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第2部 第3章 第2節 商品・サービスに応じた取引の適正化

第2部 消費者政策の実施の状況

第3章 適正な取引の実現

第2節 商品・サービスに応じた取引の適正化

1.電気通信サービスに係る消費者保護の推進

高度情報通信社会の進展により、インターネットを活用した取引が増加して利便性が向上する一方、それに関連する様々な消費者問題も数多く発生しています。

2015年5月に電気通信事業法の一部を改正する法律(平成27年法律第26号)が公布され、書面交付義務、初期契約解除制度、勧誘継続行為の禁止、不実告知・事実不告知の禁止等の規定が設けられました。総務省では、公布後1年以内の施行に向けた関係法令等の整備を行うため、主要事項について「ICTサービス安心・安全研究会『消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG』」において議論を実施し、2015年11月に「議論の取りまとめ」を公表しました。これを踏まえ、パブリックコメント等の手続きを経て、2016年3月に、当該関係法令等を公布するとともに、改正後の法令の内容を解説する新しい「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」を策定、公表しました。

また、スマートフォン等の移動端末設備に設定されているSIMロックの解除については、「ICTサービス安心・安全研究会」及び「情報通信審議会2020—ICT基盤政策特別部会」の議論において、「利用者の求めに応じて迅速、容易かつ利用者の負担なく解除に応じることが適当」とされました。また、2014年10月31日発表の「モバイル創生プラン」においても、モバイルサービスの料金低廉化・サービス多様化に向けて早期に実行するべく、SIMロック解除を推進することとしています。これらを踏まえて、2014年12月に改正した「SIMロック解除に関するガイドライン」により、事業者は、2015年5月以降新たに発売される端末について、原則無料でSIMロック解除に応じることとなりました。

そのほか、電気通信サービスに関する苦情・相談処理体制、期間拘束・自動更新付契約、試用サービス等に関しては、ICTサービス安心・安全研究会に置かれた連絡会で推進されてきた、携帯電話事業者による試用サービスの実施や、期間拘束・自動更新付契約の更新月の延長及び更新月が近づいた時点でのプッシュ型の通知、全国携帯電話販売代理店協会による苦情相談の収集・分析、電気通信事業者協会相談窓口の設立等、関係事業者・団体の取組について、2015年4月に開催された同研究会において報告がなされました。また、期間拘束・自動更新付契約については、2015年4月からICTサービス安心・安全研究会「利用者視点からのサービス検証タスクフォース」(注31)を設置し、その在り方に係る検討を行い、2015年7月に「方向性」の公表を行っており、これを踏まえた携帯電話事業者各社の取組状況を注視しています。

加えて、法令等の違反が疑われる事業者に対しては、ヒアリングや電気通信事業法に基づく報告徴収等を行っています。

ほかにも、2015年度上半期、下半期消費者支援連絡会を、それぞれ2015年6月末から総務省の全11の地方局において実施し、電気通信サービスにおける消費者支援の在り方について、各地の消費生活センターや電気通信事業者等の関係者の間で情報共有・意見交換を行いました。

2.有料放送サービスに係る消費者保護制度の適切な運用

総務省では、有料放送サービスについて、説明義務、契約関係からの離脱のルール、販売勧誘活動の在り方等、所要の制度整備を行い、整備された制度に基づき適切に運用することとしています。

2015年5月に電気通信事業法等の一部を改正する法律が公布され、放送法(昭和25年5月2日法律第132号)において、有料放送サービスに係る書面交付義務、初期契約解除制度、勧誘継続行為の禁止、不実告知・事実不告知の禁止等の規定が設けられました。これを受けて、公布後1年以内の施行に向けた関係法令等の整備を行っています。

3.詐欺的な事案に対する対応

証券取引等監視委員会では、2015年度には、無登録業者及び悪質なファンド業者による金融商品取引法(昭和23年法律第25号)違反行為に係る裁判所への禁止命令等の申立てを3件実施し、金融商品取引法違反行為等が認められた適格機関投資家等特例業務届出者について17件の公表を行いました。

