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第1部 第4章 第6節(2)消費者政策の国際連携やグローバル化への対応

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第6節 消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整備

(2)消費者政策の国際連携やグローバル化への対応

●環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について

我が国はTPPに関し、2013年3月に参加を表明、同年7月から豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、シンガポール、ペルー、米国、ベトナムの11か国との交渉に参加しました。同交渉は、2015年10月5日に大筋合意、2016年2月4日には署名に至りました。

TPPの効果については、貿易・投資の拡大が見込まれており、TPPが発効し、その効果により我が国が新たな成長経路(均衡状態)に移行した時点において、実質GDP水準は+2.6%増、2014年度のGDPを用いて換算すると、約14兆円の拡大効果が見込まれるとの分析結果もあります(2015年12月24日付け「TPP協定の経済効果分析」)。

TPPの内容には、我が国の消費者行政に関する制度の見直しを必要とするものはありませんが、我が国への海外からの輸入食品の増加が見込まれることなどへの国民からの懸念・不安の声を払拭するため、消費者庁では、2015年11月25日に決定された政府の「総合的なTPP関連政策大綱」に基づき、以下の取組を適切に実施します。

【「総合的なTPP関連政策大綱」に盛り込まれた消費者庁関連施策】

・リスクコミュニケーションについて
消費者庁は、「総合的なTPP関連政策大綱」に基づき、食の安全に関するリスクコミュニケーションに積極的に取り組むこととしています。具体的には、「TPP協定により、我が国の食品の安全・安心が脅かされることはない」ということや、輸入食品を始めとする食品の安全性の現状について、関係府省と連携して意見交換会等のリスクコミュニケーションを推進します。

・加工食品の原料原産地表示について
食の安全・安心に関する施策として、原料原産地表示について、実行可能性を確保しつつ、拡大に向けた検討を行うこととしています。これを踏まえ、2016年1月から消費者庁と農林水産省が共同で「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」を開催しており、検討を行っています。

・国民生活センター越境消費者センター(CCJ)について
TPPの署名による今後のアジア太平洋地域における貿易・投資の更なる促進に伴い、海外事業者と日本の消費者の間でトラブル(越境トラブル)が生じるリスクも高まると予想されます。
このような状況を踏まえ、越境トラブルに関する消費者の相談窓口として国民生活センターに設置されている「越境消費者センター」(CCJ)の対応機能を強化する必要があることから、CCJと海外消費者相談機関との連携体制の拡充・強化を図ります。

●国民生活センター越境消費者センター(CCJ)の取組と海外連携

第3章第1節に記載したとおり、消費者庁では、2011年11月から2015年3月まで、実証調査の一環として「消費者庁越境消費者センター」を開設・運営し、日本の消費者と海外の事業者、海外の消費者と日本の事業者との間の取引において発生した紛争解決の支援を行いました。2015年4月には、恒常的な業務として、同センターの運営を国民生活センターに移管し、「国民生活センター越境消費者センター(CCJ:Cross-border Consumer center Japan)」として業務を実施しています。

国民生活センターに運営を移管した効果として、CCJは、実証調査中に積み上げたトラブル解決支援の実績と合わせて、国民生活センターの有する消費生活相談への対応に関する豊富なノウハウや知見等を活用することが容易になりました。これにより、国内外いずれにおいて発生した消費者トラブルについても、より円滑な解決を図ることが可能となっています。

消費者からCCJに寄せられた相談に対しては、CCJが相談・トラブル内容、事業者との連絡可否、相談者の希望等を確認し、責任の所在を判断した上で、事業者が所在する国の消費者相談機関へ相談内容を翻訳して伝達し、調査依頼を行います。依頼を受けた消費者相談機関は調査を行い、同国の事業者と交渉を行って、事業者からの回答結果をCCJへ伝達します。CCJはその回答を翻訳した上で、消費者に対して回答内容の伝達及びアドバイスを行います。また、必要に応じて、関連機関、専門家等の紹介も行っています。なお、海外の消費者からの相談に対しても、日本の消費者からの相談と同様に、海外の消費者相談機関とCCJが連携し、CCJが日本の事業者と交渉する等して解決に当たります(図表4-6-4)。

CCJが支援対象とする取引は、B to C取引(事業者と消費者間の取引)でインターネット取引だけでなく対面取引(店頭取引)も対象としています。また、対象とする事業者は海外に主たる法人組織を有していることを条件としています。消費者による取引の相手方が外資系企業の国内法人や海外から商品を輸入、販売している国内事業者等は対象外とし、全国各地の消費生活センター等を案内することとしています。なお、CCJ開設以来2,224件(約14%(注75))が相談者の望む結果で解決に至っています。

