、2010年度から、国民生活センター及び経済産業局等の国の機関と、都道府県・政令市の担当課長との意見交換や情報共有の場として、「消費者行政ブロック会議」を開催しています。2015年度は、2015年9月3日に北海道・東北ブロック(仙台市)、9月10日には関東ブロック(川崎市)、10月8日には近畿ブロック(京都市)、10月14日には中部・北陸ブロック(岐阜市)、10月21日には中国・四国ブロック(徳島市)、11月5日には九州・沖縄ブロック(那覇市)において、同会議を開催しました。

また、都道府県・政令市の消費生活センター所長が意見交換や情報共有を行うため、国民生活センターが地方公共団体とブロックごとに開催する「消費生活センター所長会議」に、消費者庁職員が出席し、意見交換を行っています。2015年度は、2015年9月2日に北海道・東北ブロック(仙台市)、9月11日に関東ブロック(川崎市)、10月8日には近畿ブロック(京都市)、10月15日には中部・北陸ブロック(岐阜市)、10月22日には四国ブロック(徳島市)、10月29日には中国ブロック(広島市)、11月5日には九州・沖縄ブロック(那覇市)における消費生活センター所長会議に出席しました。

加えて、毎年4月に都道府県及び政令市の消費者行政担当課長等向けの「都道府県等消費者行政担当課長会議」を開催し、最近の国の消費者行政の動向について情報の共有を図っているところ、2015年度は2015年4月24日に同会議を開催しました。

これらの各会議を通じて、各地方公共団体の消費者行政担当者と意見交換・情報提供を行っています。

4.都道府県における法執行強化

国と地方が情報共有を進めて法を厳正に執行し、被害をもたらしている事業者の行為を是正することにより、消費者被害の拡大防止や軽減、予防につながります。このため、消費者庁では、地方公共団体の法執行力を強化することを目的として、地方公共団体の執行担当者を対象とした研修を行っています。

2015年度には、執行実務に必要となる基礎知識の習得を目的とした「執行初任者研修」を5月12日から13日にかけて実施し(96名参加)、さらに、執行に必要な実務スキルの向上を目指した「執行専門研修」を9月29日から10月2日にかけて実施しました(94名参加)。

5.「消費者ホットライン」の運用

消費者がトラブルに見舞われたとしても、相談窓口の存在に気付かなかったり、相談窓口は知っていたとしてもその連絡先が分からなかったりすることがあります。

このため、消費者庁では、2015年7月1日から、全国どこからでも身近な消費生活相談窓口を案内する3桁の電話番号「188(いやや!)」(消費者ホットライン)(注75)の運用を開始し、2015年度には68万8000件の利用がありました。

同ホットラインについて、消費者庁では、消費者庁ウェブサイトへの掲載、啓発チラシの作成・配布、各種会議を通じて周知を行いました。

6.消費生活以外の相談窓口に寄せられた消費生活に関する相談の誘導

消費者庁では、消費生活以外の相談窓口に寄せられた消費生活相談について、消費生活相談窓口を案内するよう2016年3月に都道府県等に要請しました。

7.消費生活相談情報の活用

PIO-NETは、全国の消費生活相談業務の円滑な実施を支援するために1984年に運用を開始したシステムであり、国民生活センターと地方公共団体の消費生活センター等がオンラインネットワークで結ばれ、全国に寄せられた消費生活相談情報が集約されています。

近年では、消費者被害が多様化、複雑化する中で、消費生活相談業務の支援に加えて、法執行等を担当する行政機関等からの利活用の需要が高まっています。

2011年4月には消費者庁が「国の行政機関等におけるPIO-NET情報の利用指針」を策定し、中央省庁や独立行政法人といった関係機関による閲覧に加えて政府共通ネットワークが利用できる中央省庁等に対して、PIO-NET利用のためのアカウント発行を行っています。さらに、適格消費者団体のPIO-NET端末への接続に向けた検討を行っています。

消費者庁では、国民生活センターと連携してPIO-NETを刷新し、2015年9月28日から新しいシステムであるPIO-NET2015による運用を開始しました。

システム刷新に当たり、「国の行政機関等におけるPIO-NET情報の利用指針」を見直し、国の行政機関における適切な運用を図るとともに、国の行政機関を含めた利用者に対しPIO-NET2015の操作研修を行い、利用を推進しました。

8.国民生活センター相模原事務所研修施設での研修の実施

国民生活センターは、消費者行政における中核的な実施機関であり、①消費者行政の司令塔機能の発揮、②地方消費者行政の推進、③消費者への注意喚起のいずれにとっても必要不可欠な存在です。

国民生活センターの在り方については、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)の下で開催される「消費者行政の体制整備のための意見交換会」等において検討が進められていましたが、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(2013年12月閣議決定)を踏まえ、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成26年法律第66号)と独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第67号)において、独立行政法人の新たな類型の一つである「中期目標管理法人」(注76)とすることとされました。

また、国民生活センター相模原事務所研修施設については、同方針において、「相模原研修施設の再開については、施設の利用見込み、長期を含めたコスト等を総合的に勘案した上で、平成26年夏までに結論を得る」こととされたことを踏まえ、消費者庁において、「国民生活センター相模原事務所研修施設の活用に関する懇談会」を開催し、研修施設の再開について検討を進めていたところ、2014年8月に「(国民生活)センターに期待されている効率的かつ効果的な研修を実施するためには、再開に必要な研修環境の手当てを行った後、研修施設を再開することが望ましい」との結論がまとまりました。行政改革推進会議独立行政法人改革等に関する分科会においても議論が行われた結果、2015年度に研修施設を再開することとされました。

これらの議論を踏まえ、相模原事務所研修施設を2015年5月から再開し、2015年度は企業職員研修10コースを含む73コース(注77)の研修を実施しました。

このうち、地方公共団体の職員や消費生活相談員等に対しては、事例検討・参加体験型研修を取り入れた研修を実施しました。また、同事務所内の商品テスト施設を活用した研修も実施しました。


  • (注75)消費者ホットラインは2010年1月12日から「0570-064-370(ゼロ・ゴー・ナナ・ゼロ 守ろうよ みんなを)」で案内をしていた(現在も引き続き利用可能。)。
  • (注76)公共上の事務等のうち、その特性に照らし、一定の自主性及び自律性を発揮しつつ、中期的な視点に立って執行することが求められるものを国が中期的な期間について定める業務運営に関する目標を達成するための計画に基づき行うことにより、国民の需要に的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じた公共の利益の増進を推進することを目的とする法人。
  • (注77)(実施コース数)
    • 消費者行政職員研修:14コース
    • 消費生活相談員研修:36コース
    • 消費者教育推進のための研修:13コース

担当:消費者調査課