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第1部 第4章 第5節(6)電力システム改革〜電力の小売全面自由化

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第5節 消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成

(6)電力システム改革〜電力の小売全面自由化

●電力の小売全面自由化で、電気の選択が可能になった

2016年4月から、電力の小売全面自由化が始まりました。これまで家庭向けの電気は原則として各地域の電力会社だけが販売しており、電気をどの事業者から買うかを選択できませんでしたが、家庭向けの電気の小売業への新規参入が全面的に自由化され、電力会社に加え、ガス会社、石油会社、通信会社や鉄道会社など、様々な分野の事業者が、新たな電気事業者として、様々なサービスや料金プランの提供を開始しています(図表4-5-8)。

小売電気事業者の中には、再生可能エネルギーを中心に発電を行う事業者や、電気の地産地消に訴求している事業者もあります。消費者が多様な選択肢から自由にエネルギー源を選ぶことができれば、需要動向が供給構造におけるエネルギー源の構成割合や供給規模に対して影響を及ぼし、供給構造をより効率化することが期待されています。

●電力の小売全面自由化後の安定供給、消費者保護について

「再生可能エネルギーを発電する地元事業者から電気を買いたい」、「今より安い電力会社に乗り換えたい」など、自分のライフスタイルや価値観に合わせて電気の小売事業者を選べるようになります。他方、いずれの小売電気事業者から買った電気であっても、同じ送配電線から供給される電気であれば、電気の品質や信頼性(停電の可能性など)に差はありません。

電気の安定供給を担う要となる送配電部門については、電力小売全面自由化後も、引き続き、政府が許可した事業者(各地域の一般送配電事業者。東京電力株式会社、関西電力株式会社等)が担当します。仮に、小売電気事業者が、販売する量に応じた電力を調達できなかった場合であっても、十分な電力を調達できていないことをもって消費者に対する供給が停止されることはありません。

また、消費者保護策として、小売全面自由化後も、少なくとも2020年3月までは、規制料金メニューでの供給義務が各地域の元の電力会社の小売部門に経過措置として残されます。加えて、小売電気事業者が倒産・撤退したような場合に消費者が他の小売電気事業者に切り替えるまでの間のセーフティネットとして電気の供給を実施する「最終保障サービス」、離島でも他地域と遜色ない料金水準で電気の供給を実施する「離島のユニバーサルサービス」が、一般送配電事業者に義務付けられます(図表4-5-9)。

併せて、電力の小売全面自由化を契機に多様な事業者が参入することを踏まえ、経済産業省は、消費者保護のために、「電力の小売営業に関する指針」を制定しました。この指針では、不当に高額な違約金等を設定することや、「当社は停電しにくい」など誤解を招く情報提供で自社のサービスに誘導しようとすることなどを「問題となる行為」としています。

●消費者庁から情報提供、注意喚起を実施

電力の小売全面自由化は、社会インフラである電力の供給ルールの大きな変更であり、消費者への影響も大きいと考えられます。消費者への制度の周知や消費者トラブルの防止のため、消費者庁では、2016年2月以降、消費者向けの情報提供及び注意喚起を実施しました。2016年2月の注意喚起では、慌てて契約する必要はなく、チェック事項を確認、よく検討いただきたいことや、電力全面自由化でよくある誤解などについて情報提供しました(図表4-5-10)。

小売電気事業者は登録制(注70)になっています。契約しようとしている事業者が登録されているか、又はその代理店かを確認するなど、自身で電力の小売全面自由化に関する情報を収集することが肝要です。

また、「料金が安くなる」と勧誘された際には、どのような条件で安くなるのか、電力以外の商品やサービス契約とのセット割引はあるか、割引の対象期間はいつまでか、解約時に違約金が発生しないかなどを確認し、よく理解してから契約するかどうか判断しましょう。また、小売電気事業者は、消費者と小売供給契約を締結するに当たり、月々の電気料金や契約期間、解約に関する条件などを消費者に対しきちんと説明をする義務があります。きちんと説明しない、消費者が求めている説明をしない、という場合にはその場で契約しないようにしましょう。電力の小売全面自由化の制度や小売電気事業者が登録しているか等についての問合せは経済産業省の専用ダイヤル(注71)に、小売契約の締結等に関するトラブルについては同省の電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(注72)、又は最寄りの消費生活センター等(消費者ホットライン: 188(いやや!))に電話してご相談ください。

消費者庁では、消費者が小売電気事業者や料金メニューを安心して選択できるよう、独立行政法人国民生活センターや経済産業省とも連携し、消費者トラブルの状況を注視するとともに、情報提供を実施しています。

図表4-5-8 家庭向け電力販売への新規参入事業者

図表4-5-9 電力の小売全面自由化のスケジュール

図表4-5-10 消費者庁からの注意喚起


担当:消費者調査課