また、海外の消費者相談機関に対して何らかの形で調査依頼を行い、トラブル解決に至った件数は131件(調査依頼を行ったうちの約41%(注75))となっています。全体の解決率に対してCCJの海外連携機関依頼分における解決率が高くなっており、越境消費者トラブルの場合、海外機関との連携がトラブル解決に効果的であったと言えます。

なお、海外の消費者から日本の事業者についての相談も、件数は少ないものの寄せられています。

消費者庁では、CCJの連携する海外機関の拡大及び海外機関との連携強化のための取組を行っています。これまで、米国・カナダのCBBBを始め5機関と連携してきたところですが、2015年1月にはベトナムのEcomVietと、2015年7 月にはロシアのCenter for Mediation and Law及び韓国の消費者院と新たに連携関係を構築しました。この結果、CCJの海外連携先機関は計8機関に拡大しました(図表4-6-5)。

今後、グローバル化がますます進展する中、2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向けた訪日外国人の増加や、我が国のTPPへの参加により、越境取引は一層増加し、それに伴い越境消費者トラブルも増加することが見込まれます。こうした状況に対応するため、引き続き海外機関への連携のための働き掛け、交渉を行い、CCJの体制の充実化を図っていきます。

●経済協力開発機構(OECD)における連携

消費生活におけるグローバル化の進展に伴い、消費者の安全と安心の確保、消費者と事業者との間の適正な取引の確保、苦情処理や紛争解決の促進等の様々な消費者政策を進める上では、国際的な連携を確保していくことが一層重要となっています。

1969年11月、消費者政策に関する加盟国間の情報及び経験の交換、討議並びに協力の推進を目的として、経済協力開発機構(OECD)に「消費者政策委員会」(CCP)が設置されました。

CCPでは、これまで、国際的な消費者取引に係る諸問題等について幅広く検討してきていますが、最近では、特にデジタル経済化に伴う消費者問題や製品安全分野に重点的に取り組んでいます。日本はCCPの副議長国の一国を務め、CCPの下部組織である製品安全作業部会では議長国を務めており、加盟国間の幅広い消費者問題に関する各プロジェクトに参加する等、CCP・製品安全作業部会の活動に積極的に加わっています。

特に、CCPでは、2014年2月には、「モバイル・オンライン決済に関する消費者政策ガイダンス」が、同年9月には「デジタル・コンテンツ製品に関する消費者政策ガイダンス」がそれぞれ採択され、これらの公表されたガイダンス等を踏まえ、1999年に採択された「電子商取引の文脈での消費者保護のための行動指針に関するOECD理事会勧告」の改定作業が進められ、2016年3月に完成しました。

●製品安全プロジェクトについて

1.経済協力開発機構(OECD)製品安全プロジェクトと製品安全作業部会の設置

製品サプライチェーンのグローバル化等により国内外での製品安全に関する消費者被害が頻発する状況を背景に、2007年、製品に関する消費者問題についての国際連携・情報共有に焦点を当てたOECD製品安全プロジェクトが開始しました。2010年には「消費者製品安全に関する情報共有の強化に関する報告書」が取りまとめられ、その提言を実施するため、OECD消費者政策委員会(CCP)の下に製品安全作業部会が設置されました。

我が国も、製品安全作業部会(年2回:2015年度は5月、10月)に継続的に出席し現在進められている各プロジェクト(消費者教育・啓発、グローバル・リコール・ポータルの理念等)の作業・今後の検討スケジュール等についての議論を行いました。なお、10月の第11回会合では議長に選任され、2016年1月1日に議長に就任しました。

2.OECDグローバル・リコール・ポータルサイト

OECD消費者政策委員会製品安全作業部会では、製品がグローバルに取引される現状に対応し、国際的な製品安全の情報共有のためにグローバル・リコール・ポータルサイトを構築しました。2012年10月から、米国、オーストラリア、カナダ、EUが参加し、英語とフランス語で運用を開始しました。我が国も、2015年1月から参加し、我が国におけるリコール情報を提供しています。2015年度には、48件のリコール情報を提供し、国際的な情報共有に努めました。また、トップページに日本語版を加えました。個々の詳細情報は、日本語を含めた多くの言語に機械翻訳して見ることが可能です(注76)

OECDグローバル・リコール・ポータルサイト1

3.OECDグローバル製品安全ウェブサイト

各国の製品安全規制に関する情報を掲載しているOECDグローバル製品安全ウェブサイト(注77)に、我が国の製品安全規制に関する概要を掲載し、国際的な情報共有に努めました。

OECDグローバル・リコール・ポータルサイト2

OECDグローバル・リコール・ポータルサイト3

OECDグローバル・リコール・ポータルサイト4

図表4-6-4 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)での相談への対応の仕組み

図表4-6-5 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)が提携する海外機関


担当:消費者調査課