また、金融庁では、2015年度には、無登録で金融商品取引業を行っていた者131者、虚偽告知や顧客資産の流用等の法令違反等が認められた適格機関投資家等特例業務届出者23者及び無届けで有価証券の募集を行っていた者2者に対して、警告書を発出し、これらの業者等について、社名等を公表しました。

4.投資型クラウドファンディングを取り扱う金融商品取引業者等に係る制度の整備

金融庁では、投資型クラウドファンディングの利用促進及び投資者保護のためのルール等を盛り込んだ金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第44号)を、2015年5月に施行しました。法施行後においても、投資者保護の観点から、必要に応じ、監督上の対応を行うなど、適切に対応を行うこととしています。

5.金融商品取引法に基づく適格機関投資家等特例業務(プロ向けファンド)に関する制度の見直しの検討

適格機関投資家等特例業務(プロ向けファンド)の制度見直しに係る金融商品取引法の一部を改正する法律(平成27年法律第32号)案が2015年6月に公布されました。その後、関係政令・内閣府令等整備を経て、2016年3月から施行されています。

6.安全・安心なクレジットカード利用環境の整備

経済産業省では、割賦販売法を適切に運営し、また関係事業者に法令の遵守を徹底させることにより、クレジット取引等の適切な対応を進めるため、関係事業者への立入検査や、報告徴収等の適正な執行等を行っています。

また、2015年7月に取りまとめた産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会報告書を踏まえ、割賦販売法の見直し作業を進めています。

さらに、一般社団法人日本クレジット協会等の関係業界団体等で構成されている「クレジット取引セキュリティ対策協議会」において、カード番号等の漏えい防止、決済端末のIC対応化の推進、EC(注32)取引における本人認証の普及に向けた対応策等について検討を進め、2016年2月に目標、各主体の役割、当面の重点取組を取りまとめた「実行計画」を策定しました。

7.商品先物取引法の迅速かつ適正な執行

経済産業省及び農林水産省では、委託者の保護及び取引の適正化を図るため、商品先物取引法(昭和25年法律第239号)に基づく立入検査及び監督を実施するとともに、商品先物取引の勧誘規制の見直しに係る改正省令の施行(2015年6月)を踏まえ、同省令に基づく勧誘を予定する全外務員に対する研修の実施(同年4・5月実施)、商品先物取引に関する相談や違反行為等の情報提供の窓口(「商品先物トラブル110番」)の設置及び業界団体の自主規制強化に向けた監督・指導を行いました。

8.民間賃貸住宅の賃貸借における消費者保護

昨今、賃貸住宅への入居に当たり、従来の連帯保証人に代わるものとして、家賃債務保証業者による機関保証の役割・必要性が増しています。そのため、国土交通省では、家賃債務保証をめぐる消費生活相談等の状況を踏まえ、家賃債務保証会社を利用する賃借人及び賃貸人の基本的属性、家賃債務保証会社の利用状況、家賃債務保証業に関する消費生活相談内容等について、賃借人、賃貸人に加え、家賃債務保証会社に対してアンケートによる調査を行うなど、家賃債務保証の実態を把握し、家賃債務保証業者の適正な運営の確保や賃借人の居住の安定を図るための必要な諸施策の検討を行っています。

また、民間賃貸住宅をめぐるトラブルの未然防止のための「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」及び「賃貸住宅標準契約書」のウェブサイト掲載等を行い、周知を図るとともに、賃貸住宅の入退去に係る留意点について、2014年3月から政府インターネットテレビにより注意喚起を行っています。

さらに、2015年6月及び11月に家賃債務保証の業界団体のセミナーにおいて、家賃債務保証業務の適正な実施に当たっての注意喚起を行いました。

そのほか、居住支援協議会による賃借人の居住の安定を図るための取組を検討するに当たり、家賃債務保証の業界団体から業務の実態について、2015年12月にヒアリングを行いました。

9.住宅リフォーム等における消費者保護

国土交通省では、既存住宅流通やリフォーム工事に係る悪質事案の被害防止の観点から、「住まいるダイヤル」(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)において、リフォーム工事の内容や価格、事業者に確認すべき点等に関する相談を含めた住宅に関する電話相談業務、リフォーム工事の見積書についての相談を行う「リフォーム見積チェックサービス」を実施しています。さらに、住まいるダイヤルのウェブサイトにおいて、住まいるダイヤルや専門家相談で受け付けた住宅に関する悪質事案を含む代表的な相談内容と相談結果を公表しています。

また、リフォームや中古住宅に係る各種瑕疵保険において、住宅瑕疵担保責任保険法人へ登録した事業者を国土交通省ウェブサイトにて公表しています。また、「住宅瑕疵担保履行制度の新たな展開に向けた研究委員会」を開催し、「住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討委員会」において示された課題についてフォローアップを行うとともに、制度の見直しについて検討をしています。

さらに、2015年4月1日に施行された建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第55号)を踏まえ、リフォーム工事の請負契約に係る見積書の交付の義務化について、建設業者へ周知・啓発しています。

そのほか、住宅リフォーム事業の健全な発達及び消費者が安心してリフォームを行うことができる環境の整備を図るために国土交通省が創設した「住宅リフォーム事業者団体登録制度」について、これまでで登録住宅リフォーム事業者団体数は7団体となりました。

10.高齢者向け住まいにおける消費者保護

入居一時金の償却についての透明性を高める観点から、厚生労働省では、事業者団体や消費者関係団体、地方公共団体、国土交通省と連携して、有料老人ホーム等の高齢者向け住まいへの入居を考えている消費者向けに「—高齢者向け住まいを選ぶ前に—消費者向けガイドブック」を2012年度に作成し、入居者が支払う金額や契約が終了した場合に返還される金額について、消費者向けに分かりやすい説明を行うことを念頭に、モデルケースを設定し、グラフや表を用いて説明を行っています。

また、消費者向けの説明資料としての活用を促進するため、地方公共団体や事業者への送付やウェブサイトでの公開を行うなど、周知に努めています。

そのほか、高齢者向け住まいについては、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条第1項の規定に基づく届出を促進するため、都道府県等に対して事業者への指導の徹底を依頼しています。

また、前払金の在り方について、2014年度までの実態把握等を踏まえて検討を行い、2015年3月に報告書として取りまとめました。2015年度は、取りまとめた報告書やフォローアップ調査から課題の検討の整理等を行い引き続き検討を進めています。

11.美容医療サービス等の消費者被害防止

美容医療、歯科インプラント等の自由診療について、施術の前に患者に丁寧に説明し、同意を得ることが望ましい内容等につき関係者に周知徹底するとともに、指導事例の共有等により、円滑な指導のための連携を行い、また、地方公共団体における相談・指導件数を把握し、指針等の効果の検証を行うこととしています。また、美容医療ではない施術を行ういわゆるエステティックについては、公益財団法人日本エステティック研究財団(注33)において、エステティック営業施設における衛生基準を作成し、事業者等に対する周知を図っています。

厚生労働省では、地方公共団体におけるインフォームド・コンセントに関する相談・苦情件数等の状況を2015年5月に調査し、2014年度における相談・苦情件数は2,260件、うち違反のおそれがあるものとして行政指導を要した件数は55件であることを把握しました。

また、医療広告に関する都道府県等担当者会議(2015年9月〜10月)において、都道府県等に対して「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」(2013年9月27日)などの周知を行いました。さらに、同会議にて、「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」(2015年7月7日消費者委員会)について説明を行い、インフォームド・コンセントの更なる適正化を求めました。

12.警備業務に関する消費者取引における情報提供の適正化及び苦情解決の円滑化

警備業は、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、現金輸送警備、ボディーガード等の種々の形態を有しており、ホームセキュリティ等の需要も拡大するなど、国民生活に幅広くサービスを提供しています。また、空港や原子力発電所のようなテロの標的とされやすい施設での警備も担っています。こうした警備業が果たす役割を踏まえ、警察では、警備業法(昭和47年法律第117号)の規定に基づき、警備業者に対する指導監督を行い、警備業務の実施の適正と警備業の健全な育成を図っています。

警備業に対する社会的な需要が拡大する中で、警備業務の内容や契約の対価、解除等の条件に関する説明がなかったなど、契約時における警備業者の説明が不十分であることに起因する苦情が数多く発生したため、2004年の警備業法の改正で書面の交付に関する規定(第19条)が新設されました。これにより、警備業者は依頼者に対し、契約の成立前に書面を交付して重要事項を説明しなければならず、また、後日の紛争を防ぐため、契約締結後に契約内容を記載した書面を交付しなければならないこととされ、警備業務の依頼者の保護が図られました。

各都道府県警察は、警備業法第19条の規定に基づく契約内容の書面交付が確実に実施され、警備業務の依頼者の保護が図られるよう、各種講習会や定期立入検査など、様々な機会を捉えて警備業者に対する指導を行い、更には、違反業者に対して行政処分を実施するなど、警備業者に対する指導監督を継続的に実施しています。

13.探偵業法の運用の適正化

探偵業は、個人情報に密接に関わる業務でありながら、何らの法的規制もなされず、調査の対象者の秘密を利用した恐喝事件、違法な手段による調査、料金トラブル等の問題が指摘されていました。

このような状況に鑑み、2006年6月、探偵業の業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的とし、探偵業を営もうとする者の都道府県公安委員会への届出制、探偵業者の遵守事項、探偵業者に対する監督等について定めることを内容する探偵業の業務の適正化に関する法律(平成18年法律第60号。以下「探偵業法」といいます。)が公布され、2007年6月に施行されました。これにより、探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、依頼者に対し、重要事項について書面を交付して説明しなければならず、また、依頼者と探偵業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、重要事項について契約の内容を明らかにする書面を依頼者に交付しなければならないこととされ、探偵業務の依頼者の保護が図られました。

各都道府県警察は、探偵業法第8条の規定に基づく契約内容の書面交付が確実に実施され、探偵業務の依頼者の保護が図られるよう、各種講習会や立入検査など、様々な機会を捉えて探偵業者に対する指導を行い、さらには違反業者に対して行政処分を実施するなど、探偵業者に対する指導監督を継続的に実施しています。

14.リスクの高い取引に関する注意喚起

仕組みが複雑である、内容が分かりにくい、損失が生じた場合に高額になる、適正な価格が判断しづらいなどのリスクの高い取引(例えば商品などの先物取引)については、所管省庁の取組に加え、必要に応じ、消費者庁においても、国民生活センターと連携し、取引の際にはリスクについての十分な理解が必要であることなど、被害の未然防止の観点から注意喚起を行うこととしています。

消費者庁では、2015年5月に、先物取引のリスクの高さについて、注意喚起を行い、また、同月に国民生活センターから商品先物取引法施行規則の改正の内容とそれに対応した注意事項について、注意喚起を行いました。

15.サーバ型電子マネーの利用に係る環境整備

金融庁では、2015年7月から12月にかけて開催された、金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」での議論を踏まえ、サーバ型電子マネーの利用に係る環境整備のため、法令改正の必要性の検討を含め適切に対応を進めることとしています。

同ワーキング・グループにおいて、2015年12月に報告書が取りまとめられ、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」が2016年3月に第190回国会に提出されました。

また、電子マネーに関する消費者被害の項目を追加したガイドブック等を活用し、被害の未然防止に向けた注意喚起を行いました。さらに、サーバ型電子マネー発行者におけるIDの詐取被害の防止及び回復に向けた態勢整備等に関し、事務ガイドラインを見直すことを検討しています。


担当:消費者調査課